甲状腺の腫れをチェック!原因や見分け方を紹介!

普段あまり気に留めることのない甲状腺ですが、身体の代謝などに大きな役割を持っています。腫れについてもよほどでなければ気が付くことはなく、風邪などで病院にかかったときに気がつく方も多いようです。甲状腺の病気は気が付きづらいので放置しがちですが、実際には多くの患者さんがいるといわれています。

甲状腺が腫れる原因と、健康を保つための工夫をまとめました。

甲状腺とは

病気

甲状腺には代謝など身体の活性化について大きな役割を持ちます。

甲状腺の働き

甲状腺とは、のど仏にある器官です。大きさは大体立て4.5cm程度×横4cm程度で、重さが16~20gくらいのちいさな器官です。

甲状腺は脳下垂体から分泌されるホルモンによって甲状腺ホルモンの分泌を調整しています。血中の甲状腺ホルモンが低下すると脳下垂体はホルモンを多く出すように甲状腺に指令を出し、逆に血中のホルモン値が上がると分泌を減らすように指令します。

甲状腺ホルモンはヨードを材料として作られます。身体の新陳代謝を活発にするホルモンで、脳の活性化や体温の調節、心臓や胃腸の活性化、新陳代謝の促進が主な役割です。

腫れを確認するには

甲状腺はのど仏のあたりにあるので、触ってみれば自分で腫れを確認することが可能です。首〜のど仏に腫れがないかどうか、特に上を見た時には分かりやすいので定期的にチェックしておくとわかりやすいでしょう。また、前から見た場合に首の両サイドが少し膨らんでみえるような特徴があります。

首から下側に腫れて来るので、のど仏と鎖骨の間あたりに出っ張りがないかを確認するのも一つの手です。

比較的大きく腫れていない限りはなかなか自分では判断しづらいですが、医師による触診やエコー検査をすればはっきりとわかります。

また、甲状腺の腫れ自体は分かりづらくても、動悸や汗をかく、暑がりになった、疲れやすい、むくみがあるなどの症状がある場合は甲状腺の異常が疑われる場合があります。女性であれば生理不順も一つの目安です。

腫れが起こる原因

医師

甲状腺の腫れは、甲状腺の機能の異常や炎症によって起こります。甲状腺に晴れが起こる病気についてまとめました。

バセドウ病(グレーブス病)

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気です。自己免疫疾患の一つで、甲状腺を刺激する抗体が身体の中で作られ、自分の身体を攻撃してしまうことが原因です。この抗体によって甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが増え過ぎてしまうのです。

動悸、息切れや手のふるえ、眼球突出などが症状として現れます。

遺伝的な要素もあり、根本的な治療は難しいとされていますが、直接命に関わる病気ではありません。様々な症状は血中の甲状腺ホルモンなので、このホルモン量を薬で調節する治療などが行われます。

詳しくは、バセドウ病の初期症状とは?チェックする方法を紹介!を読んでおきましょう。

橋本病

慢性甲状腺炎のことを指します。こちらもバセドウ病と同様に自己免疫によっておこる炎症で、ある種のリンパ球が甲状腺組織を攻撃して起こるものとされています。

むくみや皮膚の乾燥があり、バセドウ病とは逆に寒がりになる傾向があります。

甲状腺の腫れはバセドウ病と違い少し硬く、ごつごつしたものが多く見られます。甲状腺機能の低下がある場合には薬での治療を行います。

詳しくは、橋本病は妊娠しくいの?症状や対処方法についてを参考にしてください。

脳下垂体の腫瘍

脳の一部である下垂体に腫瘍ができる病気です。下垂体は、脳の真ん中あたりにある小指程度に非常に小さな組織ですが、ここで様々なホルモンの分泌を行っている非常に重要な組織です。下垂体に腺腫が起こると様々なホルモンが過剰分泌されてしまい、そのうちの一つが甲状腺刺激ホルモンであることから甲状腺の腫れが起こります。

目が見えづらくなる、手のしびれなどが主な症状です。良性腫瘍なので、多くは治療の必要がなく、場所が場所だけに逆に安易に手術するべきではないという考え方もあります。

視野障害が大きい場合などどうしても治療が必要な場合は手術や放射線治療を行います。

プランマー病

甲状腺に腫瘍があり、それによって甲状腺ホルモンが過剰に出ているものを指します。甲状腺の機能が亢進するため、バセドウ病と似たような症状が出るのが特徴ですが、比較的症状は軽いと言われます。自己免疫とは関係していない点がバセドウ病と異なり、眼球の突出は起こらず、遺伝もありません。

また、甲状腺が全体的に腫れるのではなくしこりが見られるのが特徴です。

濾胞腺腫

甲状腺にできる良性の腫瘍で、このうちホルモンの過剰分泌があるものが上記のプランマー病とされます。痛みのないしこりができ、ゆっくりと大きくなるのが特徴です。こちらもそれほど悪さをするものではないので、基本的に手術はせずに経過を観察します。

腫瘍が4cm以上の硬いものである場合や、経過観察中に大きくなった場合、胸の中に入り込んでしまった場合などには手術が必要な場合もあります。

甲状腺嚢胞

上記と同様に、甲状腺にできる良性の腫瘍です。袋状で球体の物質ができ、中に液体が溜まります。大きくなるとしこりとして触れるようになります。

液体を注射器で吸い出すことによって解決しますが、どうしても何度も水がたまってしまう場合には嚢胞の中にエタノールを注入してわざと炎症を起こし、袋をつぶしてしまう治療が行われます。

腺腫瘍

甲状腺に結節(しこり)ができる病気です。ホルモンの分泌が正常であれば特に治療は必要ありませんが、圧迫感がある場合や癌が疑われる場合は手術で取り除きます。

急性化膿性甲状腺炎

細菌感染が甲状腺やその周囲で起こる炎症で、理由は分かりませんが左側に起こるものが9割を占めます。子供に多いもので、甲状腺の腫れと痛みが起こり、ものを飲み込む時に痛みが強くなるという特徴があります。

生まれつき甲状腺に向かって細い管があり、ここから細菌が入ってしまって起こることが多いようです。この管自体を取ってしまえば再び起こることはありません。

亜急性甲状腺炎

甲状腺の腫れに痛みを伴う時に疑われる病気です。発熱がある場合もあります。この炎症の場合、全体が腫れるよりも左右どちらかがまず腫れてくることや硬さがあること、触ると痛みがあることが特徴です。

自然に治る病気なので治療は必要ありませんが、体力を消耗する場合があるので安静にする必要があります。

単純性びまん性甲状腺腫

ただ甲状腺が腫れている、というものが単純性びまん性甲状腺腫です。腫瘍も炎症もなく、ホルモン値も正常だけれどただ腫れているだけです。

思春期に多い症状で、特に治療が必要ではなく見た目が気になる程度ですが、将来的に甲状腺の病気につながる場合があるので経過の観察が必要です。

ストレス

甲状腺の病気にはストレスが大きく関わります。ストレスがたまることによってホルモンの分泌は下がりますが、甲状腺ホルモンについても同様です。ホルモンの分泌が低下することで自己免疫に異常が起こり、炎症を起こしてしまうために腫れが起こります。腫れの種類は橋本病の場合と同様、ごつごつした感じになります。

産後甲状腺異常

出産によりホルモンバランスが変化して甲状腺の異常を起こすことは非常によくあります。妊娠中にはホルモンが非常に多く分泌されますが、出産時にこれが一旦くずれてしまいます。さらに授乳のためのホルモンが分泌されてくる、ということで、ホルモンバランスが非常に大きく変化してしまうのです。

ホルモンバランスの変化に伴い、甲状腺ホルモンも多く分泌されるようになります。通常であればだんだんと元に戻って来るのですが、変化がうまく行かず甲状腺ホルモンの異常が残ったままになってしまうことがあり、これを出産後甲状腺異常と呼んでいます。

甲状腺ホルモンが多過ぎる場合、少な過ぎる場合どちらもあり得ます。

甲状腺の腫れを予防するには

牡蠣

甲状腺の病気の多くは自己免疫疾患ですが、自己免疫疾患はそもそも免疫力の低下によって起こります。普段から免疫力を高めることを心がけましょう。

ストレス対策

ストレスは免疫にとって大敵です。ストレスを感じると自律神経の乱れが生じます。交感神経が強く働き、常に緊張状態になってしまうとこの状態に対応するために免疫を抑制するホルモンが出てしまい、免疫力が低下してしまいます。

このような状態は甲状腺の自己免疫疾患を引き起こす恐れがあります。

甲状腺機能を正常に保つ食事

甲状腺に異常が起こってしまった場合や予防のために適した食材などをまとめました。既に診断を受けている場合は医師の指導に従って下さい。

ヨードの制限

甲状腺ホルモンはヨードによって作られます。不足してしまうと甲状腺ホルモンが作れなくなってしまうという問題はありますが、日本の食生活においてはどちらかというと採り過ぎる傾向があるため注意が必要です。昆布や海藻、寒天などの食べ過ぎに注意しましょう。

脂肪の採り過ぎを防ぐ

自己免疫疾患に対して、脂肪分はあまりよくありません。免疫系を傷つけてしまうので甲状腺だけでなくいろいろな所に影響が出てきます。また、肥満も様々な病気の原因となるので注意しましょう。

ビフィズス菌

免疫細胞はその多くが腸の中にあります。腸の健康を保つことで免疫力を高め、甲状腺の病気を予防することができるのです。

ビフィズス菌はオリゴ糖と一緒に摂取するのが有効です。

ビフィズス菌はヨーグルト、醤油、漬け物など、オリゴ等はりんごやバナナ、ヨーグルト等に含まれています。

亜鉛

亜鉛には甲状腺の働きを正常化させる働きがあります。亢進している場合も低下している場合も、どちらでも効果的な食材なのでぜひ摂取したいものです。

亜鉛を含む食材で有名なのはやはり牡蠣でしょう。牡蠣6個で男1日分を摂取することができます。また、牛肉や蟹にも多く含まれています。

もう少し普段食べる食材で見ると、大豆製品やアーモンド、チーズに含まれています。

まとめ

甲状腺の病気は非常に患者さんの多い病気です。30代くらいの女性には特に非常に多く、なかなか気が付きづらいですが、甲状腺の腫れや他の症状が出ていないかなどセルフチェックできる点もあるのでぜひ生活に取り入れて下さい。

特に、疲れやすくなる、気力が湧かないなどの症状はうつ病や更年期障害と勘違いしやすい症状です。

  
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