アレルギー検査の費用は、保険の適用範囲で行う場合5,000円程です。保険の適用を超えて検査をする場合は、一項目ごとに追加の費用がかかる仕組みとなっています。
花粉症やハウスダストなどのアレルギー症状の原因を突き止めるための検査です。アレルギー症状は年々その数や原因の解明が進み、原因不明であった病気の原因が様々なアレルギーによるものだと解明し、数を増やし今や沢山のアレルギーが存在します。
アレルギー症状は現代病とも呼ばれ、2人に一人は何かしらのアレルギーを保有しています。ここ30年間でアレルギー性の気管支喘息の症状は10倍、皮膚炎や湿疹などの数も5〜10倍に増加しています。
アレルギー検査は必ず人生で1度は行わなければいけないものになってきました。そんなアレルギー検査の内容や費用について、またアレルギーの原因や症状、対処法などについてまとめました。
この記事の目次
アレルギー検査について
アレルギー検査の目的は、アレルギー症状の原因となる物質(アレルゲン)を特定し、それを避けることで症状が起きるのを避けようとするものです。発症のリスクを下げて、身体や健康を守り、快適な生活を送れるようにするのです。アレルギーの原因は症状だけでは特定できないので、きちんと検査を行い、ひとりひとりに合った治療の計画を立てることが必要です。
また、その症状の原因がアレルギー性のものでない可能性もあり、それがわかるだけでも意味のあることと考えられます。
何歳から行えるのか?
乳幼児の場合など患者の年齢が若すぎる場合は検査で正確な診断が下せない場合があります。注射などを行わなければいけないので、子供に何度もストレスを与えないためにも、検査の回数は1回でしっかり行えたほうがいいでしょう。
一般的には1歳以降になってから行われる場合がほとんどです。掛かり付けの医師と相談し検査の時期を決まるのが良いでしょう。医師によっては3歳を超えてから行ったほうが良いと言う医師も居ます。また、3歳のときと4歳の時でアレルギーの数が増えたというケースもあります。
子供の場合は小児科、耳鼻科、内科、眼科、皮膚科などの病院やクリニックで検査が受けられます。個人病院などではアレルギー検査を受け付けていない場合もあります。特に子供の採血をしてのアレルギー検査は牽制する病院も多いです。
総合病院などすこし大きな病院では確実に行っていますので、少し大きな病院に行ってみるのもいいでしょう。数もこなしているベテランの医師もしくは看護師がいる病院やクリニックのほうが子供の負担は少なくていいでしょう。
IgE抗体とは?
アレルギー検査はIgE抗体の値を測定するものとも言えます。
人間には、身体の中に侵入してくる異物から身を守る働きがあります。異物に対抗する「抗体」を作って、攻撃したり身体から排出しています。このシステムを免疫機能といいます。細菌やウイルスなどに感染して鼻水や咳が出るのは、抗体が機能している証拠です。
このIgE(免疫グロブリンE)という抗体は、かゆみや痛みの原因になるヒスタミンが蓄えられている肥満細胞(マスト細胞)についています。IgEがアレルゲンと結合すると、ヒスタミンが放出されます。ヒスタミンはアレルゲンを攻撃するわけですが、それによって身体のいろいろなところで、炎症などのアレルギー症状を引き起こしてしまうのです。
IgEの量を血液検査によって特定すると、どんな物質に対してアレルギーがあるのか、症状がどれほど強いのか弱いのかといったレベルがわかってきます。
IgEの抗体価が高ければ高いほど、アレルギーがある可能性も高くなります。また低レベルでも検出されれば、将来的に発症する可能性があるといえます。
アレルギー検査の内容と費用
アレルギーの血液検査にはいくつかの種類があり、費用も異なります。細かい費用についてはクリニックごとに値段は変わってきます。
検査ができるアレルゲン
一度の検査で13項目までは健康保険適用で受けられます。基本的な検査内容は
イネ、スギ、ブタクサなどの花粉
肉、魚、小麦、野菜、フルーツ、大豆などの食物
ハウスダスト、カビ、ダニ、ペットなど
蜂や蛾などの虫
ゴムや薬品など
・MAST-33
指定された33項目をセットで検査することができます。
・Viewアレルギー36
指定された36項目をセットで検査することができます。
・ヒスタミン遊離試験(HRT)
どのアレルゲンが侵入したときに、どれだけのヒスタミンが放出されるか、その量を調べる検査です。
重篤な症状を引き起こす可能性のあるアレルギー物質として
魚卵、まぐろ、カニ、エビ、そば、大豆、牛乳、小麦、オボムコイド、卵白、バナナ、りんご、キウイ、ごま、など16種類があります。
成人の皮膚症状としてよく起きやすいアレルギーとして
鯖、いわし、カニ、エビ、ピーナッツ、そば、大豆、小麦、ガ、黄色ブドウ球菌、ピティロスポリウム、カンジダ、犬、猫、スギ、ダニがあります。
小児アレルギーで症状が出やすいアレルギーとして
カニ、エビ、魚卵、まぐろ、ピーナッツ、そば、大豆、牛乳、小麦、オボムコイド、卵白、ゴキブリ、犬、猫、スギ、ダニなどがあります。
必要に応じてこれらのアレルギー項目を増やして検査を受けると良いでしょう。
アレルギー検査の費用
保険適用の場合は、窓口負担5,000~8,000円程で受けられます。(3割負担の場合)
病院によって初診料や診察料などで金額が変わります。
保険の適用を超えて、自己負担で項目を追加する場合は、1項目につき1,100円です。
