高所恐怖症や暗闇恐怖症、先端恐怖症など、さまざまな恐怖症といわれる症状は世界中に約530種類以上あるといわれています。
その中でも、小さなつぶつぶや集合体に対する恐怖感や不安感などが訪れる恐怖症トライポフォビアといいます。2009年ごろからインターネットなどで蓮コラと呼ばれる画像が盛んに流出するようになり、自覚した人も多いのではないでしょうか?そんなトライポフォビアについてまとめてみました。
この記事の目次
トライポフォビアって?
近年注目が高まった恐怖症の一つであるトライポフォビア。名前だけではあまりイメージが湧かないかもしれませんが、その内容を知れば理解できる人は多いでしょう。
トライポフォビアがどういったものなのかを紹介します。
トライポフォビアとは
イチゴのつぶつぶやレンコンの穴、カエルの卵、フジツボ、オレンジの果皮のつぶつぶなど、小さな粒状の集合体を見ると異常なほどの嫌悪感、または恐怖を感じたりする症状をトライポフォビア(Trypophobia)といいます。この症状は、医学的な名称ではなく、2005年にアイルランド人女性がギリシャ語の穴あけという意味の(trypo)と恐怖症という意味の(phobia)という単語をあわせて作った造語です。
トライポフォビアは、精神的な疾患ではなく、さまざまな恐怖症の中のひとつであると定義されています。海外では、このような恐怖症といわれる症状は約530種類以上存在するといわれています。精神的な問題ではなく、先端恐怖症や暗闇恐怖症、高所恐怖症などのようなものと同じで、ある一定の物事や動作に関して極端な嫌悪感や恐怖感を覚えるものです。そしてこのような症状は決して特定の人に発症するわけではなく、誰でもほんのちょっとしたことがきっかけで起こってしまう症状です。
人間の遺伝子にもともと組み込まれている先天的な症状であると訴える専門家も居ます。
トライポフォビアの認知
海外では約6年ほど前からこのような症状について注目され始め、意外にも多くの人にこのような症状があることがわかり、ネット上では、トライポフォビアを確認するために、つぶつぶの集合体の画像が多く見られるようになりました。比較的に最近認知された恐怖症であることがわかります。
また自然界の画像だけでなく、このトライポフォビアの嫌悪感を煽るような造られた画像なども出回るようになり、これらは蓮コラなどと呼ばれるようになりました。
日本では、集合体恐怖症、斑点恐怖症などとも呼ばれ、同じような症状に苦しむ人が多くいることが分かっています。
どんなものを見ると症状がでるの?
高所恐怖症や先端恐怖症や閉所恐怖症などの発症者も、その程度やシーンによって恐怖や嫌悪感を感じるケースは異なります。同じようにトライポフォビアにも個人差があり、どのようなものに対して恐怖心を抱くかは人それぞれです。
ここではトライポフォビアの症状の例を挙げていきます。
トライポフォビアの症状が出る例
では具体的に何を見るとトライポフォビアの症状が出るのでしょう?
一般的には、
- イチゴの表面
- レンコンの穴
- オレンジの果肉
- ゴマ
- 花托
- お米
- たらこや数の子
- いくらや筋子などの魚の卵
- かえるの卵
- 洋服の水玉模様
- 窓に付いた水滴
- 蜂の巣やくもの巣
- ボタンやビーズなどの装飾品
といわれています。
そしてこれらの中で多くのトライポフォビアの症状、嫌悪感を感じると言われているのは、イチゴの表面のつぶつぶやレンコンの穴です。トライポフォビアは、このような何気ない自然界で見られる、小さな粒や穴の集合体、また規則的で密集した配列を見ると症状がでるといわれています。
その他の例
また少し特異な例だと、カマキリの卵に恐怖を感じる人もいるそうです。カマキリの卵は孵化すると大量のカマキリの赤ちゃんがでてきます。その大量の密集したカマキリの赤ちゃんを直視することが出来ず、あまりの恐怖に絶叫してしまうという人もいるそうです。
このように、普段私たちが目にする日常生活の中のものや状況の中には、トライポフォビアを刺激するようなものが沢山あることに気がつきましたか?もし、自分の中にも、このような小さなものの集合体や規則的な穴などに対して、嫌悪感や恐怖感を感じることがあるなら、それはトライポフォビアかもしれません。
そしてこの症状は、生まれたときからではなく、誰しもがささいなことがきっかけで発症してしまうパターンが多いでしょう。
トライポフォビア症状の特徴は?
