皆さんラクナ梗塞と言う病気をご存知ですか?ラクナ梗塞は脳梗塞の一つで、脳梗塞の中でも日本人に最も多く、脳梗塞の大半を占めています。食文化の変化と共に、アテローム血栓性脳梗塞が、多くなってきているものの、依然として脳梗塞全体の、35%を占めています。
ラクナ梗塞は脳梗塞の中でも、動脈の最も細い部分の、毛細血管にできる梗塞で、細い血管にできる梗塞の為に、症状の出ない人も見受けられます。
ラクナ梗塞はおもに高血圧による、血管内における圧力によって、血管内が異常をきたす状態となり、動脈硬化が進んで、小さな動脈の血液の通りが悪くなり、末端の細い部分の毛細血管に、梗塞を起こしてしまいます。
ラクナ梗塞を放置していると、パーキンソン病や痴呆症等に、なるケースがありますので、小さな梗塞だからと言って放置する事は、危険な症状を迎える事にもなります。ラクナ梗塞について調べて見ましたので、一緒に見ていきましょう!
この記事の目次
脳梗塞について
脳梗塞とは脳の血管が詰まったり、脳の血管が塞がれて、血液が流れなくなり、梗塞を起こしてしまう病気です。脳梗塞にはアテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳梗塞と3つの種類の梗塞があります。
ラクナ梗塞は以前は、日本で一番多かったのですが、アテローム血栓性脳梗塞が、食生活の変化と共に、多くなってきています。それでもラクナ梗塞は、脳梗塞の35%を占めています。
アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞とは、動脈の一番太い血管が動脈硬化によって、血管内の血液の流れを悪くします。大動脈や頸動脈の太い動脈が動脈硬化などで、血管の中の通り道が狭くなって血液の通りがスムーズに流れなくなり、血栓ができて血管を塞いだり粥状になって、血液が流れなく成ったりして起こるのがアテローム血栓性脳梗塞です。
また動脈硬化が原因で作られた血栓が、血液の流れに乗って脳まで飛んで行って、頭の中の血管を塞ぐ事で起こることもあります。
ラクナ梗塞
ラクナ梗塞とは高血圧が原因で、高血圧によって血管に圧力がかかり、血管内がボロボロになって痛めつけられ、毛細血管のところでは、その様な状態ではすぐに梗塞などが起こり、血管の流れが滞ってしまいます。
そのような梗塞をラクナ梗塞と言います。
心原性脳梗塞
心原性脳梗塞とは心房細動や、急性心筋梗塞、心臓弁膜症などの病気によって、心臓で血栓が作られます。その血栓が血液の流れに乗って、脳まで飛んで行って、脳の血管を塞ぐことがあります。この時に起こる脳梗塞を、心原性脳梗塞といいます。
ラクナ梗塞とは
ラクナとはラテン語で、小さな空洞と言う意味だそうです。ラクナ梗塞は5-15㎜程度の小さな梗塞を言います。ラクナ梗塞とは脳梗塞の一種で、梗塞の中でも日本人は一番発症率が多く、梗塞の大半を占めていました。
食生活の変化によって、現在ではアテローム血栓性脳梗塞が、多くなってきましたが、それでも脳梗塞の35%を占めています。
ラクナ梗塞と高血圧
ラクナ梗塞とは高血圧による、高血圧の圧力によって、脳の血管の細い動脈の毛細血管が、血管内が破壊されながらも、それでも破れないで頑張って、長時間の時間の経過と共に、毛細血管の先が、だんだんと泥が溜まるように詰まって、脳の動脈の深部に小さな梗塞が、できてしまう梗塞をラクナ梗塞といいます。
ラクナ梗塞は穿通と言われる細い動脈に、直径1.5㎝未満の小さな梗塞をいい、脳血栓とも言います。脳の血管には脳の表面の血管の皮質動脈(皮脂枝)と、脳に入っていく血管の穿通動脈(穿通枝)とがあります。
