要旨の書き方を理解しよう!上手く書くコツや論文での書き方を紹介!

就職活動も終わり志望の企業の内定を得て一息入れたいところですが、学生たちは卒論の仕上げにかからねばなりません。修士論文や博士論文を完成させる人たちもいます。

卒論や修士・博士論文では、要旨を書く必要があります。研究発表や講演会をする場合も要旨を書きます。でも、要旨を書くことは難しく、書き方に悩む人も少なくありません。

要旨とは何か? 論文・レポート・研究発表や講演会での要旨の書き方、要旨の役割について、お伝えしますね。

要旨とは?

girl-3718526_960_720要旨を書く

「要旨」とは、簡単に言うと「文章全体の中で、筆者が言いたいことをまとめたもの」です。要旨と似た言葉に、要約・要点・概要があります。これらの言葉の違いがわからないと、要旨をきちんと書くことができません。

[要旨とは何か?]

「要旨」とは、「文章全体で述べられていることの主要な点(デジタル大辞泉)」です。「文章全体で筆者または話者が最も述べたい主要な点をまとめたもの」です。論文などには必ず要旨を付けます。要旨は、論文本体と同様に大事なものです。

要旨は文章の段落の順序に関係なくまとめる

「要旨」は「筆者が最も述べたいこと」ですから、文章全体の段落や構成の順序にとらわれる必要はありません。A・B・C・D の4つの段落があるとしても、筆者の最も言いたいことが段落Cに書いてあれば、段落Cを中心に要旨をまとめます。

まとめる順序がC・D・B・A になっても、かまいません。C・B だけになることもあります。

要旨は論文や書籍の顔

要旨は「筆者が最も述べたいと思っている内容」ですから、読む人にわかりやすく簡潔にまとめます。要点をつかみ要約した文章と言えます。

卒論や修士・博士論文など論文では、論文タイトルが書かれたページに要旨が記載されます。英語では「abstract」と言います。書籍や論文では、要旨を読んで「この書籍や論文が読む価値があるかどうか?」を判断します。要旨は、書籍や論文の顔と言えます。魅力のない要旨では、だれも論文や書籍に興味を持ちません。

[要点と要約]

「要約」とは「文章の要点をとりまとめること」「長い文章の内容を論理的にまとめること」です。「要点」とは「事柄の大事な箇所」「主要な点」です。

要約は文章の段落の順序にまとめる

文章を要約する時は、文章構造や論理構造を正確にする必要があります。ですから、文章の段落の順序に要点をまとめます。各段落の重要な点を段落の順序にまとめたものです。

要約する時は、各段落の余分なものを削り落として短く簡潔にまとめます。

[概要とは?]

「概要」とは「物事の大筋やあらまし、大体の内容」です。

概要を見れば、大体の内容がわかる

概要は、「大要」ともいいます。物事の重要な点や見出し・項目を抽出してまとめたものです。本の概要を読めば、その本を実際に読まなくても「何について書いてあるのか?」がわかります。

[要旨・要約・要点・概要の例文]

要旨・概要・要約・要点の違いを具体的に示します。昔話の「浦島太郎」を基にした、要旨・概要・要約・要点・の例文です。

「浦島太郎」の話

①昔々、ある海辺の村に浦島太郎という心優しい漁師の若者がいました。

ある日、村の子供たちが浜辺で一匹の亀を捕らえていじめていました。それを見た浦島太郎は亀が可哀そうになり、子供たちから亀を買い取って海へ逃がしてやりました。

②数日後、浦島太郎が海に出て魚を釣っていると、一匹の亀が寄って来ました。それは、浦島太郎が助けてやった亀です。亀は「助けてもらったお礼に竜宮城へ案内します」と言いました。浦島太郎は亀の背中に乗って、海の底にあるという竜宮城に行くことにしました。

海の中は美しく、海の底には立派な御殿がありました。

③竜宮城の主人は、乙姫様という美しい女性です。乙姫様は浦島太郎を迎えて大喜びしました。食べたことのない豪華なご馳走が次々に運ばれ、美しい音楽に合わせてタイやヒラメが舞い踊りました。

