大人になって社会に出ると、仕事のお付き合いや同僚との飲み会でお酒の中でも特にビールを飲む機会が増えるのではないでしょうか?
ビールを飲む機会が増えてきて、気になりだすのが、いわゆる「ビール腹」です。おなかの特に下腹部あたりがポッコリと前に突き出ている体型は、30歳代を過ぎた中年男性に良く見られますが、お世辞にも格好が良いとは言えませんよね。
ご存知の人もいるかもしれませんが、実はビール腹になる主要な原因はビールそのものにあるわけではなく、ビール腹は飲酒を含め様々な要因が複合的に原因となって生じます。
そこで今回は、ビール腹が生じる原因・メカニズムを明らかにするとともに、ビール腹の解消方法などについても、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
ビール腹とは?
おなかがポッコリとした体型は、いわゆるビール腹と呼ばれますが、ビール腹の定義について調べてみた方は多くないのではないでしょうか?
ビール腹の原因や解消法を紹介する前に、まずはビール腹の定義などについて確認しておきたいと思います。
ビール腹とは?
ビール腹の語源・由来は、太った人のおなかが昔のビール醸造に用いられたビール樽(ビア樽)に似ていたことにあるとされています。ですから、本来的なビール腹の意味は、おなかがビール樽のような状態に太った体型のことです。
しかしながら、現在のビール腹の意味は、中年のおじさんが自分自身のおなかを叩きながら「ビールの飲み過ぎで、ビール腹になっちゃたよ~」と言う場面のように、一般的にはビールを多く飲むことで太ってしまった状態あるいは体型という意味で使われることが多いようです。
このようにビール腹の本来的な意味と現在の一般的な用法の意味は似て非なるものですが、いずれもおなかがポッコリと前に突き出るように太った体型であることには変わりありません。
そこで、本記事においては、ビール腹を下腹部がポッコリと前に突き出るように太った体型と定義して、以下の説明を進めたいと思います。
肥満体型の種類
肥満体型は、内臓脂肪が蓄積するリンゴ型肥満と皮下脂肪が蓄積する洋ナシ型肥満の二つに大きく分類することができます。
リンゴ型肥満(内臓脂肪型肥満)
リンゴ型肥満は、主に腹部の内臓の周りに脂肪が蓄積している状態の肥満のことで、外見的に腹回りが大きくなっている人が多いとされます。
正確にはCTスキャンなどの画像検査による診断が必要ですが、一般的な目安として男性はウエスト85㎝、女性はウエスト90㎝を超えてくるとリンゴ型肥満・内臓脂肪型肥満の可能性が高くなります。
洋ナシ型肥満(皮下脂肪型肥満)
洋ナシ型肥満は、主に臀部や大腿部に脂肪が蓄積している状態の肥満のことで、外見的にはお尻や太ももが大きくなっている人が多いとされます。
一般的な目安として男性はウエスト85㎝、女性はウエスト90㎝以下にもかかわらず、肥満を判定する国際基準であるBMI値が25以上ある場合は洋ナシ型肥満・皮下脂肪型肥満の可能性が高くなります。
ビール腹はリンゴ型肥満である
このような肥満体型の種類に当てはめると、下腹部がポッコリと前に突き出るようなビール腹体型は、内臓脂肪蓄積が過度に進んだリンゴ型肥満に該当する可能性が高いとされています。
ですから、ビール腹は内臓脂肪型肥満・リンゴ型肥満の別称・俗称・代名詞であると言うこともできるでしょう。
ビール腹の原因
このようにビール腹は、いわゆるリンゴ型肥満・内臓脂肪型肥満であることを言い表しています。それでは、ビール腹は、どのようにして形成されるのでしょうか?そこで、ビール腹の原因について、ご紹介したいと思います。
アルコール類そのものと肥満の関係
ビール腹の原因を探る上で、まずはビールを含むアルコール類そのものが、肥満との間にどの程度の因果関係を有するかについて、ご説明しておきたいと思います。
アルコールそのものと肥満の関係
そもそもビールを含むアルコール類・酒類は、アルコール度数にほぼ比例する形でエネルギー量であるカロリーが高くなっていきます。
例えば、ビールはアルコール度数が5%前後で100mlあたり約40kcalですが、アルコール度数が20%以上となる甲類焼酎・ウイスキー・ウォッカなどは100mlあたりで200kcalを超えてきます。そのため、ビールは350ml缶を1本飲むと約140kcal程度の摂取カロリーとなり、これは概ね茶碗1杯の白米のカロリー量に相当します。
しかしながら、アルコール類のカロリーの性質は、その他の大多数の食べ物・飲料のカロリーの性質とはやや異なります。アルコール類のカロリーは、エンプティカロリーと呼ばれ栄養素の含有割合が極めて少ないのです。そして、エンプティカロリーは糖質・脂質などのエネルギー源よりも先に熱変換されて身体が熱くなり放熱されることにより消費されてしまいます。
ですから、ビールを含むアルコール類のカロリーは、適度な飲酒量である限りは、それほど大きな肥満の原因とはならないと言えるでしょう。
アルコール類に含まれる糖質と肥満の関係
大きな肥満の原因とならないからと言って、ビールなどのアルコール類を沢山飲んで良いわけではありません。アルコール類の摂取には依存症の問題や肝臓の代謝機能への悪影響など様々な問題があり、醸造酒の飲酒については肥満との関係でも注意を要します。
