「やだ、漏れちゃった!」どころの騒ぎじゃないのがおねしょです。しかも大人が。
おねしょなんて子供だけの問題だと思っているあなた!現に「おねしょかも」と不安になっているあなた!大人のおねしょについて一緒に考えてみませんか?おねしょから社会環境家庭環境と心のつながりが見えてきますよ。
おねしょについて
“おねしょ”とは夜間、眠っている間に排尿してしまう『夜尿』のことを言います。
小さな子供がたまにしてしまう失敗とか、おねしょを繰返してしまう子とそうでない子がいると言ったことが思い浮かぶのではないでしょうか。
そうなのです。乳幼児のような幼い子供が、夜間、眠っている間にする排尿を“おねしょ”と言っています。
年齢からみると就学前の子供さんの夜尿を“おねしょ”といい、5~6歳をすぎても月に数回以上のおねしょがあれば“夜尿症”と呼ばれます。
幼少期のおねしょについて
まとまった尿をトイレで出したり、寝ている間はおしっこを出さないという、私たちはいつからしなくなるのでしょう?
生まれてすぐにオムツをつけますが、これはおしっことウンチを受け止めるためですね。
生まれたばかりの人間は体の色々な機能が未熟です。排尿と排便の仕組みも数年をかけて発達してゆきます。
《 新生児期 》
・一日に75㎖から150㎖の尿を昼夜の区別なしに20回程度の小分けにして排泄します。
《 2~3歳頃 》
・腎臓が尿を濃縮する力がつき、大人と同じくらいの濃度で排出できるようになります。
・膀胱も伸縮性が大きくなり、一定のまとまった量を貯えることができるようになります。
・尿の濃縮と膀胱の畜尿能力アップのお陰で、おしっこの回数は1日に6回程度で済むようになります。
・膀胱に“おしっこが貯まった”という感覚も脳が認識するようになります。つまり、「尿意を感じる」ようになります。
この年頃は座りこんでもじもじしたり、おちんちんを両手で押さえるなどの行動がよく見られます。これは、貯まった尿で膀胱が反射的に収縮しようとするのを抑えるために、尿道の筋肉を一所懸命にギュッと縮めているのです。
・また、膀胱が反射的に収縮することに加えて、膀胱の尿量を感じるセンサーの感度と、それを伝える神経伝達が作られている途中なので慌ててトイレに駆け込むということもします。
・尿量を減らすホルモンも、夜に多く昼に少ないという日内変動リズムが出来上がります。このため、夜間につくられる尿量が減ってきます。
《 4~5歳頃 》
・夜間、就寝中につくられる尿量が少なくなります。
・夜間の膀胱に溜まる尿量も安定してきます。
《 小学校就学時 》
・膀胱に十分な量のおしっこを貯めることができる。
・尿意を感じてから十分な余裕をもってトイレに行くことができる。
おしっこが膀胱に貯まり、それを認知してトイレに行って排泄するという行動は筋トレにも似ていますね。どんな感覚の時にどこの筋肉をどうすればいいか、体が繰り返し学習することで尿を漏らすことがなくなります。
夜尿症について
5歳頃には、膀胱の充満で起こる反射的な排尿を無意識に抑制する、という神経の回路が出来上がります。けれども、この排尿のコントロールがなかなか上手く出来上がっていない場合があります。
排尿コントロールができるようになっている筈の年齢なのに、夜間、眠っている間に排尿してしまうおもらしを「夜尿症(おねしょ)」と呼び、何かしらの対策を必要とするようになります。
何歳でおもらしをしなくなるのでしょう?尿漏れの頻度を見てみましょう。
- 3歳ー昼間48%、夜間83%
- 4歳ー昼間7%、夜間37%
- 5歳ー0%、夜間13%
- 小学校入学時ー夜間10~15%
- 10歳ー約5~10%
- 15歳ー1~2%
- 成人ー0.5%
年齢別にみたおねしょ%からも分かるように、身体機能の完成は個人差が大きく、大人になってもおねしょが完全になくならない方もいるのです。
排尿のしくみ
人間は生まれた当初は体の機能もまだ未熟な部分が多く、大きくなるに従い徐々に全ての機能が整っていきます。
排尿に関しても同様で、腎臓の尿を濃縮する機能も、膀胱の貯蔵できる容量も少なく、数年をかけて濃縮された尿をまとめて排泄できるようになるのです。
新生児期であれば一日に20回程度の排尿がみられますが、幼児期になるとぐっと減って、6回程度にまで落ちついてきます。
尿の貯留時には膀胱の筋肉が緩む反射回路が必要になりますし、尿の排出時には残らず膀胱から出しきる収縮力が必要になります。
尿を十分に貯めて、出したい時にだけスッキリと出すために、以下の機能が整わなければなりません。
- ・腎臓で濃縮した尿をつくることができる。
- ・膀胱の筋肉が十分に伸びて、1分間に1㎖のペースで溜められる尿を300~500㎖は貯えることができる。
