化膿性関節炎とは、どのような病気なのでしょう?
化膿性関節炎は、関節の中に連鎖球菌や黄色ブドウ球菌などが何らかの原因で入り、感染症が起こり、関節の内部に膿(うみ)が溜まり化膿してしまう病気です。
この状態を放っておくと、関節の表面軟骨が消失し、さらに骨の内部までも破壊されてしまうため、もし治療が遅れると、その後の関節の動きなどに障害が残ります。
ですから、もし化膿性関節炎にかかった場合は、緊急の治療を必要とする病気であるという認識が大切です。
化膿性関節炎とはどんな病気?
化膿性関節炎とは、関節の中に連鎖球菌や黄色ブドウ球菌などが何らかの原因で入り、感染症が起こり、関節の内部に膿(うみ)が溜まり化膿してしまう病気です。
この状態が続くと関節表面の軟骨が消失しされ、さらにその破壊が骨にまでにもおよぶため、もし、治療が遅れた場合は、治癒後にも関節に何らかの障害が残ってしまいます。
ですから、もし化膿性関節炎にかかった場合は、早急に適切な治療を受ける必要がある病気だと考えられます。
化膿性関節炎が疑われる症状とは何か?
膝が痛くなったときや、その痛みに関連する症状として、次のような特徴が見られる場合には、化膿性関節炎を発症している可能性があります。
- 膝の関節が腫(は)れて、激しく強い痛みを感じる場合
- 患部に熱がこもって熱くなっている場合
- 体全身に寒気がして、発熱する場合
関節痛以外にも、発熱、ふるえ、悪寒などの風邪によく似た症状が現れます。さらに、食欲不振、全身の倦怠感などの症状が見られる場合もあります。
化膿性関節炎の原因は何か?
関節内に連鎖球菌や黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入する経路は、以下の3つのパターンが考えられます。
- 扁桃腺や尿路の感染など、体内の他の部位に感染病巣があり、血流にのって細菌が関節内に達する場合
- 骨髄炎が関節の近くで起こり、そこから波及する場合
- 注射や怪我などにより、細菌が直接関節内に入る場合
化膿性関節炎の一番多い原因となる細菌は黄色ブドウ球菌です。その他には、肺炎球菌、連鎖球菌、MRSAなどが見られます。
糖尿病て人口透析を受けていたり、免疫抑制剤やステロイド剤などで治療を行っている人は、細菌に対する免疫力が落ちているので化膿性関節炎には比較的かかりやすく、また、かかった場合は治りにくくなることもあります。
化膿性関節炎にはどんな症状が現れるの?
化膿性関節炎は、痛みや腫れ、膝の皮膚には発赤や熱感があり、全身症状として悪寒や発熱、全身倦怠や食欲不振などの症状がみられます。
炎症が長期にわたると、時々脱臼することもあり、さらに、皮膚にポッカリ穴があいて、そこから膿(うみ)が排出されることもあります。
そのまま放置しておけば、関節の破壊がどんどん進み、膝に障害が残り日常生活ができなくなるため、早急に治療を受けなければなりません。
化膿性関節炎の検査と診断は?
血液検査を見ると、赤血球沈降速度の亢進、C反応性蛋白の陽性、白血球数の増加などが炎症性の変化としてみられます。
X線検査の初期段階では、像影に関節の隙間が広がっているのが観察できますが、これが進行すると、段々骨の状態に変化が見られるようになります。
超音波やMRI、骨シンチグラフィなどによる像影検査は初期段階では有効ですが、診断、および治療のために最も重要なことは、原因となっている細菌を確実に特定することです。
関節から注射器で採取した細菌の種類を特定し、それに対して効果のある抗生物質を治療の為に選びます。
化膿性関節炎の治療の方法は?
化膿性関節炎と診断の結果がわかったら、直ぐに患部のの絶対安静と、抗生物質による点滴を行います。患部に溜まっている膿(うみ)を可能な限り注射器で吸い出します。
それらを行っても効果がほとんど見られない場合は、手術を行い、中にたまっている膿(うみ)を取り出し、傷ついた炎症部分を取り除きます。
この手術は、内視鏡を用いて、小さな穴だけの切開でも行うこともできます。手術の後は関節の中に溜まっている膿(うみ)を取り出せるように、チューブ(ドレーン)を入れたままの状態にしておきます。
また、閉鎖性持続灌流法として、骨髄炎と同じように関節の中に持続的に洗浄するチューブを設置することもあります。
症状が落ち着いたら、関節の機能を取り戻せるように、早い時期にリハビリを始めます。感染症による浸食や破壊が骨の中まで進行している場合には、ある程度回復してきた時点で、関節固定手術が適応されることもあります。
化膿性関節炎に気づいたらどうすればいい?
化膿性関節炎は早期診断と、早期に治療を行うことが大切で、治療が遅れた場合には、関節の変形や痛みが残ったり、関節の動きなどに問題が残る場合もあります。
化膿性関節炎が疑われる症状があれば、一刻も早く医師の診断を受ける必要があります。
化膿性関節炎の特徴や原因とは?
