学校の健康診断、会社での健康診断につきものなのが、検便です。飲食店などで働いている従業員の場合は月に1回程の検便が行われている場合もあります。基本的には日本では必ず食品関係の従事者は行うことになっているはずですが、多なっていない場合もあるようですが・・・
この検便は、いろいろとわかることが多くたいへん重要な検査ではあるのですが、結構タイミングよく普通にお通じがあれば問題ないのでしょうが、多少下痢傾向の人や便秘傾向の人には、提出するときにうまい具合にお通じがなかったりで、採取に苦労することもあると聞きます。
また、取り方も色々と工夫する必要があります。さらに、採取した後、提出するまでの保管方法など、考えれば考えるほど悩むこともあります。
検便の時に提出する便はいつ摂取したものなら検査に出すことが出来るのでしょうか?そしてその期間の保存方法はどのようにしておけばいいのでしょうか。検便時に問題となる自分での検便の採取方法や採取期間、保存方法など検便や便に関する詳しい知識を培っていきましょう。今回は検便についてご紹介していきたいと思います。
検便を控えている人は是非参考にしてみてください。
検便で何を調べるのか?
検便は、提出するまでに色々と面倒ではありますが、これは調べる内容によっては、身体の異常が発生していた場合には非常に有効です。便というのはかなりの情報を持っているからです。
検便では具体的にどのようなことを検査しているのでしょうか。どの様な身体の異常や問題を発見することが出来るのかをしっておきましょう。
検便で検査する内容
主に調べる内容としては、便潜血検査と腸内細菌検査です。便潜血検査は人間ドックで行われ、便の中に血が混じっているかどうかで、これにより腸内の検査ができます。
それと、腸内細菌検査は腸に腸チフス菌やサルモネラ菌などが潜伏していないかどうかを調べる検査で、主に飲食店に勤めている人に行われます。食中毒などへの影響もありうるからです。また、定期的に出ていると問題はないのですが、下痢気味の人、便秘気味の人でも何かしら身体に問題があります。
また、いくら検査といっても腸の病気がすべて解ると言うことではありません。例えば、大腸がんでも、腫れが出て出血していれば異常が認められますが、出血してない、もしくはなんら腫れも無く、便に異常の兆候が見られないのであれば、当然見落とされます。
本来ですと定期的に内視鏡などで検査をする方が、より確実に病状を確認することはできます。その結果のみに安心せずに、なんら異常を感じる場合は、躊躇せずに別の検査をすることをお奨めします。
検便で検査できる感染菌や病気一覧
主に重要視される検査内容は細菌感染症で食中毒の感染症が広がってしまう危険性がある環境下では赤下痢、病原性大腸菌、チフス菌の3つの検査が行われます。その他にもサルモネラ菌やO157や腸管出血性大腸菌、また特に感染の拡大が大きくなる冬場の10月から3月の乾燥の多い期間にはノロウイルスの菌の検出も行います。
出血の問題についても、上部消化管出血(食道、胃、十二指腸)であるのか、下部消化管出血(小腸、大腸)であるのかを検査することも出来ます。
もし潜血反応が確認された場合は消化管の腫瘍や潰瘍などの問題が発生している事が考えられるので内視鏡などの精密検査を受診することが推奨されています。
腸などの消化器官の中の病気の中で最も危険となる病気は大腸がんになりますが、検便では早期の大腸がんを正確に判断することは出来ません。初期の症状の場合、陽性反応にならない場合もあります。大腸ポリープや大腸がんなどの病気については検査を陽性、陰性で検査する事は可能ですが、現時点では大腸がんの早期発見のためには、内視鏡検査の検査方法の方が有効でしょう。
検便の一般的なやり方
現在の検便は昔のマッチ箱に便を採取していた時期の検便方法に比べると大分、清潔で安全、正確に検査が行えるようになりました。現在の検便の一般的な検査方法について紹介していきます。
一般的な検査例
検便は、ほとんどが2回に分けて行います。通常、一週間にうちに2回という具合になります。一般的な採取方法は、トイレの水が溜まっている部分に多めにトイレットペーパーを沈めておき、(便に水が浸からないようにと便が沈まないようにするためです)その上に、支給されている若干強めの紙を敷きそこを土台にします。
水に沈んでしまうと便の成分が薄まってしまうので、出来るだけ沈まないように身体を便器の前面に近づけるようにして、水の上には便が落ちてしまわないようにしていきましょう。検便の場合は和式の様式の場合は特に注意してみてください。
便が無事排出されたら、スティックのギザギザで便が取れるように便の表面を撫でるようにこすりつけて採取します。あまり多すぎると、それを治めるケースから溢れたり、ふたの部分に付着しますので、気持ち少なめの要領でふたをしてください。
後はその残った便を流すだけです。この要領で別の日に2回目を行ってください。便の表面を撫でるようにする理由としては、ここ一番血がつきやすいからです。つまり、腸の粘膜に異常がある場合には、便の表面にそのものが付きやすいからだということです。
あと、いつ出るか分からないという人もいますが、このような人は結構持ち歩いていざというときに対応しているようですが、それはあまりよろしくないかと思います。保存の温度等が問題になるからです。
最後に検便の容器に検査キットに同封されている自分の名前や番号が記載されているラベルを貼り付けて、封筒などの入れ物に入れて提出もしくは検査会社に直接送付する形になります。
なぜ2回も取るのか?
