甲状腺肥大の原因はなに?考えられる病気と症状や、甲状腺の役割を知ろう!

患者のおよそ8割が女性と言われるほど女性患者が多い甲状腺疾患ですが、今回は甲状腺肥大にスポットを当てて詳しい症状を見ていきたいと思います。

意外と知らない甲状腺の役割から、甲状腺肥大が招く病気の種類、原因、検査方法や治療方法まで、詳しく解説します。

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甲状腺の働き

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そもそも、甲状腺が体内でどんな役割を担っているのか、ご存知でしょうか?

甲状腺は、新陳代謝を活性化させるホルモンを生成する臓器です。甲状腺は、喉仏の下に位置する気管で、成人の場合大きさは4~5㎝程度です。甲状腺の後ろに気道があり、喉から肺に繋がっています。形は特徴的で、蝶々が羽を広げているような形とも言われます。

健康体では、皮膚を触っても甲状腺の位置を特定できませんが、腫れるなどの症状を伴った場合は、手で触ったらすぐに分かるくらい腫れ上がります。このように、発症した際は首元が腫れるなどの自覚症状があるケースが多いので、放置せずに何等かの病気を疑うことができるのも特徴です。

普段我々は、食事後は体が食べ物を分解して、体の組織形成に利用したり体を動かすためのエネルギーに利用します。甲状腺から生成されたホルモンは、このような新陳代謝の働きに関わる箇所にパワーを加えているのです。そのため、甲状腺の働きが阻害されて、ホルモンが多く生成されたり、反対に全く生成されない状態が続くと、体に様々な症状が表れます。

例えば、多く生成された場合、血圧上昇や動悸、多汗やイライラしやすくなるなどの症状が考えられるでしょう。一方で、生成量が少ない場合は、全身のひどい倦怠感や浮腫み、全身が寒くなったり、脈が弱くなるなどの症状が出ます。

甲状腺は体の重要臓器だという認識が低いですが、甲状腺の病を患うと命に係わるケースもあるので覚えておきましょう。

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甲状腺の病気

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甲状腺が腫れる病気は、思春期や妊娠中の女性に多く発症する傾向があります。何となく患部が腫れあがっただけ……というケースも少なくなく、軽度の場合は治療しなくても自然治癒する場合もあります。治療が必要な場合でも、ホルモン剤の服用による治療のみで、数日もすれば腫れが引くことが多いでしょう。しかし、このような軽症の甲状腺疾患のみではありません。

では、甲状腺の病にはどんな種類の病気があるのでしょうか。ここでは、甲状腺肥大の症状が現われる疾患を見ていきましょう。

バセドウ病

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気で、甲状腺疾患の中では患者数も多く、代表的な病気です。他の甲状腺疾患の中でも比較的男性にも多くみられる疾患と言われていますが、やはり女性のほうが多い疾患で、比率は男性1人に対して女性4人と言われています。

あくまでも統計ですが、発症する年齢は20代や30代が過半数を占めており、青年に多い病気です。詳しくは、バセドウ病の初期症状とは?チェックする方法を紹介!を読んでおきましょう。

橋本病

慢性甲状腺炎とも言われる橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起きる病気です。甲状腺疾患の中でも極めて女性患者が多いと言われ、比率は男性1人に対して女性は30人程度にもなります。発症年齢は20代後半~40代に多く見られます。

甲状腺肥大の他に、甲状腺機能の低下によりあらゆる症状が表れますが、自覚症状が無いケースも多く、病気発見までに時間を要する可能性が高い疾患です。

詳しくは、橋本病は妊娠しくいの?症状や対処方法についてを読んでおきましょう。

亜急性甲状腺炎

甲状腺疾患の場合、患部が大きく腫れあがっても痛みを伴わないケースが多いですが、亜急性甲状腺炎は痛みがあります。亜急性とは、急性ほど突発的では無いが慢性化することは無いという意味で、発症直後はあまりの痛さに驚く患者も多いですが、実は治りやすく、再発の可能性も非常に少ない疾患なのです。

亜急性甲状腺炎もやはり女性に多く、30~40歳代の女性に多いと言われています。明確な原因は未だ不明ですが、発症すると鼻や喉の炎症がみられるため、ウイルスが原因ではないかとの見解もあります。しかし、他人へ空気や接触により感染する可能性はないので安心して良いでしょう。

発症すると、甲状腺の腫れと同時に発熱や痛みを伴うため、早期発見が可能な疾患です。腫れは、全体的に大きく腫れるケースもありますが、ほとんどの場合が左右いずれかに腫れの症状が見られます。患部を触ると飛び上がるほど痛むこともあり、奥歯や耳の後ろあたりに痛みや違和感を感じるため、別の病気を疑ってしまうことも少なくありません。検査の際は、医師にしっかりと症状を伝えられるようにしましょう。

腫瘍性疾患

腫瘍と聞くと、がんなどの恐ろしい病を思い浮かべますが、甲状腺のしこりは例え悪性の場合でも完治することが可能と言われています。甲状腺肥大の疾患には、バセドウ病などのように甲状腺全体が大きく腫れる「びまん性甲状腺種」と、甲状腺内に部分的にしこりが発生する「結節性甲状腺腫」の2種類があります。どちらの腫瘍も20~50代と幅広い世代の女性に多く、腫瘍ができる以外には痛みや発熱などの自覚症状が特に無いと言われています。

甲状腺腫瘍には、他臓器と同様に良性と悪性があり、加えて「過形成」という状態も存在します。この過形成とは、正常な組織と同様に細胞が増殖したもので良性に分類されます。甲状腺の場合、しこりが良性か悪性かを調べた結果、悪性だったとしても、比較的治しやすいがんと言われています。

それは、他の臓器にできたがんと比べて、進行が遅いからとも言われています。悪性の診断を受けても落胆せずに、前向きな気持ちで治療に励みましょう。

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甲状腺肥大の代表的疾患「バセドウ病」を詳しく知る

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甲状腺の病気でも記載したように、バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気です。甲状腺疾患の中でも代表的な疾患であり、患者数も多いと言われています。

バセドウ病の症状や検査、治療方法などを深く掘り下げ、この機会にしっかりと理解しましょう。

バセドウ病の症状

バセドウ病には、「甲状腺腫」「眼球突出」「甲状腺ホルモンの過剰によって引き起こす動悸や息切れ」の3つの症状があります。しかし、これら3つの症状が1人の患者に一度に見られることは少なく、体質や年齢によって症状は様々です。甲状腺腫から順に、詳しい症状を見ていきましょう。

まず、「甲状腺腫」。その名の通り、甲状腺が腫れあがることを言います。甲状腺腫には「びまん性甲状腺腫」と「結節性甲状腺腫」がありますが、バセドウ病の場合は甲状腺全体が腫れるびまん性甲状腺腫に分類されます。病気の進行や程度によって腫れ方は様々ですが、若い女性が発症した場合は、首の前部分が全体的が大きく膨らむため、首が太くなったような感じがするでしょう。一方、50代以降など年齢を重ねてから発症した場合は腫れ方が小さく、一見大きな違和感は感じないことが多いです。甲状腺腫が大きくなると、手術など外科的処置が必要になるケースがほとんどです。早期発見が何よりも大切です。

続いて、代表的な症状の「眼球突出」。バセドウ病は、目や瞼が腫れぼったくなり、眼球が前面に出てしまうイメージを持っている方が多いでしょう。しかし、眼球突出はバセドウ病患者の2割にしか見られない、比較的稀な症状なのです。眼球が突出する以外にも、まぶたが腫れたり、引っ張られることで目全体が大きくなったように見える場合もあります。このように、バセドウ病によって引き起こされる目の疾患を「バセドウ眼症」といいます。そもそも、なぜ甲状腺の疾患で眼に症状が現われるのでしょうか?

