「プチうつ病」になる30代の女性が増えているのを知っていますか?プチうつ病と聞くと、うつ病に比べて症状が軽いものと勘違いを起こしやすいですが、プチうつ病はうつになる時間が短いことを指します。
プチうつ病にかかったとしても、日常生活にあまり支障が出ない為、自分でも周りの人にも異変に気づかれにくい心の病気です。また、一度プチうつ病にかかると、治りづらく放置すると、うつになる時間が長くなったり、パニック障害を引き起こすなど重度な精神病に進行する可能性があります。ストレスがかかり、睡眠リズムが狂ったり食欲が増加したら要注意です。ここでは、プチうつ病の症状や原因、予防や対策について詳しくご紹介します。
プチうつ病について
プチうつ病についての概要や原因、うつ病とプチうつ病、憂鬱の違いやプチうつ病のチェック方法についてご紹介します。
プチうつ病とは?
プチうつ病は、都市部の30代の女性に多く見られ、非定型うつ病とも呼ばれています。プチうつ病とは、うつ病の症状が現われる時間が短いことです。その為、プチうつ病を知るには、うつ病という症状について知る必要があります。うつ病とは、気分障害の1つで、抑うつ気分、無気力、やる気が出ない、物事に興味が無い、悲しい、不安、倦怠感などの心の症状や、不眠症や食欲低下など体の症状が現われる精神病の1つです。
気分が落ち込んでしまい、何をするにも嫌になり、思考、行動、感情、幸福感に影響を与える状態が慢性化していることをうつ病と呼びます。また、うつ病は、自律神経失調症と間違われやすいですが、自律神経失調症はやる気はあるけど、体が疲れて追いついて来ないという状況で、うつ病の場合は、やる気そのものが出ないため、体も動かないという状況です。1日のほとんどが、この抑うつ状態になり、継続して2週間以上続く場合はうつ病と医学的に診断されます。
これに対して、プチうつ病は1日の内の一定の時間帯のみに、抑うつ状態が現われ、継続せずに週1回~2回の一定期間にのみ現われる状態を言います。特に夕方から夜にかけて起こりやすいと言われています。夜の一部の時間に週1回~2回の頻度でしか起こらないと、周りも見逃しやすかったり、自分自身でもあまり深く考えず、単なる気分の落ち込みとして軽視しがちですが、この状態を放置すると本格的にうつ病、パニック障害などの心の病気に発展する可能性があります。
うつ病は、食欲低下、体調・気分が悪い、睡眠障害が現われるのに対し、プチうつ病は、過食、過眠の傾向が見られるのが特徴的です。また、その他には、気分が落ち込むことが多くなる、理由もなく涙がでる、寂しい、自己嫌悪に陥る、他人を羨ましいと思うなどの感情が表れたり、気分の浮き沈みが激しい、軽い体調不良などが特徴的です。
プチうつ病の原因とは?
