乳酸菌というと、体によいイメージが強いですよね。お通じをよくしたり、美肌効果などもあり、ヨーグルトを毎朝摂っている方も多いのではないでしょうか?
でも、実のところ、乳酸菌がどのくらいすごいのか、その効果についは詳しく知っている、という人は少ないかも知れません。乳酸菌と一口に言っても種類は様々あり、知られざるパワーも秘めているのです。
そこで、乳酸菌のあっと驚く効果について、一挙ご紹介します!
乳酸菌の定義
乳酸菌とは、「菌」と名の付く通り、糖を分解することで多くの乳酸を作り出す微生物を指して言います。わたしたちの腸内にも、牛乳などの乳製品、発酵食品にも存在しています。また、乳酸菌と呼ぶためにはいくつかの定義があり、
- ブドウ糖を分解して作り出す代謝物のうち、50%以上が乳酸である
- 棒状・円柱状の「桿菌」または球状の「球菌」である
- グラム染色すると、陽性反応を示して青色になる
- 自発的に動くことがない
- 毒性の物質を出さない
- 酸素があっても生きていられる(通性嫌気性)
上記の定義に当てはまるものを「乳酸菌」と呼んでいるようです。乳酸菌は大量の乳酸を作り出すため、腸内が酸性になります。それによって腸内環境が整い、便秘や下痢などの便通改善・免疫力UPのほか、アレルギーを抑えるなど、体にやさしい数多くの効果を発揮するのです。
乳酸菌の種類
一口に乳酸菌と言っても、その種類は200種にも及びます。ここでは、特に有名な乳酸菌と、その特徴についてご紹介しましょう。どれも、1度は名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
乳酸菌シロタ株
「ヤクルト」に使われていることで有名な乳酸菌で、正式名称は「正式にはラクトバチルス属カゼイ菌YIT9029株」と言います。胃液や胆汁などの消化液にも強く、生きたまま腸内に届くことで、腸内のビフィズス菌を増やすことで腸内環境を整えてくれる働きがあります。
KW乳酸菌
正式名称は「ラクトバチルス属パラカゼイ菌KW3100株」と言い、免疫バランスを整え、アレルギー症状を改善したり、免疫力の向上を期待できます。
プラズマ乳酸菌
正式名称は「ラクトコッカス属ラクティス菌JCM5805株」で、免疫細胞の司令塔である、pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)を活性化させる働きがあります。そのため、風邪やインフルエンザに強い体を作るのに効果を期待されています。
LG21乳酸菌
こちらも、明治のヨーグルトで有名な乳酸菌ですね。正式名称は「ラクトバチス属ガセリ菌OLL2716株」で、ほかの乳酸菌よりも胃の中で生き抜く力が強いのが特徴です。ピロリ菌の活動を抑える効果を期待されています。
モラック乳酸菌
正式名称は「ラクトバチルス属パラカゼイ菌MCC1849株」と言い、インフルエンザへの効果を期待されている乳酸菌です。
L-92乳酸菌
アトピー性皮膚炎や花粉症など、アレルギー症状の緩和に効果を期待される乳酸菌で、正式名称を「ラクトバチス属アシドフェルス菌L-92株」と言います。
ガセリ菌SP株
正式名称は「ラクトバチルス属ガセリ菌SBT2055株」と言う乳酸菌で、生きたまま腸に届き、その後も腸内に長く留まるのが特徴です。
フェカリス菌
免疫力をUPさせることで、花粉症などのアレルギーを抑える効果を期待される乳酸菌です。EC-12、FK-23などがあり、正式名称は「エンテロコッカス属フェカリス菌」と言います。
ラブレ菌
植物性の乳酸菌で、正式には「ラクトバチルス属コアギュランス菌」と言います。カプセルや乳酸飲料などで商品化されています。
乳酸菌の効果
では、具体的な乳酸菌の効果についてご紹介します。一般的に知られている便秘解消などのほかにも、数多くの魅力的な効果を持つ乳酸菌に注目です!