眼球が突出してしまう理由は、眼球の裏側にある眼球を動かす筋肉の体積が浮腫みや炎症によって増えるため、眼球が前に突出してしまうからなのです。中には、眼球突出だけに限らず、結膜炎を起こしたり潰瘍ができたり、目に見えるものすべてが二重になって見えてしまうという症状に悩まされる人もいます。この眼球突出は、バセドウ病の治療とともに必ずしも効果がみられるわけではなく、バセドウ病は治っているのに眼球突出はそのまま……というケースも多いのが事実です。そのまま放置すると長い時間を要することもあるので、バセドウ病の治療と並行して眼の治療も行うといいでしょう。

最後に、「甲状腺ホルモンの過剰」です。甲状腺ホルモンとは、新陳代謝を活発にするホルモンです。この甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、新陳代謝が異常に活発になり、健康な人と比べて何倍ものエネルギーを消費することになります。寝ている時でも走っている時と同様のエネルギーを消費するとも言われています。とにかく疲れやすいというのが、バセドウ病患者に多い症状です。

上記のような代表的な3つの症状に加えて、手足や体が震えるという症状もあります。また、エネルギーの浪費が激しいため、食べても食べても太らないという状況に陥ることもあり、1カ月で10kg痩せることも珍しくありません。バセドウ病には、目覚めのいい朝は無いと言われるほど寝起きが悪く、集中力が持続できなかったり、イライラするなどの症状もみられます。一見、健康な人と同様にイキイキと生活しているように見えますが、実状は安定した日常を送れない程の症状に悩まされているというのも事実です。

 バセドウ病の原因

過剰に甲状腺ホルモンを生成するこの病には、「免疫」が関係していると言われています。

人間の体には生まれながらに免疫が備わっており、見慣れない外敵が体内に入り込んだ場合は撃退する力があります。しかし、この免疫が何等かの手違いにより自らの体を攻撃する抗体を作ってしまう病気もあり、これを「自己免疫疾患」といいます。バセドウ病は、この自己免疫疾患の一種なのです。このように、免疫が関係していることは明らかになっているものの、なぜ自分の体を攻撃する抗体が過剰に作られてしまうのか、その原因は未だ明らかになっていません。

他に考えられる原因のひとつに、遺伝的要素もあります。バセドウ病患者の約15%には、親や兄弟などが同じ病を発症しているという統計があります。しかし、明確な原因では無いため、参考程度にしましょう。

バセドウ病の検査方法

問診や診察により、バセドウ病の疑いがある場合は、まず血液検査を行うことが多いでしょう。この血液検査では、血液中の甲状腺ホルモンの量を測定して、正常値と比べて過剰になっているかどうかを調べます。甲状腺を刺激する「TSHレセプター抗体」という特殊な抗体が血液中に確認されたら、バセドウ病と確定されるでしょう。

ほとんどは、初回の血液検査で確定診断ができますが、稀に血液検査のみでは確定できないケースもあります。その場合は、「アイソトープ(放射線ヨウ素)」という検査方法で診断します。バセドウ病の場合、甲状腺ホルモンを過剰に生成するため、甲状腺に多量の放射性ヨウ素が集まります。この性質を利用した検査方法で、あらかじめ患者にアイソトープを服用させ、数分後に甲状腺にたくさんのアイソトープが集まればバセドウ病と確定できます。

いずれも痛みを伴わない検査です。恐れず、医師の指示のもときちんと検査を受けましょう。

バセドウ病の治療方法

年齢や体力、病気の進行具合にもよりますが、バセドウ病の主な治療方法は「内服薬治療」、「アイソトープ(放射性ヨウ素治療)」、「手術」の3つと言われています。

薬による治療の場合、抗甲状腺薬という甲状腺ホルモンの合成を防ぐ薬を、毎日規則正しく服薬します。正しく服用し続ければ、病気の程度にもよりますが、遅くとも3カ月以内には血中の甲状腺ホルモン濃度は安定してくると言われています。薬が体質に合えば、健康な人と変わらず、自覚症状に悩まされることもなく、安定した日常生活が送れるようになります。内服薬治療の場合、規則正しく薬を服用することに加えて、定期的に甲状腺ホルモンの数値を測定し、どの程度の量の薬が必要なのかを小まめに確認することが重要です。

アイソトープ治療は、甲状腺細胞の数が少なくなれば甲状腺ホルモンの分泌も減り、量が減少するという考えから、アイソトープを服用し、甲状腺に集まった放射性ヨウ素で甲状腺の細胞の数を減少させることが目的の治療法です。人によって効果はそれぞれですが、2か月で効果がみられるケースもあります。手術よりも大がかりではなく、薬の服用よりも治るのが早いことから、選ばれやすい治療法です。しかし、細胞が想定していた以上に減少をして甲状腺機能が低下してしまうという副作用もあるため、担当医と相談して決めましょう。