醸造酒は、米・麦・ブドウなどを酵母で発酵させて作る酒類のことで、日本酒・ビール・ワインなどが該当します。これらの醸造酒のうち日本酒やビールなどは、原料が炭水化物・糖質を多く含む米・麦であることから、お酒として完成品・商品になってもアルコールの他に糖質が多めに残っているのです。
ですから、ビールや日本酒に含まれるアルコール自体のカロリーはそれほど気にする必要がなくても、ビールや日本酒に残存する糖質の量は決して無視できず、大量に飲めば肥満の原因になりうる可能性があるのです。
ちなみに、焼酎・ウイスキー・ウォッカなどは醸造酒を加熱して、一度気体化したアルコールを冷却して液体に戻した蒸留酒に該当します。この蒸留酒は、蒸留の過程で糖質が排除されますので肥満の原因となりにくいと言えます。
ビールの食欲増進作用
ビールの苦みの元となるホップの成分や炭酸ガスには、食欲を増進する作用があるとされています。これは、ホップの苦み成分や炭酸ガスが胃に入ることで、胃壁が刺激されて胃液の分泌が促されることにより胃の働きが活性化されるからだとされています。
ですから、個人差はあるものの、ビールを飲んでいると何かしら食べたくなってしまうのです。
おつまみがビール腹の最大の原因
このようなビールの食欲増進作用によって、ビールを飲みながら口にするおつまみの量は増えていきます。そして、ビールとともに食べたおつまみの量が増えるほど、摂取カロリー量も増えます。
その上、前述したように飲酒するとエンプティカロリーの消費が優先されることにより、おつまみとして食べた糖質・脂質などのエネルギー源は使われることが少なく、使われないエネルギー源である糖質・脂質は体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)として蓄積されるのです。
ですから、ビール腹の最大の原因は、ビールとともに食べているおつまみの増量にあると言えるでしょう。
生活習慣の乱れ
ビールを飲んだ影響で摂取カロリーが増えたとしても、運動する習慣があれば摂取カロリーと消費カロリーのバランスがとれますので、ビール腹になることは無いでしょう。とすれば、運動不足であることもビール腹の原因の一つと言うことができるでしょう。
また、ビールの食欲増進作用とは別に、日頃から野菜を食べずに肉類や炭水化物を中心にした脂肪分や糖質の多い食事をしている人は、慢性的に摂取カロリーが消費カロリーを上回り体脂肪率も上昇しがちです。
さらに、ストレスの影響で暴飲暴食に走ってしまう人は、よりビール腹に直結する行動をしていると言えます。このように生活習慣の乱れも、ビール腹の原因となるのです。
ビール腹・内臓脂肪型肥満の危険性
このようにビール腹になる主要な原因は、ビールそのものというよりも、飲酒に伴う食事量の増加を含め摂取カロリーが多いことが原因となっています。そして、ビール腹は内臓脂肪型の肥満ですから、そのまま放っておくと様々な悪影響をもたらします。そこで、ビール腹・内臓脂肪型肥満の危険性・リスクについて、ご紹介したいと思います。
糖尿病
糖尿病の主な原因の一つは肥満とされていて、皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)よりも特に内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)のほうが糖尿病発症リスクが高くなるとされています。というのも、内臓脂肪の蓄積により膵臓のインスリン分泌能力が低下する可能性があるからです。
ビール腹は、下腹部がポッコリと前に突き出るように太った体型ですから、既に十分な内臓脂肪が蓄積されている状態と言えます。つまり、いつ糖尿病が発症してもおかしくないのかもしれませんよ。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドローム(メタボ)は、肥満・糖尿病・高血圧症・脂質異常症のうちで、2つ以上に該当する状態のことです。
メタボを構成する各病気は、それぞれ高い相関関係があります。例えば、糖尿病になると糖尿病が原因となって脂質異常症や高血圧症を発症しやすくなるのです。
動脈硬化
メタボリックシンドロームを構成する病気は、その病気単体でも動脈硬化を引き起こす原因となります。
そして、メタボリックシンドロームとなり病気が併発する状況になれば、当然ですが動脈硬化を引き起こす可能性は飛躍的に高まることになります。
脳梗塞・心筋梗塞
動脈硬化が脳血管あるいは脳に近い頸動脈などで発生すると、脳梗塞など脳血管障害が発生する危険性やリスクが高まります。
また、動脈硬化が心臓に血液を送る血管で発生すると、心筋梗塞や狭心症などが発生する危険性やリスクが高まります。
このようにビール腹と軽く考えて放置していると、思わぬ重篤な病気を引き起こす危険性があるのです。
ビール腹の解消方法
このように内臓脂肪型肥満は、ビール腹という重大性を感じにくい俗称であるが故に軽く考えられてしまう傾向があります。しかしながら、ビール腹を放っておくと、実は生命の危険がある重篤な病気を引き起こしかねないのです。
