「あれっ?」なんだか自分が臭いかもと思ったことはありませんか? 例えば、ニンニクたっぷりの料理やお酒を飲み過ぎた時、吐く息がにおうのは食べ物によるものというのが分かりますが、体臭というのは、汗を除いて体の内側から何かが臭うような気がします。
その場合は、病気の疑いも考えられます。
体臭は体を知らせるサイン
体臭が発するワケ
病気になると特殊な臭いを発するということは昔から知られてきています。日本では、明治時代まで嗅覚による診断(嗅診)というのがあったと言われています。
なぜなら、病気になると、体内で作り出される物質や、その物質が化学反応を起こします。そこで特殊な臭いを作り出し、血液を通じて全身を巡り、汗や尿、吐く息などに混じって、体臭となります。
体臭は体を知らせるサインとなるのです。その臭いは、甘酸っぱい、酸っぱい、アンモニア臭、腐った臭いなど、さまざまな表現をされています。
癌も体臭からわかる時代
「がん探知犬」という聞き慣れない言葉があります。盲導犬、警察犬、介助犬などが一般的に知られ、活躍していますが、近年、癌を嗅ぎ分ける「犬の嗅覚」に注目が集まっています。なぜなら、吐く息や血液、尿の臭いなどを嗅ぐことで、癌があるかを高い確立で嗅ぎ分けることができるとされています。
人間の鼻の中には約500万個の嗅細胞がありますが、なんと犬はその40倍、2億個もの嗅細胞があるそうです。人の鼻ではわからないような臭いも嗅ぎ分けられるため、それが早期発見につながるのだそうです。
こんな例があります。
ある女性が体にあるアザが気になって病院に受診したが、問題がないとの診断を受けました。その後家に帰ると、飼い犬は痣の臭いを嗅ぎながらまとわりついていたそうです。臭いを嗅ぐ犬を何度もはらいのけてやめさせようとしていましたが、その後何度も臭いを嗅ぐようにアザにまとわりついていました。
そこで女性はおかしいと思い、今度は別の病院を受診した結果、皮膚癌であることが判明しました。悪性のアザは、早期発見だったため、切断し、その後転移することなく、治癒したそうです。
体臭をチェックする方法は?
自分の体臭は、なかなか自分では気づきにくいもの。家族や親しい友人に聞いてみるのも手がありますが、聞く側も言う側も抵抗があるものです。
まずは自分でチェックする方法で、体臭チェックをしてみましょう。
<1>ビニール袋に衣服を入れる
1日着用した衣服や下着を使って、臭いを判断します。ビニール袋に入れて、口を縛ってしばらく放置します。その後、臭いを嗅いでみます。強烈な悪臭がする場合は、体臭があるということになります。
<2>入浴後に衣服の臭いを確認
入浴前は自分の臭いに慣れているので、体臭があるかどうか、強さはどうかの判断がしにくいとされます。入浴で体を洗い、清潔な状態になることと、浴室の水蒸気で嗅覚がリセットされ、自分の体臭を客観的に嗅ぎ分けることができます。
この時、意識して嗅ぎたいのが衣服の脇部分です。
<3>ワキ汗の臭いを確認
汗をかいたら、脇をティッシュやタオルでふきます。その拭いたティッシュやタオルを嗅いで臭いを確認します。悪臭がする場合はすぐに気づける方法です。
臭い発生のメカニズム
体臭が出る原因
体臭が出る原因は主に6つに分けられます。
<1>汗による体臭
基本的に、汗そのものには臭いはなく無臭です。汗をかいた後、洗わないままにすると皮脂や汗によって雑菌が発生し体臭がするようになります。
<2>ワキガによる体臭
脇の下には、汗線が2つあります。ワキガの場合は、アポクリン線から出る汗が原因で、アンモニアやタンパク質など粘り気のある分泌物が出てきます。この分泌物が雑菌と混ざることで、悪臭を放ちます。
詳しくは、ワキガの原因は?食べ物やストレス、洗い方に注意!を参考にしてください。
<3>加齢による体臭
加齢臭と呼ばれています。中高年になると発しやすい体臭です。男性の場合は、生活習慣や食生活の乱れによって発生します。女性の場合は、女性ホルモンが大きく関係しています。
男女ともに、体の中で活性酸素が脂質と結びつくことででる「ノネナール」という物質が加齢臭の元とされています。
<4>ストレスによる体臭
ストレスを強く感じると、男性ホルモン・副腎皮質ホルモン・アドレナリンなどといったホルモンが大量に分泌することによって、皮脂の分泌が盛んになります。分泌によって、皮脂腺がつまり、活性酸素を発生することで体臭を生み出します。
<5>腸内からの体臭
腸内には善玉菌と悪玉菌があります。両方のバランスが整っている状態では体臭はしませんが、悪玉菌が増加すると強い悪臭が発生します。
なぜなら、悪玉菌は食べ物を腐らせます。腸内にある食べ物の腐敗によって、アンモニアなどの臭い物質を発し、臭い物質は血液にのって体内へと巡り、体臭へと変化していきます。
<6>病気による体臭
