黄斑円孔という言葉を聞いたことがありますか?黄斑円孔は目の病気の1つで視力に関わる症状を引き起こします。目はとても大事な部分であるため悪化したりすることは避けたいですよね。
黄斑円孔はどのような病気なのか、原因や治療法、治すことはできるのかということを調べて書いていきたいと思います。
目の仕組みについて
黄斑円孔について触れる前にまずは目について書いていきたいと思います。
目の構造
目には様々な部位がありそれぞれがとても大切な役割をしています。まず目は眼球、視神経、眼球付属器といわれるもので構成されています。眼球は直径が約24mmで強膜という硬い膜で覆われています。
視神経は脳と連動しており、眼球付属器とはまつ毛、まぶた、眉毛、結膜などのことをいいます。眼球付属器は眼球を傷つけないように外からくる敵から守るという、とても大切な働きをしています。
目の部位
「強膜(きょうまく)」
白目の部分のことをいい角膜と繋がっています。乳白色の強い膜で眼球を覆っており、ほとんど光を通さないため必要のない光を取り込まないようにしています。
「角膜(かくまく)」
角膜は黒目部分を覆っている膜のことをいい表面は涙で潤っています。眼球を守る、外部からの光を屈折させる役割をしています。
「結膜(けつまく)」
まぶたの内側と強膜部分を覆っている薄い膜です。結膜は粘液を出し目の表面が乾かないようにするとともに、ウイルスなどから守る役割をしています。
「虹彩(こうさい)」
目の茶色い部分のことをいいその真ん中には瞳孔と呼ばれるものがあります。瞳孔が大きくなったり小さくなったりと動かす筋肉が虹彩にはあります。外部から目に入る光を調節する役割をしています。
「瞳孔(どうこう)」
眼球の丁度真ん中部分にある黒い部分のことをいいます。瞳孔の大きさは2~6mmの幅で動き明るい場所では小さく、暗い場所では大きくなります。
「水晶体(すいしょうたい)」
透明で凸レンズの形をしています。レンズの厚さを変化させることで光の屈折を調節してピントを合わせています。
「網膜(もうまく)」
眼球の後ろにある内側の壁を覆っている薄い膜のことをいいます。網膜には視神経や視細胞が多くあり、外部から入ってきた光を電気信号に変換して脳に伝える役割をしています。
「硝子体(しょうしたい)」
透明で卵白のようにどろっとしたもので、眼球の大半を硝子体が埋めています。硝子体があることで眼球の形を保つことができるのです。
黄斑円孔とは
黄斑円孔(おうはんえんこう)とは目の奥の中心部分の黄斑部と呼ばれる場所に穴が開いてしまう病気です。穴が開いてしまうことで物が見えにくくなったり視力に影響を及ぼします。黄斑は眼底の網膜の真ん中部分にあり、物を見るための大切な一部です。
高齢者に多く発症し60代が最も多く特に女性に多くみられます。
症状
初めは視力が下がることで見えにくくなったり、物が歪んで見えるという症状が現れます。見えにくい部分は主に中心部分で、だんだんと見えにくい範囲が広がっていき視力もガクッと下がります。
吸い込まれるように見える、視界が暗く見えるなどの症状もあります。痛みはなく片目だけ起こることがほとんどですが、低い確率で両目に黄斑円孔が起こる場合もあるそうです。
原因
目を強くぶつけたり、年齢を重ねることによる老化によって起こると言われています。硝子体部分が弱くなっていくと黄斑円孔を引き起こしやすくなる確率が上がります。硝子体が弱くなると液体が水分へと変わっていきます。
水分に変わっていくことで硝子体が小さくなっていき、硝子体皮質が網膜から剥がれてしまいます。網膜と繋がっている部分がうまく剥がれなかった場合に、皮質の問題が生じてしまい黄斑に穴が開いてしまうのです。
穴はとても小さく1mmにも及ばないと言われています。すぐに穴が開くわけではなく時間をかけて完全な穴になっていきます。個人差はありますが大体1~3ヶ月で穴になり、視力は0.1程まで下がってしまいます。
治療方法
昔は黄斑円孔の治療法はなく治すことができませんでしたが、今では医療が発達し手術をすることで視力が改善できるようになりました。手術方法としてまずは硝子体の切除を行います。
原因となっている硝子体の張力を取り除くことが第一です。硝子体を切除したらもっと影響が出るのではないかと思われますが、硝子体を切除しても視覚に何か影響が出たりなどは特にありません。ただし硝子体を切除しただけでは元には戻りません。切除した硝子体部分にガスを入れます。このガスを入れることによって網膜が押さえつけられ、グリア細胞と呼ばれるものが周りの細胞とつなぎ合わせてくれることで穴が塞がってくるのです。