それでは、このようなビール腹を解消するには、どのようにすれば良いのでしょうか?そこで、ビール腹の解消方法について、ご紹介したいと思います。
糖質カット(糖質オフ・低糖質)のビールを選ぶ
近年の健康意識の高まりを背景に、ビールのメーカー各社は糖質オフ・低糖質・カロリーカットなど様々な機能性ビール類を発売しています。
前述したように、ビールに含まれるアルコール自体のカロリーはそれほど気にする必要がなくても、ビールに含まれる糖質の量は決して無視できず、大量に飲めば肥満につながる可能性があります。
そこで、通常のビールを糖質オフ・低糖質などのビール・発泡酒に変更することで、摂取する糖質量を減らすことができます。ビール腹の解消を目指すための第一歩として、自分自身の意識を変革する良いきっかけになるのではないでしょうか。
おつまみの見直し
ビールの食欲増進作用で食べる量が増えがちなおつまみや食事の内容を見直すことも、ビール腹の有効な解消対策と言えます。
ビールを飲んでいると、その苦味や炭酸の爽快感あるいはビールの利尿作用による塩分排出が理由となって、どうしても味付けが濃く、脂肪分の多い油っぽいものを、おつまみとして求めがちです。このようなおつまみは、ハイカロリーであったり、糖質や脂質が多く含まれるので、ビール腹につながります。
そこで、おつまみの内容をサラダやおひたしなどの野菜類、枝豆や豆腐料理などの大豆製品など低糖質・低脂質のものに変更してみると良いでしょう。野菜類や大豆製品は、食物繊維が豊富に含まれることで腸での脂質吸収を抑制したり、カロリー制限の効果も期待できます。
運動を習慣づける
ビール腹は前述したように内臓に脂肪が蓄積した肥満ですから、肥満解消の方法として最も王道と言えるのが運動習慣を身につけることでしょう。
十分な運動量を確保することで摂取カロリーより消費カロリーが上回るようになれば、太ることは無いはずです。
有酸素運動を実施する
腹回りに蓄積した脂肪を排除するには、ウォーキング・サイクリング・水泳などの有酸素運動を実施することが一番です。
ある程度の時間、有酸素運動を継続すると血液中の糖質がエネルギーとして消費され、引き続き体内に蓄積された脂肪がエネルギーとして利用されます。そして、この脂肪をエネルギーとして燃焼させるには、十分な酸素の供給が必要となりますから、運動強度の高い運動法よりも酸素を取り込める程度の強度である有酸素運動が最適なのです。
このように脂肪燃焼効果が期待できる有酸素運動の実施は、ビール腹の解消方法としては必須と言えるほど重要な存在です。中には、体重を落とそうと食事制限などの無理なダイエット方法をする方がいますが、リバウンドを招く可能性が高いですから、それであれば地道にコツコツと有酸素運動を行う習慣を身につけるほうが余程高いダイエット効果をもたらしてくれるでしょう。
筋肉量を増やして基礎代謝を高める
また、有酸素運動と並行して筋肉トレーニングを行い筋肉量を増やせば、基礎代謝が高まるので、より身体で消費されるエネルギー量が増えてビール腹の解消につながるでしょう。
筋トレ方法や筋トレメニューは、専門家の運動指導を受けて行うウエイトトレーニング・体幹トレーニング・加圧トレーニングといった本格的なトレーニング方法でなくとも、自宅でできるような腹筋運動やスクワットといった簡単なトレーニングメニューでも十分です。ですから、まずは自分の身体の状況に応じて怪我無くエクササイズを続けるようにしましょう。
ちなみに効率良く筋肉量を増やすには、質の良い睡眠を十分にとることも重要です。というのも、睡眠中に分泌される成長ホルモンの働きで、筋トレによって傷ついた筋線維が修復されるからです。
生活習慣の見直し
ビール腹の原因の一つに生活習慣の乱れがあることから、生活習慣を見直して規則正しい生活を取り戻すことも、ビール腹の解消に必要です。
運動不足を解消するほかに、栄養バランスのとれた食生活を意識することが大切になります。また、ストレスで暴飲暴食をしがちな人は、日常生活を見直すことでストレスを溜めこまないように工夫する必要もあるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?ビール腹が生じる原因・メカニズムやビール腹の解消方法などについて、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、大人になって社会に出ると、仕事のお付き合いや同僚との飲み会でお酒の中でも特にビールを飲む機会が増えます。また、仕事の忙しさから、運動不足にもなりがちです。
そして、ビール腹になる主要な原因はビールそのものにあるわけではなく、ビールの食欲増進作用による食事量の増加や日頃の運動不足など様々な要因が複合的に絡むことで、ビール腹が形成されるのです。
ですから、ビール腹を解消するには、ただ単にビールの量を減らすだけでなく、食事の見直しや運動不足の解消など複合的な視点をもつことが大切なのです。
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