体臭でも、かなりの強烈な臭いの場合は、病気の可能性があります。これまで体臭がなかったのに、急に臭いを感じるようになった場合は特に注意が必要です。なぜなら、それは体内で大きな変化があったから急に臭うということになります。
また、病気によって様々な体臭が発生します。
口臭も病気の可能性がある
最も多いのが、体臭の中でも「口臭が強い」ことです。また、口の中が乾くなどもよくあるケースです。
日頃からエチケットとして口臭について気をつけている人も多いと思います。口臭は、朝の起床時に唾液の分泌が少なくなるため強くなります。それ以外に日中でも気になる場合はなんらかの病気が潜んでいるかもしれません。
そもそも口臭は、粘膜や唾液、食べ物のカスなどに含まれるタンパク質が口の中にある雑菌と合わさりガスが出ることで臭います。
玉ねぎが腐ったような臭い、キャベツが腐ったような臭い、卵が腐ったような臭いなどと表現されます。
体臭から考えられる病気例
歯周病
日本人の多くの人が歯周病にかかっている可能性があると言われています。歯の根元や骨をおおっている歯肉が細菌によって炎症を起こしますが、初期の人はあまり痛みを感じません。
また、歯肉の炎症や腫れ、出血などに目を向けられるため、口臭についてはあまり触れられていませんが、口臭がかなり強くなります。臭いの特徴としては、膿みの臭いや発酵した口臭を放ちます。
<歯周病のセルフチェック方法>
- 口臭がある
- 口の中が乾く、ねばねばする
- 歯茎が腫れている、出血がある
- 歯の間に食べ物がつまりやすい
また、放置しておくと細菌が体内にも入りこむため、糖尿病などを引き起こす原因にもなります。
舌苔
口臭と舌の状態によって判断できます。舌を見ると、白っぽいまたは黄色っぽいく見える場合は、舌苔の可能性があります。
<舌苔を引き起こす原因>
- 免疫力の低下
- 不十分な歯磨き
- 喫煙・加齢・ストレス
- 薬の副作用
重度の舌苔は口臭がひどくなります。上記のような原因があることで、舌苔が厚くなり、胃への負担を減らそうとします。そうなると、味覚が落ちたり、感覚が鈍くなります。
胃腸機能の低下
卵が腐ったような臭いを放ちます。胃腸の働きが悪くなると消化不良を起こし、胃の中で食べたものがとどまることで、発酵し臭いの元となる物質を作り出します。
胃腸機能の主な症状は胃炎です。
胃炎の症状は、胃のむかつきや吐き気、痛み、食欲がないなどがあげられます。また、急性と慢性胃炎があり、どちらも暴飲暴食やストレスなどが起因しています。免疫力が弱っていると、アルコールやコーヒー、スパイスの強い食べ物などを摂りすぎるなどからも、胃炎になるケースがあります。
卵が腐ったような変な臭いを自分に感じたら、胃をいたわり、食事に気をつけるようにしましょう。また、痛みが強い場合は、早めい医師の診断を受けることも大切です。
糖尿病
糖尿病は初期の時には甘い臭いがし、進行していくと甘酸っぱく、リンゴが腐ったような臭いが強くなると言われています。これは、糖の代謝がスムーズにいかないことによって、脂肪がエネルギー源となることで、体内でアセトン(ケトン体)という強烈な臭いを放出する物質が生成されるためです。
この臭いは、尿や口臭、体臭などによって現れてきます。また、近年流行っている糖質制限ダイエットをすると、甘酸っぱいにおいがでることもあります。
詳しくは、糖尿病は完治する?症状や治療方法について!を読んでおきましょう。
他にも考えられる病気
他にも、尿を作り出す腎臓の機能が低下していたり、腎炎などになると、アンモニア臭の強い口臭を放ちます。これは、血中の尿素量が増え、肺や口の中に分泌されます。
カビやドブに似た強烈な口臭がしたり、口の中が苦くなるのは、肝機能の衰えや肝炎によるものです。肝臓で分解されるはずの臭い物質が分解されなくなるため、血液を通じて臭いが排出されます。
さらに、ひどい便秘の場合も便の臭いが体臭となって出るケースもあります。通風の場合は古いビールの臭い、蓄膿症は、腐った臭いなどがします。
無理なダイエットにも注意
私たちの体は酸素を使って、食事から得た栄養をエネルギーに変えます。ですが、血行不良によって、酸素不足となり、エネルギーが体の隅々まで行き渡らなくなります。その結果、疲労物質である乳酸が発生し、アンモニア臭となります。アンモニア臭は汗として排出されます。
これは、過度な運動、ストレス、無理な食事制限によるダイエットなどによって、酸素不足を引き起こします。
また、無理なダイエットは糖尿病と同じケトン体という物質を発生させます。口臭だけでなく、自律神経やホルモンバランスも崩すため、さまざまな病気の引き金となってしまいます。
まとめ
体から発する臭い(口臭・体臭)は体調を知る手がかりです。なんか臭うかもと思ったら、体調を見直すサインです。
まずは、自分がどんな臭いがあるのか、そして原因が何かを知ることが大切です。病気の場合は治癒しない限り臭いは消えません。原因がわかったら、しっかりと対処することが大切です。