以前の手術方法だと穴が塞がる確率は70~80%でしたが、現在は新しい手術方法が導入されたことで穴が塞がる確率は95%以上と大幅に上がりました。この手術をするにあたって注意しなければならない点があります。切除した部分にガスを入れますが、ガスは気体であるために上へ上へと移動してしまいます。入れたガスを適切な場所で保つために手術後はしばらくうつ伏せのままでいる必要があります。手術後にこの注意点をやらなければ、もう一度手術をしなければならなくなるかもしれません。
手術後の視力
手術をすることで低くなってしまっていた視力は改善されます。視力の改善には個人差がありますが手術をすることで80~90%の割合で日常生活に支障が出ないくらいまで視力は回復します。
ただ回復には早い人では数ヶ月、遅い人では1年とかかってしまう場合があり視力に関しては以前のように完全には戻らない可能性もあるようです。
黄斑円孔の手術による合併症
手術をすることにより合併症が起きてしまう可能性があります。
手術中に起きた合併症は術中に対応するため特に問題はありませんが、術後に起こってしまった場合は注意が必要です。起こる可能性のある合併症を書いていきたいと思います。
網膜裂孔
網膜裂孔(もうまくれっこう)とは網膜が何らかの原因で破れてしまうことです。
黄斑円孔の手術で起こる合併症の他に強度近視、後部硝子体剥離、眼球の打撲などが原因としてあげられます。網膜裂孔の症状は視界に黒い粒のようなものが見えたりする飛蚊症や光がない場所でも光があるように感じる光視症などです。視界のものがいきなり変化したり何か様子がおかしい場合は要注意です。網膜裂孔をそのままにしてしまうと視力が下がったり、最悪の場合失明を引き起こしてしまう網膜剥離になってしまう可能性があります。
治療法としてレーザーを使った方法があります。これは網膜の切れてしまった場所の周りをレーザーで焼いて固めるという方法でレーザー光凝固術といいます。レーザーで切れ目を焼き固めることで硝子体の水分が入り込むこともなく、網膜剥離への進行しないように防ぐこともできます。網膜裂孔になってしまった場合は早めの治療がとても大切です。
網膜剥離
網膜剥離(もうまくはくり)とは眼球の内側にある網膜が剥がれてしまうものです。網膜が剥がれることで視力は下がってしまいます。
網膜裂孔が進行してなることの他に老化、糖尿病網膜症、怪我などで頭や目への物理的ショックなどが原因としてあげられます。症状としては、痛みはなく飛蚊症が現れることがありますが気付きにくいと言われています。網膜とともに黄斑部分も剥がれてしまうと視力が急激に下がり、最悪の場合失明してしまう可能性があります。
治療法として網膜の切れ目はレーザー光凝固術で治療しますが、網膜が剥がれてしまっている場合は、手術で剥がれてしまった膜を正常な位置へ戻して固定する治療が行われます。硝子体手術、強膜バックリング法と呼ばれる治療法がありますが症状や状態によって方法は変わります。手術の後は目を休めることが第一ですが目を動かすことは可能です。ただし状態が安定するまでに1~3ヶ月ほどかかるため、1ヶ月の間は過度な運動や車の運転、重いものを持つなどの行動はしないようにしてください。
詳しくは、網膜剥離の原因は?症状や治し方を知っておこう!を参考にしてください。
黄斑円孔の予防方法
黄斑円孔を引き起こさないためにも老化現象を防いでいくことが必要です。日頃からできる予防をしていきましょう。
食事の改善
偏った食事ばかり食べている場合は、栄養のあるバランスの良い食事を心掛けましょう。目に良いとされる食材はにんじん、ブロッコリー、ほうれん草、ブルーベリーなどです。身近な食材なので積極的に摂取できるのではないでしょうか。
サプリメント
食事での摂取が難しいという人はサプリメントの摂取がオススメです。サプリメントはコンビニや薬局で手軽に買え、摂取もしやすいです。また種類も豊富なため自分に合ったものを選ぶこともできます。
目を休ませる
仕事でパソコンを見続けていたり、長時間スマートフォンを見ていたりすると目は疲れてしまいます。適度に目を休ませて疲れを取ってあげるだけでもあります。目が疲れていると感じた時にはホットタオルをあてると少し楽になります。寝る直前まで強い光を見ないなど改善することが大切です。
早期発見のために
黄斑円孔や網膜剥離など痛みを伴わない病気は発見が遅れてしまいがちです。
発見が遅れることで視力の低下や失明など重症化してしまうことがあります。例え痛みを感じていなくても、物が見えづらくなった、光を強く感じるようになった、黒いゴミのようなものが見えるといった症状がある場合はすぐに眼科を受診してください。
視力の低下だけではなかなか病院に行くことはないかもしれませんが、検査を受けることをオススメします。
まとめ
黄斑円孔について書きましたがいかがでしょうか?目の病気は失明の可能性があったり怖いものが多いです。早期発見、早期治療が回復するため、悪化させないために重要になります。視力が下がったと感じたら何かしらの病気が隠れているかもしれません。視力検査もかねて一度受診してみてはいかがでしょうか。