プチうつ病の原因は、強いストレスや環境の変化によるものです。
■強いストレス
ストレスの種類にも精神的ストレス、肉体的ストレス、科学的ストレスとあり、プチうつ病を発症する方の多くは、対人関係による精神的ストレスが原因である言われています。ストレス社会という言葉があるように、ストレスというものから逃げることが出来ない場合は多くあります。
例えば、早く出世したい、早く認められたいという思いから、労働時間を越えて過度な残業をしたり、子育てに必死になってきた人が子供が独立して家を離れた時に自分の存在意義を見失い、プチうつ病にかかる場合もあります。
肉体的ストレスは、仕事のしすぎや運動のしすぎ、睡眠障害、食欲低下、怪我や病気などによりストレスを感じる事で、科学的ストレスとは、摂取した栄養素によるストレスを感じる事です。具体的には、栄養不足や化学物質の摂取のしすぎが関係します。カフェイン・カプサイシン・インスタント食品は、 体にストレスを与え、他には大気汚染・排気ガス・シンナー・トルエンなど大気中に漂う物質が体内に入ることでストレスになります。
■環境の変化
引越しや新しい職場環境など、環境の変化により自分でも意識しないうちに、ストレスを感じている場合があります。新しい環境は少なからず、人間関係だけでなく仕事も上手くやっていけるかなど心配ごとが多くなります。
また、早く認められたい、早く仕事が出来るようになりたいなどの気持ちから、働きすぎてしまって心身ともに疲れやすくなります。また、実際に新しい環境に移ってみてから、予想とは違った事に出くわすと、こんなはずではないと思い悩むことが原因になります。
うつ病、プチうつ病、憂鬱な気分の違い
似ている症状である、うつ病、プチうつ病、憂鬱な気分の違いをご紹介します。
■うつ病
- 落ち込みの期間がほぼ1日続く
- 落ち込み頻度や周期が毎日2週間以上続く
- 食欲低下、睡眠不足、体重減少などが見られる
- 自殺願望が強い
■プチうつ病
- 落ち込みの期間夕方~夜にかけてなど、一定期間にだけ現われる
- 落ち込み頻度や周期は週3回以上、もしくは月10回以上
- 過食、過度な睡眠、体重増加などが見られる
- 自殺願望が強い
■憂鬱な気分
- 落ち込みの期間は特に決まっていない
- 落ち込み頻度や周期は長くは続かない
- 食欲や睡眠などに影響を受けることが少なく、受けても長くは続かない
- 自殺願望は、ほぼ無し
プチうつ病のチェック方法
プチうつ病かどうか確認するチェック方法があります。下記内容をチェックし、チェック内容が何個あるか数えましょう。
- □理由が分からずに、よく涙がでる
- □息切れや動悸を感じるときがある
- □めまいや耳鳴りがある
- □吐き気がある
- □胸が痛くなるときがある
- □体が震えるときがある
- □感覚が麻痺するときがある
- □寒気を感じる、もしくは熱感がある
- □息苦しい
- □汗をかきやすい
- □過食している
- □10時間以上睡眠をとっている
- □寝ても寝ても眠気がとれない
- □大声を上げるときがある
- □家族や友達など身近な人に強く当たる時がある
- □物に八つ当たりする時がある
- □孤独感を感じる
- □やる気がおきない、何もしたくない
- □お酒が飲みたくなる
- □衝動買いしてしまう、必要ないものまで買う
- □薬を飲む機会が多い
3個以下の場合は、憂鬱な気分になっているので、体を休めたり、リフレッシュする機会を作りましょう。4個~6個の方は、ストレスが溜まっているので、趣味に没頭したり、体を休めるなどして、ストレスを解消しましょう。7個以上の方は、プチうつにかかっている可能性が高いので、専門医に相談しましょう。
プチうつ病の症状
プチうつ病の症状は、うつ病の初期状態の状況と似ている部分もあれば、過度な睡眠を取ったり、過食症になるなど、うつ病とは間逆の症状が出ることも特徴的です。
下記のような症状が定期的に現われるようになった場合は、プチうつ病かもしれません。
やる気が出ない・倦怠感
特徴的な症状として、やる気がでない、気分が落ち込む、倦怠感などの症状が見られます。心身ともに疲れきっている為、疲労感や全身倦怠感を感じることが多いです。食べる事、服を着ること、動くことなど、普段なんでもないようなことでも、億劫になります。
気分の浮き沈みが激しい
