脳梗塞は、脳疾患である脳卒中の一種で、血液が滞り、血管が詰まって起こる症状を「脳梗塞」、血管が破れて、出血することを「くも膜下出血」「脳出血」といいます。
症状は脳が影響を受けた場所により、それぞれ違ってきます。脳は、場所によって身体を動かす神経が網の目のように別れています。ですから、その症状も出血や血管が詰まった場所によって出方がまちまちとなります。
それと、必ずではないのですが、前兆が現れることが多く、その前兆を見落とさずに対処すると、後遺症などの影響は受けにくいと考えられています。今回はその脳梗塞やその前兆などについてお伝えします。
脳卒中とは?
血管が詰まることを脳梗塞、出血することをくも膜下出血や脳出血といい、それらを総称して、脳卒中ということは、先に述べましたが、もう少し細かく書きますと、脳の中の血管は毛細血管という非常に細い血管が入り乱れています。
この血管が脳の隅々まで栄養素や酸素を送り込んでいますが、詰まったりその部分で出血したりすると、その近辺で司っている脳の機能がストップしてしまいます。
欠陥が詰まると、そこへ運んでいた酸素や栄養素がストップしてしまい、機能が失われます。また、血管が破れますと、その一帯の脳の部分が損傷を受け、その結果、腕が動かないとか、喋りがしどろもどろになるなど、その司っている神経の部分が影響を受けるのです。
初期のチェック方法
米国脳卒中協会はFASTと称して、Face(表情)Arm(腕と手の麻痺)Speech(言葉の障害)Time(発症時間)で確認することを勧めています。
これにより、速やかに判断をすることができます。主に医師の問診により判断することになります。
脳梗塞の種類
脳梗塞の種類について紹介します!
アテローム血栓性脳梗塞
血管が年齢とともに固くなる、いわゆる動脈硬化を引き起こしている状態で、アテロームという脂肪の塊が血栓を作り、血管が詰まる状態です。また、その脂肪が血管の内部に付着して血管を通るところが細くなってしまい、詰まりやすくなることも影響しています。
欧米化による食事の影響が大きいかと思われます。つまり、高脂肪の食事です。効率よく脂肪を燃やすようになればいいのですが、それができていないといわゆるメタボとなり、お腹も出てしまいますし、血液もサラサラでなくドロドロになり悪影響を及ぼします。
関連記事として、アテローム血栓性脳梗塞の後遺症や予後を知ろう!リハビリや治療法を紹介!症状・原因は?を読んでおきましょう。
ラクナ梗塞
最近では減少傾向にありますが、年齢を重ねると起こりやすい症状です。
本当に小さな血管の詰まりが起きて、その回りの脳細胞が死滅しています。そして、脳内の随所に出来ていることが多いようで、大きさは1ミリぐらいのものが複数あり、症状もほとんど出ないか、出てもその症状とわからないことが多いのが特徴です。
意外に何か物忘れが多くなったとか、身体の動きがいつもと違う、というように何となくという感じで、実際には本人もそれが原因とは気づきません。
詳しくは、ラクナ梗塞とは?症状・原因・治療法を知ろう!認知症との関係や予後も紹介!を読んでおきましょう。
心原性脳梗栓症
心臓が規則正しく脈を打たない心房細動や、心臓の周りの血管が固くなった心筋梗塞により出来る血栓が、脳まで運ばれて血管を詰まらせる状態をいいます。つまり、心臓が原因となる脳梗塞で、主に高齢の人に起こりやすい症状です。
この場合は結構急激に症状が起きやすいのが特徴です。また、糖尿病や高血圧の人はさらに発症する率が高いようです。
くも膜下出血
脳の内部の動脈に何らかの影響で動脈瘤という瘤ができて、血管がもろくなった状態になるとそれが破裂し、脳内に出血がおきることです。出血が広い範囲になると、障害を起こし、身体の一部、もしくは広い範囲で神経が麻痺してしまいます。
重傷になりますと、意識不明になることもあり、手術でその血液を取り除くことが出来れば、回復する可能性も高くなりますが、若干後遺症が残ることもあります。
詳しくは、くも膜下出血の前兆をチェック!頭痛に要注意?を読んでおきましょう。
その他
頚動脈の血管の内部が裂けて、その一部が血栓となり、脳へと運ばれてしまう状態などの症状もあります。
脳梗塞の前兆
脳梗塞の前兆について紹介します。
一過性脳虚血発作とは?
