アペール症候群とはどんな病気?症状・原因・治療法・病気との向き合い方を知ろう!

皆さんはアペール症候群という病気をご存知でしょうか?アペール症候群は遺伝子異常によって頭蓋骨の異常な発展・形成が引き起こされる難病です。

今回はアペール症候群の症状や現在行われている治療方法、回復の見込みなどを中心に記事をまとめてみました。

アペール症候群の原因

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「アペール症候群」という病名を耳にしたことのある方は、関係者を除けば、それほど多くはないでしょう。まずはアペール症候群がどのような病気なのかご説明します。

アペール症候群ってなに

アペール症候群というのは、新生児の頭蓋骨形成が通常よりも早い段階で進み、顔面やあごなどの部分が出来上がる前に頭蓋がくっついてしまい、生まれてくるときには頭や顔が歪んでしまっているような病気です。

アペール症候群の子供たちの多くで、頭部だけでなく、手の指や四肢といった他の部位における先天的な形成不全や機能の欠損も合併して起こっています。アペール症候群に対しては、今のところ有力な治療法は確立されていません。そのため、日本でも国の難病指定を受けています。

ただ、最近では、いくつかの外科手術によって症状のいくつかに改善が見られたという報告もあるようです。

アペール症候群の原因

アペール症候群は、あるひとつの遺伝子に低確率で突然変異が起きることによって生じるとされています。この変異した遺伝子というは本来、骨の形成段階ですみやかに骨同士を誘導して結合させる役割を担っています。

その遺伝子が変異してしまったことによって骨同士を結合させるときに誤った命令を出してしまうために、アペール症候群のような症状が発現してきます。ほとんどすべての遺伝子の突然変異において、どの遺伝子が変異してしまうかはランダムに決まるようです。そのため、アペール症候群の子どもが生まれる確率はだいたい65,000人に1人程度です。

アペール症候群の症状

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アペール症候群の原因は骨の形成に関わる遺伝子の突然変異によるものだということが分かりました。続いては、アペール症候群の症状についてみていきましょう。

アペール症候群の症状

アペール症候群の赤ちゃんが持つ、変異した遺伝子は、頭蓋骨の癒合をどんどん促進します。本来は胎児が生まれてくるときには頭蓋骨は完全にはくっついていません。

しかし、アペール症候群の赤ちゃんは顔の他の部分ができてくる前に頭蓋骨の形成をどんどん進めてしまいます。そのため、生まれてくるときには顔が歪んでしまった状態になっています。たとえば、赤ちゃんが脳など頭蓋骨の中身を成長させようとすると頭蓋骨からそれを上から押さえつけるような形で圧力がかかります。なぜなら、すでに頭蓋骨はくっついてしまって新しく成長した脳が入るための十分なスペースを用意できなくなっているからです。

このため、アペール症候群の赤ちゃんは顔が少し横長になるようです。このような顔面に現れる異常がアペール症候群の直接的な症状です。具体的には、長い頭部に高い位置にある額、横長な顔にふくらんだ目でまぶたが閉じづらい、もしくは完全には閉じられない、顔の中心がくぼみがちである、などが挙げられます。

その他のアペール症候群の症状

アペール症候群は頭蓋骨の早すぎる癒合の促進によって起きる直接的な影響の他に、脳が圧迫されたり、頭部の機能形成が阻害されることで生じる間接的な影響があります。

たとえば、アペール症候群の一部の児童においては、知的障害を持っているケースが確認されています。また、睡眠時の無呼吸症や耳瘻などの症状を多発するケース、さらには聴覚障害が認められるケースも報告されているようです。

また、手や足の骨が水かきのような膜の覆われて癒合してしまう症例もアペール症候群によく見られる症例と見なされています。また、アペール症候群の子どものなかには、心臓や胃腸、尿のシステムなどに何かしらの問題を抱えている子もいるようです。

アペール症候群の診察

医師が生まれたばかりの胎児に対してアペール症候群もしくは他の頭蓋骨癒合性の症候群の可能性を疑う場合というのは、新生児の見かけで判断することが多いです。怪しいなと判断した場合、遺伝子検査を行ってアペール症候群やその他の疾患によって頭蓋骨の形成に異常をきたしているのではないかと調べるのです。

アペール症候群の治療

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さて、これまではアペール症候群がどのような病気で、どのような原因で起こると考えられているのかご紹介しました。

続いては、アペール症候群が現在どのように治療されているのかについてみていきましょう。

アペール症候群の治療法

アペール症候群に関しては、今のところ根本的な治療法は確立されていません。ただし、手術によって頭蓋骨や顔の歪みなどの部分は修正することが可能です。

欧米におけるアペール症候群の治療はこの外科的な手術を骨と骨の間で異常な接続をしている箇所に施していくことがメインの治療になります。一般的に、現在のアペール症候群の治療は3つのステップに分けることができます。

