「なぜだか分からないけれど、目の充血が治らない」。多くの人が経験したことのある症状ではないでしょうか。そのため、「充血なんて大したことない」と放っておく人も少なくないようです。
しかし、目はデリケートな器官であり、充血が眼病の大事なSOSサインになっている場合もあるのです。どうしても充血程度でそんな慌てることはない。と思っていても放置して一度失明してしまうと、取り返しのつかないことにもなりかねません。
そこで今回は、目の充血でお悩みの方が知っておきたい、充血の原因や対処法についてまとめました。眼の充血が発生している場合に、対処法を行って症状が改善されない場合は眼科に行って治療を行うようにしていきましょう。
目の充血が治らない原因
目の充血とは、白目の部分の血管が、拡張している状態をいいます。
通常は、放っておくと戻るのですが、血管が拡張している状態が長く続くと、ちょうどゴムが伸び切ってしまうのと同じで、なかなか元に戻らなくなってしまうのです。
そのようになってしまう原因には、以下のようなものが考えられます。
- コンタクトレンズ
- 菌による炎症
- 花粉症による充血
- 肝臓の不調からくるもの
- パソコンやスマートフォンなどでの目の酷使
- ストレスや緊張
- メイクによる影響
以下、順番に説明したいと思います。
コンタクトレンズ
日本初のコンタクトレンズが誕生してから60年、1991年には使い捨てコンタクトレンズも認可され、広く普及するようになりました。最近のコンタクトレンズ技術の進歩はめざましく、目に優しいものが増えてきています。
しかし、いかにコンタクトレンズが進歩を遂げたとはいえ、目の表面に直接乗せるのですから、どうしても負荷がかかってしまうものです。
それは、角膜には血管がないため、血液から酸素を取り入れることができず、目の表面から空気中の酸素を取り入れる必要があるからです。コンタクトレンズは角膜を覆う涙液の上に乗せるため、コンタクトレンズを付けると、長時間の使用で酸素不足に陥って、白目の部分の血液から補おうとするため、血管が拡張して充血してしまうのです。
特に、ハードよりもソフトコンタクトレンズのほうが厚みがあるため、酸素を取り入れにくいようです。
さらに、眼球のカーブに合わないコンタクトレンズを無理に使用していると、角膜が傷つき、そこから細菌や真菌(カビなど)が感染して病気になってしまい、充血することがあります。
コンタクトが正常に洗浄されていない状態になってしまっていたり、サイズやコンタクトの歪み率が目に合っていないと違和感が続き目が慢性的に充血してしまうことがあります。
現在では処方箋なくネット通販での購入が安く行えてしまうので、年々間も眼科に通わずにコンタクトを使用している人も多いでしょう。普段はネットでコンタクトを購入している場合も2年に1度の検診は行ったほうがいいでしょう。
菌による炎症
結膜炎や角膜炎と呼ばれる、目の病気にかかると、充血を引き起こします。
結膜とは、まぶたの裏側と、白目の部分を保護している膜のことで、この部分に炎症が発生すると、結膜炎と呼ばれます。
また、角膜は、黒目の部分を保護している膜のことで、この部分に炎症が発生すると、角膜炎と呼ばれるわけです。
例えば、強い風の日などに目の中にゴミが入り、それが原因で菌が入り込むことがあります。
これらは、ただの充血と思って放っておくと痛みを伴い、視力の低下を引き起こすこともため、早めに眼科医の診断を受けることをおすすめします。
発生してしまう問題としては流行性結膜炎や細菌性結膜炎などがあります。
花粉症による充血
現在、日本人の4人に1人がかかっているといわれるのが花粉症です。
植物の花粉によって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気で、原因となる花粉が飛散する時期に発症します。日本には、スギやブタクサ、イネなど、約60種類の植物が花粉症の原因となることが分かっています。
この花粉症になると、くしゃみや鼻水だけでなく、目の充血が症状として現れる場合があります。これは、目についた花粉を取り除こうと、免疫反応が起こる過程で分泌された物質が、白目の血管を刺激してしまうためです。
