低血圧ってよく聞きますけど、いったいどこから低血圧と判断するか知らない方って意外と多いんですよね。そして体にどんな影響があるかあまり気にせず過ごしていませんか?
高血圧は危ないと言われていますが、低血圧に関しては重要視されていないからといって放置していると大変な事になるかもしれませんし、すでに重大な病気に侵されているかもしれません。詳しくご説明していきますので是非参考にしてみて下さい!
低血圧について
まず血圧とは、心臓のポンプ作用により全身にくまなく送られていますが、そのポンプ作用の時に心臓の筋肉を収縮させた時の圧力の事を言います。この圧力が正常値よりも下がっている事を低血圧と呼びます。高血圧はその反対になりますが、高血圧の基準というのは細かく定められています。
しかし低血圧の場合そういった診断基準が無く、単純に正常値よりも下がっていれば低血圧と診断されるのです。では高血圧より重要視されていないし、そんなに気にする事ないのかというとそうではありません。低血圧によって体に異常をきたし、病気の可能性も考えられます。
数値
血圧の正常値というのは年代によって異なります。30代40代50代・・・そして男性と女性によってもまた違ってきます。ここでは一般的に定められている数値を紹介します。上の血圧を収縮期血圧、下の血圧を拡張期血圧と呼びます。
・上の血圧が129mmHg 下の血圧が84mmHg
これが血圧の一般的な正常値です。これを上回ったり、下回ると高血圧・低血圧と診断されます。自宅で毎日計測し手帳に記録しているという人もいらっしゃると思います。実は自宅で計測する場合と病院で計測する場合で、血圧の正常値の判断が変わってきます。自宅での計測はリラックスした気分で出来る為数値が変わってくるからです。
・上の血圧が124mmHg 下の血圧が79mmHg
これが自宅で計測する場合の正常値です。
血圧の維持はとても大変で、30代では維持できている人が80%占めているのに対して、50代になってくると一般的な正常値を維持出来ている人は30%から40%程しかいません。歳を取るにつれて保つ事が難しいのです。
先ほど低血圧は高血圧のように診断基準が無いとお伝えしましたが、それは健康上何か問題があるかないかという診断基準です。WHO(世界保健機構)では低血圧の基準は収縮期血圧100mmHg以下・拡張期血圧60以下と定めています。
低血圧の種類
では、低血圧になる原因を詳しく見てみましょう。
本態性低血圧症
病気などが原因で引き起こされるものではなく、体質的なものが原因で日常的に血圧が低い状態の事を本態性低血圧症と呼びます。
心臓の機能や摂取した水分量によって心臓から送られる血液量が変わりますので、心臓の機能に何か問題があったり、水分をまったく摂取していなかったりすると引き起こされる場合もあります。
――症状――
この病気では自覚症状が無い人がほとんどです。まれに症状が出る事があり、「体のだるさ」「朝起きるのが辛い」「起きてすぐに立つと眩暈が起こる」「疲れやすい」「気分が悪い」「不眠」などの症状が見られます。
――治療――
原因がはっきりしていない病気ですので、一番の治療法は生活リズムの見直しです。しっかり毎日3食栄養のあるものを食べ、水分補給も欠かさず行って下さい。自律神経や体内ホルモンを調整する為には睡眠が一番大事です。十分な睡眠時間を確保して体をしっかり休ませてあげましょう。
そしてバランスのとれた食事をするよう心掛けて下さい。必要な栄養は「亜鉛」「鉄」「セレン」「ビタミン群」です。これらはホルモンバランスを保つ効果があり、冷えや低体温の改善をしてくれます。体を冷やすという事も低血圧には良くないことですよ。
起立性低血圧症
体位を急に変えた時、特横になっている状態や座っている状態から急に立ち上がった時に急激に血圧が下がってしまう事を起立性低血圧症と呼びます。
急に立った状態になると、全身の循環血液のうち500~800mlが腹部や下肢に流れます。これにより心臓へ戻る静脈還流量が少なくなってしまうので、新たに心臓から送り出される血液量が少なくなってしまい、血液をコントロールしている器官への刺激が低下してしまうのです。
血圧のコントロールが上手に出来ないと、立ち上がった際に血液が下がったままの状態になり起立性低血圧症となります。
――症状――
主な症状は「眩暈」「ふらつき」「眼前暗黒感」です。朝起きてから午前中に起きやすく食後や運動をした後に増える傾向があります。
食後ですと血液が内臓付近に溜まるため、全身の血管抵抗が少なくなる為高齢者の食後は特に気を付けて欲しい。
――治療――
起立性低血圧症の場合は、立ち上がった時の血圧を測定する必要があります。立ち上がってから3分以内に測定し基準から低ければ起立性低血圧症です。生活リズムの見直しと薬物療法で回復を見ます。
