私たちの鼻はとても敏感です。日常生活の中で自然とどんなにおいかを嗅ぎ分け「いいにおい」と「臭いにおい」のどちらかに選別しています。
みなさんは、すーっと鼻で息をした時、「なんだか臭い!?」と思ったことはありませんか? もしかすると、周りの臭いや自分の体臭ではなく、あなたの鼻の中からにおっているのかもしれません。まさか鼻がにおうなんて…と思うかもしれませんが、もし自分の鼻の中がにおっているとしたら、ずっと臭いにおいを嗅ぎながら生活することになります。それは、かなりストレスで気分も滅入りますよね。
そこで、なぜ鼻の中が臭くなるのか、その原因と対策についてご紹介します。
鼻が臭い原因は?
昨日までは臭くなかったのに、今日になって気づいたら鼻の中がとても臭いというケースが多いため、ほとんどの人がその急な変化に驚き、とまどいます。とはいえ、臭いといってもいったいどんなにおいなのでしょうか。どういうにおいかをまず表現してみましょう。
- 腐ったチーズのようなにおい
- 魚が腐ったようなにおい
- アンモニアや硫黄のようなツンとするにおい
- 汗臭く、酸っぱいにおい
- 生ゴミやドブのようなにおい
鼻が臭いと感じる人はこのような様々なにおいを感じているようです。人によって感じ方はそれぞれですが、どれも強烈なにおいですね。
さらに、どんな時ににおいを感じるかも調べてみました。これも、下記のように人によっていろいろとあるようです。
- 鼻で息を吸うとにおう
- 鼻をこするとにおう
- 鼻くそや鼻水が出るとにおう
- 家に帰るとにおう
- ある特定な場所に行くとにおう
などがあるようです。においがあると、自分自身も常に臭くてつらいのはもちろん、においが充満して周りにも迷惑をかけているかもしれません。そして、原因がわからないと不安になる場合もあります。次から、原因についてひもといていきましょう。
皮脂や汚れのにおい
鼻には無数の毛穴があります。そこで分泌された皮脂が酸化することでにおう場合があります。皮脂が分泌される皮脂腺は毛穴の近くにあるため、鼻毛が多い人などはその分毛穴の数も多く、皮脂分泌量も多くなります。また、鼻毛自体も分泌された皮脂がたまってしまうことによって、酸化しやすくにおいの原因となってしまいます。
ホルモンバランスの乱れによるにおい
日々の溜まったストレスや不規則な生活によってホルモンバランスが崩れます。皮脂を抑制する女性ホルモンが低下するため、鼻の皮脂分泌が多くなり、結果皮脂の酸化からにおいが発生します。これは、男性に比べて女性の方がバランスを崩しやすいため注意が必要です。
また、炭水化物や脂質を摂りすぎると皮脂量の増加にもつながります。
周りの生活臭のにおい
例えば、焼き肉を食べに行くと髪の毛や洋服ににおいが付くように、鼻の中にもにおいが付着します。鼻の中や鼻水ににおいがこびりついたまま、それが鼻くそに変わり、そのままにおいが鼻の中に充満してしまいます。
他にも、空気中のホコリが鼻毛にこびりつき、鼻の中にある皮脂と混ざり合う事によって、悪臭が発生する場合もあります。結果、鼻の皮膚もにおいがするようにもなります。
シックハウス症候群によるにおい
シックハウス症候群とは、住宅を建てる時の建材に含まれる化学物質によって、室内の空気が汚染され、鼻の中の悪臭や、鼻づまり、かゆみ、めまい、吐き気などが起こります。
住宅の建材以外にも、カーテンや家具などからもなる場合があります。換気があまりされていない室内は、空気が汚染されやすく要注意です。シックハウス症候群の場合は鼻が臭いだけでなく、複数のつらい症状が出てしまいます。部屋の換気や空気をクリアにする市販のスプレーなどで対策が必要です。
鼻の病気:蓄膿症
蓄膿症は正式には「副鼻腔炎」と呼ばれます。インフルエンザや風邪などのウイルスや花粉症などのアレルギー症状、カビが原因となって、鼻の粘膜から副鼻腔と呼ばれる鼻の奥が細菌感染を起こし、炎症を起こした状態です。
この状態から悪化すると膿がたまり、蓄膿症と呼ばれる状態になります。膿がたまると、鼻がつまり、鼻の中がにおうようになります。
詳しくは、蓄膿症が臭い!症状や予防方法を知っておこう!を参考にしてください。
鼻の病気:臭鼻症
臭鼻症(しゅうびしょう)は、鼻の中の粘膜が乾燥や萎縮し、硬いかさぶたのような「痂皮(かひ)」がたまる病気です。
この痂皮が鼻の中で腐敗することでにおいを発します。呼吸ににおいが混ざって外に出てしまうため、本人はもちろん、周りにいる人も気づくぐらいの強烈な悪臭を放つと言われています。
鼻の奥からもにおう、強烈な蓄膿症について
鼻の奥に膿がたまることで、鼻の奥からにおい、さらに、鼻水にまじることで鼻の入り口もにおいます。そして、鼻水がのどにたれていくことで口もにおうようになってしまいます。
どんな症状になる?
