慢性疲労症候群のチェック方法は?症状と原因を知ろう!治療するのに必要なことは?

みなさんはどんな時に「疲労」を感じますか?仕事をした時、家事や育児に追われた時、学校で運動、勉強をした時など「疲労」を感じる原因は人それぞれですよね。また、疲れがたまっているなと感じたら休息を取ったり、湯船に浸かったり、睡眠を多く取ったりして疲労回復に努める方も多いかとは思います。

この誰もが一度は感じたことのある疲労感が慢性的に続く慢性疲労症候群という病気があるのはご存じでしょうか?聞きなれない病名ですが、日常生活が困難になる程危険な病気で早めの対処が必要です。

今回の記事ではこの慢性疲労症候群について、その症状や原因、治療法などを紹介します。

慢性疲労症候群とは

疲労

慢性疲労症候群は慢性疲労とは全く違った非常に重い病気とされています。なかなか疲れが取れない、些細な行動で強い疲労を感じるなどの症状があればもしかしたら慢性疲労症候群にかかっているかもしれません。

ここでは、慢性疲労症候群についてその症状と発症率、原因を紹介します。

慢性疲労症候群とは?

慢性疲労症候群とは原因不明の極度の疲労感が6か月以上、長期間続く症状でベッドから起き上がれなかったり、身体を動かせなかったりと日常生活に支障をきたすほどの重い病気とされています。慢性疲労と名称は似ていますが、全く別の固有の疾患名称です。

「疲労」や「慢性疲労」とは違い、休息や睡眠を取ったり、湯船に浸かったり、栄養を摂取して回復を試みても改善されることはありません。慢性疲労症候群は身体を動かすことがとても困難なことから周りから怠けている人、出不精な人と誤解されることが多く、苦しむ方が多いのです。

慢性疲労症候群の診断基準ができたのは1988年と比較的遅く、日本では1990年に国際診断基準に基づく症例が報告されました。

慢性疲労症候群の発症率

20代から50代のうちに発症するケースが多く、発症率は全体の0.3%、人数ではおよそ38万人も慢性疲労症候群にかかっているとされています。患者全体のうち女性の発症率が特に高く、6~7割程度を占めています。欧米や世界でも患者数は0.2%~0.7%で1000人に3人の割合で発症しており、それほど珍しい病気ではありません。

また、アレルギー疾患を併発する患者が多いと言われています。

慢性疲労症候群の症状

●風邪のような症状

代表的な症状として風邪を引いた時のような微熱やのどの痛み、頭痛、リンパ節の痛みなどがあげられています。平熱より0.5~1.5度程度の高い熱が6か月以上続くようであれば慢性疲労症候群の疑いがあります。また、解熱鎮痛剤などを服用してもあまり効果がないのも特徴です。

●疲労感

身体と精神の両方に日常生活に支障をきたすほどの激しい疲労感が生じます。疲労を感じる程度は個人差があり、何とか外出できる程度から歩けない、または寝返りも打てないほどの重い症状があげられます。患者全体の約4分の1が外出困難や寝たきりの状態で、それは多発性硬化症や後天性免疫不全症候群、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、腎不全、慢性閉塞性肺疾患などの病気に匹敵するほどのものと報告されています。

●痛み

激しい運動をした後のような筋肉痛や関節痛があり、動くことができないほどの痛みになることがあります。その他にも腹痛、顎関節症、顔面筋疼痛症候群などがあげられます。

●睡眠障害

自律神経の異常による不眠と過眠の症状があります。寝付けなかったり、眠りが浅い、早く目が覚める、睡眠により疲れがとれない、夢を見やすい、朝起きられない、常に眠気に襲われるといった症状があらわれます。

●気分障害

感情が変わりやすかったり、不安に襲われる、うつ病に似た症状が現れたりします。慢性疲労症候群の場合は憂鬱感が午後に強まる傾向があるとされ、気分の落ち込みが続くようです。

●知的活動障害

思考力や集中力、記憶力の低下がみられます。物忘れがひどくなると場合によっては認知症のような症状があらわれることがあります。

●中枢神経障害

中枢神経障害とは、脳や脊髄からなる神経組織に何らかの原因によって異常を生じていることで、視力の変化や耳鳴り、筋肉の痙攣、筋力低下などが引き起こります。

他にも口内炎や頻尿、動機、朝のこわばり、体重の変化、甲状腺の炎症、寝汗、息切れ、低血糖の発作、不整脈、過敏性腸症候群、月経前症候群、発疹などが全身症状としてあらわれることがあります。

慢性疲労症候群の3段階からなる重症度

慢性疲労症候群にかかると全ての人が同じ症状になるわけではなく、軽度、中度、重度の3段階から重症度がわかります。

●軽度→軽度だと疲労は感じてはいるものの、仕事や身の回りの世話はできますが休みの日は休息を必要とします。普段活動しているエネルギーが50%ほどの低下します。

●中度→中度だと、様々な障害や症状(風邪のような微熱や痛みなど)が引き起こり、それが原因で家に閉じこもる、または出られないことがあります。何とか動けても活動は午前中だけで午後には休息や睡眠が必要となります。

