イネ科アレルギーとは?症状や検査方法、対策方法を紹介!

花粉症の時期が終わっているはずなのに、いつまでも花粉症のような目のかゆみがある、咳がつづく、身体がだるい、熱っぽく感じる。

この時期は毎年、夏風邪をひいてしまうというあなた、もしかしたら、イネ科のアレルギーかもしれません。思い当たる症状はありませんか?

イネ科のアレルギーってどんなもの?

稲穂

俗に言うイネ科アレルギーは、花粉症の一種です。イネ科の植物の花粉によってひきおこされます。

症状は花粉症とほぼ同じなのですが、イネ科の植物は身近に多種あり、2月から10月ごろまで長期にわたりさまざまな植物が花粉を飛ばすため、その時期にあった予防・対策が必要になってきます。時期的に夏風邪と思ってやりすごしてしまい、翌年から症状がひどくなってしまうこともあります。

イネ科アレルギーは、他の特定の食べ物アレルギーを引き起こしたり、小麦アレルギーになったりするリスクが高まります。そうなると、食べ物からのアレルゲン(アレルギーの原因となるもの)摂取と花粉からのアレルゲン摂取が重なり、負荷がかかり、症状がひどくなることや、アナフィキラシーショックを引き起こす可能性も出てきます。

そうならないためには、状態を良く知り、適切な予防と対策をすることです。まずは、主な症状と、夏風邪との違いから見てゆきましょう。

イネ科アレルギーの主な症状

・水っぽい、無色の鼻水が出る。

夏風邪では、水っぽい鼻水が出るということはあまりありません。風による炎症で出る鼻水ならば黄色っぽくなるものですが、水っぽい鼻水が垂れるように出てくる場合、花粉症が疑われます。

・連続でくしゃみが出て、とまらない。

花粉症だけでなく、アレルギーの症状として顕著な症状です。アレルギー性鼻炎の可能性もあります。くしゃみは意外と体力を消耗し、集中力の低下をもひきおこします。時には強いくしゃみで肋骨骨折なども引き起こす可能性があります。

夏風邪といわれるウィルス性の風邪にかかった場合にもくしゃみは出ますので、原因がはっきりするまでは、飛沫感染を防ぐためにも、マスクをして、病院で検査してもらいましょう。

・熱はないのに、体がだるく、熱っぽい感じがする。

夏風邪との大きな違いです。ウィルス性である夏風邪は高熱が出ることが多く、高熱でなくても微熱が出ますが、体温計で計っても熱はないのに体がだるいというときには、花粉症の可能性を疑いましょう。

・喉の痛みはないが、咳が出る。

ウィルス性の夏風邪では、喉の痛みがひどい場合が多いのですが、花粉症の場合は喉の痛みはほとんどありません。風邪でもないようなのに咳がとまらないときは、花粉症の可能性があります。

・目がかゆい。

花粉症の顕著な症状のひとつです。目がかゆいときには、こすってはいけません。症状が悪化することもあります。すぐに病院で見てもらいましょう。放っておいて、失明する人もいないわけではありません。

その他の症状

上記にあげた症状だけでなく、吐き気やめまい、低血圧、意識がもうろうとする、蕁麻疹が出るなどアナフィキラシーショックを起こすこともあります。

アナフィキラシーショックとは

アレルゲンを食べたり、吸い込んだりして、アレルギー症状の発症後に、きわめて短い時間のうちに、全身にアレルギーの症状が出ることです。

主に食べ物やハチの毒、薬物などが原因となり、また運動性のものもあります。複数の臓器、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器官、循環器官などに同時に影響が出るため、血圧の低下や意識障害を起こすこともあり、場合によっては生命の危険に及ぶこともあります。

イネ科アレルギーかどうか知るには

血液検査

病院で検査する

耳鼻科・耳鼻咽喉科へ行きましょう。内科や小児科でも出来ますが、検査の結果でイネ科アレルギーとわかった場合の治療を考えたとき、耳鼻科や耳鼻咽喉科のほうが、より適切な指導をしてもらえます。

病院で現在の症状を説明し、アレルギー検査をしてほしい旨を伝えましょう。

どんな検査方法があるでしょうか

血液検査

採血をして、アレルギーの原因となるものを調べてもらいます。花粉症だけでなく、ハウスダスト・ダニ・食品のアレルギーを調べてもらうこともできます。

どの花粉のアレルギーを持っているかがわかるので、その花粉や植物の時期にあわせて予防・対策することが可能になります。

鼻水検査

花粉症にかかっている場合、有効な検査です。花粉症を発症していると、好酸球という細胞が鼻水の中に増殖します。鼻水の成分を調べ、好酸球の数をチェックします。この検査では、アレルギーの原因となる花粉の種類まではわかりません。