これを、アレルギー性結膜炎と呼ばれます。同じメカニズムで、ほこりなどによるアレルギーで充血することがあります。
肝臓の不調からくるもの
肝臓は、みぞおちの右にあり、横隔膜のすぐ下、胃の隣で、肋骨に守られるような位置にあります。重さは約1キログラムで、体内で最も大きな臓器です。
その働きは、食物から摂取したエネルギー源を、体内で使える形に変えて溜め込み、必要なときにエネルギーのもととして供給したり、アルコールや老廃物など体に良くない物質を無毒化したり、老廃物の体外への排出や、脂肪の消化液として重要な胆汁を作ったりと、多岐にわたります。
別名、「血の貯蔵庫」と呼ばれる肝臓は、血液をきれいにして、それに栄養を与える臓器です。その肝臓の不調が続くと、目は、もっと栄養を取り込もうとして、血管が拡張し、充血した状態になるのです。
目を酷使したわけでもないのに目が充血しているのは肝臓にトラブルを抱えている可能性がありますので、内科医を受診するとよいでしょう。
パソコンやスマートフォンなどでの目の酷使
仕事でパソコン作業を行う人、は特に目を酷使している状態にあります。また、夜中、暗いところでスマートフォンを使用しているのも、目に負担を掛けてしまいます。
体と同じように、目も、疲労回復のために多くの酸素や栄養が必要になります。そのため、酸素や栄養を多く運ぶのに目の血流量が増えて、血管が膨らみます。
これらのパソコンやスマホの画面から出ているブルーライトは、目の奥にある網膜を傷つける波長で、視力が低下する原因になります。また、長時間見つめ続けると、眼精疲労や頭痛が発生する場合もあるのです。これらの液晶画面の長時間の作業によってドライアイにもなりやすくなります。
パソコンやスマホの1日の使用時間が4.5時間以上で視力に影響し、6時間以上では更にその悪影響が高くなると言われます。
必要以上に使用することなく、なるべく目を休める時間を設けるようにしましょう。
ストレスや緊張
現代ではストレス社会が先進国では問題となっていて、さまざまな病気や症候群などの症状がを引き起こす原因になっています。
目の充血もストレスや緊張によって引き起こってしまうことがあります。ストレスなどによって身体的異常が発生してしまうメカニズムとしては、ストレスなどを受けることで人間の自律神経が不安定になってしまい、ホルモンバランスや体の働きに異常が発生してしまう事にあります。
ストレスや緊張では交感神経が優位になってしまい、血管の収縮により血流の悪化や血圧の上昇、皮膚の乾燥、分泌液の低下、呼吸が浅くなる、などの影響を受けます。
それにより、目の乾燥や充血などが引き起こりやすくなります。なので、目が充血している場合は目だけでなく体や脳がストレスと疲労、緊張などを受けていてその症状の一つとして充血が発生している可能性が考えられます。
メイクによる影響
目のまぶたの内側にはマイボーム腺と言う涙などを乾燥させないための分泌液を出して、目を乾燥から守るための器官が存在します。
しかしメイクが濃すぎてしまうことで、このマイボーム腺を塞いでしまいその分泌液がでてこれなくなり、目の乾燥が引き起こったりマイボーム腺に入り込んだ異物が炎症を引き起こし、めいぼや目の充血などの症状が引き起こる場合があります。
特に濃いメイクをしている人にこの原因の可能性があるでしょう。
また、現在ではほとんどの女性が行っているアイプチなどの目を大きく見せるメイクでも目が過剰に開いてしまい余計に目を乾燥させてしまう事があります。ドライアイになっている人はメイクが原因になっている可能性がありますので、十分注意しましょう。
目が充血してしまう症状について
目に充血が発生してしまった場合に考えられる病気や症状を引き起こす炎症などについて知っていきましょう。
目に充血がでてきて中々治らないと言う場合にはこれらの症状が発生している可能性があります。病院での治療を行わないと人に移してしまったり、症状によっては学校への登校を控えるように指定されている症状もあります。それらの症状についても紹介していきます。
結膜炎