①癒合している頭蓋骨を分離する

手術によって異常な結合をしている頭蓋骨を部分的に結合を解いたり別の個所と結合しなおします。この手術はだいたい6ヶ月から8ヶ月の間に施されることが多いです。

②顔面の調整

アペール症候群の子どもが成長するにしたがって、頭蓋骨の癒合は再び問題になります。顔も身体の成長とともに成長しますが、頭蓋骨の癒合のせいでそれがうまくいかないのです。

そこで、外科手術によってあごや頬の骨を削り、それを成長した顔の本来あるべき場所に移植することで顔面を調整します。この修正手術はだいたい4歳から12歳の間に必要となります。特に顔の中央部の調整は若年のときに実施されます。

③離れた目の位置を修正する

この手術では、目と目の間にある頭蓋骨のふちを除去します。そして、眼窩の距離と高さ、あごとのバランスも調整します。

その他の治療法

前述した3つのステップ以外にも、副次的な治療がいくつか行われます。点眼液によって目の乾燥を防いだり、酸素供給器具によって睡眠時の無呼吸症の対策をしたり、抗生物質の投与によって耳瘻孔などの細菌感染を防いだりします。

アペール症候群の回復の見込み

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アペール症候群の子どもたちには継続的な治療が必要であることが分かりました。しかし、外科的な手術で修正できる部位とは違い、脳機能の障害は治療が一筋縄ではいきません。

続いては、先述のような手術を乗り越えたアペール症候群の子供たちが一般の人と同じような知能を身につけることができるのかどうかみていきましょう。

一般的なIQの獲得可能性

アペール症候群の子どもたちには一般的に頭蓋骨の癒合を解き、脳が正常に成長するための機会を与える必要があります。ただし、この手術を受けて成長した子どもでも、一般レベルの知能を得る可能性はまだあまり高くありません。

つまり、早期に手術を行ったとしても、頭蓋骨にスペースだけできて、その子の脳が成長してこないということがあり得ます。ただし、一般的に、子どもに良好な家庭環境と通常の知能を獲得する機会を提供することのできる両親のもとで育ったアペール症候群の子どもの場合、だいたい10人に4人程度の割合でアペール症候群の子どもでも一般的な知能指数(IQ)が正常レベルにまで到達するという報告があります。

施設に収容されているアペール症候群の子どもの場合は、18人に1人程度の割合で一般的な知性レベルのIQを獲得することができるという報告もあります。さらに、ある研究では、追跡調査した136人のアペール症候群の子どものうち3人が最終的に大学へ進学することができたそうです。

アペール症候群との向き合い方

アペール症候群の子どもと他の似たような疾患を持つ子供たちは通常のIQを獲得するまでにはさまざまな行動面・精神面のリスクを乗り越えなければなりません。それだけでなく、彼らには彼らが対峙している困難に対処するための追加的な社会的、精神的なサポートが必要です。

また、一般レベルのIQを持っていないアペール症候群の子どもにも社会的・精神的な問題がのしかかっていることも忘れてはなりません。実際のアペール症候群には、通常の病気と同じように、重度のものと比較的軽度のものとがあります。病気の重篤度は個人差があるのです。現在、アペール症候群の原因はある一つの遺伝子の変異にあると考えられています。

ただ、どうしてたった一つの遺伝子が変異しただけでそのような病気の症状に多様性があるのか、その問題は依然として専門家たちを悩ませています。専門家たちはその問題を解析し、遺伝子が突然変異によってどう変わり、それがどのように私たちの人体に影響を与えるのか、データを蓄積していくことで、将来的には、現在は根治のために有効な治療法がないアペール症候群のような遺伝子の突然変異が原因の疾患の根治も可能になるのではないかと考えています。

まとめ

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1.アペール症候群とは遺伝子の突然変異によって新生児の頭蓋骨形成が通常よりも早い段階で進むことで生じるさまざまな機能不全のことである

2.アペール症候群の子どもは頭蓋骨の癒合のために年齢の増加とともに継続的に手術を受ける必要がある

3.アペール症候群の子どもでも一般的な知性を得ることは可能である。ただし、すべてのケースに当てはまるわけではない

4.アペール症候群のような障害を持つ人々が健常者と同じように社会のなかで暮らすためには社会的な寛容さ、精神的なサポートは重要である。

人生には希望が必要で、それはアペール症候群の子供たちにとっても例外ではありません。彼ら/彼女らは少年/少女時代のなかで、自分がノーマルもしくは非ノーマルなのかという精神的な課題と向き合わなければなりません。彼ら/彼女らにとっての人生に対する期待というのは、外科手術や遺伝子治療の技術の向上や、家族や社会による継続的なケアと大きな相関を持っているといえるでしょう。

  
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