体の調子を整える
便秘解消
腸内細菌の中には、善玉菌と悪玉菌がいますが、善玉菌の中には、腸内環境の変化によって、どちらにも変化する日和見菌(ひよりみきん)というものが存在します。腸内環境が整っている時には善玉菌になりますが、環境が悪化してくると悪玉菌に変化してしまう、厄介な細菌です。悪玉菌が優位な腸内環境になると、ここに日和見菌が加わり、腸内環境はさらに悪化します。こうなると、腸内には多くの有害ガスや有害物質によって働きが悪くなり、便が詰まって便秘になるというわけですね。
そして、便秘になると腸内がアルカリ性に変わります。アルカリ性になると、ぜん動運動が弱まり、便を肛門まで運ぶ力が弱くなるため、いつまでも便が停滞し、さらに腸内環境が悪くなり、便秘が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
この環境を打破し、善玉菌を優性にするために働くのが、乳酸菌です。乳酸菌の活躍によって善玉菌が優勢になると、日和見菌が善玉菌に変わり、腸内環境は改善されます。腸のぜん動運動が活発になることで、便がスムーズに運ばれ、便秘解消につながるのです。もちろん、腸内環境を整えることで便秘になりにくくなりますから、解消だけでなく便秘予防にも乳酸菌は強い味方と言えるでしょう。
免疫力UP
免疫力を上げることは、病気にかかりにくくなったり、アレルギーを改善する上でとても大切です。そして、免疫力UPに深く関わってくるのが腸なのです。腸内には体を守るための機能がたくさん備わっていますから、腸の働きを整えることは非常に重要です。
特に、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は自然治癒力を高め、風邪やウイルスから体を守るのに大切な細胞ですが、こちらも腸内で働きます。そして、NK細胞を活発化させる役割を果たすものこそ、乳酸菌というわけですね。
免疫細胞を活発化させることは、風邪以外にもガンなどの病気と闘う力を高めることにつながりますから、日頃から乳酸菌を摂り、善玉菌の働きを活発にしておくことが大切なのです。
肌荒れの改善
女性にうれしい効果として、肌荒れの改善があります。肌荒れの原因のひとつには腸内環境の悪化があり、悪玉菌が増えることで有毒ガスや有害物質が増えると、それらが全身に運ばれ、肌にも悪影響を与えます。
栄養を運び、不要なものを体外へ排出するという腸本来の働きができないため肌トラブルの原因になってしまうのですね。乳酸菌は善玉菌の働きを活発化し、腸内環境を整えてくれますから、日頃から積極的に乳酸菌を摂るようにしましょう。
病気の予防
血糖値の上昇を抑える
食事をすると、摂取したエネルギーはブドウ糖に変わり、体中に送られます。この時、血液中のブドウ糖濃度が上昇しますが、エネルギーを摂りすぎると、ブドウ糖は細胞に吸収されず、余った分が脂肪になります。
しかし、乳酸菌は多糖成分を作り出すため、糖の吸収を抑え、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるのです。高血圧の方や糖尿病の方は血糖値が上がりやすいですから、乳酸菌を食事に取り入れることはとても大切ですよ。
コレステロール値を下げる
コレステロールは生活習慣病の原因にもなるものですが、コレステロールにも2種類あります。
- 善玉コレステロール
HDLコレステロールと呼ばれるもので、体内のコレステロールを排出する働きがあります。
- 悪玉コレステロール
LDLコレステロールと呼ばれ、コレステロールを体内に運ぶ働きを持っていますが、量が増えると血管に溜まってしまうため、動脈硬化の原因にもなります。
乳酸菌は腸内でコレステロールに付着し、コレステロールごと体外へ排出する働きがあるため、コレステロールが血管に詰まるのを防いでくれるというわけですね。とは言え、乳酸菌がコレステロール値を下げる効果は、コレステロール値が高い場合にのみ確認されているため、必ずしも乳酸菌にコレステロール値を下げるというわけではありません。
ガンの予防
胃ガンの予防
胃ガンの発症に関わる「ピロリ菌」は、はっきりと原因だと断定はできないものの、胃ガン患者の多くがピロリ菌に感染していると言われています。
そして、このピロリ菌の除菌効果があると期待されているのが乳酸菌なのです。乳酸菌には胃の中に住むピロリ菌の数を減らす効果が認められているため、積極的に乳酸菌を摂ることで、胃ガンになるリスクを下げることにはつながりそうです。
大腸ガンの予防
大腸ガンの原因のひとつは食生活だと言われますが、肉や脂質の多い食事はカロリーが高く、発ガン性物質が作られる原因にもなるようです。
