血管肉腫とは?原因・症状・診断・治療方法を詳しく紹介!

血管肉腫(hemangiosarcoma)という病名は、日本ではこのように言われていますが、海外では脈管肉腫(angiosarcoma)と一般的には言われています。これは、皮膚(血管内皮細胞)に発症する悪性軟部腫瘍です。初期症状は痛みを伴わず、腫瘍が大きくなるまで無症状であることが多いため、症状が進行してから発見されることがあります。

血管やリンパ管に発症し、頭部や頸部に発症することが多いです。これが、髪の毛に隠れて発見が遅れることがあるため、全身の血管やリンパ管を通り臓器に転移することがあり、再発率も高い難治疾患です。また、頭部や頸部だけでなく、胴体や手・足にみられることもあります。その他、悪性度のgradeの特定ができていないことに加え、発症部位によって悪性度が異なります。

では、血管肉腫の発生頻度から説明をしていきます。

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血管肉腫について

血管肉腫

血管肉腫の発生頻度

悪性軟部腫瘍の患者数は日本では約3千人です。その内、血管肉腫は1~2%(日本の皮膚悪性腫瘍の中の約1%)の発症率と稀な疾患となっています。軟部肉腫の4.1%を血管肉腫が占めており、おおよそ50%が頭頸部に発症しています。

本国、近年では増加傾向にあると報告されています。欧米よりも実際の発症例は多いと予想されています。

血管肉腫の特徴

上記でも、発症部位によって悪性度が異なると記述しましたが、中でも皮膚原発は悪性度が高いとされています。

特に、頭部や顔面の発症例は単一の分類として扱っています。これらの特徴として、以下の7点が挙げられます。そして、治療を行っていく上で特に重要視し、考慮していかなければならない点になります。

  • 好発部位は高齢者の頭皮
  • 局所的
  • 多発性
  • 進展・拡大が早い
  • 再発しやすい
  • 遠隔定位(特に肺転移)を起こしやすい
  • 予後は極めて不良

血管肉腫の原因

血管肉腫の「肉腫」とはガンの一種になります。これは、遺伝子に異常が起きて異常な細胞増殖が発生する病気となっています。血管肉腫も同じです。遺伝子異常の原因は未だ不明です。

血管肉腫の患者のほとんどが高齢者です。頭部に発症する血管肉腫の約半数以上が頭部をドアで打つなど外的刺激による外傷が原因であることがあります。皮膚ではこういった形で頭部のみに発症することがほとんどです。ここからの血行性転移による血気腫も高頻度に発症します。

血管肉腫の症状

特に高齢者では、好発部位は前頭部~前額部皮膚になります。初期は、皮膚表面に淡紅斑・紅斑(赤みの状態)・紫斑(青い内出血様の状態)の状態で現れます。進行すると浮腫が生じます。そして、結節や血豆の様な状態になり、皮膚が欠損し、増大すると出血やかさぶたを呈するようになります。その他、潰瘍や循環障害、感染症を引き起こす場合もあります。一部では、貧血や血液凝固機能異常など血液の機能障害も見られます。

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血管肉腫の診断・病態

予後は不良であると記述しましたが、早期に正確な診断をして対処をすると予後は良好です。早期の正確な診断と長期に亘る過酷な治療をするには病理的な検査は不可欠となります。以下の検査を確認し、病期を確定してそれに沿った治療を実施していきます。

免疫染色検査

病理診断を確定するために抗体を用いたこの検査が必須です。

全身検査

  • 頭部原発巣の大きさ、数、範囲、深達度
  • 所属のリンパ節転移の有無
  • 肺、肝臓(他、内臓)、骨などの遠隔転移の有無
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血管肉腫の分類

悪性軟部腫瘍の病気分類にはTNM分類とSurgical Staging Systemがあります。病期を区分するにはTNM分類が一般的ですが、血管肉腫については国際的に確定はされていません。

TNM分類

腫瘍のサイズ、深さ、リンパ節(周辺のリンパ節)への転移の有無、遠隔転移の有無、腫瘍の悪性度によって病期を判定します。

原発腫瘍(T)

TX:原発腫瘍の評価ができない
T0:原発腫瘍がない
T1:5cm以下の腫瘍
T1a;腫瘍が浅いところに存在する
T1b;腫瘍が深いところに存在する
T2:5cmを超える腫瘍
T2a;腫瘍が浅いところに存在す
T2b;腫瘍が深いところに存在する

・所属リンパ節(N)

NX:所属リンパ節の評価が不可能
N0:所属リンパ節の転移なし
N1:所属リンパ節転移あり

・遠隔転移(M)

M0:遠隔転移なし
M1:遠隔転移あり

・病期(stage):

4つに分類されます。腫瘍の大きさと深さを加えて更に6つに分類されます。

病期Ⅰ:低悪性度。腫瘍の大きさ5cm以下か、5cmを超えるもの。所属リンパ節転移や遠隔転移はありません。
病期Ⅱ:高悪性度。腫瘍の大きさ5cm以下か、5cmを超える。表在性(浅い)のもの。所属リンパ節転移や遠隔転移はありません。
病期Ⅲ:高悪性度。腫瘍の大きさ5cmを超える。深在性(深い)のもの。所属リンパ節転移や遠隔転移はありません。
病期Ⅳ:所属リンパ節転移や遠隔転移があります。