最後に手術での治療方法です。手術療法の場合、過剰にホルモンを生成している甲状腺を、手術で切除します。問題のホルモンを作る元となる甲状腺を切除してしまえば、ホルモンが過剰になることはありません。この手術によって、病状も良くなり再発の心配もなくなります。しかし、問題となる甲状腺の全てを切除するため、場合によっては著しく甲状腺機能が低下してしまうため、甲状腺ホルモンの服薬が必須になる場合もあります。事前にメリット、デメリットを理解して、治療を受けるようにしましょう。

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甲状腺肥大の代表的疾患「橋本病」を詳しく知る

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バセドウ病に続き、甲状腺肥大に多くみられる疾患「橋本病」も見ていきましょう。

橋本病の症状

橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起きる疾患です。橋本病の代表的な症状は、「甲状腺腫」という甲状腺の腫れです。しこりは、専門医が触っても分からないくらい小さいものから、見ただけで確認できるほど大きなものまで様々です。バセドウ病の症状にも甲状腺腫が見られますが、橋本病のしこりのほうが硬いのが特徴です。

橋本病は、腫瘍以外にも甲状腺機能低下症を併発するケースもあります。これは、血中の甲状腺ホルモンが不足している状態で、患者のおよそ3割に起こると言われています。甲状腺機能が低下しているかどうかは血液検査によって分かりますが、以下のような自覚症状が表れることもあります。

(甲状腺機能低下症の主な症状)

  • 顔やまぶた、舌などに浮腫みがある
  • 皮膚がひどく乾燥して、白い粉をふくことがある
  • 新陳代謝の低下に伴いカロリーの消費が減っているため、食べていないのに太る
  • 脈が弱く、心臓の動きもゆっくり
  • 月経量が多くなったり、普段よりも長く続くことがある
  • 新陳代謝が低下しているため常に寒い

橋本病の検査方法

橋本病の検査は、甲状腺腫があるかどうかの診断と共に、バセドウ病ではないかどうかを確認することが大切です。検査は、主に血液検査と細胞検査を行います。

血液検査では、甲状腺腫の有無と甲状腺機能低下症が見られるかどうかを診断します。甲状腺機能低下症が確認できれば橋本病と確定できますが、甲状腺機能に異常が見られない場合は、甲状腺内に抗体があるかどうかで診断を行います。

血液検査で抗体を調べた結果、確定診断に至らなかった場合は細胞検査を行います。「せんし吸引細胞診」という注射針で甲状腺細胞を吸い出す検査方法です。

橋本病の治療方法

甲状腺ホルモンの不足状態が続くと、心臓や肝臓の機能低下や、新陳代謝が低下することによって発症する病など、様々な臓器に影響が出てくる可能性があります。そのため、甲状腺機能の低下が確認されたら、自覚症状が無い場合でも治療が必要です。

甲状腺の機能が低下している場合は、体内で生成できない量の甲状腺ホルモンを投薬などで補う方法で治療を行います。投与する薬は「サイロキシン」という薬で、年配者や体力が著しく低下している患者は、少量の服用で様子を見ます。甲状腺ホルモンは人間の体にとって必要な物質ですが、量が多かったり急に服用すると、心臓に負担がかかる場合があるため、慎重に服用する必要があります。

服用する薬の量は、個人差はありますが、飲み始めて3ヵ月以内には安定すると言われています。検査結果で決定した量を規則正しく服用し続ければ、甲状腺の腫れや喉のつまりなどの症状が少しずつ無くなり、病状は回復に向かうでしょう。

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まとめ

甲状腺疾患は数多くありますが、甲状腺肥大の症状が出た場合は、バセドウ病と橋本病の可能性が極めて高いと言われています。

自覚症状の有無に関わらず、一刻も早く医師の診断を受けることが必要です。初診の場合は、「内科」もしくは「内分泌科」を受診するといいでしょう。

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