血友病ってどんな病気?症状や原因は?合併症やインヒビターについて!治療法や検査法も紹介!

世の中には、一般的にはあまり知られていない先天性の止血異常が数多くあります。みなさんは、血友病という出血性の疾患をご存じでしょうか?

傷が深かったり血液量が大量でない限り、擦り傷や切り傷などは自然と止血すると思っている方も多いと思いますが、血友病患者は止血にとても時間がかかります。平成27年の厚生労働省の調査によると、血友病患者は約6000人いると言われています。もし、患者があなたの目の前で出血を起こした場合、どのような対処が必要なのでしょうか?

血友病の詳しい病状を知るとともに、日常生活で気を付けるべき点なども合わせて学びましょう。

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血友病の基礎知識

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血友病とはどんな病気なのか、病気の特徴を知りましょう。

血友病とは止血異常をきたす病気

血友病は、出血した際に血が止まりにくかったり、固まりにくかったりする止血障害で、健常者より止血に時間がかかります。これは、血液を固めるために必要なタンパク質が皆無か、もしくは極めて少ないために起こると言われています。

ではまず、正常な止血の仕組みから理解しましょう。

切り傷や擦り傷などにより血管が破れると、その部分から血液が流れ出て出血します。このような出血を起こした場合、正常な止血の仕組み通りであれば、血管が破れて出血をしても、その流血を止めるために破損した血管部分を「血小板」がブロックして止血を試みます。

しかし、血小板のみでは一時的なブロックしかできません。血小板で一時的に止血したとしても、傷口に圧力がかかって血液がにじみ出る可能性もあります。そのため、血小板だけでなく、もっと頑丈な成分で敗れた血管の隙間を埋めていく必要があります。

そこで必要となるのが、血小板のパートナーであり凝固因子とも呼ばれる「タンパク質」なのです。血小板で一度止血した後、タンパク質で破れた血管の隙間を埋めることが出来れば、多少の傷や圧力が傷口にかかっても、再び流血する可能性は低くなるでしょう。ただし、血管が怪我をする前の正常な状態に戻らない限り出血を繰り返すので、血管が完全に治った時点で止血したと考えるようにしましょう。

このように、「血管が破れていなく健康な状態」、「血小板の働きが正常」、「凝固因子(タンパク質)の働きが正常」、これら3つの要素が揃って初めて正常に止血が行えるのです。血友病患者の場合は、この要素の中の凝固因子の働きに異常が見られるため、止血が上手に行えず、出血症状が起こるとされています。

血友病Aと血友病B

血友病にはタイプがあります。

血友病は、タンパク質の欠乏や反応が弱いことにより止血異常が起こる病気ですが、血液凝固の働きを担うタンパク質は11種類あると言われています。この11種のタンパク質の中で、8番目のタンパク質(血液凝固第8因子)の欠乏、または反応が弱いことにより発症した血友病は「血友病A」に分類されます。一方、9番目のタンパク質(血液凝固第9因子)の欠乏、または反応が弱いことにより発症した血友病は「血友病B」に分類されます。

同じ血友病でもタイプが違うため、治療薬が異なります。患者がどのタイプの血友病かを必ず知っておく必要があります。

血友病と遺伝

血友病は、主に遺伝性の疾患と言われています。

イギリスのヴィクトリア女王の家系に血友病が見られたのは有名な話です。ヴィクトリアの子供や孫、さらに12人いるひ孫に至っては、6人と半数が血友病の疾患に悩まされていたと言われています。そして、血友病を発症したのは男性のみだったのです。血友病の遺伝はこのヴィクトリア家のように、女性が血友病の遺伝子を子孫に伝え、病気を発症するのは男性です。ではなぜ男性ばかりが発症するのでしょうか?