結膜炎には名称や原因の異なるいくつかの種類に分類されています。基本的な症状としては目の表面とまぶたの裏側を繋いでいる結膜に炎症が発生し充血の症状を発症させ、目に異常が起こっている症状のことを指します。
眼科での患者数としても最も数の多い症状でもあり、頻繁に起こることから軽い症状と見られてしまうこともあるものになりますが、人から人に感染しやすい症状でもあるので注意しなければいけない問題でもあります。
それぞれの結膜炎について見ていきましょう。
アレルギー性結膜炎
目に花粉や動物の毛やホコリなどのアレルゲンとなる物質が触れてしまうことで免疫機能が暴走し、目に結膜炎の症状を引き起こす症状になります。
特にコンタクトなどを使用している場合にコンタクトと目の間にアレルゲン物質が入り込んでしまい、炎症が長時間続いてしまうケースが多くあります。目の異物感やまぶたの裏にぶつぶつが発生してしまったり、水分を多く含んだ目やにが出やすくなる傾向があります。
1〜10月までの期間に発生している場合は植物からの花粉によるものの可能性が高く、1年中を通して発生している場合にはダニや動物性タンパク質、コンタクトの汚れなどが原因である可能性があります。
ウイルス性結膜炎
ウイルスが原因になって発生してしまう結膜炎になります。ウイルス性結膜炎には更に以下の様な分類があります。
- 流行性結膜炎
- 咽頭結膜熱
- ヘルペス性結膜炎
- 急性出血性結膜炎
それぞれ原因となるウイルスが異なり、感染のしやすさも異なります。特に流行性結膜炎はアデノウイルスによって感染してしまう症状で、非常に感染力が強いので学校への登校なども控えるように呼びかけられている症状になります。はやり目などとも呼ばれることもあります。
これらの症状は放置しておいても1週間〜2週間ほどで自然に治癒してしまう事も多いものになります。しかし目の濁りなどの問題が発生している場合には炎症が深部に及んでいる可能性があるため、ステロイド点眼薬などで早期に治療して行ったほうがいいでしょう。
ウイルス性結膜炎は感染を広げやすいので、家族間でのタオルの共有を控え、手洗いを特に徹底させるようにしましょう。
緑内障
緑内障は目の裏側と脳を繋いでいる神経系に異常が発生し最終的には目が見えなくなってしまう事に繋がる恐ろしい症状になります。
人間の目は適度な水量で目の中を満たしており、眼圧を正常に保っています。しかし水分の出口となるシュレム管という器官が詰まってしまうと、どんどん水が溜まっていき眼圧が異常に高くなってしまいます。なので眼圧が高くなっている目が張っているなと感じる場合は注意が必要です。
また近年では日本人に眼圧が正常値にも関わらず緑内障を発症してしまう患者が多いこともわかっています。眼圧に対する抵抗力が少ないためにこのような問題が引き起こっている可能性が考えられています。緑内障の充血には黒目の周囲が充血するという特徴があります。
普段とは違う違和感のある充血が起こっている場合には注意しましょう。
角膜ヘルペス
角膜ヘルペスは視力が著しく低下してしまう可能性のある症状になります。体内に存在しているウイルスが角膜内で増殖したり、抵抗力が異常反応を起こし目の表面の角膜が白濁するなどの症状を発生させます。
目の充血と、視力の若干の低下、稀に目の痛みを感じることもあります。角膜ヘルペスは感染してから何年も潜伏状態を継続し、数年の時を経て症状を発生させることもあるものになります。
症状が治っても菌が死んでいるわけではないので再発してしまう可能性の非常に高い症状になります。眼科での確実な治療を行うことをおすすめします。
極端に視力が低下してしまったり、症状の悪化が発生してしまう場合の多くは、再発の都度適切な治療が行われなかったものによる物が多くなっています。早めに病院へかかるようにしましょう。
目の充血を抑えるには
上述のとおり、目の充血が治らないのには、様々な原因があります。それぞれの原因ごとに対処法をまとめてみましたので、ご覧ください。
コンタクトレンズが原因の場合
まず、基本的なことですが、コンタクトレンズが汚れている場合が挙げられます。目に負担をかけないよう、きちんと洗浄しましょう。その際、手や指を清潔に保ち、コンタクトレンズに汚れをつけないようにするのも大事です。