浦島太郎は、天国にいるような気持ちになりました。あまりにも楽しいので、乙姫様に引き止められるまま竜宮城に滞在しました。3年間が夢のように過ぎました。

④ある時、浦島太郎は自分の家族や故郷の村のことを思い出しました。浦島太郎は急に故郷に帰りたくなり、乙姫様に別れを告げました。乙姫様は名残りを惜しみ、お土産に「玉手箱」を贈りました。

玉手箱を浦島太郎に手渡しながら、乙姫様は「この玉手箱を決して開けてはいけません。開けたら、とんでもないことになりますよ」と言いました。

⑤浦島太郎は再び亀の背中に乗り、故郷の村に戻りました。でも、村の様子はすっかり変わっていました。浦島太郎が住んでいた家もありません。家族も友人も、知っている人はだれもいません。道を行きかう人たちは、浦島太郎が知らない顔ばかりでした。

村人に尋ねると、浦島太郎が竜宮城に行ってから700年が経っていることがわかりました。竜宮城の3年間は、人間の世界の700年だったのです。

⑥浦島太郎は心細くなりました。どうしていいか、わからなくなりました。ふと、お土産にもらった玉手箱に目が向きました。「玉手箱を開けたら、どうなるだろう?」と思うと、ガマンできなくなりました。

「決して玉手箱を開けてはいけない」という乙姫様の言いつけに背き、浦島太郎は玉手箱の蓋を開けました。中から、パッと白い煙が立ち上りました。玉手箱の中に閉じ込められた700年の時が飛び出したのです。たちまち、浦島太郎は白髪のおじいさんになってしまいました。

「浦島太郎」の要旨

浦島太郎は「時を閉じ込めた玉手箱」を開けたために、一瞬で白髪の老人になってしまいました。

「浦島太郎」の概要

浦島太郎は助けた亀に連れられて竜宮城に行き、乙姫様と楽しく暮らしました。帰る時、土産にもらった玉手箱には時が閉じ込められていました。「決して開けてはいけない」という乙姫様の言いつけに背いて玉手箱を開けたために、浦島太郎は一瞬で年を取ってしまいました。

「浦島太郎」の要約

浦島太郎は捕まった亀を逃がしてやりました。助けた亀に連れられて、海の底の竜宮城に行きました。浦島太郎は竜宮城で楽しく暮らし、帰る時に乙姫様から玉手箱をもらいました。

だが、帰って来ると、700年の時が経っていました。心細くなった浦島太郎は、「決して開けてはいけない」という乙姫様の言葉に背いて玉手箱を開けました。玉手箱に閉じ込められた時が飛び出し、浦島太郎は白髪の老人になってしまいました。

「浦島太郎」の要点

段落① 

浦島太郎は、子供たちにいじめられていた亀を助けて海に逃がしてやりました。

段落②

浦島太郎は、助けた亀に連れられて竜宮城に行きました。

段落③

竜宮城には、美しい乙姫様がいました。浦島太郎は竜宮城で夢のように楽しい3年間を過ごしました。

段落④

浦島太郎は急に故郷が懐かしくなり、帰ることにしました。乙姫様は土産に玉手箱を渡して、「決して開けてはいけない」と言いました。

段落⑤

浦島太郎が故郷に帰って来ると、知っている人は1人もいないし、住んでいた家もなくなっていました。いつの間にか、700年の時が過ぎていました。

段落⑥

心細くなった浦島太郎は、乙姫様の言いつけに背いて玉手箱を開けました。玉手箱の中に閉じ込められていた時が飛び出し、浦島太郎は一瞬で白髪の老人になってしまいました。

卒論など論文の要旨の書き方

woman-3435842_960_720研究する女性

卒論・修士論文・博士論文など論文には必ず要旨を記載します。要旨は「自分が論文やレポートの中で最も言いたいこと」を簡潔にわかりやすくまとめたものです。

論文の要旨の書き方のポイントは、まず論文の核心を明確にすることです。自分が論文の中で読み手に伝えたいことを明確に意識するようにします。すると、省いてもいいこととどうしても書く必要のあることが整理できます。