また、便秘になることで便に含まれる発ガン性物質が長期にわたって体内に留まることも原因のひとつとされています。腸内環境を整え、便通をよくする乳酸菌は、便秘解消といった意味で大腸ガンの予防に一役買いそうですね。もちろん、食生活を見直すことも非常に重要ですよ。
潰瘍性大腸炎の症状を抑える
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に潰瘍やただれが起こる病気で、1度発症すると一生付き合っていかなければならない病気だと言われます。再発率が非常に高いため、せっかく治っても食生活の偏りやストレスなどから、再び発症してしまうリスクが高いためです。
もちろんすべてのリスクを取り除くことはできませんが、乳酸菌には腸内環境を整える作用がありますから、ある程度、潰瘍性大腸炎の症状を抑える効果があるのではないかと考えられています。
ダイエット効果
よく耳にすると思いますが、やはり乳酸菌は腸内環境を整え、便通をよくしてくれますから、お腹にガスが溜まったり便が溜まったりしにくいですよね。そのため、ダイエットの効果があると考えられています。
さらに、腸内環境を整えることで、必要な栄養をしっかり吸収し、反対に余分なものは体外へ出してくれますから、効率よくダイエットできると言われているのです。食事制限や運動も大切ですが、痩せやすい体作りも非常に大切です。
乳酸菌はこんなところでも力を発揮してくれるわけですね。
乳酸菌を多く含んだ食品
ここまで、乳酸菌の効果についてご紹介してきましたが、気になるのはどうやったら摂取できるか、ということですよね。乳酸菌を多く含む食品について簡単にご紹介しますので、普段の食生活に、ぜひ取り入れてみてくださいね。
また、乳酸菌にも動物性乳酸菌と植物性乳酸菌の2種類がありますので、種類別にご紹介いたします。
動物性乳酸菌を含む食品
発酵乳
発酵乳とは、乳(無脂乳固形分を含む牛乳なども含む)を乳酸菌・または酵母で発酵させたものを言います。液状・のり状・凍った状態のものを指し、脂肪を含まない固形分は8%(乳と同じ)であり、乳酸菌または酵母の数が、1mlあたり1000万個以上のものという規定があります。
具体的には、フローズンヨーグルトやヨーグルト・飲むタイプのヨーグルトなどがこれに当たります。
乳製品乳酸菌飲料
上記でお伝えした発酵乳に、香料などを加えたもので、生きた乳酸菌を使ったものと、生きた乳酸菌を含まないものがあります。無脂乳固形分は3%以上で、生きた乳酸菌を使ったものでは、乳酸菌または酵母)の数が、1mlあたり1000万個以上とされています。
乳酸菌飲料
発酵乳に香料などを加えた点は同じですが、無脂乳固形分が3%未満、乳酸菌または酵母)の数が1mlあたり100万個以上、という違いがあります。
ナチュラルチーズ
チーズにはナチュラルチーズとプロセスチーズがありますが、ナチュラルチーズは生きた乳酸菌を使ったものを言います。
発酵バター
一般的なバターとの違いは、発酵させているかいないかです。生クリームやバターを乳酸菌を使って発酵させてから作ったバターで、一部のメーカーで生産・販売させています。
植物性乳酸菌を含む食品
乳酸菌のイメージは薄いかと思いますが、大豆など、植物性の食品を発酵させるのに使う乳酸菌を、植物性乳酸菌と言います。含まれる食品としては、和食の定番とも言える、以下の食品です。
漬け物
乳酸菌を多く含むものとしては、ぬか漬けや塩漬け、みそ漬けなど、しっかりと発酵させた食品挙げられます。野菜などの食材にもともとついている乳酸菌が、食材から染み出した糖分を食べて乳酸を作り出し、発酵することが理由と言われています。
みそ・しょうゆ
どちらも大豆に麹や塩を混ぜ、乳酸菌で発酵させることで作られる食品です。スーパーなどで売られているもののほとんどは、乳酸菌がすでに死んでいるものが多いですが、中には生きたままの乳酸菌にこだわって売っている蔵元などもあります。製法にこだわりたい!という方は探してみるとよいでしょう。
まとめ
こうしてみると、普段から慣れ親しんだ乳酸菌にも、思いもよらない効果があることを知って驚きますね。体質改善だけではなく、ガンの予防になったり、お肌をきれいにしてくれる効果もあって、特に女性にはうれしい効果満載です。ダイエットに励んでいる人も、普段の食事に乳酸菌をプラスすると、さらに効果UPを狙えるかも知れませんね。
また、乳酸菌を含んだ食材はとても身近なものばかりですから、塩分の摂りすぎに注意しながら、積極的に取り入れていきたいですね。
実は体の調子を整える肝になっている腸内環境、乳酸菌できっちりメンテナンスをして、健康的な毎日を目指しましょう。