また、コンタクトレンズは長年使用していると、機能が低下したり、変形したり、欠けたりして、目の充血を招く場合があります。その時には、早めに眼科医を受診し、新たなものに買い替えましょう。
さらに、「夕方になると目が充血する」という場合は、コンタクトレンズの長時間使用が原因と考えられます。コンタクトレンズが角膜をふさいで、目に酸素や栄養が不足している状態ですから、外して目を休ませるとよいでしょう。
菌による炎症が原因の場合
充血が激しい時は、菌が原因と考えられる場合が多いので、早めに眼科医を受診し、抗菌作用を持った目薬で炎症が治まるのを待ちましょう。それでも症状が治らない場合は、ステロイド薬の目薬が処方されることもあります。
また、ウイルス性の結膜炎は、人に感染する危険性があるため、うつさないように気をつけましょう。
例えば、手洗いの徹底や、目を触った手であちこち触らない、人と同じタオルを使わない、などに注意しましょう。
花粉症が原因の場合
目についた花粉を取り除くのに、目を洗うのは効果的です。
ただ、目の表面は涙で保護されており、その涙と成分の異なる水道水などで目を洗うと、涙を洗い流して目の細胞を傷つけてしまいます。目を洗う場合は、市販されている人工涙液などを使うとよいでしょう。
きちんと睡眠をとるなど、目を休めるように心がけ、つらい時には、水で冷やしたタオルを目に乗せて冷やすことで、充血やかゆみが楽になるといわれています。
また、花粉などが目の中に溜まると、症状が悪化してしまうことがあるので、花粉症の時期にはコンタクトレンズではなくメガネを使用するとよいでしょう。目を花粉から守ることもできます。
肝臓の不調が原因の場合
肝臓は大きく分けて、①物質の代謝、②解毒、③胆汁の生成という3つの働きをしています。体の中の「化学工場」のようなものです。
肝臓は、何らかの原因で障害を受けても神経がなく痛みを感じないため、症状として自覚できないことが多く、「沈黙の臓器」といわれています。
ただ、肝臓の異常は目の充血などに現れることが多く、特に白目が黄色い場合は黄疸といって、壊れた赤血球の成分が黄色く色素沈着しており、肝機能がかなり悪化している状態です。
定期健康診断の結果などで思い当たる節のある人は、早めに病院に行き医師に相談しましょう。
パソコンやスマートフォンなどでの目の酷使が原因の場合
パソコンやスマートフォンを使っている時には、目の動きが止まり、一点に集中しているため、瞬きの回数が通常の3分の2になるそうです。
目にはマイボーム腺という器官があり、瞬きをすると、ここから保護成分を分泌して目の表面に膜を作り、眼球の水分蒸発を防ぐ役割をしています。
ところが、この膜は10秒から15秒で隙間ができてしまうため、瞬きが少なくなると涙が蒸発しやすくなり、ドライアイになってしまうのです。
パソコンに表示する文字の大きさを見やすくしたり、部屋の加湿を心がけると随分違います。また、休憩中に蒸しタオルを目の上に乗せると、目の疲れが取れるのでオススメです。
症状がひどい場合には、ドライアイ用の目薬が市販されているので、小まめに使用すると充血がおさまります。
まとめ
今回は、目の充血についてまとめてみましたが、いかがでしたか?
ドライアイや結膜炎、目の疲れなど、充血が治らない原因にはいろいろあることが分かりました。
しかし、注意しなければならないのは、目の充血は、身体の防御反応であるということです。確かに目薬をさせば簡単に充血を解決できますが、むやみに充血を取り除くことは逆効果です。
それは、風邪で発熱しているのに、熱を下げる薬をのんで、身体がウィルスと戦うために起こしている反応を弱めてしまい、逆に風邪を長引かせることと同じです。目薬の使用が習慣化しないように気をつけてください。
大切なのは、充血の原因を取り除くことです。なかなか治らない場合は眼科医を受診して、適切な対処を心がけたいものですね。
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