※表在性腫瘍:浅筋膜に浸潤していない、浅筋膜よりも浅い箇所に限局する腫瘍。

※深在性腫瘍:浅筋膜より深いとこりに限局しているか、浅筋膜に浸潤あるいは貫通した腫瘍。

例えば、後腹膜、縦隔、骨盤内の肉腫はこれに分類します。

  • G:病理組織学的悪性度
  • GX:悪性度が評価されない
  • G1:grade1
  • G2:grade2
  • G3:grade3

Surgical Staging System

原発巣(最初にできた腫瘍の場所)の外科的手術を行う際に役立つ分類です。

・組織学的悪性度:低悪性度(G1)、高悪性度(G2)

・腫瘍局在:腫瘍が区画内にあるかの分類。区画とは、筋肉は筋肉、骨は骨の中に腫瘍が収まっているのか、収まらず出てしまっているのかということです。これによって手術が行えるかどうかを判断します。

・遠隔転移:これがある場合は、悪性度に関係無く病期Ⅲへ分類されます。

・病期(stage):5つに分類されます。

病期ⅠA:低悪性度の腫瘍が区画内にあるもの。遠隔転移はありません。
病期ⅠB:低悪性度の腫瘍が区画外まで広がったもの。遠隔転移はありません。
病期ⅡA:高悪性度の腫瘍が区画内にあるもの。遠隔転移はありません。
病期ⅡB:高悪性度の腫瘍が区画外まで広がったもの。遠隔転移はありません。
病期Ⅲ:遠隔転移があるもの。

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血管肉腫の治療

手術

患者の年齢、精神状態、全身状態、進行状態によって治療方法は異なってきますが、こういった腫瘍の治療には、免疫療法、外科的手術療法、放射線治療、化学療法の4つを組み合わせて介入を行っていきます。予後不良のため、直ちに治療を施行されることが多く、各施設にて可能な治療を病期に関係なく施行される傾向があるので注意が必要です。受診をする施設をよく選んでいきましょう。

また、早期に診断し、早期に治療と言ってもその治療前検査に長期の日数を要することがあります。そういった場合でも、腫瘍の状態について早期に検査を行い、できるだけ早期に治療の対応をしていくことを望まれます。

手術の種類には以下のものが挙げられます。

手術療法

受傷部位が小さい場合は、外科的な切除が可能です。しかし、顔の部位を含む場合には切除は困難です。ちなみに、切除術は紅斑や紫斑には可能ですが、結節等の進行している状態では適応が困難です。切除術には広範切除術、腫瘍辺縁切除術、腫瘍内切除術と様々な方法があります。

放射線療法

手術療法、化学療法と併用して行う必要があります。行うタイミングとしては、病変が見られる部位の温存が困難な場合や、術前・後、術中に施行されます。症状の経過により切除術が困難である場合にも行われます。

化学療法

手術による切除や転移巣の治療が困難を極めている場合に化学療法を行います。内服するもにはいろいろなものがあり、投与量や飲み薬か注射なのか、組み合わせや副作用も異なってきます。

化学療法に使用される抗がん剤の種類としては、分子標的薬と細胞障害性抗がん剤が挙げられます。後者には、アルキル化剤、抗ガン抗生物質、植物アルカロイド、代謝拮抗剤、プラチナ製剤が挙げられます。

対症療法

上記に記したような手術や化学療法、放射線治療などリスクを伴い副作用に苦しむことをせずに症状の進行に順応して対応していく治療がこれになります。

腫瘍があるからと手術や化学療法、放射線治療を行う患者も多いですが、近年では対症療法という方法を選ぶ方も増えています。ベッドでゆっくり休み、余暇時間を満足に過ごすといった形になります。

血管肉腫の治療の留意点

  • ①高齢者への肉体的、精神的なストレス、負担を十分に考慮 する必要があります。
  • ②進展・拡大が早いため、治療前の検査は早く実施しましょう。(定期的に検査をすると早期発見につながり、対応も早く行うことができます。)
  • ③局所・多数の場合、治療の範囲を特定することが難しい場合、外的刺激が誘因とされる場合では、拡大外科的切除術を検討する必要があります。
  • ④再発や転移の可能性が極めて高いため、治療方針を段階的に踏み、検査も定期的に実施し、慎重に経過を辿る必要があります。
  • ⑤必要な治療法を実施することが困難な施設の場合は、それを対応可能な治療院の紹介をしてもらいましょう。

予後

生物学的悪性度は非常に高いため予後は悪いです。これまでの報告から、生存率5年間は約10%代となっています。血管肉腫の治療はまだ整っておらず、診療ガイドラインの必要性が高いにも関わらず国内外ともに未だ存在していません。

上記にあるような治療で血管肉腫の局所制御のための外科的な切除術と放射線治療が有効とされていますが、まだそれでは不十分とされています。

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まとめ

家族で話し合う

悪性腫瘍には様々なものがありますが、いずれも難治疾患となっています。

抗がん剤治療を行うと副作用も強く、最終的には痛み止めにモルヒネを使用することもあります。腫瘍は必ずしも手術や化学療法などを行わなければならないわけではありません。そういった介入を施行することであらゆる合併症や副作用に苦しむ可能性もあります。

こういった時に対症療法という手もあります。どういった方法で進めていくかは、しっかりと家族や医者と相談し合って決めていくと良いでしょう。

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