IgE5項目とHRT5項目を同時に健康保険適用内で実施することも可能です。
さらに、症状が出ているか出ていないかでも金額が変わることもあります。アレルギーと見られる症状が出ている段階での検査では健康保険が適用されるのですが、なんの症状も出ていないのにアレルギー検査をする場合は保険が適用されないケースがあります。
アレルギー検査を行う人は殆どの場合は何かしらの症状が出ている人がほとんどだと思いますが、予防のために検査を受けたい人はあらかじめ保険適用にならない事を知っておきましょう。これは病院で行う場合でもクリニックで行う場合でも変わりません。
その他の検査
・問診
食べた物やそれによる症状、症状が現れるまでの時間や年齢などから、ある程度の原因や疾患を予想することができます。医師に説明できるように、細かく自分が食べたものや接触したもののメモを残しておくといいでしょう。
どのような症状が出たのかなどの情報も重要になります。患者が子供でまだ説明ができない場合は、保護者がしっかり状況や症状などを説明できるようにしましょう。
・パッチテスト、スクラッチテスト、皮膚テスト
皮膚に直接アレルゲンの試薬をつけて、専用の針で刺激します。しばらくして皮膚が赤くなったり腫れていたら陽性と判定します。専門医の指示に従って行います。
パッチテストは主にアルコールへの抗体などを調べる手段として用いられるもので、アレルゲンエキスをつけた物を皮膚に貼り付けて皮膚の状態を確認するものです。痛みが少ないので患者にとっては負担は少ないですが、一気に沢山のアレルギーを検査できないので、特定の検査のみで行うものになります。
・食物除去試験
アレルギーの原因として疑われる食品を2週間ほど食べないようにして、症状の変化をみるテストです。特に変化がなければ、その食品は食べても大丈夫(他の食品に原因がある)と考えます。症状が良くなったと判断された場合は、次の食物負荷試験と合わせて診断を行います。
・食物負荷試験
アレルギーの原因として疑われる食品を実際に食べてみて、どのような症状が現れるのかを判断しチェックするテストです。深刻なアレルギー症状が出てしまう危険があることや、食事管理などの手間がかかるため、医師の指導のもと入院で行う病院もあります。皮膚症状や咳などの症状や高熱などの症状が出る事があります、血液での検査が難しい場合にこの検査を行う事があります。
・吸入誘発テスト
他のアレルギー検査の状況に応じて、吸入検査を行います。より正確な症状の検査を調べるために用い要られます。これによって今までと同じような症状が発症した場合は、確実にそのアレルゲンが原因であると決定づけられます。
その名の通りアレルゲンとなる物質を10倍異常に薄めたものを3分間吸入しその後の症状の経過を観察します。この検査も非常に身体への負担が大きく、危険が伴うため医師のもとでの指示の下行わなければいけません。
・運動負荷テスト
運動によって喘息などの症状が出る患者に対して、どれだけ走った時に喘息の症状がでるのかを調べる検査になります。医師の下で激しい運動を行い、その限界を調べます。気管支ぜん息の人などによく行われます。
また、呼吸器官に影響のある症状が出ている患者に対しては、その症状に応じてX線検査などさらに詳しい検査を行う場合もあります。これらの検査は保険が適用されるので安心してください。
X線などの検査は呼吸器や循環器系に問題が無いかどうかを検査します。
・抗原誘発テスト
血液検査などで発見された検査結果のアレルゲンを使用し、実際に症状の出た患部に同じような症状が出るのかどうかを検査します。
この検査では実際に口にする経口負荷試験、鼻粘膜に塗り検査する鼻粘膜誘発テスト、目の結膜に張る眼瞼結膜誘発テストなどがあります。吸入誘発テストもこの抗原誘発テストに含まれます。これらの検査はより正確な症状を理解し、原因となるアレルゲンをより正確に突き止めそのアレルゲンを避けるためなど必要となる場合にのみ行われます。
ほとんどが重症となる症状が出る患者にのみ行われるテストになります。
食物アレルギーのIgG抗体検査には根拠がない説
アレルギー症状には、かゆみや発疹などの症状がすぐにみられるものと、倦怠感や消化不良などのようにしばらくしてから症状が出るものがあるとして、これらを速効型のIgE抗体と遅延型のIgG(免疫グロブリンG)抗体に分けて、IgGの値を調べる遅延型食物アレルギー検査というものがあります。
しかし、日本アレルギー学会もアメリカやヨーロッパのアレルギー学会も、食物アレルギーをIgG抗体の数値で診断する方法を公式に否定しています。
・食物アレルギーのない人にもIgG抗体がある
・IgGははしかのウイルスに反応するもの
・IgG検査だけでアレルゲンを判定するのは難しい
・科学的な根拠が欠如している
などの理由から、IgG検査と食物アレルギーは関係がないと注意喚起が出されているのです。
またこの検査は、簡易的なキットで、指先から少量の血液を採取するだけで96項目もの判定ができるとして、インターネット通販などでは約29,000円程で販売されています。医療機関によっては2万~5万円程かかるとしています。
自分に本当に必要なことなのか、正しい知識を持って判断するためにも、アレルギーに関する知識や経験のある医師に相談したり、アドバイスを受けてください。
アレルギー検査は何科?