この脳に入っていく穿通動脈は、心臓から送りだされた栄養と酸素を、脳の視床、淡蒼球、被殻、内包、尾状核等に届けています。
ラクナ梗塞の詰まり方
ラクナ梗塞が起きるのは、血管の末梢と中枢が詰まります。血管の末梢の場合は症状が出ない事もありますが、中枢が詰まると症状が出やすくなります。
穿通動脈の末梢で詰まる場合は、直径が3~7㎜で原因は高血圧と、リポヒアリン変性です。リポヒアリン変性とは、末梢神経の血管内の経管壁の異常の事をいいます。
穿通の動脈の中枢で詰まる場合は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの病気によるものが多く、微小アテローム等による梗塞で、中枢で詰まる梗塞は比較的大きく、直径10㎜以上のものです。ですから症状も出やすくなります。
ラクナ梗塞の原因
ラクナ梗塞の原因は主に高血圧です。高血圧により血管の内側に強い圧力がかかり、血管内が硬くもろくなってしまい、細動脈硬化になって微小粥腫となり、血液の流れがスムーズに流れなく、また血栓などで血液の流れを塞がれてしまう為、ラクナ梗塞になってしまうのです。
その他の原因としては加齢、喫煙、糖尿病、生活習慣病が原因として考えられています。
ラクナ梗塞の症状
ラクナ梗塞の詰まる場所で症状が違う
ラクナ梗塞の症状は、発生する箇所で症状の出方が違ってきます。ラクナ梗塞で発生して、穿通動脈の末梢で詰まる場合は、殆ど症状が現れない事もあります。
また穿通の動脈の中枢で詰まる場合には、言語障害や構音障害、手足の麻痺、片麻痺、しびれ、眼球運動障害などが突然出てくることがあります。
ラクナ梗塞は他の梗塞に比べ後遺症が少ない
しかしラクナ梗塞の症状の場合は、アテローム血栓性脳梗塞や、心原性脳梗塞の様に後遺症が起こり、身体の傷害が酷く、生命に係わる様な事は余りありません。
それは1つの毛細血管がだめになっても、他の毛細血管によってある程度間接的に、栄養や酸素の供給ができる事から、アテローム血栓性脳梗塞や、心原性脳梗塞の様な症状が、致命的にならなくて症状が軽く済むわけです。
ラクナ梗塞を放置していると痴呆症に進行する?
またラクナ梗塞の場合は、知らないでいると数が多くなっていくつもでき、神経網が切断されて情報処理が、スムーズに行かなくなることがあります。そして痴呆の症状や、パーキンソン病を引き起こす原因にもなります。
この痴呆の症状は、アルツハイマー型ではなくて、脳血管性による痴呆です。
ラクナ梗塞の症状の種類
多発性脳梗塞
多発性脳梗塞とはラクナ梗塞が脳の血管で、沢山できる梗塞の事を言います。ラクナ梗塞の様に小さな脳梗塞が沢山できて、症状が進行してそれに伴い、身体の異常が出てきます。
身体の異常の症状として、言葉が出てこなかったり、聞いても理解する事ができなかったり、ろれつが回らなかったり、片方の目が一時的に、全く見えなく成ったりします。
また突然意識を失う事もあり、また嚥下障害や、身体の片方の運動、感覚等の障害も起こり、歩行障害等の運動障害が起こることがあります。
この様な症状が同時にいくつもの血管で、詰まる事により身体的症状が出てきますが、これは痴呆やパーキンソン病を、引き起こす原因ともなりますのでとても注意が必要です。
多発性脳梗塞の場合糖尿病、高血圧、高脂血症などの病気が原因で起こります。
無症候性脳梗塞
無症候性脳梗塞とは、ラクナ梗塞を起こしているのに症状が現れない、脳梗塞の事を言います。血管が詰まっているのに、身体に何の症状が出ない脳梗塞の事で、隠れ脳梗塞や高齢者に多くでています。
高齢者に多いラクナ梗塞は、症状がゆっくりと進んでいきます。意識はなく成る事はないのですが、夜寝ているうちや朝早朝に、手足のしびれや、言語障害などの症状が現れる事があります。