また、蕁麻疹や気管支喘息など、一般アレルギーにかかっていても、好酸球の数は増えます。

イネ科アレルギー(花粉症)の対策

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イネ科の植物はとても多く、それぞれが別の時期に花粉を飛ばしますので、イネ科の花粉症のシーズンは2月から10月頃までととても長くなってしまいます。

また、1つの種類のイネ科植物の花粉症にかかると、ほかのイネ科の花粉症にかかるリスクはぐんと上がってしまいます。さらには他の特定の食物アレルギーにかかるリスクも高まります。

ここでは、イネ科花粉症を引き起こす代表的な植物とその時期、それに対する予防策、対策などをみてみましょう。

イネ科アレルギー(花粉症)の原因となる主な植物

イネ科の植物は多種多様です。しかし、スギと違って花粉はさほど広範囲に広がりません。飛散距離が短めなのです。花が咲く前に草刈をするなど、効果的な予防法もあります。まずは原因となる植物を知りましょう。

カモガヤ

カモガヤ(イネ科・カモガヤ属) 一番多いイネ科アレルギーの原因とされ、今やスギ花粉症よりも多いと言われています。よく見かける草で、日本各地に分布しています。

花の時期は7、8ですが、花粉を飛ばす時期は地域にもより5月~8月とも言われます。高さは50cm-120cmにもなります。もともとは西ヨーロッパ原種の多年草で、牧草として栽培されたものが、野生化したものです。

ナガハグサ

ナガハグサ(長葉草:イネ科イチゴツナギ属)日本全土の野原に生息し、草丈は10-20cmほどが多いが50cmまで伸びることもあります。花の時期は5月~7月です。

コヌカグサ

小糠草(イネ科ヌカボ属、英名:Redtop)多年生植物。日本全土に分布し、日当たりの良い道端、畑地、牧草地、樹園地に生えています。草丈は50-100cm程度にもなります。花の時期は5~7月。

ホソムギ

ホソムギ(イネ科ドクムギ属、牧草名:ペレニアルライグラス)多年生植物ですが、永年性はありません。ぱっと見た目は麦のような直立した雑草。草丈は通常30-60cm程度です。栽培種は牧草として重宝され、芝生としても使われることがあります。

開花時期は文献によって違いがあり、5月中旬~6月とするもの、5月~7月とするものとありますが、改良された栽培品種は早生・中生・晩生に分化されているため、開花時期も生息地の環境により差がでると思われます。

ハルガヤ

ハルガヤ(イネ科ハルガヤ属、英名:Sweet vernal grass)多年生植物。他の植物が育ちにくい酸性土壌につよく、乾燥すると少し甘い干し草の香りがします。草丈は25-40cm程度で、開花時期は4月から6月です。

エノコログサ

エノコログサ(イネ科エノコログサ属)ねこじゃらしの愛称で知られるこの草は日本全国の草地に生えています。草丈は40-70cmになり、開花時期は7月~10月です。

ススキ

芒、薄(イネ科ススキ属)誰でも知っているススキですが、これもイネ科の植物です。高さは1m-2mにもなり、イネ科のアレルギー元となる植物の中では、ほぼ最終段階の夏の終わりから秋に花を咲かせます。地域にもよりますが、8月から10月にかけてが開花時期です。

シバ

芝(イネ科の多年草の総称)芝には、イネ科の雑草と、広葉雑草の2種類がありますが、このイネ科のシバが、イギリスでは花粉症の9割を占めると言われています。花粉症を引き起こすシバは、背丈が10cmほどの短い茎に細い葉をつけ、先端に小さな穂がついたメイシバと呼ばれるものは、芝生だけでなく、畑や道端でよく見かけます。7月から9月が開花時期です。

また、オヒシバは芝生のように群生するのではなく、1株ごとにあちこちに生えます。背丈は15-20cmくらいが多く、夏がはじまってから開花し、7月~9月に花粉をとばします。

スズメノカタビラ

シバの仲間ですが、いたるところに生えており、花は2月ごろに咲き、夏のはじめまで長い期間花粉を飛ばします。

具体的な対策(日常生活でできること)