通常は鼻から息を吸って、喉を通ります。その鼻と喉の通り道となっている副鼻腔に膿がたまり、通り道を塞ぐことで、臭いにおいを発する以外に次のような症状が出てしまいます。
- どろっとした黄色や黄緑色の鼻水が出る
- 鼻をかんでも奥に鼻水が残っている感じがする
- いつも鼻が詰まっている
- 鼻声になる
- 口臭がする
- 鼻や鼻の奥がいたい
- ぼーっとする
- 頭痛がする
- 鼻がつまっているため、においが分かりにくい
2つ以上あてはます場合は、蓄膿症の可能性がかなり高くなります。また、においは膿のタンパク質が菌によって発酵されてしまうため、ザリガニの腐ったにおい、生ゴミのようなにおいと表現されています。
においの元となるのは膿から
蓄膿症の初期は、鼻水がサラサラとしていますが症状が進むと黄色や黄緑色の粘り気のある鼻水になっていきます。これは、副鼻腔が炎症することで、粘膜がはれて膿がたまり、鼻水に膿が混じるせいです。この膿がにおいを発生させるもととなります。膿自体がにおって口臭のように感じることもあれば、喉に流れてきた膿まじりの鼻水がにおいを発することもあります。
さらに、鼻水によってはながつまり、鼻呼吸ができにくくなるため口呼吸が必然的に多くなります。口呼吸になると、口が常に開いている状態になるため、口の中は唾液が少なくなり、慢性的に乾いた状態になります。唾液は食べ物の消化を促したり、口の中に細菌が増えるのを防ぐ大事な役割があります。ですが、乾いて唾液不足になると、口の中に残った食べカスが発酵して臭いにおいを発し、口臭へとなっていきます。
蓄膿症の方は、口の中が乾燥しないように、こまめに水分をとって口内を潤すように心がけることが大切です。ただし、コーヒーや紅茶、緑茶などの利尿作用の高いものは、すぐに尿となって排出されてしまいます。できれば利尿作用のない、お水を選ぶのがベストです。また、ガムをかんで唾液の分泌を活発にすることもおすすめです。
強烈な鼻のにおいを撃退!
嫌なにおいを減らすためにできる対策方法を集めてみました。
セルフ鼻うがい
鼻から市販の洗浄剤や食塩水でうがいをし、菌や膿などを洗い出します。普通の水(水道水)では絶対にやらないようにしましょう。鼻や耳の奥が痛くなってしまいます。鼻うがいのポイントは下記になります。
- 100ccの水(ぬるま湯)に対し、9gの食塩を溶かし、食塩水を作る
- 片方の鼻の穴をふさいで、もう片方の鼻の穴から食塩水を吸い込む
- 一気に吸い込んだ食塩水を鼻から出す
- 左右の鼻の穴で2〜3回ずつ繰り返す
食塩水を吸い込んだ時、つばを飲み込まないように気をつけて、苦しくない程度に息を止めてから、鼻から出しましょう。また、喉や耳に入り込まないように、顔は下に向けたまま行なってください。
これで、鼻の中がきれいになるのを実感できます。鼻うがいの後は、鼻をかむだけでも、鼻水や膿が取れやすくなっています。また、市販の鼻うがい専用液もあります。
鼻水や膿を吸引
蓄膿症の方におすすめです。鼻水や膿を吸引してにおいの元を取る方法です。耳鼻科で治療の一環として行なってもらえます。
また、吸引でおいつかない重度の場合は、手術が必要になるケースもあります。これは自己判断がつきにくいため、必ず耳鼻科などの医療機関を受診しましょう。
毛穴の過剰な皮脂分泌を抑制
鼻の毛穴の皮脂分泌を抑えるために、クレンジングや洗顔を丁寧にすることもにおい抑制のひとつの方法です。
また、肉類などの脂っこい食事やスナック菓子を控えましょう。積極的に食べたいのは、抗酸化作用のあるビタミンをたっぷり含んだ緑黄色野菜や、腸内環境を整える食物繊維を含んだ食べ物です。これらをバランス良く食べることで、鼻の中の皮脂を抑えてくれます。
ストレスや睡眠不足もホルモンバランスを乱れさせるため、日頃から十分な睡眠やリラックスした時間をとるように心がけることも大切です。具体的な方法として、ゆっくりとお風呂に入る、スマホやPCを寝る前に使用しない、などがおすすめです。
マスクでホコリやチリをガード
空気中に浮遊するホコリやチリを鼻の中に吸い込まないようにするのも、においを抑える方法のひとつです。ホコリが舞いやすい掃除中や交通量や排気ガスの多い街中などでマスクを使用するのもおすすめです。
マスクでガードすることで、鼻の皮脂を混ざり合って発生するにおいを遮断してくれます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。鼻はとてもデリケートで敏感な場所だからこそ、臭いにおいを感じると、気持ちの面でもダメージがあります。皮脂による酸化でにおう場合は、生活習慣を見直し、ホコリなどをガードすることで改善されますが、蓄膿症などの病気は早めに耳鼻科へ受診するようにしましょう。
蓄膿症は放置すると、鼻や喉への負担はもちろん、頭痛や顔面痛、呼吸がしにくいなど複数の症状があり、日常生活に支障をきたします。何よりも本人が一番不快になるので、いち早く対処したいですね。