陰部はデリケートな場所です。もし違和感があったり、痛みがあってもなかなか医者に行きづらかったり人に相談出来ないですよね。
もし今あなたの陰部に痛みや腫瘍、ぶつぶつした出来物があるという場合、ヘルペスに感染している可能性があります。
陰部のヘルペスは『性器ヘルペス』といい、Genital Herpesの頭文字をとってGHとも呼ばれています。日本での感染者数は年間7万2千人です。
こちらでは性器ヘルペスの症状や感染原因、治療についてまとめました。
この記事の目次
ヘルペスって何?
ヘルペスとはそもそもなんでしょう。名前を聞いた事がある方も多いヘルペスですが、主に性病のイメージがあるのではないでしょうか。
ヘルペスとは、ヘルペスウイルスの感染症です。
ヘルペスウイルス自体は
- 単純ヘルペスウイルス1型…口唇ヘルペス、角膜ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎など
- 単純ヘルペスウイルス2型…性器ヘルペスなど
- 水痘・帯状疱疹ウイルス…水ぼうそう、帯状疱疹
- エプスタイン・バーウイルス…伝染性単核症
- サイトメガロウイルス…肺炎、網膜炎
- ヒトヘルペスウイルス6…突発性発疹、脳炎など
- ヒトヘルペスウイルス7…突発性発疹
- ヒトヘルペスウイルス8…カボジ肉腫
の8種類あります。このうち陰部に感染するウイルスは単純ヘルペスウイルス2型です。
意外と思われる方も多いと思いますが、ヘルペスは性感染症だけではありません。水ぼうそうや赤ちゃんのかかる突発性発疹なども同じ種類のウイルスが原因なのです。
陰部がヘルペスに感染するとどんな症状があるの?
陰部がヘルペスになると様々な症状が現れますが、男女で症状が違います。平均的に性交から3日~1週間の潜伏期間を経て、かゆみなどの症状が発症します。
また、初めて陰部がヘルペスに感染した時にもっとも重い症状が出ると言われています。
男性の場合
男性が性器ヘルペスに感染すると、亀頭や陰茎部分を中心に太ももやおしり、肛門周囲、直腸の粘膜に以下の症状が現れます。
- かゆみ、ヒリヒリ感やむずがゆさがある
- かゆみを伴った赤いぶつぶつが出来る
- 水ぶくれが破れ、ただれている
- 米粒大の水ぶくれが出来る
- 発熱がある
- 太もものリンパが腫れる、または痛みを伴う
- 歩くと痛みがある
症状がある場合、泌尿器科で診察してください。
女性の場合
女性が性器ヘルペスに感染すると、男性より重症化しやすいと言われています。また、女性は男性の2.4倍、性器ヘルペスの感染率が高いとのデータがあります。
外陰、腟の入口、おしりが主に症状が出る場所ですが、場合によっては子宮頸管や膀胱まで感染が広がることもあるそうです。
- かゆみ、ヒリヒリ感やむずがゆさがある
- 排尿しようとする、歩くと強い痛みを感じる
- かゆみを伴った赤いぶつぶつが出来る
- 米粒大の水ぶくれが出来る
- 水ぶくれが破れ、ただれている
- 発熱がある
- 太もものリンパが腫れる、または痛みを伴う
女性の場合はさらに単純ヘルペスウイルスが髄膜にまで到達し、髄膜炎を引き起こすこともあります。髄膜炎になってしまうと強い頭痛や尿が出なくなるといった症状が引き起こされます。
思い当る症状がある場合、婦人科で受診してください。
ヘルペスになる原因は?
初感染の原因はそのほとんどが性行為ではありますが、避妊と違いコンドームをしていたからといって感染を防げるものではありません。
または自分が性器ヘルペスではないから、パートナーが別の人と性行為をしたんだといった決めつけはとても危険です。
なぜなら性器ヘルペスは自覚症状がないまま感染しているケースが大半のウイルスだからです。
性行為以外の感染原因としては
- 単純ヘルペスウイルス1型に感染して口唇ヘルペスになった人とオーラルセックスをした。または口唇ヘルペスを手で触った後に陰部を触った
- ウイルスがついたタオルを使った
- 洋式便座を共用した
- お風呂の椅子を共有した
が考えられます。
この中で1のヘルペスに感染した人の陰部に触ったり、口などに触れたことで感染するケースはコンドームで防げませんので注意が必要です。
また、一般的に性器ヘルペスになった場合ついパートナーの浮気を疑ってしまいますがこのように性行為以外の感染ルートもあります。
性器ヘルペスをカミングアウトされても、むやみやたらに浮気やふしだらな性生活と決めつけない様にしましょう。相手を傷つけてしまう恐れがあります。
性器ヘルペスに感染している人の大多数は症状が出ません。
パートナーを疑っていた自分の方が、実は知らない間や以前の交際相手から性器ヘルペスをうつされ、感染していたというケースもありますので、病気の話や治療の話はお互い慎重に行いましょう。
陰部のヘルペスはどうやって治る病気なの?再発の可能性は?
