今日のタイトルは、関節拘縮なのですが、わりと悩んでいる人は多いのです。しかし、関節拘縮との漢字は、少し難しいですね。
これは、関節拘縮と書いて「かんせつこうしゅく」と読みます。
漢字の意味からも分かるように、関節が固くなって思うように動かせない状態のことで「拘縮」と言い表すこともあるようです。
今日は、女性に起こりがちな関節の拘縮について、お伝えいたしますね。
拘縮の意味は?
簡単にいうと、寝たきり等の状態で関節を動かさない状態が続いてしまい、関節が動かせなくなった時に発生しやすい関節の状態です。
身体が固まってしまい、思うように動かせないとストレスが溜まってしまうし辛いですね。
拘縮とは、いったい身体の中がどうなっているのでしょうか?
拘縮
拘縮とは、身体の中にある関節包、じん帯、筋肉、筋膜、皮下組織、皮膚などが線維化してしまい、その結果として進展性が減少するということが起こっている状態なのです。
進展性を減じる
進展性が減少するとは、ふつう人間は、関節や筋肉が伸び縮みをすることで身体を動かせているわけですが、そういった運動組織が伸び縮みをしてくれなくなった状態ということです。
進展性がないと、もちろん筋肉も伸び縮みしてくれないし、皮膚もついてきませんね。
何らかの理由で、そうした動かせない状態が続いてしまい、拘縮という状態の身体になってしまうことは、実は誰でもあることなのです。
日常で起こる拘縮
寝たきりの高齢者や、運動が苦手で家に閉じこもりな場合、若い人でもけがをしてギブスをしたり、なんらかの形で身体が思うように動かせないことは経験しているのではないでしょうか。
例えば、同じ姿勢で長時間いた時に、パッと動けないとかも、かなり軽度ではありますが拘縮の状態になります。
元気に日常を過ごせている場合には、少ないかもしれませんが、どういった時に問題の拘縮が起こるのか見ていきましょう。
拘縮になる原因
大きく分けると、動けない状態で起こる場合と、炎症等による病気の場合という2つの原因があるようです。
高齢者の場合で話すと、加齢によってたしかに痛みは出てくるものですが、なにかとおっくうになってしまう年齢になってしまうと、つい寝て過ごすことが増えてしまいます。このように「動けない」から「動かさない」へ移行してしまうことは、かなり多いと聞きます。
リハビリや医療は、進んできたにも関わらず、拘縮で動けない高齢者がいることは、角度を変えて見ると「拘縮の予防の難しさ」が浮き彫りになっているといえます。
まして、意欲の低下してしまった高齢者の拘縮の治療ともなれば、かなりの厳しい現実が押し寄せてくるのは容易に想像ができますね。
もちろん何かの病気で、寝たきりになってしまった人もいると思いますが、高齢者の場合には「起き上がるきっかけ」がなくなってしまいがちなので、理想論にはなりますが家族の協力と理解が不可欠でしょう。
関節拘縮の原因としては、軟部組織の拘縮が密接に関係しているため、変性、癒着、物理的な障害、損傷による不全治癒などがあげられます。
今日は、後者の炎症等による病気で拘縮してしまった場合のお話をしていきますね。
関節拘縮とは
いろんな運動機能が動かなることを拘縮といいましたが、関節拘縮とはそのまま、関節が拘縮している状態のことを言います。
具体的には、関節が固くなることによって、関節が全く動かせないことを言うのですが、それは関節の可動域を100%とした場合に動かせない、曲げることが出来ない、または伸ばせない、伸びきらないといった状態を指します。
動かせないことは、関節に制限が掛かっている状態なのですが、これを詳しくいうと次のようになります。
関節を動かせない、つまり関節の可動域に制限が出るということは、関節包の外にある軟部組織が原因となり、関節に可動域の制限が起こってしまうことです。
拘縮にも様々な理由によって種類があるようですので、少し症状別に挙げていきますね。