これは、下記に列記したような症状が出ても、数分のうちにその症状が治まってしまうことです。脳への影響が出ているのですから、治まったとそのままにしておくと、その後に再び症状が出てくることが多いのです。
初期の症状を見逃さず、その際に速やかに医師の診断を受けることをお勧めします。そうすれば、かなりの確率でその後に起きる症状を回避することができます。
主に身体に出る症状
- ろれつが回らなくなる。酔っているような感じになる。
- ものを持ったり、つかもうとしても力が入らず、落としてしまう。
- 人が話している内容を理解できない。相手が何をしゃべっているのか、わからない。
- ものが二重三重に見えたり、視界が狭くなったりする。
- 字がスムーズに書けなくなったり、字のバランスが悪くなる。
- 顔に歪みがでたり、左右均等に保てない。
- 歩きづらくなったり、足に力が入らない。
- 腕に力が入らなかったり、動かしにくくなる。
人により、症状はまちまちですが、ほぼ同じような状態を引き起こします。
脳梗塞の治療法
血栓溶解薬
血管に詰まった血栓を溶かして、血流を回復させます。ただ、時間を重視する薬です。発症から早い時間の行わないと、効果が薄くなることもあります。
抗血小板薬
血小板の働きを押さえ、血を固まりにくくします。つまり血栓を出来にくくする薬です。ある意味、予防的な要素の強い薬となります。
抗凝固薬
血液を固まりにくくする薬で、服用することにより、血栓が出来にくくなります。その症状が一過性で出た時や、一度発症した後に、再発を防ぐのに有効な薬です。
脳保護薬
非常に新しい薬で画期的なものです。脳梗塞を起こしたところでは、その部分が壊死してしまう有害物質が発生しますが、これはその壊死を防ぐ薬です。服用することにより、後遺症が起きないようにすることが出来るというものです。近年、かなりの頻度で使用されています。
脳梗塞の予防法
予防方法も紹介します。
喫煙
何の病気にも必ず害を及ぼす一つの要素として、必ず出てくる喫煙の習慣です。喫煙するとその成分により、血管が収縮し、血圧が上がることによる高血圧が起こります。また、血管自体が固く脆くなる動脈硬化を促進してしまい、血栓や出血を起こしやすくします。
喫煙の習慣は止めるのに越したことはないのですが、吸っている方は特にこのような警告を読んだところで止めないと思います。何かのきっかけがないと無理なのかと思います。
止められた人のほとんどは、「止めないと死にますよ」みたいな脅しがあって、ようやく踏ん切りがついて止めることができた方がほとんどではないのでしょうか?とにかく喫煙の習慣は、百害あって一利なしというぐらいで、早い段階でその習慣をなくしたほうがいいと思われます。
運動
毎日適度な運動を行うことは、いつの時代にも第一に上げられる健康法や病気の予防法の一つです。ですが、よほどの人でない限り、毎日は続けられないと思います。継続するには、何かの習慣と一緒に関連付けることが一番有効かと思います。
例えば、階段は必ず一段飛ばしで、とか、エレベーターは、3階以上の行き先だけで使用するとか…。たった、それぐらいのことですが、日々やるとやらないとでは、月日が経つと、圧倒的な差になっています。
最近は結構若い人も、たかが2階に行くぐらいでエレベーターを使っている人もいて、嘆かわしい限りです。結構、メタボ体形の人ほどその傾向が強いようで、どうも意識的に身体を動かさないからそのような体型になったようにも思えます。
食事
これも、どの健康法にも注意しましょうということは、ずっと言われ続けていますが、結構目茶苦茶な人は多いようです。インスタント食品、ファストフード、菓子類などを普段から意識しないで食している人は本当に注意してください。
はっきりいってそのような人が、「何も悪いことをしていないのに…」みたいな被害者意識を強く持っているのも一つの傾向です。
これもやはり喫煙と同様、何かのきっかけがないと、その習慣は変えられないとではないかと思われます。いくら、このハピラのサイトで予防法を書いたとしても、実行するのは、皆さんご自身です。読んで、「ふーん、何かいいことが書いてあったなぁ」とそれだけで終わってしまうのでは、せっかくの情報も無駄になってしまいます。
ここで注意する食事は、脳梗塞を引き起こす原因となるのが、脂肪の取りすぎによるアテローム脳血栓です。いわゆる善玉と悪玉コレステロールの比率がほぼ半々になるような食事法をお勧めします。以下説明します。
- DHAとEPAという、青魚に含まれる油をとる。主に一日おきに食べる。
- マーガリンとサラダ油は使わないし食べない。
- 糖類であるお菓子類、炭水化物のごはん類は大量に食べない。
- パン食は基本止めるか、一週間に一回ほどにする。
- 酵素類の入った発酵物や生野菜、漬物を必ず食べる。
上記の点に注意して食事をすることが望ましいかと思います。
睡眠
質のいい睡眠をとることは、大事なことですが、1.5時間の倍数の睡眠時間を取ることが理想です。例えば、4.5時間、6時間、7.5時間です。その単位で睡眠をとると、寝起きが楽になると統計で出ています。
それと、睡眠時間が短い人は、かなり脳への負担も大きいと聞きますので、余計なことをして、睡眠時間を犠牲にしないようにしましょう。
検査
年齢も50を超えたら、脳ドックを受けるのもお勧めです。金額的に3万円ほどと、値が張りますが、健康維持には欠かせない費用かと思います。CTスキャンは被爆することも考え、被爆しないMRI検査がいいかと思います。
まとめ
いかがでしたか。脳卒中、とりわけ脳梗塞は本当に怖い命に関わる病気です。これにかかるかからないは、普段の生活習慣がもろに反映されるといっても過言ではないでしょう。そして、命に別状がなくても、後遺症が出やすい病気でもあります。
一度失われた脳細胞は、死んだままで生き返ることはありません。以前は、これらの病気は高齢の方が多かったのですが、最近では、かかる層の年齢が若年化しています。かなり若い人でもその症状を訴える人が増えているとの統計も出ています。充分に注意をしてください。
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