栗の栄養が凄い!成分や得られる効果、選び方などを知ろう!

秋の味覚の代名詞ともいえる栗。栗ご飯や渋皮煮のほかにも、ゆでてそのまま食べたり、デザートに利用したりと、いろいろな楽しみ方ができます。

普段はあまり意識しませんが、木の実である栗には、発芽するための栄養がたっぷり詰まっています。小さくて食べやすく少量でも栄養が補給できるので、小さな子どもやお年寄りのおやつとしてもぴったりです。

小さくても栄養がたっぷり

kuri1

栗は、ブナ科クリ属の落葉樹になる木の実で、マカダミアナッツやヘーゼルナッツのような外側の殻が非常に硬い「堅果」という木の実の仲間です。

マカダミアナッツやヘーゼルナッツには脂質が多く含まれるのに対し、栗は主成分が炭水化物で、脂質が少なくヘルシーなのが特徴です。

ただし、カロリーはゆで栗で1粒13g・21kcal、栗の甘露煮で1粒20g・48kcal、甘栗1個5g・11kcalと決して低くありません。普通盛りのご飯1杯が約180kcalなので、ゆで栗なら9個でご飯1杯分のカロリーになります。

ほかにも、ビタミンCやビタミンB1などのビタミン類、カリウム、葉酸、鉄、亜鉛などのミネラル、食物繊維をバランスよく含んでいます。

栗1粒に含まれる主な栄養素は以下の通りです。

  • ビタミンB1 0.03mg
  • ビタミンC…4.29mg
  • カリウム…54.6mg
  • 葉酸…9.62μg
  • 鉄…0.1mg
  • 亜鉛…0.07mg
  • 食物繊維…0.55g

渋皮にはポリフェノールがたっぷり

栗の渋皮には、ポリフェノールの一種であるタンニン・プロアントシアニジンが多く含まれます。

ワインやお茶でおなじみのポリフェノールは、植物の苦味や渋味、色素の成分となる化合物の総称です。すべてのポリフェノールには強力な抗酸化作用があり、体内の有害な活性酸素を取り除くことで、老化や病気を防ぐ効果があります。

栗の外殻(鬼殻)を剥くと、栗の実はさらに薄い皮(渋皮)に包まれています。渋みがあり、渋皮についている筋の口当たりが悪いため、多くの場合取り除いて食べられますが、この渋皮に、強力な抗酸化作用をもつポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。

タンニンには、肌を引き締め、シミなどの原因となるメラニンを抑制する美容効果と、生活習慣病の予防と改善をする効果があります。

ただし、タンニンには鉄と結びついて鉄の吸収を阻害する働きもあるので、鉄分が不足しがちな若い女性や貧血気味の人は、食べすぎないように注意しましょう。

ビタミンC

栗には、他の種実類と比べても多くのビタミンCが含まれています。

美容のビタミンとして有名なビタミンCは、肌の弾力を保つコラーゲンの生成に欠かせない成分で、しみの原因となるメラニン色素の生成を抑制する働きがあります。

また、免疫力を高めるので、風邪の予防に効果があります。

ビタミンCは、加熱によって失われやすいビタミンですが、栗のビタミンCは実に含まれているでんぷん質がビタミンCを保護する役目を果たすため、加熱で壊れにくいのが特徴です。

炭水化物

栗の主成分の炭水化物は、活動のエネルギーとなる栄養素です。

でんぷんが多く含まれている食品としては、穀類やイモ類がありますが 栗のでんぷんはイモ類と比較すると粒子が細かいのが特徴で、これが加熱したときにしっとりとなめらかで上品な味わいを生んでいます。

ビタミンB1

栗には、炭水化物の分解を促すビタミンB1 が含まれています。

ビタミンB1は、ご飯やパンなどの炭水化物の代謝を促進し、エネルギーを生産する際に欠かせないビタミンで、疲労の回復を助けます。そのためビタミンB1が不足すると、エネルギーの生産がスムーズに行われないようになり、疲れやすい、すぐにだるくなってしまうなどの症状が出やすくなります。

疲れたときのおやつに、栗はぴったりといえます。

カリウム

カリウムは、ナトリウムと拮抗するミネラルで、ナトリウムを排出する働きによって血圧を調整することで、高血圧を予防を予防します。

人間の体液は、常に一定の水分バランスに保たれている必要があります。食事で塩分を摂りすぎて体内のナトリウム量が多くなると、カリウム働いてナトリウムを排出します。それにより、血圧は正常に保たれるので、高血圧や動脈硬化につながります。体内の水分を排出するので、むくみの予防や改善にも効果があります。

しかし、ナトリウムとともに同じ量のカリウムも排出されるため、食事から摂取しつづける必要があります。

不足しがちな亜鉛が豊富

微量要素の亜鉛が豊富です。亜鉛はミネラルの中でもっとも不足しやすく、心がけて摂取する必要があります。また、ビタミンCといっしょに摂ることで吸収されやすくなるので、ビタミンCを多く含む栗は、亜鉛の補給に適しているといえます。

亜鉛は、たんぱく質の代謝に関わり、健康維持に役立ちます。さらに、味覚を正しい状態をキープするためにも必要不可欠であり、皮膚や粘膜の健康維持を助けます。

亜鉛が欠乏すると、様々な不調が起こりますが、代表的なものに、「味が無くなる」「変な味を感じる」といった味覚障害があります。その他、皮膚炎、脱毛、傷の治りが遅くなるといった症状が起こることもあります。