皮膚性拘縮
皮膚がダメージを受けて起こるものです。
例えば、熱傷、挫滅などを受けた場合には、回復するときに「ケロイド」や肥厚性瘢痕※などにより、皮膚がひきつったりします。
そのような時に固くなって起こるのが、皮膚性拘縮といいます。これは、瘢痕拘縮の一つなのです。
一度このように拘縮してしまうと、手術しか今のところは方法がないようですので、形成外科等で相談をすると良いでしょう。
※肥厚性瘢痕とは、簡単にいうと傷が治る時に、傷のところだけが皮膚が厚く盛り上がっていると思いますが、そのような状態で後が残ることです。皮膚の繊維が過剰に生産されるために起こる現象ですね。
結合組織性拘縮
結合性の場合には、組織が治癒していく過程で結合するために起こる拘縮となります。
例えば、アキレス腱が断裂して手術をしたりすると、つながった時に若干その部分が太くなったりします。
それは、アキレス腱が治癒するために、手術によって繋がれたために結合して起こる拘縮なのですが、このようなときに結合組織性拘縮といいます。
このようなことが、皮下組織、腱、腱膜に起こることの拘縮の総称といえます。
神経性拘縮
痙性麻痺や痛みに対して、起こってしまう拘縮です。
例えば、正座をした後や同じ姿勢で長くいると痺れてきますよね。
その他には、あまりの痛さに身体が固まってしまうこと等があります。それらは、自分の身を守ろうとして反射的に起こる筋肉の緊張によるものなのです。
いずれも出来るだけ、早めに動かせるような状態にすることが大切になります。
では、今回のタイトルにもなる関節拘縮について、もう少し深く掘り下げていきましょう。
関節拘縮をもっと知ろう
当たり前に、毎日を過ごしていると見落としがちですが、自分の身体はどうやって動いているのでしょう?
それは、脳からの指令によって自由に身体を動かせているからなのですが、逆に動かさないとどうなるか考えてみましょう。
脳というのは、本当に賢い反面「素直」なために、騙されやすい臓器とも言われています。
そのため、身体を使っていると「良く使うパーツ」と「使わないパーツ」に分かれてくることもありますね。
例えば、パソコンやピアノなどは、身体が覚えているために自在に動いているときには助かるのですが、しばらく使わないと指が動かなくなってしまいます。
それも、ある意味「拘縮の手前」の状態にあたるといえます。
この頭の先から足の先までの動きを脳がバランスよく指令を出してくれているのですが、何かの理由のために動かせないでいると、使わない筋肉組織や神経組織が活動量を減らしてしまうことになります。
活動量が減少してしまうことは、生体反応として使わない状態になりますね。関節においては、スムーズに動かすための滑液量が減ってしまい、結果として関節の滑りが悪くなり、今度動かそうとしても思うように動かせずに痛みが発生してしまうため悪循環に陥るのです。
では、関節のしくみを少し詳しく見ていきましょう。
関節の働きとしくみ
理科の実験室で見たことがある人も多いと思いますが、人体模型を思い出してみましょう。
人の身体の成り立ちは、この骨格が基本となっています。骨格に内臓を含む筋肉が付き、筋やその他の細かい組織が、脳からの神経系統で動かせるように出来ています。
その骨と骨を繋ぐ連結部を関節といいます。
関節は、筋肉、じん帯、関節包などの軟部組織によって構成されていますが、関節の軟骨や骨液のおかげで、滑らかに動くようになっています。
関節の働きとして、力のもとになってくれるのが筋肉ですが、その力を制御してくれているのが脳なのですね。関節の働きを止めてしまうとどうなるかというと、先ほど話した滑液量が減少することは、もちろんですがそれだけでは済まないのです。
関節の働きが止まった状態が長く続くと、次には筋肉の収縮が行われないために筋肉の弾力性が低下してしまいます。
