妊娠中期頃に入ってくると、赤ちゃんも母体も安定してきて、安定期といわれる時期に入ります。しかし、安定期でも、何をしても大丈夫!というわけではなく、何等かの原因と重なると切迫早産や早産の原因につながることにもなります。
早産の原因は、まだ解明されていないことが多くありますが、一般的に言われている早産になる原因やその兆候について、ご紹介します。
早産とは?
子宮口が開いてきて、早産になりかかっている状態を切迫早産といいます。早産とは、22週~37週未満に出産することをいいます。母体や胎児が危険な状態であると判断されたり、これ以上の妊娠継続が不可能となった場合は、人工出産になることもあります。
37週未満で胎児が母体から外の世界に出てしまうと、低体重児として産まれることが多く、肺が未発達な状態のまま産まれてしまうことから、殆どの新生児はICUでの治療が必要になります。
早産になる原因は?
早産の原因はまだ解明されていないことが多くありますが、最も主要な原因とされているものを紹介します。
感染症による原因
細菌による感染によって炎症が起き、早産を引き起こす原因になります。
◆細菌性膣炎
妊娠によるホルモンバランスの変化で、膣の自浄作用が低下すると、体内にある細菌が異常に増えて、病原菌に感染しやすい状態になってしまいます。症状は、悪臭の強いおりものが特徴です。
◆頸管炎
子宮の入り口にある子宮頸管部に最近などの感染が起こった状態をいいます。クラミジアの感染が原因になることもあります。症状は、病原菌の種類によって違いがありますが、粘り気のあるおりものが増加したり、腰痛が起きることもあります。
◆絨毛膜羊膜炎
赤ちゃんを包んでいる3層の膜のうち、絨毛膜と羊膜に炎症がおこる病気です。放置したままだと、細菌性膣炎や頸管炎の原因となる菌が卵膜から子宮に広がり、羊水にまで広がってしまいます。羊水にまで感染すると、前期破水を起こしやすい危険な状態になってしまいます。症状は、おりものの臭いが強くなってきたり、下腹部痛が強くなったりします。
子宮頸管無力症
子宮の入り口にあたる子宮頸管という部分が、通常は妊娠中はしっかり閉じていて子宮の中の胎児を保持しているのですが、母体の体質的な原因によるもので、ゆるく開きやすくなっている状態をいいます。
子宮筋腫
子宮筋腫は、女性の病気で一番多いといわれています。
子宮の中の色々な場所に、こぶのようなものが出来る病気です。子宮筋腫が出来る原因はまだ解明されていませんが、ホルモンが関与しているといわれています。妊娠中のホルモンの影響で筋腫が大きくなり、検診で発見されることもあります。妊娠中に筋腫が大きくなっても、産後は、隠れるほど小さくなることもあります。
子宮筋腫が大きくなることで、お腹が張りやすくなり、早産の原因となることもあります。
治療法は?
診察の結果、自宅での安静と言われた場合はお腹の張り止めの薬が処方され、安静な生活をするよう指示されます。
子宮の収縮が頻繁だったり、破水している場合は入院して、子宮収縮を抑制する点滴での治療などを受け、入院しながら安静を保つようにします。早産にならないための治療は、36週位を過ぎるまでは、赤ちゃんができるだけ長く母体にいる環境が望ましいので、妊娠継続が続けられるように治療します。安静を指示されていても、大体36週位になると赤ちゃんが外での生活にも対応できるようになるので、安静は解除されます。
早産の原因は様々ですが、一般的に多いといわれる原因別に治療法を紹介したいと思います。
感染症が原因の治療法
感染症が原因の場合の治療法は、早産の原因である細菌を除去するために、膣内の洗浄を行い抗生剤を局部への投与や全身への投与をして、感染を除去する治療をします。
子宮頸管無力症の治療法
子宮頸管無力症が原因の場合は体質的に、胎児の成長とともにどんどん子宮が開大しやすくなるので、状況によっては子宮の出口である頸管をしばる(子宮頸管縫縮術)をする場合もあります。
子宮筋腫が原因の場合の治療法
筋腫のできている場所にもよりますが、子宮口をふさぐ位置にあると産道をふさぎ、正常分娩が困難になるため帝王切開分娩となる場合もあります。
妊娠中は、ホルモンの影響に加え、筋腫にも栄養がいくので、筋腫が大きくなることもあるので、お腹の張りがおきやすくなり、張り止めの服用による治療が必要な場合もあります。
早産を予防するために気を付けること!