①卒業論文の要旨

卒業論文は、ほとんどの大学生が書くものです。卒論を指導してくれる教授は、要旨の書き方の基本も教えてくれます。書き方がわからない時は、教授に相談することをオススメします。

卒論の要旨の基本構成

卒業論文の要旨は、卒論の表紙に記載するのが一般的です。250~400字程度にまとめます。基本構成は、1,研究背景 2,研究方法 3,研究結果 4,考察 5,結論です。

1,研究背景

研究の目的や研究テーマを選んだ理由を書きます。問題提起です。

テーマの中には、複数年に渡り指導教授から与えられたものもあります。研究全体の中で自分が担当した部分を、大局的な見地に立って説明します。

2,研究方法

研究の中における実験・測定・資料収集などの情報を述べます。

3,研究結果

研究結果は、考察を述べるために必要なものだけにします。字数が多くなりすぎないように、文章量を極力節約します。

4,考察

研究で得た事実から結論につなげるように考察します。

5,結論

研究してわかったことや自分が学んだことを書きます。卒論本文の結論・提起された問題の解決がわかるように書きます。

②修士論文の要旨

修士論文は卒業論文に比較して、研究レベルの高度も文章量も段違いで上がります。必然的に、修士論文の要旨は、内容的にも文章量的にもアップします。でも、要旨の構成などは、卒業論文と基本的に同じです。

文章量が増えるため、詳しい内容が求められる

修士論文の要旨は、卒業論文に比べて文章量が増えます。それだけに、詳しい内容が求められます。

英文の要旨も必要になる

修士論文は、英文要旨の記載を求められる可能性があります。書き方は日本語要旨と変わりませんが、英語表現・文法についてはネイティブスピーカーの校正が必要です。英文校正には時間がかかることを、忘れないようにします。

③博士論文の要旨

博士論文は博士号を取得するための論文です。研究レベルも文章量も修士論文よりさらに高くなりますが、要旨の基本構成や文章量は修士論文と変わりません。

従来の研究内容と異なることを強調する

博士論文の最も重要なことは、従来の研究内容と異なる点です。今まで明らかになっていない内容を記述する必要があります。要旨でも、従来の研究内容と異なる点を明らかにして強調します。要旨の中で、研究の結論を明確にします。

博士論文の要旨は、ある程度専門知識のある人を対象に書く

博士論文や博士論文要旨を読む人は、全く知識のない門外漢ではありません。博士論文とその論文の要旨は、ある程度専門知識のある人を対象に書きます。要旨においては、過去の研究と今回の研究が異なる点を明確にして研究成果を強調します。

博士論文には文章力が求められる

博士論文には、研究内容の高さや重要性が当然求められます。それだけではなく、研究内容を人に伝えられるように高い文章力や簡潔な書き方も求められます。

④研究発表の要旨

自分の研究をジャーナルに発表する場合も、要旨の記載が必要です。要旨の書き方の基本は、修士論文と同じです。大事なポイントは、要旨の中で結論を明確にすることです。もちろん、結論に至るまでの調査・実験など研究過程も重要ですから、要旨の研究方法・結果・考察で簡潔に述べます。

ジャーナルによって要旨の文章量が異なる

発表するジャーナルによって、要旨の文章量が異なります。事前に投稿規定を確認して、要旨の内容を整理することをオススメします。

日本語要旨は文字数・英文要旨は単語数

研究発表の場合、要旨は日本語でも英語でも文章量に制限があります。日本語要旨は文字数で、英語要旨は単語数で制限されます。

⑤学会発表・講演会の要旨

学会発表や講演会においては、要旨を「抄録」と呼びます。学会発表や講演会・シンポジウムでは「抄録集」という各研究の要旨が書かれたパンフレットが配られます。参加する人たちは自分の興味のある研究を意識集中して聴くようにします。

論文よりもわかりやすく要旨を書く

学会発表や講演会では、言葉やプロジェクターなどを使用して説明します。要旨は聴衆がわかりやすいように、発表全体の目次に沿った書き方をします。研究発表の全体の流れが事前にわかると、聴く人たちも興味のある部分に意識を集中して聴くことができます。要旨には、おおまかに結論を書くようにします。結論を明確にすると、聴衆の興味を惹くことができます。

