脊髄小脳変性症の症状や原因を知ろう!遺伝との関係は?治療法やリハビリの方法も紹介!

脊髄小脳変性症という病気を知っていますか。この病気は、難病指定されている病気の1つです。2005年に沢尻エリカさん主演ドラマ「1リットルの涙」では、この病気が題材とされていました。その為、発症している患者数は少ないですが、このドラマを通じて知っている方もいると思います。

ここでは、脊髄小脳変性症という病気を知る為に、脳や脊髄の働き、脊髄小脳変性症の症状や原因、検査方法や治療方法について詳しくご紹介します。

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脊髄小脳変性症について

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ここでは、脊髄小脳変性症の概要と、脳や脊髄の働きについてご紹介します。

脊髄小脳変性症とは

脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう、英:Spinocerebellar Degeneration (SCD))は、運動失調を引き起こす神経疾患の病気です。小脳、脳幹から脊髄にかけての神経細胞がどんどんと壊れ、無くなっていく病気です。

その結果、初期症状では手足や言葉の自由が失われ、最終的に体の運動機能が全て失われます。1976年以降から日本では厚生労働省が実施する治療が困難であること、難病を意味する、特定疾患に登録されています。

この病気は、小脳、脳幹から脊髄にかけての細胞の変性疾患の総称のため、フリードリヒ病や、皮質性小脳委縮症、オリーブ橋小脳委縮症、シャイドレーガー症候群、多系統委縮症といった病気を含んだ約30の病気を表します。小さい子供からお年寄りまで幅広い年齢層で発症します。

人口10万人に対して、5人~10人の割合で発症すると言われ、日本では約3万人の患者が存在します。2005年に日本で放送されたテレビドラマ「1リットルの涙」を見たことある方はこの病気について少し知っているかもしれません。「1リットルの涙」は沢尻エリカさん主演の脊髄小脳変性症を題材としたドラマです。原作は、愛知県の木藤亜也さんが中学の時に患った脊髄小脳変性症の難病と戦った記録が記された日記です。

木藤亜也さんは、中学3年生の時に、頻繁に転んでしまう運動の不調を訴え、病院を受診し、医師から「脊髄小脳変性症」であることを告げられます。小脳、脳幹、脊髄が萎縮する疾患であり、初期症状として箸が持てない、よく転ぶといったことが見られ、病状が悪化するにつれて、歩けなくなったり、文字が書けなくなります。最悪の場合は、寝たきりになり衰弱して死に至ります。

小脳、脳幹、脊髄の機能が失われても、大脳は正常に活動を続けることが出来ます。その為、しっかりとした意識を持ちながら、体の自由が失われていく過程を認識します。彼女の日記では、体の自由が失われていいくことと、自分の意識がハッキリとあることの間で生き抜いたことが描かれています。彼女が日記が書けなくなるまでを綴った物をまとめ、単行本や文庫本として出版され、発行部数は210万部のロングセラーになり、その後はドラマ化されたり、映画化されました。

彼女は、脊髄小脳変性症の悪化により衰弱と、尿毒症を患い25年という短い生涯に幕を閉じました。しかし現在では医学の進歩により脊髄小脳変性症の多くの患者は命に関わるほどではなくなったと言われています。

脳と脊髄の働きについて

脳や脊髄の役割を知ることで、脊髄小脳変性症がどんなことに影響するかを知ることが出来ます。脳は大きく分けて、「大脳」「小脳」「脳幹」の3つに分類することが出来ます。それぞれの箇所で働きが異なる為、異常の範囲により影響する内容も異なります。

■大脳

大脳は、中枢神経系の一部と呼ばれ、多くの神経細胞が集まり大きなまとまりとなっています。大脳の働きは、 知覚、知覚情報の分析、統合、運動随意性統御、記憶、試行、神経の伝導路です。頭蓋骨の下に位置しており、他の動物に比べて人間は非常に発達している部分です。

大脳は、脳全体の80%の重さを占めているといわれ、体全体から送られてくる情報を、処理して指令する司令塔のような役割をしています。大脳にはたくさんのしわがあり、このしわがあることで、多くの表面積をとることが出来、たくさんの情報処理を行うことが出来るといわれています。

この大脳の部分が機能しなくり、他の小脳や脳幹が動いている場合は、意識がない状態でも生命活動を続けることが出来る為、植物状態と判定されます。

大脳の主な働き

  • 思考や判断、記憶、計算、言語
  • 全身の運動に関する指令
  • 痛み、温度、圧力など感覚
  • 聴覚、嗅覚、情緒、感情

■小脳

小脳は、大脳の10分の1の重さしかありませんが、大脳の神経細胞よりも多くの神経細胞が存在し、脳の神経細胞のほとんどが小脳に集中しています。小脳の働きは、知覚と運動機能で、バランス、筋緊張、随意筋運動をコントロールしています。小脳に異常が現れると、運動に異常が起こり、筋肉が低下します。

