突然「キーン」「ピー」といった音が聞こえてきたと思ったら数秒後に消えていく…そんな耳鳴りを経験したことがある人は少なくないかと思います。
トンネルに入った時や飛行機の中でなど、気圧の変化が起こった時にも、耳の奥で「キーン」と鳴ることがありますよね。不快な現象ではありますが、大抵の場合は一時的なものですぐに消えてしまうので、問題の無いことがほとんどです。
しかし中には頻繁に耳鳴りが聞こえ、しかも止まらずに鳴り続けている、という人もいます。小さな音であっても延々と鳴り続けるということはかなりの苦痛を伴い、ストレスも溜まり、生活に支障をきたすこともあるかと思います。
そこで今回は止まらない耳鳴りの原因や症状、考えられる様々な病気、耳鳴りの対処方法、そして予防方法についてをまとめてみました。耳鳴りでお悩みの方は是非チェックしてみて下さい。
耳鳴りの種類と症状
耳鳴りは大きく分けて「自覚的耳鳴り」と「他覚的耳鳴り」の二つの種類に分けられます。
それぞれの種類にはどのような症状があるのか、見ていきましょう。
自覚的耳鳴り
他人には聞こえず、自分だけが聞こえる、音を感じるのが自覚的耳鳴りです。耳鳴りを訴える人のほとんどがこのタイプの耳鳴りかと思われます。
就寝前等のシーンとした静かな中で起こる等の生理的現象のものと、何等かの病気が原因となって起こるものとがあります。
生理的現象の場合は当然問題はなく、治療の必要もありません。意識しているとしばらく鳴り続けることがありますが、意識をしなければ聞こえなくなってきます。
病気が原因となっている場合は、その病気を治療すれば治まる場合がほとんどです。
他覚的耳鳴り
耳鳴りというと他人には聞こえない音だと思われるかと思いますが、他覚的耳鳴りは他人にも聞こえる耳鳴りです。
他人に聞こえるというのは、主に医師が聴診器をあてて聞くことができるという意味で、二つの種類に分けられます。
一つ目は筋肉(特に耳周辺の筋肉)が痙攣することによって、”コツコツコツ…”といったような一定のリズムを打った音が聞こえるものです。
二つ目は高血圧等によって耳周辺の血液が流れる”ザーザーザー…”というような音が聞こえるものがあります。
耳鳴りの原因
耳鳴りは、私たちの日常生活の中に原因があることも多いようです。発症する主な原因をまとめました。心当たりがある場合は注意しましょう。
ストレス
ストレスは耳鳴りの発症に大きな影響を与えている原因の一つと言われています。
ストレスを長く受け続けていると自律神経が乱れ、それによって耳鳴りが生じる場合が多いからです。
ストレスが原因となっている場合はめまいも一緒に起こるが多く、それが更にストレスとなって悪循環となり、症状がなかなか治まらないことがあります。
大音量
ヘッドホンやコンサートで大音量で音楽を聞いた時、爆発音等を間近で聞いた時等に耳鳴りが起こることがあります。
耳鳴りの他に、耳が詰まったような感覚になり、音が聞こえにくくなります。
耳の蝸牛と呼ばれる器官が損傷することにより発症しますが、程度によっては時間と共に自然と元に戻ります。しかし、損傷が大きい場合は早期に治療を受けないと回復が難しくなる為、病院を受診することをお勧めします。
異物混入
プールやお風呂で水が耳に入ってしまったり、耳垢が溜まっている場合、”ガサガサガサ…”というような耳鳴りが起こる場合があります。
原因となっているものを取り除くことで治りますが、無理に取り除こうとすると耳を傷つけてしまう可能性もあります。