では、トライポフォビアの具体的な症状とはどんなものなのでしょうか?程度によって人それぞれ症状は異なりますが、きっかけである物を見ることでどのような症状が身体に現れるのかを紹介します。
恐怖感
トライポフォビアの代表的な症状のひとつである感情的反応の恐怖感は、人によって、また程度によってさまざまですが、不安感や恐怖感を覚え、対象物から目を背ける、または目をつむる、目の前の状況に近づくことができなかったり、逃げたくなる、そして対象物には触ることができない、などの症状が現れます。
また、症状が重くなると、恐怖のあまりに奇声を発したり、精神的に平常心を保てなくなるなどの症状が現れます。
恐怖心は心身的にも強いストレスになりますので、恐怖心を長時間抱き続けることは身体にあまり良くありません。
動機・息切れ
恐怖や不安を感じることで、心拍数が異常に変動し、動悸や息切れを起こすことがあります。いわゆるショック体験を起こしている状況です。思いがけずに見てしまったなどの不用意な場合に多く発症します。
重症になると、息切れで呼吸が浅くなって、失神してしまう人もいます。このような場合は重症なのでいくつか対策法を準備しておいたほうが良いでしょう。
特に息切れでは過呼吸症候群やめまいを引き起こすケースが多くあり、対象を見てしまうことで強いショックと死への恐怖などを強く想像していまい、このような症状を引き起こします。
震え
対象物を見たりしたことで不安感や恐怖感を覚え、全身が震えることがあります。暫くの間は対象物の残影が脳裏から離れずに、目を話してからも一定時間は震えの症状が治まらない事があります。
次第に症状は収束に向かうので、症状が出た際には即刻対象物から離れて収まるのを待ちましょう。
発汗
対象物を見たりすることで、不安感や恐怖感から発汗することがあります。普段の暑くて発汗するというよりは、冷や汗に近いものです。
また同時にこの汗が冷えることも相まって寒気なども誘発されます。
かゆみ
蕁麻疹やアレルギーでの湿疹などを経験したことのある人の中には、かゆみの症状が現れる人がいます。その程度は人それぞれで、かゆみを感じるだけの人、またはあまりのかゆさに皮膚をかきむしってしまう人などさまざまです。
またこのような症状を発症する人の中には、想像をして、実際に見ていないにも関わらず、症状が現れる人もいるそうです。このような場合は精神的に不安定になる可能性もあるので、注意が必要です。
嘔吐
不意に対象物を見てしまったなどの原因から心拍数があがり、動悸や息切れがすると、併せて吐き気や嘔吐の症状を起こすことがあります。
吐き気や嘔吐は、胃酸の逆流で胃や食道などを痛めてしまう可能性もあるので注意が必要です。
トライポフォビアになる原因は?
ではなぜトライポフォビアになってしまったのでしょうか?原因の可能性を見てみましょう。
今このトライポフォビアで苦しんでいる人も、生まれたときからこのような症状になっているわけではありません。多くが本当にちょっとしたことがきっかけとなって発症しています。そしてこれらの原因には多くが世の中の恐怖症といわれるものの発症原因と共通しています。
トラウマ
子供の頃などに、カマキリの卵が孵化したところを見て一度でも気持ち悪い感じを覚えたり、何か嫌なことがあったときに、同時に小さな集合体を関連して覚えてしまっているときなど、それがトラウマとなって脳裏に焼きつき、トライポフォビアを発症してしまう場合があります。
同じように、溶連菌や水疱瘡、蕁麻疹や湿疹などのように、子供の頃に罹った疾患が原因で同じような模様を見ると反応してしまう場合もあります。
上記のような疾患は多くが全身に小さなぶつぶつや水疱が発症するもので、そのときのかゆさや痛さ、また自分自身の姿の嫌悪感などを思い出してしまい、拒絶反応を起こし、発症するのです。
他人の影響
多感な時期、自分にとってとても影響力のある人や物事に自分の感情や行動が影響を受けることがありますが、このトライポフォビアの原因も同じことがあります。
他人が小さな集合体に対して嫌悪感などを持っていて、「○○が苦手」や「○○が怖い」などと発することによって、自分も同じように感じてしまう場合があります。もともとその要素はあったのでしょうが、他人の小さな一言がきっかけで発症してしまうことがあるのです。
オカルト映画や画像
インターネットが普及し始めて、誰でもが簡単にさまざまな国の映像や画像を見ることが出来るようになり、見たくなくても不意に見てしまう場合もあります。
2009年ごろから盛んに作られるようになった、人工的に作られた小さな集合体の画像をコラージュ画像といいますが、このコラージュ画像もトライポフォビアではない人に向けた恐怖映画の画像として作成されたり、一部は悪意をもって作成されたものもあり、このような画像がたくさん流出することによって、恐怖や不安な感情と画像が関連付けされ、発症するケースもあるそうです。
そして、この恐怖症というカテゴリに関しては、精神疾患ではなく、脳が対象物に対し、何かの反応を起こし危険信号を出した結果であるという説を唱える人もいたり、また、他の研究者によっては、原因は先天性だと訴える学者もいたり、後天性であると主張する学者がいたりと、多くが研究段階だということです。
