「アトピー性皮膚炎かな?」と思ったらすぐに医者にかかってください。そして、治療と同時に、体質改善に取り掛かってください。一般の方が、安心安全して取り組める「体質改善」は、食事の改善です。
例えばレンコンがアトピーにいいってご存知でしたか? まだまだあります。そんな食材を紹介します。
アトピーに良い食材
アトピーにいい食材は「抗アレルギー性」を持つ食材です。「抗(こう)」は「抗(あらが)う」という意味です。つまり、「アレルギー反応」に「抗う」性質を持つ食材を食べれば、アレルギー反応を起こさない、と考えられています。
抗アレルギー食材
アトピーを理解するときに、「がん」と比較すると分かりやすいかもしれません。がんは、正常な細胞が変異してがん細胞になり、正常な細胞を殺してしまう病気です。一方でアトピーは、体に入ってきた異物を排除している状態です。この異物を排除する動きを、「免疫」や「抗体反応」といいます。
つまり、がんは「体に悪いことをしている」のですが、アトピーは「体にいいことをしている」のです。ただその「体にいいこと」が過剰なため、かえって体を傷つけてしまうのです。なのでアトピー治療では、アトピーを起こさないようにする一方で、アトピーの原因となる抗体反応をゼロにする治療は選択できないのです。
抗体反応をゼロにしたら、体に異物が入ってきて、アトピー反応より悪い結果を体にもたらすからです。
そこで抗アレルギー性の食材が活躍します。アトピーの症状は「IgE抗体」という物質の量が増えると、悪化します。抗アレルギー性食材は、IgE抗体を減らすのです。
この食材の代表格は、「ニンニク」「ニラ」「ネギ」「タマネギ」「シソ」です。そして、この5品目より優れているのが「レンコン」なのです。
特にレンコン
レンコンに含まれているのは、いい成分ばかりです。まずは抗酸化物質です。「酸化した状態」は、体が錆びている状態で健康を大きく損ないます。抗酸化物質は酸化を抑える物質です。
カテキンもレンコンに多く含まれています。カテキンには、殺菌作用や解毒作用、そして老化防止の効果もあります。フラボノイドという物質は、炎症を抑える作用や抗菌作用があり、これもレンコンに含まれます。
さらにレンコンには、肥満に関連しているヒスタミンを抑制する効果もあります。
つまりレンコンは「いい成分のデパート」なのです。こうした成分の総合力で、アトピーのかゆみ症状だけでなく、花粉症やアレルギー性鼻炎も軽減させるといわれています。
主食は何が良いの?
アトピーにいい主食は、なんといっても米です。「3食、パンまたは麺類」という方は、まずは2食を米にしてみてください。
米の食べ方としては、玄米をすすめる医師や管理栄養士が多いです。玄米は、ビタミンとミネラルと繊維が豊富なため、健康食品として考えられているからです。
ただ、「玄米より白米の方がよい」という専門化もいます。玄米は繊維が多いため消化吸収が悪く、体に合わない人がいるからだそうです。
ここで注意してほしいのが、米にアレルギー反応を示す人もいるということです。そういった方のために開発されたのが、「低アレルギー米」です。アトピーを含む皮膚病全般に効果的といわれています。最近ではネットでも気軽に買えます。
雑穀
あわ、きび、ひえは「雑穀」といわれ、健康ブームにのって手軽に購入できるようになりました。アトピーにも効果的と考えられています。
しかし、雑穀は「食べづらい」という大きな欠点があります。「白米のうまさ」にはまっている日本人が、毎日食べることは難しいかもしれません。「1週間に1度は白米に雑穀を混ぜて炊く」ことから始めてはいかがでしょうか。
緑黄色野菜は積極的に
ホウレンソウやカボチャなどの緑黄色野菜は、アトピーにいい食材です。意識的に摂りましょう。特に次の2つの緑黄色野菜は特に食べる量を増やしてください。
・小松菜とニンジン
小松菜は、アトピーの症状を和らげるとされる、葉緑素とカルシウムと鉄分を多く含みます。鉄分が不足すると、白血球の殺菌能力が下がり、アトピーの症状を悪化させます。もうひとつの「おすすめ緑黄色野菜」はニンジンです。
この2つの野菜は、生で摂る方が効果的です。なので、ジュースにして飲むといいでしょう。
アトピーに悪い食材は?
では次に、アトピーの方はなるべく避けた方が良い食材を紹介します。
トランス脂肪酸
マーガリン、ショートニング、サラダ油――日本人が好んで口にするこの3つの食材に共通するのは、トランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は、自然ではほとんど存在せず、人工的に作られた脂肪酸です。アトピーを悪化させる物質と考えられているのです。
トランス脂肪酸は体内の炎症因子を増やすことで、アトピーの症状を引き起こすといわれています。それにより皮膚が赤くなり、かゆみが増えます。
トランス脂肪酸は、アトピーを悪化させるだけではありません。血液と血管の病気を引き起こす悪玉コレステロールを増やします。また、逆に、血液と血管の病気を抑える善玉コレステロールを減らしてしまいます。こうした作用により、トランス脂肪酸は心臓病のリスクを高めると考えられています。
・法規制
カリフォルニア州やニューヨークでは、レストランに対して、食品1人前当たりのトランス脂肪酸の量を0.5g未満にするよう、規制しています。またWHO(世界保健機構)は、トランス脂肪酸の量を、最大でも1日に摂取する総エネルギー量の1%未満にするよう、勧告しています。
ただ日本の厚生労働省は、「トランス脂肪酸の過剰摂取は心筋梗塞が増加する可能性が高い」とする一方、「平均的な日本人の摂取量では、こうした疾患リスクとの関連は明らかでない」としています。
・代わりの油は?
