近年は、出産の高齢化や少産化、ライフスタイルの変化などが要因となり、出産にも変化が起きています。帝王切開による出産が増加し、5人に1人は帝王切開で出産すると言われています。
妊娠中に何等かの原因が見つかり、赤ちゃんや母体へのリスクを避けるために、医師から帝王切開による出産を選択されるケースもあれば、普通分娩の途中で何等かのトラブルが起こり、帝王切開による出産に変わることもあります。ここでは、出産前に知っておくと安心な帝王切開のリスクやメリットについてまとめてみました。
帝王切開とは?
帝王切開とは、お腹と子宮を手術によって切開する事で、赤ちゃんを取り出す出産方法です。
母体側、もしくはお腹の赤ちゃんに何等かのトラブルが起こり、普通分娩での出産が難しいと判断された時に帝王切開による出産を選択されます。帝王切開には、予定帝王切開と緊急帝王切開の2つのケースがあります。
予定帝王切開とは?
妊娠中に何等かの原因により普通分娩での出産は、危険性が高く難しいと医師が判断した時に、事前に出産方法として帝王切開での出産を選択される事をいいます。
予定帝王切開を選択される要因は、母体側にある場合と胎児側にある場合があります。妊婦検診の36~37週位の母体や胎児の状態によって、様々な危険性やリスクを考慮して分娩方法を選択する事が多いようです。
予定帝王切開になるケースには様々な要因があり、多くあるケースをまとめてみました。
逆子
赤ちゃんが逆子のままの状態で分娩すると、足から先に出てしまい頭が最後に出る事になります。その状態の赤ちゃんは、臍帯が圧迫されて危険な状態になる為、逆子が治らない場合は帝王切開での出産を選択されます。
逆子については、逆子の直し方は?種類や原因を知って、正しい対処を!の記事を読んでおきましょう。
前置胎盤
胎盤が子宮口近くまで下がっていたり塞いでいると、出産の際に出血量が大量に増えて母体が危険になる為、帝王切開での出産を選択されます。
子宮筋腫
子宮筋腫のある位置や大きさにもよりますが、普通分娩での出産に支障がある場合は、帝王切開での出産を選択される事もあります。
子宮筋腫については、子宮筋腫の治療方法は?症状によって変わる対処方法!の記事を参考にしてください。
多胎妊娠
双子までは、普通分娩で出産する事も出来ますが、母体と赤ちゃんの両方の安全を考慮して、帝王切開での出産を選択される事が多くなります。
児童骨盤不均等
赤ちゃんの頭が産道に対して大きかったり、骨盤の歪みなどで赤ちゃんが産道を通過しにくいと判断された時は、帝王切開での出産を選択される事もあります。
高齢出産
高齢出産(35歳以上の出産)は合併症を起こしやすくなり、母体の状態によっては、出産時のリスクを避ける為に帝王切開での出産を選択される事もあります。
高齢出産については、高齢出産のリスクを紹介!出産する時の注意点とは?の記事を参考にしてください。
過去に帝王切開で出産をした場合
帝王切開での出産をした経験がある場合は、前回の帝王切開の手術で子宮の壁が薄くなっており、出産の際に起きる陣痛で子宮が破裂する恐れがあるので、二度目の出産も帝王切開での出産になる事が多くなります。
緊急帝王切開とは?
普通分娩の途中で何等かのトラブルが起こり、普通分娩を続ける事が危険な状態になった時に、途中から帝王切開での出産に変わる事をいいます。以下のようなトラブルが起きた場合に、緊急帝王切開になる事があります。
常位胎盤早期剥離
通常、赤ちゃんが生まれた後に剥がれるはずの胎盤が、赤ちゃんが産まれる前に剥がれてしまう事をいいます。
子宮内で出血量が大量に増えて母子共に危険な状態になる為、帝王切開での出産になります。
胎児機能不全
分娩の最中に赤ちゃんに臍帯が巻きついていたり、何等かの原因で赤ちゃんに酸素が十分に行き渡らずに酸欠の状態なる為危険な状態になり、帝王切開での出産になります。
出産の時間が長い
出産の時間が長くなり、陣痛促進剤を使っても効果が見られないときは、母子共にかかるリスクを避ける為に、帝王切開での出産に変わる事もあります。
帝王切開のリスクは?