取り除くことが難しい場合は病院で安全に取ってもらいましょう。
薬の副作用
解熱鎮痛剤や抗うつ剤等の薬の副作用によって耳鳴りを引き起こすことがよくあります。
特に腎臓疾患で処方される薬に多く見られます。
副作用が長く続く、苦痛を伴う場合は医師に相談し薬を変えてもらう等の対応をしてもらいましょう。
病気によるもの
耳鳴りを症状として持つ病気は幾つもあります。
耳鳴りが主な症状となるものから、前兆や病気のサインとなるもの、軽度なものから重篤なものまで、病気の種類は非常に幅広いのです。
次に考えらる病気を具体的にご紹介していきます。
耳鳴りの症状が考えられる病気
それでは耳鳴りが止まらない場合に考えられる病気を幾つかご紹介していきましょう。
突発性難聴
突発性難聴はその名の通り、突然難聴を発症する病気です。
多くは片耳に発症し、何の前触れもなく突然キーンという激しい耳鳴りが生じ、めまいと共に耳が聞こえにくくなる、あるいはまったく聞こえなくなります。
原因ははっきりと分かっていませんが、ウイルス感染や循環障害、ストレスによって引き起こされると言われています。
回復の為には早期治療が鍵となっており、治療が遅れるほど回復が難しくなります。
老人性難聴
老化に伴う生理的な聴力の低下による難聴が老人性難聴です。最初は高音から聞こえにくくなり、次第に会話や低音まで聞こえにくくなっていきます。
通常両耳均等に発症し、キーンとした耳鳴りが響きます。
「音自体は聞こえても、何を言っているのか理解できない」といった言葉の聞き取りが低下するのが特徴となります。
生理的変化ですので治療を行うのではなく、進行によって補聴器を使用することが必要となります。
メニエール病
回転性めまい、片耳に強弱のある低音の耳鳴りが起こるのが大きな特徴です。
回転性めまいによって強い吐き気を伴うこも多いです。この発作は数十分~数時間続くことが多く、数秒の短い場合もあります。
発作が発生する頻度も様々ですが、何度も繰り返すことによってメニエール病と診断できます。
ストレスが最も大きな原因とされており、耳鳴りやめまいを抑える為の薬だけでは根本的な治療とならない場合が多い為、ストレスケアの為のカウンセリングや薬物治療、生活習慣の改善が必要となってきます。メニエール病については、メニエール病の完治の期間は?原因や治療方法についての記事を参考にしてください。
自律神経失調症
耳鳴りによって病院で各器官の検査をしても原因が見つからない場合、自律神経失調症である可能性が高いようです。
活動する時に働く交感神経と休養中に働く副交感神経のバランスが崩れ、動悸、冷え、冷や汗、不眠、イライラ等の全身の様々な不調と共に耳鳴りも生じることがあります。
メニエール病の影に自律神経失調症が隠れている場合もあり、やはりストレスが最も大きな原因とされています。
外耳炎・中耳炎・内耳炎
耳の穴に炎症が起こる外耳炎、鼓膜に菌が入り膿がたまる中耳炎、中耳炎が悪化し内耳にも炎症が起こる内耳炎。
これらの炎症によって耳鳴りが生じます。
耳だれや難聴を伴う為、耳に異常が起きていることが分かりやすいかと思います。
内耳炎ではめまいや吐き気が起こることも多い為、いずれにしても異常を感じたらすぐに病院を受診しましょう。
炎症を治療することで、耳鳴りも治まります。
外耳炎については、外耳炎の治し方を紹介!症状によって変わる治療方法とは?
中耳炎については、中耳炎が大人に現れるとどんな症状?治療方法も紹介!