ちなみに、トランス脂肪酸を含まない油は、「オレイン酸」や「リノレン酸」を含む油です。オレイン酸は、体を酸化しにくくします。さらに、悪玉コレステロールを下げる働きがあります。胃や腸、肝臓など消化器の働きも改善し、便秘解消に役立つともいわれています。
タンパク質にも注意
タンパク質は体をつくります。つまり、摂らないわけにはいかない食材です。しかしアトピーの原因として挙げられることが多いのも、タンパク質なのです。
アトピーを引き起こす食材としては、牛乳が知られています。牛乳には「カゼインタンパク」という物質が含まれ、これは小さい子には消化しづらく、それでアレルギー反応を引き起こすと考えられています。
日本人はラクターゼという酵素が少ないのです。この酵素は、牛乳に含まれる乳糖を分解します。大人でも牛乳を飲むとお腹がごろごろしますが、これはラクターゼが少なく、乳糖が十分に分解されないためと考えられています。
牛乳はカルシウムといった体にいい成分が含まれている上に、調理せず簡単に飲めるという利点があります。そのため、大量に摂取してしまいアレルギーの原因になりやすいのです。
肉類にも注意が必要
肉をたくさん食べると、アレルギー体質になりやすくなることが指摘されています。アレルギーを引き起こす「抗体」もタンパク質でできているので、肉のタンパク質によって、「抗体」が増えてしまうのです。
つまり、肉そのものがアレルギーの原因になり得るのです。
さらに、肉を多く食べ過ぎると、腎臓や肝臓の機能が低下します。この2つの臓器は体内の毒素を体の外に出す役割がありますから、機能が低下することで、体内に毒素がたまることになります。アトピー対策の「体質改善」に逆行するといえるでしょう。
香辛料に注意を
スパイスブームはすっかり定着した感じがあります。一昔前は、香辛料といえばカレーぐらいでしたが、最近はアジア料理ブームもあり、日本人の多くが様々な機会に香辛料を口に入れています。
香辛料は「刺激食材」なので、アトピーの方は避けた方がよいでしょう。ワサビ、からし、トウガラシも皮膚を刺激しますので、大量に摂取しないようにしてください。
眠るための食事を
アトピー性皮膚炎は、かゆみで寝つけないことが多いです。眠れないとストレスが増え、アトピーの症状を悪化させます。
そこで「眠りにくい食事」を避け、「睡眠に適した食事」を心がけましょう。
眠りにくい食事
天ぷら、ハンバーグ、フライ、ステーキは、油が多いメニューです。これらの食べ物が胃にとどまる時間は4~5時間といわれています。白米は2時間、焼き魚は3時間、果物は1時間です。油メニューの「消化のしにくさ」が分かると思います。
胃に食べ物がたまったまま横になると、体温が下がりません。人は、体温が低下するときに眠気に襲われますので、体温が高いままだと良質の睡眠がとれないのです。
睡眠に良い食事
夕食から就寝するまで5時間以上あるときは、油っぽい食事でも大丈夫ですが、就寝までそれほど時間がないときは消化のよいものを選びましょう。
白身魚は消化が良い食材です。肉が食べたいときは、鳥のささみといった、脂身が少ないものを選びましょう。どうしても牛肉が食べたいときは、牛ヒレを選んでください。
水100ml
そして体温を下げるには、水を飲むとよいでしょう。眠る前に100mlほど飲むだけで、よく眠れたという報告もあります。簡単ですし、害がない方法なので、不眠がちの方はぜひ試してみてください。
まとめ~バランスが大切
人の体は「いいことと悪いことが同居している」と考えてください。「いいこと>悪いこと」の状態が健康で、「いいこと<悪いこと」の状態が不健康な状態です。
アトピーも、「異物と闘ういいこと」より「過剰な反応で体を傷つける悪いこと」の方が強くなった状態なのです。つまり、アトピーは体のバランスが崩れた状態といえるのです。
アトピーにいいとされる食事も、アトピーを悪化させる食事も、同じようなことがいえます。タンパク質の過剰摂取はアトピーを悪化させますが、タンパク質をまったく摂らなければ、体は作られませんし、体力は落ちる一方で、アトピーの症状より悪いことが起きます。
そこで、アトピーを診る医師たちは必ず「バランスのとれた食事をしてください」と言います。「この食材を毎日大量に食べて」とも「この食材は絶対に口にしないで」とも言いません。もしアトピーに悩んでいる方で、「これだけは毎日欠かさず食べる」という食材やメニューがあったら、まずはその摂取回数を減らしてみてください。
そして、普段なかなか食べないものを食べてみてください。特に、緑黄色野菜が足りないと感じている方は、是非、この機会に食べる量を増やしてみてください。
アトピーの患者さんの中には、「皮膚のかゆみに苦しんでいるときに、食事の話をされても困る」という方もいると思います。しかし、長年の食事の乱れが、徐々に体のバランスを崩したのだとしたら、食事のバランスを回復することも、アトピーの治療の助けになるのです。
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