アルコール離脱症状ってどんなの?依存症の人は必読!

アルコール離脱症状という言葉を聞いたことはありますか?これは、体内のアルコール濃度が下がることによって、自律神経症状や情緒障害、幻覚、手の震えが起きることを、離脱症状と呼びます。

実は、アルコール依存症の疑いがある人は約450万人ちかくいると言われています。ですが、自分がそうだというという自覚がなく、このような離脱症状を原因不明の何かだと悩む人もいると言われています。

そこで、アルコール依存症と離脱症状について紹介します。

アルコール依存症の正体

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まずは、アルコール依存症について知っておきましょう。

お酒を飲むすべての人に可能性あり!?

アルコール依存症は、日頃の飲酒習慣が引き起こす生活習慣のひとつです。酒癖が悪い人や悪酔いする人、飲み過ぎる人だけがなるのではなく、お酒を飲む人なら誰でも可能性はあります。一般に、1日平均でビールなら1.5リットル、日本酒なら3合程度を毎日飲み続けると、10〜20年でアルコール依存症になると言われています。

10年以上の長期にわたって、多量のアルコールを摂取し続けると、アルコールへの身体的・精神的依存が体内に形成されていきます。そうなると、飲まずにはいられなくなってしまいます。時と場所を選ばず常にアルコールを欲する、欲するためならどんな行動でも取る……。そうなってしまうともうアルコール依存症の状態と言えます。

女性と高齢者は特に注意

大量の飲酒習慣が10〜20年続くことによってアルコール依存症を引き起こすと言われていますが、女性や高齢者はその半分の年月や飲酒量でアルコール依存症になってしまうケースがあります。

もともと男性に多い生活習慣病のイメージがありますが、実は女性のほうがなりやすさは高いのです。その理由は、男女の体の仕組みの違いにあります。アルコールは油に溶けにくい性質があるため、体脂肪が多い女性の体のほうが、アルコールが体内に浸透しにくく、血中のアルコール濃度だけを上げてしまいます。

また、女性ホルモンがアルコールの分解を妨げるという説もあります。このような肉体面だけでなく、精神面でもアルコール依存症になりやすい面があります。失恋や離婚、仕事のストレス、親子関係など、喪失感や不安感をきっかけに飲酒にのめり込むことが多いというデータもあります。

また、60歳以上の高齢者のアルコール依存症も急増しています。リタイア後に時間を持て余すことで飲酒を続け、アルコール依存症になるケースがみられます。

遺伝の可能性も

アルコール依存症と遺伝は関係が深いという研究結果が報告されています。アルコール依存症の原因の50〜60%は遺伝によるもので、残りが環境によるとされています。つまり、血縁者にアルコール依存症の人がいる場合は、いない人にくらべてかなりの確率でアルコール依存症になりやすいということになります。

よくお酒が強い、弱いは遺伝という話しがありますが、これはアルコールを体内で分解できる酵素が多いか少ないかによります。この酵素が遺伝の影響を強く受けてしまうようです。

アルコール依存症と判断するには

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いったい自分がアルコール依存症の可能性があるのかどうか、わからない人も多いと思います。アルコール依存症は薬物などの依存症と合わせて、精神作用物質依存症と呼ばれています。どのようにして診断するかは、WHO(世界保健機関)が定めた基準があり、病院では医師がこの基準を元に診断していきます。

7つの基準のうち、3つ以上当てはまる人はアルコール依存症と診断されるそうです。

飲酒欲求が強い

例えば、家にお酒のストックがないと不安で落ち着かない、出不精だけどお酒を入手するためならどこへでも出かける、毎日飲みにいくことばかりを考えてしまう、などお酒を飲みたいという欲求が常に強くある状態です。

これがさらに進行すると、会社を休んでまで飲む、家族に隠れて飲むなどの行動に出ることもあります。

酒量のコントロールができない

今日は飲むのをやめておこう、1杯だけにしよう、などと決めていてもすぐにそれが破られてしまうケースです。結局は見境なく飲んでしまい、買ったばかりのボトルを1本空にしてしまうなど、自分をセーブできない状況のことがある場合は当てはまります。

また、医師に止められていたり、家族と禁酒の約束をしていても、すぐに破ってしまう人も同様に当てはまります。

離脱症状が出る

アルコールが抜けた時に、イライラとしたり、全身または手指などが細かく震える、脈が早くなるなどの症状を総合的に離脱症状と呼びます。普段と違う状態を軽減するのにまたお酒を飲んでしまう人もいます。

アルコールの耐性が出る

例えば毎日飲んでいると強くなっていくように感じて、以前と同じ量では酔えないと思ってしまう人はアルコールの耐性が出ています。

その逆で、しばらく飲んでいなくて、急に飲むとすぐ酔っぱらってしまい弱くなってしまうのも耐性のひとつです。アルコール依存症の人は、いつもかなりの量を飲んでいながらも、突然アルコールの耐性が落ちてきて、少しのお酒でかなり酔いが回るというケースもあります。

問題があっても辞められない

お酒を飲むことで、高血圧や糖尿病、肝機能障害など、病気が表れているにもかかわらず辞められない人はアルコール依存症です。

病気以外にもお酒が原因で起こる家庭や会社内でのトラブルがあったとしても、なお飲み続け、辞めることが出来ない人はかなり深刻なアルコール依存症の可能性があります。

アルコール以外のことに興味がなくなる

お酒が趣味と自嘲している人は要注意かもしれません。趣味や人との触れ合いよりも、お酒を飲む時間だけに人生を割いている、お金を飲酒代だけにつぎ込むようになったら要注意です。