その為、お酒に酔ったような千鳥足が見られ、上手く歩けないといった状態が起こります。他にも、上手く立てなくなったり、手先の細かい作業が出来なくなります。脳を背中側から確認した時の大脳の尾側に続いてあり、見た目はカリフラワーのような形をしています。

小脳の主な働き

  • 大脳から伝達された、運動指令を細かく調整し、各部分に伝達
  • 直立や歩行に関するバランス感覚
  • 眼球運動の調節
  • 体幹と四肢の運動の制御

■脳幹

脳幹は、生命維持をするのに必要な部分で「命の座」とも呼ばれています。呼吸や心臓の活動、体温調節などの生命維持に関係する神経が多く集まっています。私たちが意識することなく、生命活動を維持できるのは、脳幹の働きによるものです。

脳幹の主な働き

  • 体温、食欲、性欲、睡眠、代謝など自律神経のコントロール
  • 視覚、聴覚といった感覚のコントロール
  • 瞳孔反射、眼球運動の調整
  • 全身の筋肉のコントロール
  • 歩行や姿勢などの骨格筋運動のコントロール
  • 生命活動に必要な、呼吸、心臓の拍動、血管運動、唾液分泌、せきなどをコントロール

脳幹は、脳死の判定にも使われています。脳幹がコントロールしている、瞳孔反射を確認し機能していない場合は、脳死と判断されます。反対に、脳幹され機能すれば、大脳が動いていなくても、人間は生きていると考えられています。

■脊髄

脊髄は、脳から繋がる中枢神経で、脳から下に向かって細長く伸びた脳の突起と呼ばれる部分で、脊髄骨の中に保護されています。主な働きは脳から発する情報の伝達経路で筋肉と連結して体を動かします。脊髄に異常が現れると、筋肉に力が入らずに衰えたり、体を動かすのに異常が現れます。

脊髄の働き

  • 運動系、知覚系神経の伝達
  • 体温、食欲、性欲、睡眠、代謝など自律神経系の伝導
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脊髄小脳変性症の原因と症状について

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ここでは、原因と症状について詳しくご紹介します。

脊髄小脳変性症の原因とは

髄小脳変性症は小脳、脳幹、脊髄の神経系に異常をきたしますが、残念ながら明確な原因が明らかにされていません。分かっている原因としては、遺伝性の場合もあり、原因遺伝子はいくつか解明されています。

脊髄小脳変性症の症状とは

脊髄小脳変性症は、小脳、脳幹、脊髄に異常をきたす病気の総称で、細かく分けた病名は約30にも及びます。どこの小脳部分が変性するかにより、症状が変わるため、人によってそれぞれです。しかし、よくある症状としては、運動失調や細かい作業が出来なくなるといった症状です。具体例として下記のような症状が現れます。

  • めまい
  • 運動失調
  • まっすぐに歩けずに、ふらつく
  • 転びやすい
  • 立つとふらつく
  • 手が震える
  • 箸が使いにくい
  • 文字がかけない
  • 言葉を発しにくい

また、人によっては手足が震える、動きが遅くなるといった、筋肉が固まる、体のバランスが悪くなるといったパーキンソン症状が見られる場合があります。他にも、血圧が急激に下がる起立性低血圧や、排尿障害、不眠、動悸、パニック症状などの自律神経症状が見られます。

特に自律神経症状に関しては、挙げたらきりが無いほどの影響があるため、人それぞれの症状の現れ方が異なります。また、小脳は眼球運動の調整も行っている為、小脳に異常が現れると、眼球が左右に勝手に動いたり、物が二重に見えることもあります。また、体が衰弱しすぎると、その他にも病気を引き起こして死に至る危険性があります。

脊髄小脳変性症は、進行性の病気で、時間の経過と伴に症状が強く現れ出します。しかし、進行自体は緩やかに進行する場合が多く、現在では、薬物投与やリハビリの効果により、ほとんどの方が寿命を縮めることはないと言われています。

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脊髄小脳変性症の検査方法

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ここでは、検査方法についてご紹介します。

問診

問診(もんしん)とは、医師が病気の手がかりを探す為に、患者に自覚症を確認したり、いつから発症したか、家族の病歴、患者の職歴、既に持っている病気など様々なことを聞くことです。また、症状を聞いて、脊髄小脳変性症の疑いがある場合は、立つ様子や歩行を確認したり、鼻指鼻試験を行います。

鼻指鼻試験とは、指と鼻を人差し指で交互に触ってもらう検査であり、手指が特定の位置で止めることができるかを確認します。小脳に異常があると疑われた場合は、この試験により距離を測定することが出来るか、細かい運動が出来るかなどを確認します。

血液検査

問診により、脊髄小脳変性症の疑いが挙がった場合は、他の疾患と区別をする為に、血液検査を行い、血液に異常がでていないか調べます。血液検査は血液を採取して、病状を調べる簡単な検査方法です。血液から得られる情報はたくさんあり、自覚症状が現われていない場合でも血液に異常が出ている場合もあります。