それは、男女の性染色体に関係があるのです。女性の性染色体はXX。一方、男性の性染色体はXY。万が一、X染色体に障害を持った場合でも、女性の場合はもう一方のX染色体で補うことができるため、第8因子や第9因子のタンパク質を作り出すことができます。しかし男性の場合は、X染色体に障害を持った場合、Y染色体では第8因子や第9因子のタンパク質を作り出す遺伝子が無いため、血友病を発症してしまうのです。

遺伝性の強い疾患とはいえ、血友病患者のおよそ3割程度は、家族歴が見られないという結果もあります。遺伝性以外にも突然変異によって発症するケースもあるため、家系に血友病患者が誰もいないから……と油断は禁物です。

発症頻度

2011年度の「血液凝固因子異常症調査」によると、現在日本にはおよそ6000人以上の血友病患者がいるとされています。

血友病A患者が4475人(うち、男性4446人、女性29人)。血友病B患者は971人(うち、男性958人、女性13人)。発症頻度は、男性1万人あたりにおよそ0.8~1人の計算です。およそ6000人の患者がいますが、患者が持つ凝固因子活性の程度によって、重症、中等、軽症に分類されます。

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血友病の症状

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血友病の症状は主に出血です。では、具体的にどのような症状が見られるのでしょうか?詳しい症状例を見ていきましょう。

目に見えない出血

血友病は止血が困難な疾患で、出血を未然に防ぐことが重要です。しかし血友病の出血は、目に見えない、いわゆる内出血の症状例の方が圧倒的に多いと言われています。内出血の場合、傷口が体内にあるため、圧迫して止血することが不可能なため体内に血種が出来てしまうリスクがあります。体内に血種が出来ると、その大きさによっては周囲の組織に障害を与えるため注意が必要です。血友病が引き起こす内出血とは、具体的に以下の出血を言います。

  • 皮下出血
  • 関節内出血
  • 筋肉内出血
  • 頭蓋内出血

皮下出血は、皮下の下の皮下組織にある脂肪に、出血が広がって血種ができた状態です。いわゆる青あざです。最初は、患部が赤紫色になりますが、時間の経過と共に青くなり、最終的には消えてなくなります。痛みはほとんどなく、内出血の中では比較的軽傷です。しかし、大きな血種になった場合は輸注が必要な場合もあります。

関節内出血は、血友病の出血症状の中でも一番多いと言われています。人間の関節は、骨と骨を筋肉と靭帯がつないでいて、その中に関節滑膜(かんせつかつまく)という膜があります。この関節滑膜のさらに内側は、関節腔(かんせつくう)という袋状になっており、この部分が出血することを関節内出血と言います。関節の痛みや腫れなどの症状があり、幼児期や小学生など成長著しい時期は、足首や膝、肘、肩などの関節内出血が増加します。少量の出血でも、痛みが強いのが特徴です。

筋肉内出血は、筋肉の内側や、筋膜と筋肉の間に出血を起こすことを言います。出血により血種ができると筋肉を圧迫するため、痛みを伴います。さらに、出血量が多い場合、患部が大きく腫れることもあります。筋肉内出血は、血種により筋肉の周りを覆っている神経や血管を圧迫して、神経に麻痺などの症状が起こってしまうケースもあるので注意が必要です。このような症状が繰り返し長期間続くと、後遺症が残ってしまう可能性も十分に考えられます。

頭蓋内出血は、転んだりして頭を打った際など頭部打撲が原因で起こる脳出血で、命を落とす可能性もある大変危険な出血です。主に、頭痛や嘔吐、痙攣、発熱、意識障害などの症状がありますが、頭部を打った直後は何もなく、何日かして症状が現われることもあります。また、子供が発症した際は、頭痛や嘔吐などの症状では風邪と見分けるのが難しい場合もあります。しかし、頭蓋内出血は、一刻も早い手当で止血をすることが何よりも大切です。明らかに頭蓋内出血の疑いがある時は、家庭内で輸注を行える場合は行って止血をしましょう。これは、病院に駆けつけるまでの間に出血し続けることによって、後遺症が残ってしまうリスクを回避するためです。