それぞれ参考にしてください。
聴神経腫瘍
聴神経の周辺にできる良性の腫瘍です。初期段階では軽い耳鳴りが生じますが、進行とともに強くなります。特に片耳で起こります。
あわせて難聴や顔面麻痺の症状も現れ、めまいを繰り返すようになってきます。
頭部のMRIでの検査が必要となり、その後腫瘍摘出手術が行われることになりますが、腫瘍の大きさによっては脳神経の損傷が合併症として起こったり、手術後も難聴や顔面麻痺が残ってしまう場合があります。
その為、顔面麻痺等を感じた場合は検査設備の整った病院をすぐに受診して下さい。
脳腫瘍
脳腫瘍の初期症状の一つに耳鳴りがあります。
その他、
- 起床時の頭痛
- 吐き気
- 視界が一部欠けている
- 片方の手足がしびれたり動かしにくい
- 呂律(ろれつ)が上手くまわらない
といった症状を伴います。これらの症状が思い当ったら、すぐに病院を受診することが大切です。
原因ははっきりと明らかにされていませんが、ストレスや喫煙、高脂肪の食生活、放射線、電磁波、遺伝等が原因として挙げられています。
高血圧
最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上が続くと高血圧症と呼ばれます。
耳鳴りの特徴は先に挙げた「他覚的耳鳴り」とされる血液の流れる”ザーザーザー…””トクトクトク…”といった音が聞こえます。
治療の為に使われる降圧剤によって耳鳴りが聞こえる場合もあります。
高血圧は放置していると脳梗塞や脳出血の原因となることもありますので、病院での治療や日頃の食生活、生活習慣の改善が必要となります。
貧血
貧血になると血流が悪くなり、脳に十分な血液や酸素を送ることができない為に耳鳴りが起こります。血の量が少ない訳ではなく、血液中のヘモグロビンが減少し血が薄くなっている状態です。
耳鳴りの他に、頭がクラクラしたり、むくみ等も起こります。
これらの症状と共に、まぶたの裏側が白くなっていると貧血の可能性が高い為、是非ご自分でチェックしてみて下さい。
プルーンやワカメ、豆類等、鉄分を多く含む食品を摂り、貧血を改善させれば耳鳴りも治まってきます。酷い場合は病院で鉄剤を処方してもらえますので、受診してみて下さいね。
耳鳴りが止まらない時の対処法
耳鳴りに襲われた時にできる簡単な対処法をご紹介します。少しでも苦痛が緩和するよう、試してみて下さい。
深呼吸
ストレスや緊張により耳鳴りが生じたり強くなる場合が多い為、耳鳴りが起きたらまずはゆっくりと深呼吸をし、体をリラックスさせてみて下さい。
可能であれば横になり、少し休むことで治まってくることが多いです。
ツボを押す
耳鳴りに効くツボがあります。
- 聴宮…耳の穴の手間、口を開けて窪むところ。円を描くように指圧。
- 翳風…耳の後ろの窪み。強めに指圧。
- 完骨…翳風の下。指二本を使って翳風と一緒に指圧しましょう。
- 風池…襟足の髪の生え際にある窪み。親指で斜め上に引っ張るように指圧。
- 中渚…手の甲の薬指と小指に繋がる骨の中間。強めに指圧。
- 太谿…足の内側のくるぶしとアキレス腱の間の窪み。円を描くように指圧。
耳鳴りを感じたら、これ等のツボを指圧することで症状が緩和することがあります。
病院を受診
耳鳴りの症状をもつ病気の場合、放置したり治療が遅れることで回復が難しくなったり、命に関わる危険な状態に進行する可能性があります。
自己判断せずにまずは耳鼻咽喉科を受診し、しびれを伴う場合は脳神経外科を受診しましょう。
高血圧等の持病がある場合はかかりつけの医師に相談し、適切な対処をしてもらうことが大切です。
耳鳴りの予防法
耳鳴りを事前に予防することはできるのでしょうか?
ストレスを緩和する
ご紹介してきた通り、ストレスによって耳鳴りが引き起こされることがよくあります。
ストレスを解消できる趣味や運動に没頭したり、入浴や音楽、アロマや睡眠等ゆっくりリラックスする時間を大切にすることがとても大切です。
血行を良くする
血行不良によって耳鳴りが生じる場合も多くあります。
ストレス緩和と同様に、適度な運動や入浴を意識し、体が冷えないように生活習慣を改善していきましょう。血行を促進する方法は、血行を促進するための7つの方法!今日から健康な生活を!の記事を読んでおきましょう。
規則正しい生活
自律神経を整えると免疫力が高まる為、耳鳴りだけではなく様々な病気にかかりにくくなります。
その為には毎日できるだけ決まった時間に起床・食事・就寝をし、バランスのとれた食生活、睡眠不足の解消をしていきましょう。
まとめ
生理現象として問題のない耳鳴りもありますが、耳鳴りが止まらなかったり何度も繰り返す場合は、何等かの病気のサインである可能性がとても高いようです。
しかも命の危険に関わる重大な病気の初期症状としても現れますので、少しでも異常を感じたら必ず病院を受診して下さい。
また、耳鳴りを予防・改善する為に、日頃からストレスケアをすることもとても大切です。
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