- ・尿が漏れないように尿道を締める筋肉が、しっかりと収縮できる。
- ・排尿時には膀胱の筋肉が存分に収縮し、膀胱内の尿を全部排出できる。
- ・尿の貯留具合を膀胱が伸びることで感知し、排尿中枢に正しく伝えることができる。
- ・排尿中枢が情報を受け取り、必要な指令を膀胱と尿道の筋肉に伝えることができる。
- ・尿の貯留には下腹神経(交感神経)が活動して膀胱の筋肉が弛む。同時に下腹神経支配の尿道を締めている内尿道括約筋もギュッと収縮してにょうを漏らさないようにする。
- ・排尿する時には意識的に陰部神経支配の外尿道括約筋を弛めて尿道を開放する。この時、骨盤神経(副交感神経)が活動して膀胱は強く収縮し、同時に内尿道括約筋は弛緩して尿を排出する。
尿を作る腎臓、尿を貯めて排出する膀胱、尿道を閉鎖したり開放したりする括約筋が共同で働きます。そして、これらが協調的に動けるように脊髄と脳幹部の中枢が指揮しているのです。
おねしょの原因
では、尿の排泄反射が上手く働かず、寝ている間に尿が出てしまうのはどのような時なのでしょう。
- 尿量を減らすホルモンのバゾプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)の分泌量が夜間に少ないのかもしれません。
- 膀胱の容量が小さいのかもしれません。また、全部を排出しきれていない、残尿が多い場合もあります。
- 摂取する水分量と内容に問題があるのかもしれません。
- 大きな精神的ストレスがあるのかもしれません。
- 膀胱や尿路などに何らかの器質的な問題があるのかもしれません。
精神的に大きなストレスがあると、夜尿が始まる場合があります。精神的なストレスは自律神経の乱れを招き、過度な身体の緊張、過飲食、眠りの浅さ、ホルモン分泌の失調から夜尿を来たしやすくなるのです。
また、おねしょは意外にも遺伝的な要因の大きさも指摘されています。排尿の反射が作られにくい体質があるのかもしれませんね。
大人のおねしょについて
統計では成人しても0.5%程度の方では夜尿がみられますが、夜尿や尿漏れ、尿失禁、頻尿などは羞恥心から言い出せず、もっと多くの方が悩んでいるのではないかと推測されます。
子供の頃から夜尿が続いている場合を一次性夜尿症、成人後に現れた夜尿を二次性夜尿症と分類されます。
一次性夜尿症は、身体の生理的な成長の遅延や構的な問題があることを考えます。二次的夜尿症は精神的な要素と生活習慣、生活環境が大きく関わっていることが殆どです。
いずれにしても、泌尿器系の構造に問題がないか、そして自分の排尿パターンを掴み原因がどこにあるのかを探ることが必要になります。
大人のおねしょの対処法は?
原因は様々ですが、日常で気をつけることは一緒です。
夜尿に対する基本的なスタンスは3つあります。
- 睡眠の途中で起こさない:睡眠リズムを崩し、尿量を減らすバゾプレッシンの分泌を悪くします。また、持続的な睡眠が得られず、良い生活パターンが作られにくくもなってしまいます。
- 夕方以降の飲水を控える:夜7時以降の水分摂取はコップ1杯程度になるよう控えましょう。アルコールやコーヒー類なんて、以ての外です。却って夜尿を多くしてしまいます。
- 膀胱容量の拡大:膀胱に尿を溜められるようにします。また、わずかでも「おしっこしたいかな~」という感覚があれば、すぐにトイレに行くようにして、尿意のセンサーを鍛えます。
自発的にトイレに行くということでおしっこを貯められるようになり、同時に排尿に関わる筋肉と神経の連係プレーが上手くいくようになります。
この他に自分でできる改善策にはおしっこを途中で止めて、尿道のストッパーである尿道括約筋の筋力を鍛える、ハーブ療法としてペポカボチャ種子を摂取してみる、夕食のボリュームを減らすなどがあります。
先ずは早寝早起き、決まった時間に食事をするという規則正しい生活を始めてみましょう!
まとめ
・大人の夜尿には幼児期から継続的に続いているものと、成人してから起こるものがある。
・成人してから起こる夜尿では精神的なストレスと生活環境、生活習慣が関与している。
・自分で出来る対処法として、夕方からの水分摂取量やトイレへの行き方、途中で起きないことの他に尿道括約筋を鍛える、ハーブ類を利用してみる、食事パターンを見直すなど生活そのものを見直してみることが挙げられます。
おねしょは精神的な衝撃も大きく、不安になってしまうものですが、自分の生活を見直すべき時期なのだと考えて取り組んでみましょう。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!