化膿性関節炎は、主に黄色ブドウ球菌などの細菌が関節内に侵入して炎症を起こし、関節に膿(うみ)が溜まり化膿する病気です。
これがひどくなると、骨や関節軟骨などが破壊されるばかりでなく、その部位がだんだん変形していきます。
膝関節に最も多く発症し、次に股関節、肩関節、足関節の順に発症しやすい順番になっています。年齢別で見ると、免や疫力抵抗力の低い、幼児やお年寄りに多く発症します。
また、敗血症、扁桃炎、膀胱炎など、関節の近くで起こった化膿性骨髄炎が関節まで広がる場合、人工関節置換術などの手術後の感染症として、発症する場合もあります。
化膿性関節炎の予防とは?
細菌の感染を完全に防ぐのは難しいので、体力を養い、感染に対する免疫力や抵抗力をつけておけば、発症率も下がり、感染後の治りも早くなります。
睡眠・運動・栄養を充実させれば、体の免疫力や抵抗力のアップにつながる一番の近道です。また、日常生活のストレスや疲労をためすぎないように、注意が必要です。
化膿性関節炎の疾患のポイントとは?
化膿性関節炎は、関節の細菌感染症で、そのまま放っておいて治療をしなかった場合、数日間で関節破壊がはじまり、機能障害も起こしてしまう内科的準緊急疾患です。
単関節炎、あるいは少関節炎を診察した場合、その中でも特に疼痛や腫脹・発赤などの症状が見られた場合は、化膿性関節炎の可能性について必ず評価します。
罹患関節としては、膝が約50%と一番多く、次に足関節・股関節など下半身の関節に多いですが、手関節や肩関節などにもみられる場合があります。
関節への感染経路で一番多いものは血行性で、その他、外傷による直接感染や骨髄炎からの波及、関節注射や皮膚軟部組織感染症からの波及などによる原因が考えられます。
化膿性関節炎を引き起こす細菌は、成人の場合、黄色ブドウ球菌が一番多く、レンサ球菌がそれに続きます。
特にあきらかな出血や穿刺部位の軟部組織感染症がない限り、関節穿刺を行います。
少量の関節液を採取して、細胞数やグラム染色・培養、結晶の鏡検について調べます。
化膿性関節炎の診断のための検査例とは?
検査の為に関節液穿刺・関節液検査を行いますが、単(少)関節炎患者では関節穿刺を行って、検体が1滴しか取れなかった場合には、培養検査に提出します。
関節内注射に伴う化膿性関節炎が重篤な合併症として報告されていますが、可能な限り早い時期に治療を始めてください。
化膿性関節炎の臨床症状とは?
化膿性関節炎は、激しい関節の痛み、患部の腫脹、患部の発赤や熱感などの症状が見られます。
また、高熱が出ることもありますが、毒性の弱い細菌や、高齢者や免疫不全患者では関節炎の症状が軽いと言われています。
化膿性関節炎の検査所見とは?
化膿性関節炎の検査において、関節液の採取と病原菌の培養、血液の精密検査、および細菌の特定の為の検査が重要になります。
検査の検体は、必ず2セット採取することが望ましいでしょう。
感染後4~6日で軟骨の破壊が始まりますが、X線検査の初期段階ではほとんど発見できません。
化膿性関節炎の確定診断とは?
関節液を検査しても、原因となる細菌を特定できない場合もあります。
感染経路は関節穿刺による直接感染の他、患部に近いところに別の病気の病巣があるときや、血液が病原体を運び感染する場合などがあります。
一番初めの病巣を特定するためには、呼吸器、咽頭、中耳、尿路などの組織検査も行います。
化膿性関節炎の処置とは?
化膿性関節炎にかかってしまったら、検査の後に原因となる細菌が想定されるので、適切な抗菌薬を選択します。
静脈の中に抗菌薬を注射すると経過は良くなるため、治療はまず静脈注射で開始し、その後で適切な薬を服用します。
完全な治癒は、保存療法(冷却、安静、抗菌薬の全身投与)だけでは、化膿性関節炎の処置において難しい場合も多く、手術をして、排膿・ドレナージを行います。
持続洗浄療法は大変に有効で、生理食塩液を大量に使い、関節内を洗浄します。検査で菌が見られなくなるまで患部の洗浄をつづけ、その期間は普通は2週間以内です。
化膿性関節炎の予後とは?
もし、早期に適切な治療をしなかった場合、関節軟骨は破壊され、4週間ほどで関節全体の破壊が生じます。
高度の関節機能障害を起こす場合には、関節固定術などを行なう場合もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
化膿性関節炎は、関節の中に入った細菌が原因で感染症を引き起こし、関節内部が化膿してしまう病気です。
早期に適切な治療をしなかった場合、関節軟骨は破壊され、4週間ほどで関節全体の破壊が生じます。ですから、診断や治療に緊急性を要する病気のひとつであると言えます。
関節に膿(うみ)がたまっているときは、注射器で可能な限り吸い出しますが、それらを行っても効果がない場合は手術を行い、中にたまっている膿(うみ)を出し、炎症部分を切除します。
もし、化膿性関節炎の疑いがあるときは、一刻も早く医師の診断を受けることが重要です。