ラクナ梗塞の無症候性脳梗塞の場合は、MRI及び頸部エコーを含めた経過観察が必要となってきます。
無症候性ラクナ梗塞の治療を行うには、最大の原因が高血圧症だと言う事を基本において、高血圧症の治療には、十分な降圧治療が必要となります。ですから抗血小板療法は慎重に、行う事が大切となります。
降圧治療は無症候性脳梗塞の数を、増やさなくて抑制させる事ができます。無症候性ラクナ梗塞の境界域では、心臓と同じ側の脳の一番太い、脳主幹動脈が詰まったり、閉塞したりする事のない様に十分と検討がなされ、その上で治療を行う事が大切となります。
ラクナ症候群
ラクナ梗塞の症状によって、症状の名前が纏められています。片側の手足や、顔面同時の麻痺、手足のしびれ、怪我の痛みや、熱い、冷たいの感覚がなかったりする症状が、睡眠中や朝起きる時に現れて、徐々に進行する症状をラクナ症候群といいます。
ラクナ梗塞の後遺症
ラクナ梗塞の特有の後遺症はありませんが、ラクナ梗塞で脳の受けた障害の部分によって後遺症も違ってきます。脳が受けたダメージが多きれば大きいほど、後遺症も酷く成ります。脳が受けたダメージは元には戻らない為、運動障害や、言語障害など損傷した部分は元に戻す事は出来ないので、リハビリなどで少しは回復しますが、ラクナ梗塞を起こす前の状態には戻りません。
神経障害
神経障害の場合片麻痺や半身まひ(半身不随)等の症状が起こります。筋力低下や筋肉の萎縮等が起こり感覚が鈍り、しびれや痛み等が起こります。
高次機能障害
高次機能障害が後遺症で残った場合は、記憶障害や注意障害などが起こります。記憶障害では新しい事が全く覚えられず、過去の事も思い出せない症状がでます。また直前にあった出来事をすぐ忘れて、同じ事を何度も繰り返す行動をすることがあります。遂行機能障害や社会的行動障害がおこります。
感情障害
感情障害では夜間せん妄など、夜になると幻覚や幻聴に襲われて、大声を出したり暴れたりします。
ラクナ梗塞でも脳の損傷の部分によっては、可成りダメージを受ける後遺症が出る場合もあります。ラクナ梗塞でも油断は禁物です。できるだけ検査して、生活改善をすることが、後遺症を作らずに過ごせるように思います。
ラクナ梗塞の診断と検査
ラクナ梗塞の診断には拡散強調画像やT2協調画像を組み合わせる事で、古いラクナ梗塞の中から、新しい物かどうか区別をつける事ができ、MRIでラクナ梗塞の殆どの診断ができます。
その他に血圧検査や血液検査、心電図、脳波検査など組み合わせる事により、正確なラクナ梗塞の診断ができて治療できます。
頭部CT検査
ラクナ梗塞の頭部のCT検査は、X線を利用して、脳の画像を輪切り状態に数枚撮影し、コンピューター処理する事で、立体的な異常を見つける事ができます。
脳で出血がある場合は白く画像に映り、脳の血が虚血状態である時は黒く画像に映るので、脳梗塞と脳出血の箇所を、正確に簡単に見つける事ができます。しかしラクナ梗塞の様な、非常に小さな梗塞を発見する事は難しい様です。
頭部MRI検査
ラクナ梗塞や隠れ梗塞を見つけるのに、このMRI検査ではCTで見えなかった、小さな脳梗塞も詳細に見つける事ができます。
磁力により体内の画像を取る事で、X腺の被ばくはなく、骨の影響も受けないで済みます。脳のより詳細な立体画像が確認できて、水平方向だけでなく、垂直方向なども様々な撮影ができ、細部の梗塞もしっかりと見つける事ができます。
検査が行えるのは総合病院や、設備の整っている病院のみで、MRIは強力な磁力が必要なために大掛かりな装置を必要とする為、小さな病院では検査を受ける事はできません。またMRIを受ける為には磁力が使われているため、体内に金属のある方や、ペースメーカーを使用している方などは、受ける事ができません。