●重度→重度になると、食事は取れるもののベッドから起き上がることさえ困難になります。ひどくなると寝返りを打つのも厳しくなります。

慢性疲労症候群の原因

慢性疲労症候群は残念ながら明確な原因が発見されていないとされています。しかし特定するまでには至ってはいませんが様々な研究の結果、病気の起こる仕組みがいくつかわかってきているようです。

慢性疲労症候群の原因と推測される一つに  神経系の働きの異常があります。ストレスなどをきっかけに免疫の働きが低下し、体内に潜伏していたウイルスが再活性化されることにより体内ではウイルスを抑え込むため免疫物質を過剰に作ります。この過剰に作られた免疫物質が脳の働きに影響を与え、極度の疲労感や様々な身体の異常を引き起こすとされています。

また慢性疲労症候群の患者の中には発症前に感染症にかかったケースがあったり、ある特定の遺伝子に関する異常が認められていることが報告されていますが、明確な原因と特定するには至っていません。

その他の原因とされているのがコルチゾールなど、特定のホルモン分泌の低下、TGF-βやインターフェロンなどの免疫物質の異常から免疫機能低下、脳内の局所血流量の低下、アレルギーやストレス、異常な低血圧、感染、栄養不足などがあげられています。

慢性疲労症候群の診断方法と治療法

睡眠

慢性疲労症候群は認知度の低さと明確な原因がわかっていないことから、小さな病院などでは稀に誤診があります。症状が慢性疲労やうつ病、精神疾患、線維筋通症、甲状腺機能低下症などの病気に類似することから患者本人も勘違いすることが多いようです。

少しでも上記で紹介した慢性疲労症候群の症状があれば総合病院や専門医にしっかり診てもらいましょう。この記事では診断方法と治療法について調べてみました。

慢性疲労症候群の診断方法

慢性疲労症候群の診断方法には問診票を使った症状診断と臨床検査による除外診断を組み合わせたものがありますが、現代では主にPS(パフォーマンス・ステイタス)によって診断されます。このPS値が3から9の間だと慢性疲労症候群です。

【PS(パフォーマンス・ステイタス)】

0→倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる。1→通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感じるときがしばしばある。
2→通常の社会生活はでき、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である。
3→全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である。
4→全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である。
5→通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
6→調子のよい日には軽作業は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息している。
7→身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である。
8→身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。
9→身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。

慢性疲労症候群の治療法

慢性疲労症候群の治療にはその症状に合わせて緩和、治療をしていきます。その治療の中でも特に有効だとされる4つの方法を紹介します。

●認知行動療法

認知行動療法とは、自身の病状や症状を悪化させると思われる活動、行為を認知しどのように調整したらいいかを学び、日々の活動や症状を管理し改善していく方法です。これを行うことにより、疾患への対処が出来るようになり合併症や新たな症状を引き起こすことを軽減できます。また、活動量を増やすことができるようになることが報告されています。

●段階的運動療法

段階的運動療法とは、ウォーキングや水泳、ストレッチなどの有酸素運動を目標に向けて除々に運動強度を増やしていく治療法です。理学療法士や作業療法士の指導のもと、日常生活を取り戻すことを目的に症状や目標に合った運動を行います。この段階的運動療法や認知行動療法により、100人中41人が疲労が改善したとイギリスの実験結果の報告にあります。

●温熱療法

温灸や入浴により免疫力を高め病気にかかりにくく、また病気から回復しやすい体質をつくるのを目的に行う温熱療法ですが新陳代謝を促す効果や筋肉の緊張をほぐしたり血流が良くなったりと様々な効果が期待できます。行動が困難な重度の患者には、短時間で入る半身浴や足湯などがおすすめです。

●薬物療法

慢性疲労症候群の治療法の中で薬物療法を中心に行われることが多いです。そのなかでも身体の免疫力を高めることを目的に「捕中益気湯」と呼ばれる漢方薬を用いることによって患者の4割の方が症状が軽減したとされています。

他にも症状に合わせて非ステロイド系抗炎症剤や低用量三環系抗うつ剤、抗不安剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、ビタミンC、メチコバールなどが使用されることがあります。

まとめ

お風呂

日ごろから疲労回復に努めていますか?自分が思っているよりも疲労は身体に蓄積されていくものです。仕事や家事、育児などで忙しくても毎日入浴したり、十分な睡眠をとるようにしましょう。バランスのとれた食事も大事ですよ。

自慢性疲労症候群は発症すると完治するまで数か月から数年かかると言われています。根気よく治療を続け少しずつ症状の改善を図っていくことが大切なのです。是非、今回の記事を参考にしてください。

  
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