ふと気が付く鼻毛の白髪、若い方でも多いので、ショックを受ける方も多いのではないでしょうか。鼻毛は白髪になるのが早い部分なので、ここに白髪があったからといっていきなり頭が真っ白になってしまうという事はあまりありませんが、やはりとうとう白髪になりはじめたなと思ってしまいます。
白髪は様々な要因によって起こるもので、中には改善できる原因もあるので、増えるに任せるのでは無く鼻毛に白髪が出て来た時点で積極的に対策を練るようにしましょう。また、病気の場合も考えられるので注意して下さい。
白髪のメカニズム
毛が白髪になってしまう原因は、細胞の働きと栄養素にあります。
毛の色は、毛髪の内部にある色素である「メラニン色素」の量や種類によって変化します。そもそも髪の毛は三種の蛋白質が層になったような構造になっています。三つの層は外側からキューティクル・コルテックス・メデュラといい、それぞれの特徴は以下のように異なっています。
キューティクル:毛の一番表面にある層で、硬い蛋白質です。うろこのような形をしたものが重なり合って全体を覆っています。
コルテックス:繊維状の蛋白質でできており、これが縦につながって髪の毛の形を作っています。髪の毛の85~95%を占める重要な部分で、ここに髪の毛の色を決めるメラニンが含まれています。
メデュラ:毛髪の中心部で、空気の含まれた部分です。働きはまだ謎の部分も多く、人によっては少ない場合もあります。
コルテックスに含まれるメラニンには黒褐色のユウメラニンと赤〜黄色のフェオメラニンがあります。ユウメラニンが多ければ毛は黒くなり、フェオメラニンが多いと黄色っぽい毛になります。
鼻毛の仕組み
鼻毛は鼻から空気が入ってくる時にホコリや微粒子をシャットアウトするフィルターの役目を持っています。肺や気管支に異物が入って来るのを防ぎ、水分を保つことで鼻や喉の乾燥を防いでいます。
他の体毛と同様に男性ホルモンの影響を受けるものであるため、男性の方が毛の質が太くなります。また、加齢によっても長くなります。
毛の中でも鼻毛は他の体毛に比べて白髪の発生が早いとされています。
鼻毛が白髪になる原因は?
もともと体毛は全て産毛の時点では白髪です。産毛が伸びるに従ってメラニンが段々多くなり色が付いて行く、つまり白髪の原因はメラニンがうまく生まれない事なのですが、メラニンは皮膚に元々備わっている細胞ではありません。
食物に含まれるチロシンという物質が変化してメラニンが作られ、メラニンが作られる場所をメラノサイトと呼びます。つまり、白髪はチロシンが足りない事かメラノサイトの機能が活発ではない事を原因としているのです。
はっきりとしたメカニズムについては解明されていない部分も多いものの、以下のような生活習慣が白髪につながるものと考えられています。
生活習慣
老化
メラノサイトの細胞は、寿命が遺伝的に決まっています。そのため、完全に健康な状態を保っていても年齢を重ねるにつれて消失してしまいます。
血行不良
メラノサイトの寿命を全うさせるためには、メラノサイトに栄養が十分行き渡った状態を保つ事が大切です。メラノサイトは毛球部にあるので、ここまで栄養を行き渡らせるためには血行をよくしなければいけません。
栄養不足
メラノサイトを活発にする栄養素や、メラニン色素の材料であるチロシンが単純に不足している場合も白髪の原因となります。
運動不足
白髪の人の多くが運動不足である場合が多いと言われています。運動不足は血行不良につながるだけでなく、身体の中の老廃物を汗として流す働きの低下にもつながります。
睡眠不足
白髪と血流が密接に関連する事はここまでで述べた通りですが、ホルモンも同様に白髪の原因となります。メラノサイトも細胞の一つなので、段々と減少するのと同時に細胞分裂を繰り返して増加していますが、成長ホルモンが分泌されないと増殖と減少の関係が崩れ、減るばかりになってしまいます。
ストレス
体はストレスを受ける事で血管を収縮させるので、これによって血行は悪くなってしまいます。大きなストレスを受けて突然髪の毛が真っ白になっていたというのは漫画的な表現であると考えられ、実際にはそのような事は起こらないようですがストレスが白髪の原因である事は確かです。
喫煙
ニコチンには血管を収縮させる作用があります。血管が収縮すると、ストレスを受けた時と同様に血流が悪くなり白髪につながります。また、体内のビタミンを使ってしまうためビタミン不足を引き起こします。
病気
白髪が病気の症状として現れる事があります。鼻毛だけが白くなるものではありませんが、可能性としては考えられるので他に体調不良がある場合は注意して下さい。
尋常性白班
皮膚の色素を作る部位が不規則に損失する皮膚疾患です。遺伝や自己免疫によって引き起こされると考えられています。皮膚の色を構成するメラノサイトが消失したり機能停止する事で起こります。肌が白くなり、そこから白髪が生えてくる特徴があります。