栗の種類

kuri3

栗には世界中に数多くの品種がありますが、大きく分けて日本栗、中国栗、ヨーロッパ栗、アメリカ栗の4つの種類があります。原産地は中国と日本で、山地に生え、葉は細長く、いがに包まれて実をつけます。

日本栗

日本栗は野生の芝栗(シバグリ)を品種改良したもので、一般的に販売されています。

実が大きいのが特徴ですが、甘みが少なく渋皮がはがれにくく、果実が割れやすい性質があります。

日本栗は、収穫の早いものから、早生栗、中生栗、晩生栗と3種類に分かれます。8月の下旬から収穫が始まる早生栗には森早生や玉造、9月下旬から収穫される中生栗には、筑波や銀寄、10月上旬から収穫される晩生栗には、石鎚、岸根といった品種があります。

中国栗

中国栗は甘栗とも呼ばれる小さめの栗で、日本では栽培されていません。
やや小型で渋皮を剥きやすく、果肉が割れにくいのが特徴です。甘みが強く、渋皮が実に密着しない為、焼き栗に適しています。

甘栗、または天津甘栗として販売されている焼き栗の多くは、中国栗です。

ヨーロッパ栗

果実が小さく、渋皮がむきやすく、果肉がしまっていますが、粘り気は少ないのが特徴です。中国栗と同じく日本では栽培されていません。ヨーロッパ原産で主に地中海諸国で栽培されています。ヨーロッパ栗はマロングラッセなどの材料として日本に輸入されています。

アメリカ栗

アメリカ栗は、1900年くらいに発生した栗胴枯病菌の被害により一部を除きほぼ壊滅したといわれ、現在はほとんど流通していません。日本では栽培されていません。

栗の選び方と保存

kuri4

ここでは、栗の選び方と保存方法を紹介します。

栗の選び方

栗を選ぶ時は、鬼皮がしっかりと固く、ハリと光沢があり、ふっくらとしているものを選びましょう。
小さな丸い穴が空いているものには蛾の幼虫などが入った穴の可能性があるので避けましょう。また、傷ついているものも実が痛んでいる可能性があります。

手に持った時にずっしりと重いものが新鮮な栗です。収穫から時間がたったものは乾燥して水分が抜け、軽くなっています。

栗の保存法

栗の主成分であるデンプンは、さつまいもなどと同じように収穫してから3日~4日置くことで糖に変わり、甘味が強くなります。ただし、常温に置くと乾燥て実が小さくなり、虫が入る可能性もあるので、ポリ袋などに入れて冷蔵庫で保存しましょう。
冷蔵保存

生栗は乾燥しやいので、ポリ袋などに入れて冷蔵庫で保存します。1週間程度保存できます。

冷凍保存

栗を冷凍保存する場合は、一度ゆでてから鬼皮と渋皮を剥いた状態にして保存袋などに入れ冷凍することができます。ただし風味などは損なわれてしまうので、ペーストなどにしてお菓子作りに利用するようにしましょう。

栗の上手な利用法

kuri2

栗のむき方

栗は外側の硬い皮(鬼皮)と内側の薄い皮(渋皮)に包まれています。形をいかして調理する栗ご飯や甘露煮などの場合は、一晩水につけておくか、お湯に2~3時間つけると鬼皮がやわらかくなって剥きやすくなります。栗の底の部分(ザラザラしている方)を切り、包丁を入れて上に向かってむくときれいに剥けます。

形がくずれてもよい場合は、15~20分くらいゆでて、底の部分を切り上に向かってむきます。皮ごと半分に切ってスプーンで実をかき出すのも簡単です。

栗はアクが強いので、皮をむいたらすぐに水にさらします。

渋皮は包丁で剥きます。鬼皮をむいたあと、さらに一晩程度水につけておくと、渋皮もやわらかくなってむきやすくなります。バーナーなどがある場合は、渋皮の部分をあぶって焦がしてからペーパータオルなどでこすると、実を削らずに渋皮をむくことができます。

栗の利用法

むき栗は、栗ご飯以外にも、炒め物や煮物にも利用できます。ほくほくとした食感とほんのりとした甘さで肉類との相性もよいので、豚肉や鶏肉と炒めものや煮物に加えましょう。

素揚げにして塩を少々ふるとおつまみになります。シチューやポタージュにしても、秋らしい1品になります。

面倒な栗の皮むきは、いっぺんにやってしまうことが多いですが、すぐに使う分以外は、甘露煮や渋皮煮にしておくと長期間保存ができます。

まとめ

kuri5

栗には、渋皮に含まれるポリフェノールを始め、ビタミンCやB1、カリウムといった栄養素が詰まっています。カロリーも比較的高いので、食べすぎは禁物ですが、旬の秋には料理やお菓子に利用したいものです。

収穫してすぐに食べるより、数日間熟成させたほうがより甘味が強くなります。乾燥しやすいので、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。

皮はむくときは水やお湯につけて鬼皮をやわらかくしてから剥くのが基本です。渋皮も水につけることでやわらかくなり、剥きやすくなります。すぐに使わない分は、甘露煮や渋皮煮にして保存すると、秋の味覚を長く楽しむことができます。

  
/* */
  
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする