仕事が忙しすぎたり、十分に休養を取る事ができなくなると、体が発熱することがあります。疲れると何故身体が発熱するのでしょうか?
身体が熱を出すことは、体が警告しているのかも分かりません。疲れると何故熱が出るのかについて見てみました。
疲れると熱が出るのは?
日本は小中学の学生までも、疲労感を自覚し、疲労大国日本であると言っても過言ではありません。自分の体の能力を超えた時に、疲れや熱が出たり、倦怠感がでて脳が身体を休めなさいと警告しているのです。
日本人は真面目て几帳面です。その性格さをもう少し緩やかにすることは大切です。
疲労を感じる脳のメカニズム
人間が疲れを感じると、意欲と情動が活発に働きます。脳の新規学習・計画や集中・注意といった、脳機能が「休息をとりなさい」と注意を促し、十分な睡眠をとる事で疲れが回復します。
しかし無理して頑張る事で、意欲や情動がSOSを抑え込み働く為に、交感神経も刺激されます。脳内の情報は情報源から、信号物質が送られてきます。
するとイオンの交換により、電気的流れが生まれて、ニューロンの先端まで情報が行きます。すると信号が来たと察知して、ニューロンの表面に取りつきます。
すると次のニューロンが「おや?仕事だ?」とまたイオン交換を始めます。神経伝達物質は脳内の、情報処理の過程で、とても大切な役割を果たしています。
疲れると熱が出る基礎知識
疲れていて熱が出るのは、体が何らかのメッセージを送っています。それを無視すると、重篤な病気に発展する事もあります。疲れて熱がでる基礎知識について見てみます。
2004年に発表された文部科学省疲労班研究所の調査によると、慢性疲労を感じている人が39%もいました。
疲労と感じるのは「痛み」「発熱」と同じ、体からの警告メッセージです。生体アラームは体内の異常を知らせる、生体の警告信号で疲労度が強いと熱が出ます。
「疲れ」「痛み」「発熱」は生体の三大アラームといい、疲労感は体が休むことを警告しているシグナルなのに、それを無視して働き続けると、死にも至る可能性もあります。
疲れると熱が出る原因にはストレス性の発熱と、ウイルス性の発熱があります。
ストレス性発熱
ストレス性発熱は心因性発熱ともいいます。ストレスがかかると、イライラ落ち着かなくなってきます。
イライラ落ち着かないと、自律神経の交感神経が過剰な働きをして、身体を興奮させます。交感神経が活発になると、熱をだし発熱します。
普通は交感神経と、副交感神経がバランス取り合っています。
ストレスに対する耐性というものが、人間には備わっています。ストレスに強くなるには、ストレスの耐性を利用します。
虚弱体質の人は、ストレスに弱い人が多いです。ストレスに強くなるには、体力が強くならなければ、ストレスの抵抗力は強化しません。
ストレスによる発熱の場合、検査して器質的疾患がない場合、患者を安心させるために、医者は何も異常がありませんといいます。
しかし患者は逆に捉える方が多く、ストレスで高熱が出ているとかえって心配になって、そこでまた悪循環を繰り返します。ストレス発熱には、高熱タイプと、微熱タイプがあります。
高熱タイプ
これは子供によくみられる症状ですが、極度に緊張したり、授業にでたり、手術前に39℃の熱を出しながら、手術が取り消しになると下がるという、症状が出ます。
微熱が続くタイプ
こちらは働き盛りの成人に見られる症状ですが、介護疲れ、残業が続くなどの慢性的ストレスが続いていたり、いくつかのストレスが重なった時に見られるタイプです。
身体的症状の頭痛や倦怠感などの微熱が続きます。ストレスによる発熱は、風邪などの発熱とは違い、サイトカインとPGE2に関与しない為、血液検査などの検査には炎症反応は出てきません。
ですから風邪薬のような、炎症反応を抑える薬をのんでも、熱は下がりません。
ウイルス性疾患の発熱
ウイルス性発熱はウイルス感染による発熱が原因で、脳が交感神経と筋肉にウイルスを、やっつけやすくする為、体温を上げる司令を出します。
炎症性サイトカインとブロスタグランジンE2(PGE2)という物質が、指令により働きます。そのため熱が出てきます。
インフルエンザなどのウイルスが体内に侵入すると、発熱しますがこれらは風邪薬などを飲んで対処することができます。
疲れると熱が出る時の対処法
疲れると熱が出る体質は虚弱体質という、体が華奢で神経も華奢で、体が踏ん張る事ができない体質の事です。
この頃は男性もそうですが、ダイエットなどで、とてもひ弱な体格の人が、大勢見受けられます。昔は食べるものが無くて、虚弱体質の人がいましたが、現在は食べるものが豊富過ぎて、神経過敏な人は虚弱体質の人が、増えているようにも考えられます。
また疲労度チェツクなどを利用して、自分の疲労度を見てみるのも良いでしょう。
虚弱体質の対処法
同じストレスを受けても、虚弱体質の人は、すぐに体が反応して、熱を出します。それならどの様な対処法を見つければ良いのでしょうか?
虚弱体質の人は、元々病気が原因の人もいますが、そうではなく子供のころから、両親の育て方で、余りにも神経質になりすぎて、子供にもその影響が移り、虚弱体質になった人もいます。
虚弱体質の人に言える事は、まず好き嫌いが多いのが原因の事もあります。いわゆる偏食が多い人が、虚弱体質の人に多いように考えます。
旬の野菜をたくさん食べ、肉や魚を食べて、なるべく加工品は食べない様にしていると、体は自分たちの血となり、肉となるはずです。
まず対処法としては、疲れて熱が出るのは、交感神経が優位に立っているからで、それなら副交感神経を優位に立たせ、バランスを摂る事が大切です。ですから副交感神経を優位に立たせる方法を見つけるには、どの様な事をしたら良いのでしょう。
心因性を発散させる
心因性すなわちストレスを、発散させることが大切です。まずは声をだす、笑う、泣く、自分が思っていることを書き出す、というように、体に溜まったストレスを、色々な形で、体の外に出すことが大切です。
例えば漫才や、芸人さんたちの言葉で、大声で笑ったり、また悲しいドラマなどをみて泣いたり、声をだして誰かと会話を楽しんだり、色々方法があります。友達と会話をしていて、かえってストレスになる事もありますが、声を出して話す事はストレス解消法に繋がります。
また人と会話の出来ない人は、自分の思っていることを色々書いて見るのも良いでしょう。書くことによって発散される事もあります。
上記の様な事をすることで、副交感神経を優位に立たせるようにします。
身体を休める
疲れていたら休息を取ります。休息を取る事で周りから色々言われて、またそれがストレスになり悪循環になる事もあります。
疲れて熱を出しているのにそのまま仕事をやり続けると、重篤な病気への繋がる事になります。特に繁忙期は無理をしがちですが、体があっての人生です。
身体を壊してはその先の人生が、まともに送れなくなる可能性が出てきます。ですから人の体と、自分の体は違うとはっきり認識し、疲れが取れない時はとにかく、休息して身体を休める事が大切です。
免疫力を強くする
身体を動かす
疲れているのになお身体を動かしたら、倒れるのではないかと思われるかも知れませんが、そうではなく、心の和ごむ散歩をして、自然の空気草花の美しさに目を向ける事です。
適度な運動は免疫力を強くします。
偏食をしない
偏食をしていると、やはり虚弱体質になります。太っているから虚弱体質ではないというのはどうかと思いますが、虚弱体質というのは、ストレスや、ウイルスが侵入してきたときに、体がそれに打ち勝つことができない事です。
ですから体格が良くても虚弱体質の人がいます。華奢な感じの人でも、とても強い体質の人もいます。
その為には旬の野菜をしっかり食べ、肉や魚のタンパク質を十分補い、加工品はできるだけ食べない事が免疫力を強くするのに繋がります。
また腸内環境を整えることで、免疫力は強くなります。腸内には細菌が600兆個以上いて、それぞれグループを作って活動しています。
この細菌が善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7のバランスを取っていると、免疫細胞が活性化でき、免疫力もアップします。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は免疫力を低下させます。十分な睡眠をとる事は、疲れを解消するには最低の条件です。疲れた状態で、寝不足のまま仕事を続けると、免疫力は低下し重篤な病気を、発症させることになります。
また免疫力を強くするには、偏食しないで三食の食事をゆっくりと噛んでたべ、適度な運動をして、十分な睡眠をとる事で、免疫力は抜群に高くなってきます。
そうする事で、ストレスを感じても、熱を出さずに済みます。
体温調節
体温調節と疲労の関係性は、切っても切れない関係です。お風呂に入ると疲労回復に良いという言葉を聞いた人もいるはずです。
何故お風呂が良いかというと
- お風呂の水圧によるマッサージ効果があるためです。
- 身体を支えている筋肉が水の浮力により、リラックスされ疲労回復効果があるためです。
- お風呂に入ると全身の体温が上がります。血流が良くなり、体に溜まった老廃物が排出されやすくなります。熱めのお風呂は逆効果です。ぬるめのお風呂が良いです。
心療内科を受診する
自分で解決できない時は、心療内科を受診します。風邪のようにウイルスの炎症を見つけられなくて、「異常ありません」といわれてお薬がでなくても、抗うつ剤や安定剤で、効果が出る事もありますので、ストレスは心因性がありますので、心療内科を受診するのも、良いかもしれません。
疲れで熱がでる病気
疲れで熱が出てそれを放置して、ペースを落とさずにいると体の複数の疾患、精神疾患が同時に発症することがあります。
子どもでは起立性調節障害、成人では、うつ病、パニック障害、不安障害、緊張型頭痛、過敏性腸症候群、不眠などの症状が出てきます。
ストレス性高体温症
ストレス性高体温症というのは、極度に緊張したり、仕事をしたり、重要な人に会う時とか、手術前の緊張感などで、高温の熱が出ることがあります。
色々な検査を行っても熱の原因が見いだされない場合を、機能性高体温症すなわち、ストレス性高体温症といいます。この場合ストレスで体温が37℃以上になります。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は1980年代後半に、米国のある地域で多発し、激しい全身倦怠感や、疲労感が急激に起こり、原因も分からなく色々な症状を伴って、20~50代の人たちが発症しています。
一般的な検査では異常は認められませんが、しばしば膠原病の抗核抗体が、陽性になることがあり、線維筋痛症と類似点が多く、この病気で死ぬことはありません。
治療としては難治性をきわめて、治療は根治しません。今なお研究が進められ、解明されるのを待っている状態です。
慢性疲労と慢性疲労症候群の違い
慢性疲労と慢性疲労症候群の違いは、慢性疲労は休息すれば改善されますが、慢性疲労症候群は休息以外に適切な治療が必要です。
疲労が蓄積されて過労となり、脳から休息を取る様に指令が出ていて、シグナルが過剰に出されていても、諸事情で休息が取れません。
その様な時に休息を取れば改善されるのが慢性疲労です。休息を取っても治らないのが慢性疲労症候群です。
ですから慢性疲労と、慢性疲労症候群は似ているようで、全く違った病気なのです。現段階では慢性疲労症候群は、慢性疲労の状況を改善することが目的ですが、完治することは、今の段階では難しさがあります。ですから病気を緩和する治療を行います。
この診断を下すには、色々な検査をしないと診断できませんから、様々な検査をへてやっと病名が付くことを知らなくてはなりません。
詳しくは、慢性疲労症候群のチェック方法は?症状と原因を知ろう!治療するのに必要なことは?を読んでおきましょう。
心内膜炎
心内膜炎とは心臓の中の心内膜が炎症を起こす病気で、これは細菌感染によるものと、非細菌感染によるものとがあります。
細菌感染は病原性微生物によって起こるもので、非細菌感染は自分の免疫が自分の体を傷つける膠原病や、全身性エリテマトーデスなどがあります。
うつ病
うつ病はストレスや身体の病気、うつ病になり易い体質、環境の変化などの生活の様々な要因が重なって、また脳の神経の情報の伝達物質の量が減って、脳が異常を起こしているのが原因とされていますが、まだはっきりとした事は分かっていません。
ストレスが誘因となる事が多く、悲しい出来事身近な人の死、リストラ、人間関係などばかりでなく嬉しい出来事、結婚、出産、昇進などが引き金になる事があります。
またうつ病の人は勝手に体が動いたり、けいれんを起こしたりすることがあります。
睡眠障害
睡眠障害は何故起こるのでしょうか?睡眠障害のノンレム睡眠でおこる、子どもの寝ぼけなどがいわれる、睡眠時随伴症があげられます。
レム睡眠としては高齢男性に良く見られる、夢の内容と同じく大声で寝言を言ったり、また暴力的な異常行動が起こる睡眠行動障害などがあります。
寝不足や睡眠障害は免疫力の低下を招きます。
病院での熱の検査
病院に行くと医者はまず器質的疾患を探します。発熱を伴う病気には色々あります。命に関わる病気には、自己免疫疾患、悪性腫瘍、感染症などがあります。
甲状腺機能亢進症なども体温が上がります。病院の医師はCTやMRIなどの、画像検査や血液検査、尿検査をして、器質的疾患がないか調べます。
また甲状腺機能亢進症などのホルモンの値も調べます。ホルモンバランスが崩れる事で、体が熱を出すことがあります。甲状腺機能亢進症などがそのような病気です。
しかしストレスなどの疲れによる発熱だと、先生は「なにも見つかりません」と患者を安心させますが、これは器質的疾患がない事で患者を安心させているのです。
心因性発熱の治療法
心因性発熱の治療には、ストレス性に生じている他の身体疾患、心理療法、併存症と、生活指導、薬物療法、自律神経訓練法などの身体疾患と、精神的ストレスの組み合わせによる治療を行います。
日常生活の注意点は、ストレス性微熱が続いている場合は、生活のスピードをダウンさせることが必要です。十分に睡眠をとって、体を休める事が大切です。
ストレスで熱が出ている時は身体が反応しているのですから、会社の仕事や家事やその他の事を最低限やって、70%できたら良いと思ってやることが必要です。
この様な時に私はこんな野暮な身体で、申し訳ない、あるいはさぼっていると自己嫌悪におちいったり、罪悪感を抱かないで、これは治療の一環であると考える事が大切です。
疲れて熱が出ている時は、体が休めと警告しているのですから、「キリまでやろう」「もう少し頑張ろう」という気持ちを抱かないで、きつくなる前に休息をとるという考えを習慣付けることが必要です。
心理療法として交感神経の過剰な興奮を鎮める方法の、自律訓練法の自律神経のバランスを整え、免疫力を回復する方法も効果的です。
まとめ
如何でしたか?疲れて熱が出る事は、体が警告のメッセージを出しています。それを自分の能力以上に頑張ると、自分の体を再生できないものに、してしまう可能性がありあります。
自分自身疲れを感じたら、体あっての人生ですから、体を大切にしてください。
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