イネ科アレルギーと診断されたら、毎日の生活にも気をつけ、症状が悪化しないようにしたいものです。日常でできることを考えてみましょう。

イネ科の植物をみていただくと、2月から10月までの長い時期にわたって花粉が飛んでいることがわかります。では、カモガヤの花粉症の人は、カモガヤの咲く7,8月だけ注意すればよいのでしょうか。

イネ科の花粉症の1つにかかると、他の種類のイネ科花粉症になるリスクは高まります。またイネ科植物を原料とした食べ物のアレルギーになるなど、関連する特定の食べ物のアレルギーになるリスクも高まります。病院へいって症状を抑え和らげる治療を受けることも大切ですが、症状を悪化させないために、日常生活で気をつけられることをあげてみますので、参考になさってください。

イネ科植物の生えているところに近づかない

イネ科の植物の花粉の飛散距離はスギと違い短いものです。イネ科の植物が生えているところに近づかないようにすることが一番大事です。気をつけたいのは、犬のお散歩などで知らずにイネ科植物の群生地に入り込んでしまうことです。そういった場合は、ルートを変更するなど工夫しましょう。

秋の稲の収穫の時期には、水田、田んぼに近づかないようにしましょう。近所に田んぼや水田がありどうしても通らなければならない道のときには、風下にならないよう、なるべく風上にいるようにしましょう。稲が栽培されているときには近寄らないようにしましょう。

稲の収穫が終わっても、田畑に残った稲ワラや、藁を燃やした煙を吸い込むことで症状が悪化することもあります。

マスクをする

イネ科花粉アレルギーの原因の代表であるカモガヤは、近所の空き地や公園、田んぼなど、ごく身近に生えていて、5月末から8月末まで花粉を飛ばします。カモガヤの群生地などがわかっていれば、そこへ近づかないようにできますが、なかなかチェックをするのは難しいでしょう。まずは、マスクをして、花粉を吸い込まないようにしましょう。

最近は呼吸が苦しくないように工夫された超立体マスク(花粉用)を利用するなどして、マスクは使い捨てにします。近所に水田、田んぼがある場合には、稲の収穫が終わっても、田畑に残った稲ワラや、藁を燃やした煙を吸い込むことで症状が悪化することもあります。

マスクは即効性のある、花粉症対策です。なかには、これだけで症状が治まる人も少なくありません。マスクをすることが不都合に感じる方には、直接鼻の中に押し込んで使うタイプのマスクも販売されています。

草刈りをして予防する

家の近くに空き地がある、庭にとんできたイネ科の植物が咲くなどと言う場合には、花が咲く前に刈り取ってしまうことができます。生えている時期に気をつけて、風が吹いているときは風下に立たないようにして、花が咲く前に刈り取りましょう。

除草剤も有効な場合がありますが、シバ類には除草剤が効かないものも多く、また除草剤の影響も未知数ですから、刈り取るのが一番です。

室内への花粉の侵入を防ぐ

外出時にマスクや花粉専用の眼鏡をすることも大事ですが、夏場はマスクもゴーグルもつらいもの。なるべくイネ科植物に近寄らないようにして無事に家に帰っても、家の中にイネ科の花粉がはいってしまっては、予防策も効果半減になってしまいます。

外出先から帰ったら、衣服や髪の毛などについた花粉を取り払ってから、家にはいるようにしましょう。また、自宅近くに田んぼなどあるときは、窓を閉めておくようにする、洗濯物の外干しはやめる、など対策をたてることも必要です。

市販の薬

イネ科花粉症も、症状はスギやヒノキと似ているので、花粉症の市販の薬は有効のようです。コウヒスタミン薬が含まれたものを使用すると症状の改善に役立ちます。市販薬の中には、予防効果のあるものもありますので、イネ科の植物の花粉が飛び始める前に飲んでおき、症状を緩和させることもできます。

ただ、他の病気や服薬をしているかたは、必ずお医者様に相談して、許可を得てください。医師の指導にもとづき、服薬することをお勧めします。

気をつけなければいけない食べ物

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最近になって、イネ科アレルギーと関連する食べ物がわかってきました。

また、イネ科花粉のアレルギーになった人は小麦アレルギーを併発することが多く、小麦を使った食べ物にも気をつけなければならない場合があります。すでに小麦アレルギーにかかっている人は、イネ科花粉症にかかるリスクが高まりますので注意が必要です。