インターネットで投稿する場合もある

学会発表では、最近はインターネットから投稿するパターンも増えています。ファイルの文字数と登録フォームの文字数が変わる場合がありますので、要旨の文字数には余裕を見ておくことをオススメします。

⑥レポートの要旨

レポートは、何かについて調査や実験などを行い、その結果をまとめて報告する文書です。レポートにも要旨を付記します。

レポート要旨の構成

レポートの要旨は、1,レポートの目的・調査理由など 2,実施した調査・実験 3,調査・実験の結果 4,結果から導き出された結論 で構成されます。

レポートでは結論が最重要ではない

調査・実験によっては、期待通りの結果がでないことがあります。実験や調査だけでは、結論を導き出せない場合もあります。しかし、調査や実験をすることで明らかになる事もありますし、今まで知られていた事を再確認することもできます。結論を得ることだけが最も重要ではありません。

レポートの目的を明確にしておけば、結論を得られなくてもレポートの価値は変わりません。要旨の中でも、調査・実験で明らかになった事実を書くようにします。

結論を得られなかったことを正直に書くことが重要

レポートには、結論を得られなかったことを正直に書くことが重要です。結論を導き出せないのは、調査や実験の方法が間違っている可能性があります。調査・実験の結果を明確にすることで、正しい実験・調査の方法を見つけることができます。

⑦小学生・中学生の研究やレポートの要旨

小学生や中学生でも、自由研究をしたりレポートを書いたりします。自由研究やレポートの要旨を書くように言われることもあります。「要旨」というより「あらすじ(概要)」「要約」に近いものです。前述した「浦島太郎」の「要約」が参考になります。

重要なこと・言いたいことを明確にする

自由研究やレポートでは、「一番重要なことは何か? 自分が最も言いたいことは何か?」をハッキリさせます。小中学生を指導する人(教師や保護者)は、その点を考えさせるようにします。

頭の中のイメージをわかりやすい言葉にする

最も重要なこと・最も言いたいことを頭の中にイメージしたら、それを言葉にします。文章を書く時は、自分だけがわかるのではなく、多くの人が読んでわかるようにします。小中学生の教師や保護者は、要旨(要約)をできるだけわかりやすい言葉にするように指導します。

要旨の役割を小中学生に理解させる

小学生や中学生の文章力は高くありません。でも、経験を積むにつれて、文章力がアップします。作文や感想文を書く機会を多くすれば、文章力を上げることができます。

小中学生が要旨を書く場合は、要旨の役割を理解することが何よりも大事です。要旨は、長い文章全体を通して最も伝えたいことを短くまとめたものです。「自分は何を言いたいのか?」を再確認すると、要旨を簡潔に短い文章にまとめることができます。

要旨は何の役に立つの?

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論文・レポートや研究発表・学会発表・講演会などでは、要旨を記載したり付記したりすることが必要です。でも、要旨がどういう役に立つのか、疑問に思っている人も少なくありません。要旨はただの前文・導入文ではありません。

[要旨が下手だと、論文を読んでもらえない?]

「要旨の書き方が下手だと、教授や査定者に論文を読んでもらえない」ということは、ありません。でも、前述したように、要旨は論文・書籍・レポートの顔です。「顔が悪い男女に魅力を感じない」という人がいるように、要旨がわかりにくかったり退屈だったりすると、論文・書籍・レポートの本体そのものに興味を持たなくなります。

要旨は「この論文・書籍・レポートは読む価値があるかどうか?」を判定する基準です。要旨の上手・下手が論文そのものの評価を左右する可能性があります。

興味が持てない論文やレポートは、真剣に読まない

人間は、興味のあるものに意識を集中させます。逆に、興味のないものには注意力散漫になります。論文やレポートを読む人たちも、興味の持てない論文やレポートはおざなりに読むようになります。