気分の浮き沈みが激しくなる為、嬉しいことが起こると、もの凄く元気がでたり、些細なことで怒鳴るほどに怒り出したり、感情が抑えられないほど取り乱したりする場合もあります。このような状態になると、後に自己嫌悪に陥り、更に気分が落ち込む人も多いです。また、他人の言葉にとても敏感になる為、他人の些細な指摘がとても気になって、気分がひどく落ち込んだりします。
涙が出る
意味もなく突然涙がでるのは、うつ病の初期症状かもしれません。涙の役割は大きく分けて2つあり、1つは目保護する為、2つ目は感情の変化に反応して副交感神経が刺激されることで分泌されます。一般的には人は害を感じることで涙を流すと言われています。
2つ目の感情の変化に反応して涙を流す理由は、抑えきれない感情をストレス認識し、体がストレスを外に発散しようとしている為、涙を流すと考えられています。その為、何もしていないのに意味もなく涙が出るのは、体がストレスなど一杯な状態になりストレスを追い出そうとしている働きであると言えます。
また、涙が出ると止まらない場合があります。気分がひどく落ち込んだり、些細なことがきっかけで涙が出たり、止まらなくなった場合はプチうつ病の可能性が高いです。深刻なうつ病に発生すると、泣けなくなるので、涙が理由もなく止まらないサインは見逃さないようにしましょう。
過眠
過眠とは昼寝なども含めて1日の睡眠時間が合計で10時間以上のことを指し、この状態が週3回以上発生すること医学的には過眠と呼びます。睡眠をいくらとっても疲れが取れず、寝ても寝ても眠気が現われます。このような状態が続くと気分の落ち込みも激しくなります。
本格的なうつ病になると、逆に睡眠障害が現われ出します。睡眠障害には大きく分けて3つあります。1つ目は、なかなか眠ることが出来ない「入眠障害」、2つ目は寝ても何度も起きてしまい熟睡できない「中途覚醒」、3つ目は朝早くに目が覚めてしまい、それ以降眠れなくなる「早朝覚醒」タイプです。不眠が起こると、日中に疲れが現れたり、疲れがとれなかったり、体調不良、集中力の低下、やる気がおきないなど日中に支障が出てきます。この状態が慢性化すると、夜も昼も眠れなくなり重度のうつ病へと変化していきます。
現実的な夢を何度も見る
人の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類あります。レム睡眠は、脳は動いているのに体は眠っている状態の浅い睡眠のことで、ノンレム睡眠は脳も体も眠っている、深い睡眠のことです。健康な人では、ノンレム睡眠を60分~80分程度、レム睡眠に切り替わり10分~30分程度、合計約90分間の周期を4回~5回ほど繰り返します。
レム睡眠の時は、脳は動いている浅い眠りの為、私たちはこの間に夢を見ます。夢の内容は日々異なったり、非現実的のものが多い場合が多いですが、妙に現実的な夢を何度も見る場合は、プチうつ病の兆候があると言われています。
例えば、学校で誰かにいじめられている夢、職場で周りから指摘されている夢、追いかけられて走っている夢など妙に現実的な夢であったり、臭いがしたり感触がするなど現実に近い夢を見る場合はプチうつ病かもしれません。
過食
プチうつ病は、過食になる傾向があります。イライラしたり不安な気持ちを食で解消しようとすることで起きます。特に、夜になると甘いものが欲しくなる方が多く2キロ~3キロ体重の増加が見られます。この体重の増加により、気分が更に落ち込み悪循環を招く場合があります。
一方でうつ病になると、「何を食べても美味しくない」「好きだった食べ物が美味しくない」など味がしなくなったり、美味しく感じられない方が多くいます。食欲が低下する為、体重の減少が見られる場合もあります。
動悸・微熱・頭痛などの体調不良
動悸や微熱、頭痛などの体の不調が現われる場合があります。しかし、これらは他の病気でも起こったりする為、これらの症状からプチうつ病と判断するのは難しいです。頭痛は、筋緊張性頭痛と呼ばれる、頭蓋骨の周りにある筋肉の緊張によって引き起こされるタイプが多く現われます。
痛み方は、頭全体が締めつけられるように痛み、頭全体や後頭部や首筋に痛みが現われます。この筋緊張性頭痛が現われると、ふわふわとしためまいや肩や首のコリも伴う場合があります。
プチうつ病は、どんな人がなりやすいか?