また、意外な食べ物にもアレルゲンが含まれていることがあります。気をつけなければならない食べ物の例を見てみましょう。

イネ科花粉症の人が気をつけなくてはならない果物

みかん、メロン、トマトなどを食べて口の中が腫れたり、かゆみを覚えたりする症状が報告されています。
口内炎になったり、嘔吐や下痢の症状が出たりした場合には、口腔アレルギー症候群の可能性も考えられます。血液検査で調べることができますので、食べてよいものと危険なものを把握しておきましょう。

麦茶やビール、お米、玄米などもイネ科アレルギーの対象になるので注意が必要です。

小麦アレルギーの人が注意すべき食べ物

パンやうどんなどは有名ですが、それ以外でも、カレーやシチューのルーの中に含まれていることがあります。ケーキやクッキーだけでなく、味噌、食用油にも含まれていることがあります。加工食品の場合は、食品原材料表示を良く見るようにしましょう。

お米は食べられないの?

イネ科アレルギーにかかったからといって、イネ科のお米を食べてはいけないのでしょうか。いいえ、お米を食べても大丈夫な場合があります。しかし、症状は人それぞれなので、医師に相談し、アレルゲンを特定してもらうのが確実な方法です。

小麦アレルギーをもつ人でも、ハトムギ茶は大丈夫だと言う場合や、お米アレルギー(炭水化物アレルギー)の人でもイネ科アレルギー(花粉症)は持っていない場合もあります。大切なのは、自分のアレルゲン(アレルギーの症状をひきおこす原因)を詳細に知ることです。

食べ続けると危険な食べ物の例

一度や二度食べただけでは軽い症状でも、食べつづけることでアレルゲンの摂取量が過多になり、アナフィキラシーショックを起こすこともあります。ご自身のアレルゲンが特定していない場合は、次の食べ物には注意が必要です。

米(玄米、白米)小麦(小麦を含む食品)、大麦やライ麦(これらをつかった菓子や、フレークなども沢山あります)オートミール、ハトムギ(ハトムギ茶だけでなく、ミックスハーブティーにも含まれていることがあります)、トウモロコシ、サトウキビ、粟(あわ)、稗(ひえ)、コーリャン(タカキビ・モロコシ)、カモミール、タンポポ、ジャガイモ、トマト、リンゴ、メロン、スイカ、オレンジ、ミカン、ピーナッツなど。

有名店のごまだれなどには、ピーナッツやアーモンドプードル(粉末)が含まれていることもあります。外食などで不明な場合には、遠慮せずに、お店の人に聞いてみましょう。

お米は食べても平気? 米アレルギーの可能性

イネ科アレルギーは、イネ科の植物の花粉によるアレルギーですから、お米を食べたからといって症状がひどくなるわけではありません。お米を食べて何らかのアレルギー症状がでる場合は、イネ科アレルギーではなく、お米アレルギーです。

お米アレルギーである場合には、アレルゲンはイネ科の植物の花粉ではなく、お米に含まれる炭水化物の一種であることが多いようです。また、お米に使われる農薬のアレルギーである場合もあります。腸内環境により起こす人も少なくありません。

白米でアレルギーを起こす人が、玄米を食べたら症状が無くなったということがあります。これは、症状の原因が腸内環境にあったものが、玄米に含まれる食物繊維を摂取したことにより腸内環境がよくなった場合です。しかし、農薬がアレルゲンの場合には、逆になります。玄米のほうが農薬の付着が多く、症状はひどくなってしまうこともあります。

このように、なんらかのアレルギーが疑われる場合は、検査をして、アレルゲンを把握することが重要です。

まとめ

イネ科アレルギーだとわかったら

他のアレルギー症状と同じように、アレルゲンの体内からの除去を行い、症状がひどくなる前に治療を行ってゆくこととなります。

医師の指導にもとづき、服薬や治療をうけますが、食生活の改善をすることで、体質改善につながり、アレルギー症状が改善することも多く見られます。食生活も大事にしましょう。

  • 自分のアレルギーとアレルゲンである植物をきちんと把握する
  • イネ科アレルギーのアレルゲンである植物のある場所に近づかない
  • アレルゲンの植物の駆除(草刈)
  • マスクやメガネなどでの防護
  • 関連する食べ物にも気をつける

自分の体のことを良く知り、なるべく快適な生活を送れるようにしたいものですね。

  
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