筋肉の弾力性がなくなると、今度は筋肉が動かないために静脈血の還流(心臓に帰る血液の流れ)が減ってしまうために血液循環が減ってしまうのです。
きれいな血液がめぐりにくくなると、血液によって送られてくる酸素や栄養素が運ばれなくなってしまうので、栄養不足になってしまいますね。
その結果として、血流が悪くなった手足は浮腫(むくみのこと)が発生してしまうと、手足が動かしづらくなり、動かせないから動かさないへ変化してしまう可能性が出てきます。
むくみの中にある組織液が粘液のようになり、関節周囲が固くなり、いわゆる「こわばり」を起こしてしまうからなのです。
このように痛みをともなった動かせない状態が「関節拘縮」なのです。さらに心配なのは、そのままでいると関節の拘縮を超えて、痛みが消えてしまい動かせないでいると「強直」といった状態になり、完全に動かなくなってしまいます。
では、次に関節拘縮の好発部位を知って、予防につなげていきましょう。
関節拘縮の好発部位と予防
好発部位と予防について下記にまとめてみましたので、身体の上から1つずつご説明いたしますね。
肩関節
肩関節は、子どものころと違って大人になると肩(腕)を上げることが少なくなってくることが原因といえます。
特に、治療中や安静時には上肢を動かさないことが多々あるようです。時には、ばんざいのように両手を上にあげて深呼吸をすると身体に良いだけでなく精神的にも前向きになれて良いものです。
手指関節
いろんな治療や生活するうえでも影響が少ないと思われがちですが、実際にはわりと動かせていない部分となります。
浮腫などを併発してしまうと拘縮しやすいのですが、指が虫刺されにあって腫れた時にも指とは曲がりにくいものですね。
ピアノやパソコンといった趣味等で、指先をまめに動かせると拘縮を防げるだけでなく、若いうちからも認知機能の低下を予防出来るために良いです。
股関節
安静にして横になる時には、下肢の状態は屈曲、外転、外旋位といって曲げた足を大きく身体につけたり、外側に大きく離したりといった状態になることが多いようです。
やはり、この時にも足が固定されてしまったようになり、血流が悪くなる等の拘縮が起きることになります。
長期にわたって療養をしている人がこの状態を続けると、足が思うように動かせなくなるために、特に高齢者などは歩行が困難になり、寝たきりになる「きっかけ」となってしまうのですね。
ご本人が動けない時には、周囲の人によるリハビリが必要となります。
足関節
股関節と同様に安静時の場合を考えると、足関節は尖足(せんそく)か、内反尖足となっていることが多々あります。
尖足とは、寝ているときの爪先立った状態でアキレス腱や下腿三頭筋が短縮してしまうので、足関節は背屈(はいくつ)つまり足先を上に向けたり身体の方向に向けることが出来なくなってしまうことです。
身体を構成している強い筋肉で動きは支配されているために、筋腱が短縮してしまうと自由な伸縮ができなくなるために動かしにくいということですね。
この場合にも出来るだけ早い段階で、足を動かすように意識していきましょう。
足のじゃんけんなど、足を意識して動かすことは、脳の運動にも繋がるので良いですね。
まとめ
では、今日のまとめです。
- 関節が固くなって思うように動かせない状態のことで「拘縮」と言い表すこともある
- 動けない状態で起こる場合と、炎症等による病気の場合という2つの原因がある
- 拘縮には、部位や症状によって数種類ある
- 動かせないでいると、使わない筋肉組織や神経組織が活動量を減らしてしまう
- 栄養や血液が循環しやすいように出来るだけ早く動かすことが大切
- 拘縮は、治療することが難しい場合があるので予防が重要
いろんな拘縮や身体の仕組みを見ていきましたが、普段から身体を動かすことで予防をすることが大切ですね。
もし何かしらの理由で動かせない人は、リハビリを行えるように環境を整えましょう。