予定帝王切開であっても、緊急帝王切開であっても、お腹と子宮を切開する手術を行うという事に変わりはありません。どんな手術であっても手術を行う際には、リスクは伴います。
肺血栓塞栓症
手術を行う事で、ベッドに横になっている時間が長くなり、血栓が出来やすくなります。リスクを減らす為に、血栓防止靴下を履いて血栓を予防したり、ベッドの上で足を動かすようにしたり、手術後の経過に応じた血栓予防対策が行われます。
新生児一過性多呼吸
産道を通らずに産まれた赤ちゃんは、羊水が肺に残った状態のままで産まれてくる事があり、一過性の呼吸障害が起こる事があります。通常は、酸素吸入をする事によって2~3日で普通の呼吸が出来るようになります。
回復に時間がかかる
手術で切開した分、普通分娩よりも回復に時間が必要になります。普通分娩の入院期間は一般的には5日間位ですが、帝王切開の出産の場合の入院期間は、7日~10日位だといわれています。
通常の手術と同じ危険性
帝王切開による出産もお腹を切開する手術なので、体質的に麻酔が合わなかったり、出血量が多かったり、通常の手術で起きる可能性のある危険が伴います。
傷跡が残る
体質や個人差がありますが、傷の治りが悪かったり、傷跡がケロイド状に残る事もあります。
癒着胎盤や前置胎盤になりやすい
帝王切開での手術の経験者は、次回の妊娠時に癒着胎盤や前置胎盤になりやすい状態になる場合もあります。
次回出産の普通分娩が難しい
手術の傷口の部分の子宮が薄くなってしまうので、次回の妊娠の際に普通分娩を選択した場合に子宮破裂の危険性が高くなる為、普通分娩での出産が難しくなります。
帝王切開のメリットは?
帝王切開は手術による出産であり、リスクを伴う事も事実ですが、帝王切開で出産をするメリットもあります。帝王切開での出産のメリットをまとめてみました。
出産時の赤ちゃんの安全性が高い
普通分娩の際にも出産のリスクは伴います。普通分娩のリスクは臍帯圧迫が起きたり、産道を通ってくる赤ちゃんに、様々なトラブルが起こる可能性があります。帝王切開の出産の場合は、手術で赤ちゃんを取り出す事によって赤ちゃんの負担を減らし、危険を減らす事が出来ます。
出産時間が短い
帝王切開の手術にかかる時間は、1時間位だといわれています。出産にかかる時間が長くなると、母体や赤ちゃんへの負担や危険性も増えてしまいます。出産時間が短くて済む分、母体や赤ちゃんへの負担も少なくなります。
出産予定日が明確になる
出産予定日が手術日になるので、前もって出産の為の準備や仕事の調整がしやすくなります。
赤ちゃんの頭の形が綺麗
産道を通って産まれる赤ちゃんは、頭を締め付けられたり、頭の骨をずらしながら産道を通って産まれてくるので、頭の形が多少変形して産まれる事もありますが、帝王切開の出産の場合は、手術により赤ちゃんを取り出すので、頭の形が綺麗だといわれています。
まとめ
帝王切開による出産は、手術を行う事によるリスクも伴い、不安を感じて当然だと思います。しかし、母子共に安全な出産を考慮した結果、帝王切開での出産が最善の出産方法だと判断された時は、それが一番安全な出産で、安心出来る選択だという事です。不安が強い時は、医師や看護師に十分に説明を受けたうえで、出産を迎えるようにしましょう。
普通分娩であっても帝王切開の出産であっても、何等かのリスクを伴う危険性はあります。その危険性を避けるために妊婦検診を受けているので、体調や出産の不安がある時は我慢せずに、医師に相談してストレスを溜めないようにしましょう。
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