アルコール中止の生活になってしまうと、その他のすべてのことがめんどくさく感じてしまうようです。

飲酒渇望と離脱症状とは

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アルコール依存症になると、2つの大きな症状が現れてきます。

飲酒渇望

アルコール依存症の最も大きな特徴が飲酒渇望です。これは常にお酒を飲みたい欲求にさいなまれるため、仕事や家庭生活にまで支障をきたしてしまう症状です。

欲求だけでおさまらず、仕事に遅刻するまで昨晩浴びる程飲んでしまったり、いつでもどこでもアルコールを飲めるように常備するなど、異常行動となっていきます。また、大量の飲酒と禁酒を繰り返す人も飲酒渇望によるものと言われています。

離脱症状

お酒を飲んで数時間後、体内のアルコール濃度が下がるときに起きるのが離脱症状です。禁酒をしたり、量を減らすことでも起こります。これは、常にアルコールを摂取することに慣れていた体内が、アルコールが抜けることでバランスを崩し、症状として表れてきます。その症状は2種類に分けられます。

ひとつめが、アルコールをやめて40時間以内に現れる小離脱症状です。手や全身の震えやけいれん、発熱、不眠、吐き気、嘔吐、イライラ、集中力の低下などが現れます。さらに、ひどい人は幻覚や幻聴もみられます。

そして、ふたつめはアルコールをやめて2〜3日後に現れる大離脱症状です。これは、見えるはずのないものが見える幻視や自分のいる場所や時間がわからなくなる見当識障害、興奮、震えなどが現れます。まるで薬物中毒者のような恐ろしい症状のため、この症状から逃れるためにさらにお酒を飲み続ける人も多くいます。

アルコール依存症の治療

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アルコール依存症の治療方法を紹介します。

どこで治療をするか

お酒を飲むのがやめられず、身体的にも日常生活でも支障をきたすまでになった場合、ひとりでは治すことはできません。家族や周りの手はもちろんですが、医師による治療が必要になります。では、まずどこで診断を受けたらいいでしょうか。

飲酒が度を超して肝臓に負担をかけていそうだから内科に行けばいいでしょうか。いいえそうではありません。肝機能の低下の治療はできたとしても、お酒を飲む行為そのものをやめさせることはできないからです。

つまり、アルコール依存症の治療は、お酒を飲む行為や、お酒をのまずにいられないという心の状態を、精神科や神経科などで改善する必要があるのです。総合病院の場合は精神科や神経科ですが、最近ではアルコール依存症の専門クリニックなども増えているようです。

どんな治療法があるか

アルコール依存症はお酒を飲まなければ治ります。それがなかなかできないので、医療機関のサポートを借りて、断酒をするようにします。

医療機関ではまず、患者が「自分はアルコール依存症」であると認識すること、お酒を断つ準備をしていきます。そして、断酒をし始めるとさまざな離脱症状が表れてきます。ここをアルコールの解毒期と呼び、離脱症状や臓器障害などの治療も同時に行ないます。そして、離脱症状が落ち着いてきたら、飲酒に対する考え方や行動を見直すための精神療法が始まります。まるで薬物中毒患者の治療と同じような治療です。

3ヵ月ほど入院する治療施設も多くあります。お酒を断った後は、断酒会などのグループに参加し、体験を話したり、他人の意見を聞くのも効果的な治療法と言われています。

アルコール依存症予防

恐ろしい離脱症状やお酒に捕われてしまう日常生活……。アルコール依存症にならないために、普段から飲み過ぎている人はこれを機に見直しましょう。というのも、近年ではアルコール依存症の一歩手前という人が増えています。依存症になる前に気づいて、飲み方を改善すればアルコール依存症になるのを避けられます。それにはまず、自分の飲酒行動を知ることです。

<飲酒行動からみるアルコール依存症の進行プロセス>

●機会飲酒(時々、誘われたときに飲む程度)

●習慣飲酒(日常的に飲酒をし、お酒に強くなっている)

●依存症との境界線(お酒がないと物足りなさを感じる。ほろ酔い程度ではおさまらず深酒する)

●依存症初期(飲まないと寝つけない。アルコールが切れると汗をかいたり悪寒がする。飲む時間が待ち遠しくて落ち着かなくなる。周りがお酒をひかえるように注意し始める)

●依存症中期(お酒を飲むためにウソをついたり、隠れて飲むようになる。お酒が原因の問題が繰り返し起こる。迎え酒をする。お酒を控えようとするがうまくいかない)

●依存症後期(幻覚、幻聴、肝機能障害などの症状が現れ、日常生活が困難になる)

いかがでしたでしょうか。自分の飲酒行動が節度のあるものなのか、度を超えたものなのかを自覚しておきましょう。

まとめ

アルコール依存症を予防するのは、習慣飲酒を避けることです。毎日飲むことが楽しみという人も多いかと思いますが、酒量の管理をきっちりとしましょう。アルコール依存症は1日でなるものではなく、日々の積み重ねです。

アルコール依存症の予防に効果的な1日の摂取量はビールなら500ML、ワインならグラス2杯程度と覚えておきましょう。

  
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