甲状腺疾患
甲状腺の機能が低下する病気で、女性に非常に多い病気です。甲状腺ホルモンの分泌量が低下し、白髪と合わせて便秘や体重増加を引き起こします。
小柳・原田病
メラニン色素細胞に体する自己免疫疾患といわれており、自分の体内にあるメラニン色素細胞を異物と勘違いして防御しようとしてしまう病気の一つです。
両目に網膜剥離を起こすため目の病気と考えられていますが、皮膚の白班や白髪、脱毛を引き起こします。
鼻毛に白髪を見つけたら
鼻毛にある白髪は非常に気になるかもしれませんが、抜くのはおすすめできません。白髪は抜くと増えるというのはあくまで噂であり、実際には「抜いたから増える」のではなく、「抜いても抜かなくても段々増える」というのが本当の所です。
ただ、白髪を抜くと近くの毛根を傷つける場合があり、毛穴が傷つくとそこから生えて来る毛はまた白髪になってしまうのです。特に鼻の粘膜は非常に繊細になっており、雑菌も多い箇所です。ここで毛穴が傷つくと粘膜に雑菌が入り、炎症が起こる事があります。
気になる部分はカットした方がよいですが、全部切ってしまうと鼻の内部が乾燥する、異物が入り込むといった事が起こり、アレルギー性鼻炎の原因になる場合があるので、こちらもやりすぎには注意しましょう。レーザーによる脱毛も粘膜である鼻の中については避けた方が無難です。
鼻毛の白髪を予防する方法
白髪を予防するには日々の生活習慣改善が必要です。
ストレス
ストレスは体内に活性酸素を発生させるため、これを原因として体の老化が促進され、メラニンを作る細胞の働きが悪くなり白髪の原因となるのです。
血行不良
また、前述した白髪になる原因ですが、中でも大きなものと考えられるのが血行不良です。運動不足や喫煙も血行不良に関わって来るものなので、血行不良を招く原因をなくす事が白髪の予防にもつながります。
軽いウォーキングや運動を行う事で血行が改善されれば、栄養分は隅々まで行き渡るので白髪になるのを予防できます。
睡眠
成長ホルモンが細胞の増減に関わっているので、睡眠不足を解消する事で白髪を予防する事ができます。
成長ホルモンが分泌される時間は22時〜2時なので、この時間に睡眠を取るよう心がけましょう。
食事
白髪を予防するために、食事で外側から栄養分を取り入れる事も有効です。
ヨード
メラニン色素を生成するメラノサイトを活発にする働きのあるミネラルです。髪の毛にわかめが良いと言われるのはこの働きに由来しています。
ひじきや昆布、わかめ、海苔など海草類に豊富に含まれる栄養素ですが、コンビニ弁当などが多いと不足しがちな栄養素なので気をつけて摂取するようにしましょう。
ただし、過剰に摂取すると甲状腺の病気を招く場合があるので注意して下さい。
チロシン
アミノ酸の一種である非必須アミノ酸であり、前述の通りメラニン色素の原料となる栄養素です。ストレスの緩和や集中力を高める効果もあるので、毛にとっては大変有効な栄養素と言えます。
チロシンはチーズ、納豆、バナナ、豆腐に多く含まれます。チロシンは銅ミネラルと合わせて摂取すると効果が高いので、銅ミネラルを含むレバー、ホタルイカ、ごま、ココアなどと一緒に食べるとより効果が出ます。納豆や豆腐はチロシンと銅ミネラルを両方含んでいるので、これらを摂取すれば一石二鳥です。
マッサージ
血行を良くするために、百会というツボがあります。左右の耳を結んだラインと顔の真ん中のラインが交差するこのツボは、全身の気が一堂に会する場所として知られています。ここを刺激する事で血行がよくなり、特に頭皮の血流には良く効くので一番気になる頭髪が白髪になるのを防ぐ事ができます。
また、このツボには自律神経を整える働きもあるので注意してマッサージするようにして下さい。
まとめ
毛の色一つでも様々な体の機能が働いて出来ているので、血流やホルモン、栄養素などどこかでバランスが崩れると白髪になってしまいます。加齢によるものも多くある程度は仕方ない部分もありますが、チロシンの不足を防ぎメラノサイトの働きを活発にすれば予防する事ができるので、白いのが鼻毛だけであるうちにしっかり対策しましょう。
ただ、気にし過ぎて鼻毛を抜くのは危険です。鼻毛はフィルターの役割を持っているため、全くなくなってしまうとフィルターなしで外の微粒子を吸い込んでしまう事になります。また、鼻の粘膜は大変敏感で汚れや細菌も多い部位なので、炎症を起こしやすく、化膿してしまうと強い痛みを伴います。
血流を良くするためには、チロシンを含む食べ物をとり、ストレスを溜めずに規則的な生活を送る事が一番有効です。また、チロシン以外にも必要なビタミンや栄養素をバランスよく採る必要があります。難しい部分もあるかもしれませんが、頭に白髪が出る前にぜひ取り組むようにしたいものです。
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