アレルギー検査は次のような診療科で受けることができます。
- アレルギー科
- 内科
- 耳鼻科
- 皮膚科
- 眼科
などがあります。アレルギーに詳しく、経験のある先生がいるとより安心です。
アレルギー症状について
アレルギーの主な症状は次の通りです。
アレルギー性鼻炎、結膜炎
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、鼻や目のかゆみ、充血、涙目など
気管支喘息
朝晩の咳、運動時の息苦しさや咳など
アトピー性皮膚炎
皮膚の強いかゆみ、乾燥、赤み、じんましんなど
食物アレルギー
下痢、嘔吐、腹痛、粘膜のかゆみや腫れ、集中力の欠如、眠気など
アナフィラキシー
じんましん、かゆみ、粘膜の腫れ、吐き気、嘔吐、息切れ、呼吸困難、意識障害など
アナフィラキシーは急性のショック症状で、原因となる物質が身体に入ってから5~15分以内に発症するといわれています。呼吸が乱れたり、意識がはっきりしないときは命に関わる危険があるので、すぐに病院に行き緊急処置を受けなくてはいけません。
アレルギーの対処法
アレルギーの症状は体質や遺伝的な要因も大きいですが、家庭の環境や日常生活などから症状を悪化させないような対策も大切なことです。
カビ、掃除
ハウスダストやカビが原因の場合は、お部屋を綺麗で清潔にしておきましょう。寝室などのほこりはこまめに掃除し、カビを発生させないように湿度を管理しましょう。
ハウスダストについては、ハウスダストアレルギーの対策方法は?住環境に注意!の記事を参考にしてください。
花粉対策
花粉をできるだけ家の中に入れないようにしましょう。帰宅をしたら、玄関の前などでよく花粉を払います。うがいや手洗いも大切です。花粉が飛ぶ時期は、洗濯物を外に干さず、部屋着と外出着をきちんと分けるといいでしょう。
風邪予防
もともとのアレルギーの症状に加えて、風邪やインフルエンザなどの症状も重なってしまうと、つらく重い症状があらわれたり、肺炎や喘息の発作などが起こりやすくなります。日頃から風邪をひかないように心がけましょう。
規則正しい日常生活を送る
夜更かしや暴飲暴食などはできる限り控えましょう。日頃の行いこそが健康を保つ秘訣です。タバコもやめて、早寝早起き、適度な運動、腹八分目など、アレルギーとは関係ないようで大切なことはたくさんあります。
まとめ
アレルギー検査や費用について、最後にまとめます。
アレルギー検査の費用は、保険の適用範囲で5,000円前後です。
追加の検査項目や病院の診察料などによって料金が異なります。
血液検査や問診、パッチテストなどから総合的に判断するとより確実です。
内科や耳鼻科、皮膚科などで検査を受けることができます。
アトピー性皮膚炎などの症状を心配するあまり、過剰に食品をさけてしまうことで栄養が偏ってしまい、かえって健康を損なっては意味がありません。食べてもいいものまで避ける必要はないのです。そうかといって、アナフィラキシーショックなどは命の危険にもつながることがあるため、甘く見てはいけないのも事実です。
良さそうな方法を取り入れてみたいと思ったら、やはり医師に相談して詳しい説明をしてもらいましょう。ストレスをためず、自分の身体とうまく付き合っていくようにしたいですね。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!