人によって症状の強弱や程度もさまざまで、精神的な部分も多く影響していることもあり、完全な原因の解明にはまだ時間がかかりそうです。
他人に理解してもらえない
他人に理解してもらえないことで、必要以上に苦しむケースもあります。症状がひどい人は特に理解のない人との距離を離して、必要以上に症状を感じる場を増やさないことや、症状を悪化させないようにしましょう。
症状以外で苦しむ理由
このトライポフォビアは、発症した人には、日常生活に起因画像や状況、ものが多く、とても辛い症状なのですが、そうでない人には、理解してもらえないことが多い症状といわれています。
特に食べ物などに関しては、恐怖症というカテゴリが疾患ではないので、証明することが難しく、また人によって症状の強弱、対象物などが違うため、単なる好き嫌いをしているとか、食べず嫌いなどといわれてしまう場合があるそうです。
そのため、トライポフォビアの症状だけでなく、他の人に理解されないことに苦しさを感じている人も多くいるそうです。
重症の人には注意
たかが恐怖症と言って甘く見てはいけません。殆どの場合は症状が軽い場合や、怖いと言って済んでしまうケースがほとんどなために、逆にこの恐怖症の症状を楽しんでしまうケースが多く見られます。
しかし、特に症状が重症な人では失神に繋がるほどの重症な症状を発症するケースもあります。レアなケースですが、不快感では済まないほどの体調の変化を訴える患者も居て、真剣に悩んでいるケースがあるため、遊び半分で色んな人たちに画像を見せて遊んだりすることは避けましょう。
恐怖症の克服方法
それでは、どのようにこのトライポフォビアを克服していくとよいのでしょうか?そもそも克服できる症状なのでしょうか?
ここで紹介する内容はあくまでもリハビリのようなものと考えてください。もし、試している途中で動悸などの症状が出た場合にはすぐにやめるようにしてください。トライポフォビアの克服法を紹介します。
目を慣らす
写真や画像や状況などを見ることによって、脳が不安や危険を感じて症状を起こしている場合、日常生活の中で少しずつ画像や実際のものを見ることによって、脳にそれが危険でないことを認識させる方法があります。
しかし、重症の場合は、このようなリハビリでも動悸や息切れなどの症状を起こす場合があります。そのときはすぐに目をそらし、見ることをやめ、辛いときは精神科に相談するなどの対策をとると良いでしょう。
大きな集合体をみる
小さな集合体を嫌悪する症状であるトライポフォビアを克服するために、まずは大きな丸から目や脳を慣らしていくという手段もあります。
自分の症状の程度が分からない場合もこの方法は使えると思います。自分がどの程度の丸の大きさまでなら大丈夫なのか?集合体もどの程度の密集具合なら大丈夫なのか?など自分の症状を見極める手段となります。
症状の発症する程度が分かれば、徐々にそれに近づけていって慣れさせることも可能です。ただし、急に完全に治るわけではないので、あせらずに進めていくことを忘れずにしていってください。
自分の恐怖や不安の根本を知る
自分が恐怖を覚えるものは何なのか、具体的に列挙してみることも大切です。この症状には人それぞれの恐怖や不安の対象があります。それを1つずつ、なぜ恐怖や不安を覚えるのか考え、脳で危険ではないことを理解することも克服への第一歩といえるでしょう。脳が危険ではないと認識することで、症状が治まる場合があるそうです。
精神科に受診する
小さな集合体に対して、異常なまでの恐怖感や不安感からうつの症状が現れることがあるそうです。
こうなると自分の力で克服することは難しくなりますので、精神科に受診して相談しましょう。そのときにはうつ症状の説明のほか、トライポフォビアであることを知らせると良いでしょう。
コラージュ画像などを見ない
症状を発症させる原因となる、コラージュ画像や不快画像を見ないことも大切です。インターネットなどでは、単なる症状の確認の画像だけでなく、悪意を持った画像も少なからず流出しています。
そのような画像を不用意に見ることで、症状を悪化させてしまう可能性があります。克服も大切ですが、症状を悪化させないことが重要です。
小さな集合体と自分にとって嬉しいことを関連付けする
発症原因にトラウマがあるように、小さな集合体と嫌な出来事の関連を解消することで症状の緩和や克服が望めます。
そのためには小さな集合体と自分にとっての嬉しいことや楽しい出来事などの関連付けを積極的に行いましょう。
脳をだますつもりで言い聞かせることで、症状が緩和される可能性があるそうです。
まとめ
いかがでしたか?
トライポフォビアという症状は、人によってさまざまな発症原因があることがわかり、またその症状の辛さや理解されない苦しさもわかりました。できるだけ症状を悪化させないように悪意のなる画像などを見ないように工夫しましょう。
症状の重症の人も基本的には専門家とともにゆっくり自分のペースで恐怖症を改善していくことがベストです。焦らずに治療を行っていきましょう。
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