症候性低血圧症
何らかの疾患、怪我が原因となり低血圧になる事を症候性低血圧症と呼びます。原因となっている病気や怪我を治さない限り回復する事はありません。
――症状――
原因が何かによっても症状が変わってきます。「眩暈」「立ちくらみ」「体のだるさ」「出血」「脱水」「敗血症ショック」「心機能低下」などなど・・・。
内臓の疾患や神経の問題、身体の代謝が悪い場合が原因で起こる低血圧症であれば慢性的にこれから付き合っていく事になります。
――原因となる疾患や怪我――
「心筋梗塞」「心筋症」「心筋炎」「狭心症」「心タンポナーデ」「頻脈性不整脈」「循環血液量減少」「副腎不全」「甲状腺機能低下」「下垂体機能低下」「高プラジキニン血症」「低血糖」「多発性硬化症」「脊髄空洞症」「脳腫瘍」「脊髄断裂」「糖尿病性神経症」「糖尿病」「低ナトリウム血症」「敗血症」「アルコール過剰摂取」「エンドトキシンショック」「降圧薬」「抗鬱剤」「抗不整脈剤」「利尿薬」「交感神経遮断薬」etc…
――治療――
まず原因となっている疾患や怪我を治してから行うのが前提です。その後生活リズムの見直しを行います。
食後低血圧
名前の通り食後に襲撃に血圧が下がってしまう事です。食事をすると消化と吸収する為に沢山の血液が胃と腸に集まります。そうすると心臓付近の血液の量が減少してしまい血圧が下がります。
危機を感じ心臓が心拍を早めたり血管を収縮させる活動が活発に行われ、血圧を正常に戻そうとする機能が働きます。その働きをしている器官が正常であれば血圧を維持することができ、低血圧になる事はありませんが、加齢に伴ってその器官が衰えているとうまくコントロール出来ずに、低血圧になってしまいます。
更に、炭水化物を大量に摂取する事で食後低血圧を引き起こすことが上がるとわかっています。最近若い方でこの食後低血圧に悩まされている人が増えてきているのは、この炭水化物の大量摂取によるものです。そして怖いのが、この食後低血圧は脳卒中や心筋梗塞の引き金になるという事です。
――症状――
主な症状は「眩暈」「立ちくらみ」「吐き気」「頭痛」といった症状が出ます。食事する前や食事中にはこういった症状がまったくなく、食後急に起きるのが特徴です。
――治療――
生活リズムの見直しが大事になります。
・炭水化物の摂取を控える事です。ご飯や麺やパン、糖分の高い食べ物は摂り過ぎると危険です。更に糖分には体を冷やす効果があり、低体温の原因になり低血圧にも良くないので糖分を摂取する際は、暖かい物も一緒に摂取するようにして下さい。
・カフェインを摂るようにする。カフェインには血管の収縮活動を活性化させ食後低血圧の予防になります。特にコーヒーや緑茶に多く含まれてるので食前や食後に飲むようにすると良いでしょう。緑茶に関して食事中に一緒に摂取すると栄養素の吸収を邪魔してしまう可能性があるので、食事中は避けるようにして下さい。
・食後はしばらくゆっくりしましょう。急に激しい運動をしてしまうと眩暈が起きて危険です。できるのであれば食後30分程横になると良いです。
・ストレスを溜めこまないようにし、自律神経を整えるように気を使いましょう。自律神経失調症になってしまうと体のコントロールが出来なくなってしまうので気を付けて下さい。
低血圧と貧血
症状がよく似ているので勘違いしてしまう人が多いです。貧血は酸素を運ぶ赤血球、または赤血球の中で酸素と結びつくヘモグロビンが異常に少ない状態の事です。特に女性が鉄分不足で起こしやすい症状ですね。
低血圧は、先ほどご説明した通り血圧が通常値よりも低い状態の事を言います。「眩暈」「立ちくらみ」「体のだるさ」といった症状がどちらにも現れます。間違って自分は貧血なんだ、低血圧なんだ、と思い込んでしまうと原因がまったく違うので大変な事になります。
できれば毎日血圧測定をする事をオススメします。それで判断が付きやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?低血圧には「本態性低血圧症」「起立性低血圧症」「症候性低血圧症」「食後低血圧」の4つ種類がある事がわかりましたね。
特に食後低血圧については、よく皆さんは貧血と勘違いしている方が多いかもしれませんね。全ての低血圧に言える事ですが、生活リズムの見直しはやはり大切なんです。最近乱れたリズムになっていませんか?若い人は今はいいかもしれませんが、今後歳を重ねるにつれて体への負担が大きくなってしまいます。
今のうちにちゃんとしたリズムでの生活を心がけておきましょう。食事・ストレスを溜めない・睡眠を特に気を使ってあげて下さいね。
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