目に見える出血

内出血とは反対に、目に見えて流血する外出血も、血友病の症状のひとつです。外出血は内出血と違い、血種が神経等を圧迫して他の症状を引き起こす心配は無いものの、出血の量が大きな問題となってきます。

出血量が多ければ、重度の貧血を招く可能性もあります。血友病が引き起こす外出血とは、代表的な例として以下のような出血があります。

  • 外傷出血
  • 鼻出血
  • 口腔内出血

外傷出血は、活発に動く小学生などに多く、擦り傷や切り傷により出血することです。出血しているものの、傷口も小さく浅い場合は、傷口を手で圧迫するだけで止血することが可能です。しかし、傷口が深く大きい場合は、縫うなどの外科処置が必要になることもあります。外科処置が必要な場合は、必ず治療を施す前に製剤の輸注が必要となるので注意しましょう。

鼻出血は幼少期に多く、指の届く範囲から出血することが大半のため、鼻をつまむなどして圧迫することで止血することができます。圧迫で止血が出来ない場合は、輸注をします。

口腔内出血は、口の中を怪我したり、食事中に誤って噛んだ時や、幼少期の歯の生え変わり、虫歯、歯槽膿漏などが原因で起こる口の中の出血です。口内には唾液が常にあるため、患部にかさぶたが出来にくく、出血が長く続く傾向があります。呼吸や食事などに支障をきたすため、早めの止血が必要になります。大半は、内服薬で止血するか、輸注で止血を行います。

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血友病の原因

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血友病を引き起こす原因として、これまでも挙げてきたように、血友病は遺伝性が非常に強い疾患です。しかし、病気を発症する原因は遺伝だけに限りません。およそ3割は、遺伝は関係なく突発的に発症しており、「後天性血友病」とも言われています。

この後天性血友病は、およそ100万人に1人が発症すると言われており、非常に稀な疾患です。発症する原因は未だ不明ですが、考えられる原因として以下が挙げられます。

(後天性血友病の原因となること)

  • 胃や大腸などの悪性腫瘍
  • 関節リウマチやシェーグレン症候群などの自己免疫疾患
  • 分娩後
  • 抗生物質投与などの薬剤使用後
  • 皮膚疾患

これらの考えられる原因はあるものの、決して明確なものではありません。参考程度にするといいでしょう。

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血友病の合併症

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血友病の治療や一時的に症状を緩和させるための処置に伴い、合併症を引き起こす可能性もあります。詳しい合併症を見ていきましょう。

ウイルス感染症

1986年以降、製剤は加熱処理することが義務となったため、ウイルスへの感染は心配なくなりましたが、以前はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルス、HIVへの感染などが深刻だった時期もあります。

現在は、製剤の加熱処理に加え、遺伝子組み換えの血液凝固製剤も使われるようになったため、さらにウイルス感染のリスクが無くなったと言われています。

インヒビターが作られる

血友病を発症した場合、止血に必要な凝固因子の第8因子が体内で不足しています。これを注射で補うことを「補充療法」と言います。

血友病患者にとって、この補充療法は必要な治療ですが、続けていると体内に「インヒビター」というものが作られることがあります。インヒビターは、直訳すると邪魔をするものという意味で、第8因子を注射で補っているにも関わらず、第8因子が持つ止血の効果を無くしてしまう悪い物質なのです。

インヒビターがこのような働きをするのは、人間の体の仕組みが関係しているのです。私たちの体は、細菌などの見慣れない外敵が体内に入り込んできた場合、生まれつき備わっている免疫の力で、自然と撃退しようとします。そのため、第8因子がもともと備わっていない血友病患者に注射で第8因子を補うと、もともと体内になかった物質のため異物と勘違いをして、第8因子を撃退しようと免疫が働いてしまうのです。