これは1回の検査でわからないケースもあるからです。最初の便では検査対象の状態でないものが、2回目で出ることがあるからです。検査は回数を多くすれば精度が上がるということですが、まさしくその通りということです。また、無理に2回を採取する必要はないということです。つまり、出ないのであれば1回の検便の提出で充分ということです。
以前検査機関に聞いたことがあるのですが、1回しかサンプル回収ができないのであれば、1回分だけでも出してくださいということでした。1回分のものでも、充分に検査できるということです。ですから、逆にいうと2回を無理に出さないでもいいとこうことになります。
そういう意味でも、検便がストレスの人にとっては、気が楽になるのではないでしょうか。
不正出血などの症状がある場合
もし、採集者に痔の症状や生理などで出血が発生している場合には症状が落ち着いている時期に採取しないと、それらの問題からの出血で検査でヘモグロビンが検出されていまい、正確な検査が出来ないことが多くなります。
どうしても、出血が便に混ざってしまうと、出血の陽性反応が出てしまうので注意しましょう。生理の場合は周期をずらしたり、痔の場合は出血や炎症が静まっている時期に採取を行うようにしましょう。
会社などの検査の場合、集団で検査を行うので提出期間が決まってしまっているので、痔や生理などの場合でも採取して提出しなくてはいけない事もあるかと思います。痔などの影響で出血の陽性反応が出やすいですが、大腸や胃からの出血の可能性も0とは言い切れません。
出来れば1年以内に消化器科や内科などで内視鏡検査を行って精密に調べて、病気の問題が発生していないか検査することをおすすめします。
下痢でも検便は可能か?
基本的には下痢であろうと、便に水分が多くなっているだけなので下痢であろうと採取できれば検便に出すことが出来ます。しかし水に流れ込んでしまわないように十分注意して便を出すことが必要になります。
また、下痢の原因が何かしらの菌によるものの場合は確実にその菌が検査結果に上がってくることは覚悟しておかなくてはいけません。また、しっかり管理しないと、感染してしまう菌やウイルスが原因である場合は保管の人に感染を広げてしまう危険性もありますので、保管は厳密に行うようにしましょう。
提出までの保管方法と期間
では、検便の採取方法について紹介が終わった所で、検便の保管期間や保管方法などについて紹介していきたいと思います。
検便は時間経過とともに劣化してしまったり、正常に検査できない状態になってしまうと再検査になってしまうので注意しましょう。
検便の保管期間はどのくらい?
便の採取ですが、だいたいどれくらい前に採取すればいいかというと、1週間から5日前だということです。それ以上ですと、めったにないことではありますが、菌の発見や逆に菌が増殖し、再検査の恐れがあります。保管する環境にもよるとのことですが、あまり早く採取するのはよくないようです。
採取して長期間保存している場合でも、そこから提出してから検査会社に検便が届いて検査を実際に行うまでは更に時間が経過してしまいます。理想としては採取から3日以内に提出が完了するように提出の3日前からの3日間の間でタイミングを見計らい忘れないように採取していきましょう。
特に夏場には気温の上昇や湿度の関係から劣化の進みが早いので注意しましょう。
検便の保存方法について
無事に採取した検便ですが、保管方法については色々と諸説あるようです。「冷暗所」の保管とありますので、暑すぎず、暗く直射日光の当たらない場所での保管が正しいといえます。稀に、冷蔵庫で保管する方もいるようですが、そこまでの必要はありません。
冷蔵庫に保管するのが本当はいいのですが、冷蔵庫は一般的に食品を保管しており、それらの場所に例え短い期間といえども、保管しておくのはちょっと感覚的に気持ちのいいものでもありません。確かに厳重に袋に入れておけばいいかもしれませんが、検査機関の言い分としては、そこまでの必要はありませんとのことです。
保存方法についても季節や地域によっては保存の方法には十分注意する必要があります。特に夏場や沖縄、鹿児島などの暑さの厳しい地域では、直射日光の影響をあまり受けないところでの保管や、なるべく涼しいところでの保管を行うようにしましょう。
便の内容とは何か?