プチうつ病を発生する人の原因は、対人関係や環境の変化によるストレスによるものだと言われています。子供の頃は手がかからなくて良い子だった人が特になりやすいと言われています。具体的には、頑張る人、完璧主義者、自己主張をしない、周りの意見を気にする人、親からあまり愛情を受けていない人に多い傾向にあります。
このような人たちは、大きなショックやストレスを受けると、心だけでなく体にも支障をきたし、悲観的になりやすいと言われています。それに加えて睡眠障害や食欲低下が起こると、体のエネルギーがなくなり、うつ病に発展します。
頑張る人・完璧主義者
うつ病は、まじめで有能、責任感が強く、完璧主義者の方がなりやすいと言われています。
20代は仕事を覚える為に無我夢中で働き、30代になる頃には自分の経歴に自信が出てきたり、今まで以上の責任を負うことになったり、プレッシャーを感じるようになります。また、30代になっても、今までと同じように働くと無理が生じて体の不調がでてくることもあります。
自己主張をしない、周り気にする人
人の意見を気にしたり、周りの顔色をうかがうような性格の人はうつ病になりやすい傾向にあると言われています。また、自分の意見を言うことが苦手な人にも見られます。
親から愛情をあまり受けていない人
幼少期に親にしっかりと、かまってもらっていない人はうつ病になりやすい傾向にあると言われています。家族の中に誰か病気や障害を持っている人がいて、親の愛情が偏っていしまった場合にも見受けられると言われています。
プチうつ病の予防と対策
プチうつ病の予防と対策は、まずは自分の性格や環境、生活習慣を見直すことが大事です。
自己主張をする
自己主張が出来ない性格の人は、まずは自己主張をするところから始める必要があります。自分の気持ちをしっかりと表せる人になると気持ちも楽になります。相手をいつも気にしている人であれば、相手の気持ちを壊したくないと強く思う気持ちがあると思います。
しかし、言い回しなどに少し気をつけるだけで、相手の気持ちを壊さずに自分の気持ちを伝えることは可能です。また、友達や専門家に相談するなどして、自分の話を聞いてもらう場所を作ることが大事です。
色んな角度からアドバイスを受けることで、根本的な問題が解決できる可能性も広がることや、話を聞いてもらうだけでもストレス解消に繋がります。その為、まずは自分の意見を言える場所を作り、少しずつ練習していくことが重要です。
趣味を見つける
プチうつ病から脱出するには、基となるストレスを回避することが、一番の対策になります。しかし、色んな状況下の中で、ストレスを回避できない場合もあります。例えば、子育てを一生懸命行ってきた人が、子供が独立して家を離れたことにより、自分の存在意義を見失いプチうつ病が発症する場合があります。
この場合、自分の存在意義であった、子供を家に戻すことが根本的なストレス解消になりますが、そう出来ない場合も多いと思います。そんな時には、自分の趣味を見つけることで、回復傾向に向かう場合があります。
まだチャレンジしたことないことにも積極的にチャレンジしてみたり、スポーツクラブに通ったり、習い事を始めたり、お友達と出かける、ショッピングを楽しむなど何でもいいので、まずは趣味を見つけることが大事です。
プチうつ病は、正しく治療すれば必ず元気になります。その為、1人で抱え込まずに、友達や家族に相談したり、上記で紹介した予防・対策を試してみましょう。それでも辛いやだるいなど気持ちがあるようであれば、医療機関を受診して、専門医の先生に診てもらい、カウンセリングを受けてみることをおススメします。
おわりに
プチうつ病は、うつ病の症状が一時的に発症する心の病気です。特に、30代の仕事や育児を頑張りすぎている女性にみられやすいと言われています。プチうつ病の主な症状は、夕方から夜にかけて、気分の落ち込みや浮き沈みが激しくなったり、過度な睡眠や過食などが見られます。
原因となるストレスを解消することや、自分の気持ちを伝えられるようになったり、趣味をみつけるなどをして、プチうつ病を緩和することが出来ます。正しく治療すれば完治できるので、まずは友人や専門医に相談しましょう。
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