現在では、血友病患者の2~3割程度に、インヒビターの発生が見られると言われています。

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血友病の検査方法

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血友病の疑いがある場合は、すぐに医師の診断を受けましょう。ここでは、どのような検査を行うか見ていきましょう。

問診

幼少時に、気になる出血や青あざ、手術などの外科治療の経験がある場合は異常出血があったかどうかなどを中心に、過去の病歴を調べます。また、血友病患者は母方の男性に多いため、家族の発症歴等も問われるでしょう。

採血検査

問診以降、血友病の疑いがある場合は、採血によって診断を行います。

血友病の特殊な採血検査によって、血友病の症状の度合いを重症・中等症に分けることができます。さらに、出血症状の少ない軽症の場合は、採血検査によって第8因子または第9因子が欠乏しているかどうかを調べることも可能です。

いずれにしても、血友病の確定診断には、採血検査は必ず必要になります。

病型診断

血友病には、重症、中等症、軽症と分類されます。この重症度の分類は、凝固因子となる第8因子と第9因子の働きがどの程度かによって分けられます。

正常な凝固因子レベルは50〜150%と言われています。しかし、血友病患者の場合は、健常者よりも数値は極めて低く、軽症では5%以上、中等症は1~5%未満、重症患者は1%未満となります。
基本的には、血友病と診断された後に、患者がどの程度の重症度なのかを調べます。重症度によって治療法や出血時の対処法が変わるので、必ず把握しておきましょう。

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血友病の治療方法

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血友病の治療方法は、不足している凝固因子を補充するのが第一です。これを、「凝固因子補充療法」といい、血管に直接注射をして補います。この注射での治療は、成分を補充することによる一時的な治療です。

凝固因子補充療法の中には、擦り傷や切り傷、打撲による内出血を未然に防ぐために、子供の遠足や運動会などの前に凝固因子を投与して出血するのを防ぐ「予備的補充療法」と、定期的に注射して凝固因子レベルを高める「定期補充療法」の2つがあります。定期補充療法は、重症と中等症の子供が主な対象となります。

中等症から軽症の血友病患者には、デスモプレシンという物質の投与が効果的と言われています。これは、血液凝固第8因子の濃度を高める物質で、第9因子が欠乏している血友病B患者には投与しても効果はありません。このデスモプレシン療法においては、ウイルス感染のリスクが無く安心して受けられる治療です。ただし、重症の血友病A患者と、血友病B患者には効果がないので注意しましょう。

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日常生活での注意点

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転んだり、打撲などをしやすい幼少期のお子さんの場合、日常生活では特に注意が必要です。傷口の浅いすり傷や切り傷の場合は、患部を洗い、清潔なガーゼ等で傷口を圧迫して止血しましょう。止血できない程度の深い傷の場合は、すぐに製剤を投与して、専門の医療スタッフに相談をして指示を仰ぎましょう。
一方、頭を強く打った場合などの頭内出血、首や喉周辺の出血、腰や腹部の筋肉出血においては、一刻も早い処置が必要です。すぐに製剤を投与して止血を行い、救急で病院に急ぎましょう。
小さいお子さんが血友病を患っているご家庭では、まず保育園や幼稚園、学校などの理解が何よりも大切です。止血しにくい事実を伝えるのはもちろん、出血した際の簡単な対処法は必ず事前に説明をしておきましょう。何かあった場合、すぐに連絡がとれるよう連絡先を伝えておくといいでしょう。
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まとめ

現代の医学の発展により、製剤を家庭で投与できる自己注射が可能となり、血友病患者の暮らしも随分と豊かになったと言われています。しかし、未だ完治するに至らない病気であることも事実です。血友病患者が安心して暮らすためには、病気に対する周囲の理解が何よりも大切です。そして、あなた自身が患者の場合は、理解を促す努力もまた必要なのです。

すべての血友病患者とその家族が快適に過ごせる世の中になるよう、この病気への理解が広がることを願うばかりです。

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