検便で採取するべんですが、実際に何が含まれているのか気になる人もいるでしょう。我々が普段から排出している便にはどんな成分が含まれているのでしょうか。
便の内容物に関して紹介していきます。
便の内容物はほとんどが水分
便は、主に水分が占めています。それ以外は食べたものが消化された不要物や入れ替わった内臓の細胞組織がほとんどです。ですから、体内に水分が少ない人は、なかなか出にくい状態になります。
通常のバナナ状の健康な便でも水分量は70%程の水分が含まれています。軟便や下痢と言われる便については80%以上の水分量になります。更に水分量が増えて90%以上になると、水下痢と呼ばれるほぼ水の便になります。
採取しやすい便の出し方
検便を取らなくてはいけないのに、便秘やタイミングを逃してしまってなかなか便が出ないという事はよくありますよね。普段は普通に出るのに、プレシャーがかかってしまうと出づらくなってしまう緊張に弱い人も最近の日本には多くなっています。
過敏性腸症候群などの人は特にこの問題につながりやすいのではないでしょうか。そんな場合に有効な対処法を紹介します。便をしっかり出して検便に間に合わせましょう。
食物繊維で便を出しやすくする
便は主に水分といっても、水分ばかりを取るだけでは、通じとして出てくれるわけではありません。腸の中で便となりやすい、食物繊維が必要です。
この食物繊維は最近の人がとる量が昔にとる量と比べて減っているということです。そういう意味では、最近では便の出にくい人が増えているようです。特に普段、便秘気味の人は、検便のときは頭を悩ますかもしれません。
そのような時の対処法は人それぞれですが、主に、食物繊維の多い食品を取る事をお奨めします。豆類、穀類、野菜類、海藻類などです。食物繊維も水溶性と不溶性があり、しいたけ等のきのこ類、わかめなどの海藻類で、不溶性は大豆などのまめ類、ごぼうやサツマイモなどの野菜類です。
どちらもバランスよく取ることが望ましいと思われますが、便のかさを増やすには不溶性、便をやわらかくしたいなら、水溶性をとることで解消すると思われます。
水を多めに摂る
また、普段から水を飲むのが少ない人は、出にくいようです。特に注意していただきたいのは、水分をとっていればいいと考えている人です。水分ですと、コーヒーとかビールとかをたくさん飲んでいるから大丈夫という人もいますが、水と水分とでは全く違います。
コーヒーやビール等は利尿作用があり、逆に水分が体から排出されてしまいます。つまり、水分が減ってしまうのです。必要なのは、水です。普通の水を1日1リットルから1.5リットルを飲むように心がけましょう。
油分で便の動きを滑らかにする
オススメなのは、消化に良く油分を多く含んでいるラーメンなどが便を出しやすくするのに効果的です。中でもとんこつラーメンがオススメで、豚の油の油分で腸内に溜まっている便の動きを滑らかにします。
もし、油分が他入りていない人は動物性の油分や、オリーブオイルなどをふんだんに使用したパスタなどを食すと良いでしょう。
腸内細菌のバランスを整える
通常のお通じでない場合は、やはり普段の食事の影響が大きいでしょう。また、腸内の菌の状態も影響があり、俗に言う善玉菌という乳酸菌の種類が、普段のお通じにも影響を及ぼしています。これらは一般的にヨーグルトなどで増やすことが可能とのことですが、一部の人には、ヨーグルトは動物性なので合わず、発酵したキムチや納豆などの植物性の乳酸菌が合うという人もいます。
まとめ
いかがでしたか。意外に常識的に考えていたことが、実はその反対だったということもあったのではないのでしょうか。検便自体は、さほど重要な検査といえない向きもありますが、それでも毎年多くの人がこの検査で異常を発見し、早期に治療を行い、その病気を完治した人は非常に多いといいます。健康診断の一つと捉えて、大したことはない検査だとは思わず、きちんと検査は受けましょう。
検便は2種類の検査がある
無理に2回も提出する必要はない
出ないときは、食物繊維を含む食品を食べる
思わぬ病気が発見される
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