陰部のヘルペスについての治療方法を紹介します。
治療方法
性器ヘルペスの治療には、主にウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を投薬する治療を行います。
抗ウイルス薬の種類は、バルトレックス、ゾビラックスが有名どころです。
ゾビラックスは作用時間が短い為、1日4~5回の服用が必要でしたが、バルトレックスは作用時間の欠点を改良した薬で1日1~3回の服用で済むようになっています。
どちらも胃腸薬(タガメット)、痛風薬(ベネシッド)、喘息薬(テオドール)、免疫抑制剤(セルセプト)などを服用されている場合は副作用が出るケースがありますので、医師に相談が必要です。
症状の出始めから薬を飲むことで症状の進行を抑えられますので、陰部に違和感を感じた場合は早めに泌尿器科、または婦人科で診察を行ってください。
症状が落ち着くまでの期間
性器ヘルペスは治療を受けずにそのまま放置した場合、女性の場合2週間から4週間、男性の場合は2週間から3週間症状が続いた後、落ち着くそうです。
発熱やだるさの症状は3~4日で収まる事が多いそうですが、足の付け根のリンパ節が腫れた場合は20日程症状が出続ける可能性もあります。
しかし、1ヶ月近く性器ヘルペスの症状に悩まされるのはかなりつらいものがあります。
医師によって適切な治療が行われた場合は平均して1週間程で症状がおさまりますので、早く治すためにも放置せずに病院へ行きましょう。
再発
性器ヘルペスは非常に再発率の高い感染症です。性器ヘルペスに感染した患者の8割は1年以内に再発しています。
実は、ヘルペスウイルスは治療によってウイルス自体を全て撃退する事はできません。
ですので身体の中の神経節に潜んでいて、体力や免疫力が落ちたときに再発症してしまいます。女性の場合は月経が来るたびに再発してしまう人も多いそうです。
一般的に再発の場合は初めてウイルスに感染した時より症状は軽くなるようです。再発防止には、体力づくりと免疫力をあげる方法がいいでしょう。
免疫力を高めるには、
- 健康的な食生活
- 適度な睡眠
- ストレスを溜めないようにする
- 起きたら朝日をきちんと浴びる
- よく笑う
- お風呂に浸かる
といった方法がありますが、以下にあてはまる方は免疫力を上げるよりも治療方法など医師に相談する必要がありますので注意して下さい。
1.妊娠中の感染や再発
妊娠中に性器ヘルペスに感染したり、感染中である、または再発した場合必ず医師に相談してください。
なぜなら、性器ヘルペス感染中に出産すると産道感染といって、産道から赤ちゃんに感染してしまう可能性があるからです。
もしヘルペスウイルスが赤ちゃんに感染し、脳炎を発症させた場合には赤ちゃんが死亡してしまったり、重大な後遺症が残る可能性があります。
ヘルペスに感染している可能性がある場合は、医師に相談しましょう。妊娠中は飲み薬が使えないケースが多いため、塗り薬で治療する事になります。出産時に症状が出ている場合は産道感染を防ぐために帝王切開の出産に切り替えるケースが多いようです。
2.再発が年6回以上ある
年6回以上の再発がある方は『再発抑制療法』という治療法があります。
再発抑制療法とは毎日薬を服用して、再発の前にウイルスの増殖を抑えて症状が表に出てくるのを防ぐ治療法です。
2006年9月より保険適用になった治療法なので、まずは医師に相談してみましょう。
感染しない、させないようにするにはどうしたらいい?
予防方法を知っておきましょう。
感染力はどのくらい?
性器ヘルペスのウイルスは症状が出ているときほど非常に感染力が強く、治療をしてもウイルスを根絶する事が出来ません。
一度感染すると、一生身体のどこかに性器ヘルペスのウイルスが潜んでいるといわれています。
ここまで聞くと不安を与えてしまうかもしれませんが、性器ヘルペスは症状が出ていないときには感染率の低いウイルスです。熱や乾燥に弱いウイルスの為、環境に適応しにくく感染力も安定しないため、そこまで神経質になる必要はありません。
感染しない、させないためには
性感染症の予防はコンドームが有名ですが、性器ヘルペスにおいては性器以外(口唇ヘルペス等)の患部があるため、コンドームでも完全に感染を防ぐことはできません。
症状が出ているときは特に感染しやすいため、性行為はもってのほかですが患部に触った手をよく洗うように心掛けたり、タオルを分ける事で感染率を下げる事はできます。
性行為の際はもちろん、性器ヘルペスの症状が出ている場合は家族などが感染しないように気をつける事が大切です。
まとめ
陰部の違和感から、性器ヘルペスの可能性についてお伝えしてきました。
陰部の悩みは、例えパートナーに対してでも相談しにくくあり、それが感染症であれば浮気などを疑われてしまう原因ともなる為自分の中に抑え込みがちです。
しかし、正しい知識を持っていれば、誤解される事なく前向きに治療に当たれる病気でもあります。大切なパートナーにウイルスを感染させないためにも、自分で出来る事は何かをしっかり認識する事が大切です。
泌尿器科や婦人科に抵抗を感じる方も多いと思いますが、受診すると治るまでのスピードが段違いですから、早めの受診を心がけましょう。
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