早産の兆候は、一般的に、お腹の張り、下腹部の痛み、背中の痛みなどがあります。早産になりやすい原因とは別で、普段の生活のなかで、予防として自分でできることをご紹介します。
冷えをさける
身体の冷えは、お腹の張りを起こしやすくします。冷え症の人などは得に、足首、手首、首元などを温めると身体の冷えを防ぐことができます。
下腹部を温めるマタニティー下着やガードル、腹帯などで、下腹部の冷えの対策をしましょう。
ストレスをためないようにする
ストレスや疲れをためない生活を心がけましょう。睡眠不足や過度のストレスは、お腹の赤ちゃんにもストレスとして伝わります。
精神的な疲れは、身体的な疲れの回復力にも影響します。結果的に、お腹の張りがおきやすくなります。無理をし過ぎない、ゆったりとした時間を過ごすように心がけましょう。
長時間の立ちっぱなしに注意する
立ち続けている時間が長くなると、お腹に力が入って、子宮の収縮に影響を及ぼすことがあります。
またお腹も張りやすくなり、早産の原因につながりやすくなるので細目な休憩を心がけ、長時間立っている状態は避けるようにしましょう。
重い物をもたないようにする
重いものをもつ時は、自然にお腹に力が入ると思います。妊娠中に重いものをもつことは、お腹の張りを起こしやすくするので、できるだけ避けるようにしましょう。
買い物などの重いものは、宅配サービスを利用したり、上のお子さんを抱っこするときは、座って抱っこするなど、自分なりの方法で、お腹にかかる負担を減らすようにしましょう。
まとめ
日頃から気を付けていても、原因らしい原因がみつからなくても、切迫早産や早産になることもあります。しかし、完璧に予防することはできなくても、日ごろから生活習慣を見直したり、気を付けることで、リスクを減らすことはできます。普段の生活で、自分なりに出来る予防はしつつ、「普段とは違う」お腹の張りや痛みなどを感じたら、すぐに病院へ行きましょう。痛みが等間隔でおきてくるようなら、陣痛を引き起こしていることもあるので、早めの受診を心がけましょう。
切迫早産になってしまったときは、ママにとっては、不安と治療で、とてもつらい毎日が続くかもしれません。しかし、赤ちゃんも、ママと一緒に頑張っていることを思い、医師を信頼して、指示の通り安静にして乗り切ってください。そして、不安が爆発しそうになったり、精神的に限界を感じたときは、一人で抱え込まずに看護師や医師、ご家族にたくさん話をきいてもらいましょう。言葉にして出すだけで、不安やストレスは減少することもあります。
万が一、早産で赤ちゃんが産まれた場合でも、医学が進歩した現代、殆どの場合の赤ちゃんは健康で元気に育つといわれています。発育の過程で、最初は身長や体重など、同じ頃に産まれた赤ちゃんとの差を感じることが多いかもしれません。しかし、赤ちゃんのこれからの長い成長の一時期のことです。あまり、神経質になったり、不安にならなくても、成長を重ねていくうちに、だんだんと追いついてきます。小さく産まれた赤ちゃんが頑張って成長していく姿を、ママも一緒に見守りながら、赤ちゃんとの時間を大切に過ごしましょう。
ストレスや不安をためずに、安心して育児をしていくためにも、赤ちゃんやママの不安事は、一人で解決しようとせずに、出産した病院や保健センターなど、ママが相談しやすい場所をつくるようにしておきましょう。赤ちゃんの成長が落ち着くまでは、定期的に出産した病院で検診を受けたり、ママの不安を解消しながら毎日の生活を送ることも、安定した育児生活を送るうえで大切なことです。
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