要旨を読んで興味を持つと、論文やレポート本体も意識を集中して真剣に読みます。評価も高くなる可能性があります。

企業などに勤める人も、要旨を上手に書く必要がある

企業などに勤めた場合も、レポートや報告書を書くことが多くなります。レポートや報告書に要旨を付記することもあります。要旨が下手でわかりにくいと、上司は真剣にレポートや報告書を読まない可能性があります。要旨が下手なだけで、レポートや報告書の評価が低くなることもあります。

[学会発表・講演会でも、要旨が決め手になる]

学会発表・研究発表・講演会・シンポジウムなど、多くの聴衆の前で研究の成果を発表する場合でも、要旨は重要な役割を果たします。研究発表や講演会の聴衆は、事前に「抄録集」という要旨を集めた物を読んでいます。要旨を読んで興味を持ったものだけに、意識を集中させて聴きます。要旨が下手だと、聞く気にもなりません。

「話上手」は要旨の書き方が上手

学会発表や講演会などでは、「話上手」な人は得をします。聴衆にわかりやすい言葉で、スラスラと話します。途中でプロジェクターなども上手に利用して、説明します。

「話上手」な人は、事前に要旨をきちんと書いています。自分が聴衆に最も伝えたいことや結論をしっかり整理して、要旨を上手にまとめています。話上手な人は、要旨をまとめることで頭の中を整理します。発表や講演の時間内に、きちんと結論まで伝えます。

要旨が下手な人は尻切れトンボになる

要旨を書くのが下手な人は、「自分が何を聴衆に伝えたいのか?」が曖昧です。研究発表や講演を始めても、自分の話の結論がどこに向かっているかもわかりません。発表や講演の時間には制限がありますから、話が結論に至らないで尻切れトンボに終わる可能性もあります。

企業のプレゼンでも要旨をまとめておく

企業でもプレゼンテーションをよく行います。要旨の提出が必要ない場合も、プレゼンの前に要旨をまとめておきます。頭の中が整理されて、最も相手に伝えたいことが明確になります。プレゼンをスムースに行うことができます。

[要旨を上手に書くには、論文の質を高める]

要旨を上手に書く方法の基本は、本体である論文の質を高めることです。要旨は論文の顔ですから、一目で研究内容がわかるような書き方をする必要があります。そのためには、論文本体の内容の質が高く、しっかりまとまっていることが重要です。

要旨は論文本体を超えられない

要旨は論文本体を超えることはできません。要旨の上手な書き方を習得しても、論文本体の内容が質の低いものであれば、人々の興味を惹く要旨は書けません。

質の高い論文を書くためには、事前にしっかりした隙のない研究計画や資料収集が必要です。計画的に執筆することが大事です。

卒業論文も、事前に研究計画を立てて実験や資料収集をしっかり行い、計画的に執筆するようにします。要旨を書く段になって慌てても、手遅れです。

まとめ 要旨の書き方が論文の評価を左右する

要旨とは「長い文章全体の中で、筆者または話者が最も述べたい重要なことをまとめたもの」です。要約は「長い文章の要点を論理的にまとめたもの」ですから、要旨とは少し違います。卒業論文や修士・博士論文や研究発表などの論文には、必ず要旨を記載します。学会発表や講演会などでも要旨を書きます。

要旨は「最も言いたいことのまとめ」ですから「論文本体の中で自分が何を伝えたいのか? 」「何を明らかにしたいのか? 」を明確に意識する必要があります。自分の言いたいことが曖昧だと、要旨をまとめることができません。

要旨は、論文・書籍・レポートの顔です。読み手は、要旨を読んで「この論文・書籍・レポートは読む価値があるか?」を判断します。研究発表会・学会発表・講演会の参加者は、要旨を読んで「聴く価値があるかどうか?」の判断基準にします。

要旨の書き方が上手だと、読み手は論文本体に興味を持ちます。論文自体の評価も高くなります。要旨の書き方が下手でわかりにくいと、読み手は論文本体に対する興味を失い、評価も低くなります。要旨の書き方が論文本体の評価を左右する可能性があります。

でも、要旨は論文本体を超えることはできません。要旨を上手に書く基本は、内容の質の高い論文をしっかり書くことです。

  
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