頭部MRA検査
ラクナ梗塞の梗塞を見つける為の検査として、頭部のMRAもMRIと同様に、細部の症状を正確に画像にすることができます。このMRAもMRIと同じく磁力で撮影ができ、血管だけを映す事ができるので、先端の可成り狭い血管でも、画像にする事ができます。脳の血流の状態や脳出血、脳動脈瘤などはこちらが主流として使われています。
SPECT・PET検査
PET検査マーカーとは検査前に、放射性物質などを結合させた唐(放射性同位元素)を、血管に投与してその動きをチェックするもので、がん検査のために開発された検査方法です。
ラクナ梗塞を調べるためには、放射性マーカーを酸素マーカーに変えて、脳の血管の中に入れて、脳の中に酸素がどの様に入っているか、酸素が行き渡ってない箇所がないか等、詳細にみつけることができます。
SPECT検査はSPECT放射能物質のマーカーを、血管に投与して血流に載せて、流しながらCT撮影を行うものです。脳の血流を画像化して脳の酸素が、行きわたっている様子をチェックできます。PETよりは鮮度は悪いものの、安価でできて比較的小さな脳梗塞も、発見する事ができます。
血管造影検査
血管造影検査はMRAよりも、さらに詳細な血管の状態を知る為に、行われる検査です。血管造影検査はあらかじめ、腕や足の付け根の動脈から、カテーテルをいれます。カテーテルを頸動脈までいれて、頸動脈に達すると造形剤を流し込んで、血管の状態をチェックします。
最も細かな血管の状態が分かり、心原性脳梗塞の場合は血栓の位置を早期に発見できます。またカテーテルから薬剤を投入する事で、血栓を溶かす治療も行えるので、小さな血栓などは検査の段階で治療を行う事もできます。ただし副作用や合併のリスクはあります。
ラクナ梗塞の治療
ラクナ梗塞の治療に、血小板が集まるのを抑制し、血液が固まるのを予防して、血液を流れやすくできる薬の、オザグレルナトリウム等の薬剤が投与されます。
抗血小板療法
ラクナ梗塞の主な治療方法として、抗血小板療法の主にアスピリン投与などが行われます。血管拡張作用のある、薬剤や血栓防止の薬剤による、投与の治療が行われます。
この抗血小板療法を行う際は、血圧のコントロールや、血小板の働きを抑制する、抗血小板薬(アスピリン)等を用いて血栓を予防するために使用されます。
ラクナ梗塞の予防
ラクナ梗塞を予防するには、まずは高血圧のコントロールが必要となります。高血圧にならない身体作りが、ラクナ梗塞を予防するには、一番大切な事の様にも思われます。
高血圧にならない為の身体作りは、塩分の摂りすぎに気を付け、規則正しい生活をして、又食物繊維とカリウム等海藻類や果物、トマトジュースや緑茶などを取ると良いと思います。
またバランスの摂れた食事をすることが大事で、偏った栄養成分の取り方を、しない様に心がける事が大切です。またラクナ梗塞を起こさせる危険因子に、水分不足によることが、引き金となる事がありますので、水分不足に注意して脱水症状を、起こさせない事が大切です。
また糖尿病等にも注意して、野菜や果物の摂取、適度な運動などを取り入れて、毎日規則正しく生活する事が、ラクナ梗塞を予防する方法として、一番良い方法でないでしょうか。
まとめ
如何でしたでしょうか?ラクナ梗塞についてみてきましたが、梗塞にも色々あり、その中の一番小さな梗塞がラクナ梗塞です。
ラクナ梗塞は梗塞を起こす場所によっては、症状が何も出ない場合もあります。しかしそれを放置していると血管性脳梗塞となり、痴呆症やパーキンソン病に発展します。
ラクナ梗塞が見つかった場合は、放置しないで出来るだけ、専門医のアドバイスを受けながら、生活改善を行う事が大切に成ります。