血液検査だけで、2000項目を超えるほどの検査内容を確認でき、がん、糖尿病、アトピー、花粉症などのアレルギー反応、エイズ、貧血、白血病、動脈硬化なども確認できます。血液検査を行うことで、脊髄小脳変性症と診断できる手がかりには結びつきませんが、他の病気と区別する為に行います。

尿検査

尿検査も血液検査と同様に、他の疾患と区別する為に行われます。指定のカップに採取した尿に試験紙を数滴垂らして、試験紙の色の変化を見ます。色の変化具合により、陰性(-)、疑陽性(±)、陽性(+)、強陽性(2+)、(3+)と診断されます。尿検査で分かる項目は、主に肝臓や腎臓、膀胱などの尿に関係する臓器の状態を調べることが出来ます。

CT

CTの検査では、脳の中の構造を確認でき、脊髄小脳変性症以外にも脳の病気としてよく起こる、脳出血・脳梗塞・脳腫瘍脳などの発見に役立ちます。

CTの検査は丸い筒の中に頭を通して検査します。筒の中を通る際に、患者の頭周りをエックス線という電磁波が一周します。この結果をコンピューターで計算すると、頭の中を輪切りにしたように中身を確認することが出来ます。

CTの画像で、小脳や脳幹の委縮などを確認できると、脊髄小脳変性症と確定診断されます。CTやMRIを使用することで、症状が似ている、パーキンソン病や脳梗塞と区別が出来ることや、脳の中身を確認できる為、脊髄小脳変性症と診断するには必要な検査です。

MRI

MRIの検査も、CTと同様に脳の中身を画像として確認できる検査方法です。内容はCTとほとんど同じですが、エックス線の代わりに、磁力用いて検査します。また、MRIはCTよりも優れており、検査条件を変更と、様々な条件の内部を確認する事ができます。更に、CTのように水平に輪切りにするだけでなく、縦方向に輪切して確認することも出来、様々な角度から脳の状態を見ることが出来ます。

MRIは極めて強力な磁気を使用しているため、金属の入れ歯をしている方や、体内に金属が入っている場合は、ペースメーカーをしている方、この検査ができない場合があります。CTより細かな細部を見ることがで機能的には優れていますが、専門家がいないと簡単に実施できないことや、一部の方に使用ができない為、便利性ではCTの方が高いといえます。

遺伝子検査

CTやMRIを通して、脊髄小脳変性症と診断され、遺伝性による疑いがある場合は、遺伝子検査を行う場合があります。遺伝子検査とは、DNAの持つ情報を解析し、病気のリスクや体質、症状の予後を予測することを目的とした検査項目です。

遺伝子の情報は変化しない為、一度検査を受けた方は以後検査する必要はないと言われています。現在では、血液からでなく唾液からでも遺伝子を簡単に調べられるようになったことや、分析費用も以前に比べて安くなっていることから、手軽に出来る検査項目になりつつあります。

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脊髄小脳変性症の治療方法

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残念ながら、脊髄小脳変性症を根本治療する方法はありません。しかし、症状を緩和させる薬剤投与やリハビリを行うことで、病気の進行を抑制することが可能です。

薬剤投与

失調症状を緩和させる薬の代表として、ヒルトニン、セレジストが挙げられます。両方とも、脊髄小脳変性症における運動失調の改善が期待できます。

■ヒルトニン

主な効果と作用は、歩行や体の動き言語の障害を改善する、脳の働きを活性化する、脳の外傷や出血などによって発生した意識障害を改善します。

この薬を摂取することの副作用として、尿意 、心窩部不快感 、悪心、発熱、 脈拍数異常 、顔が赤くなる、吐き気・嘔吐 、寒気 、めまい 、胸部圧迫感 、血圧変動などが起こる場合があります。

■セレジスト

主な効果と作用は、脳神経の働きを円滑にして、体の動きを改善する、脳神経の神経を活性化します。

この薬を摂取することの副作用として、痙攣、ショック症状、肝機能障害、黄疸、血小板減少食欲不振、吐き気、発熱、発疹、などの症状が起こる場合があります。

リハビリテーション

リハビリテーションは、症状を進行させない為の重要な項目の1つです。病気により、体が動きにくいからといって、そのままにすると、筋肉が弱まり、失調症状が悪化します。その為、足回りや胴回りに筋肉を強化してふらつく体を抑えたり、転倒しない為の動作指導を受けます。リハビリテーションを定期的に受け、病院だけでなく日常生活でも自主的に行う必要があります。

また、日常生活を少しでも快適に過ごす為の道具も様々あります。例えば、歩行を助ける杖や歩行器、車椅子を始め、コミュニケーションを助ける意思伝達装置や文字盤などもあります。これらを利用して少しでも快適に日常生活を送れるように工夫することが大切です。

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おわりに

脊髄小脳変性症は、難病の1つに指定されている病気で、小脳、脳幹から脊髄にかけての神経細胞が壊れる病気です。これにより、運動失調が症状として起こり、立つときにふらついたり、歩行が困難になるなど日常生活に様々な支障をきたします。

残念ながら、根本治療が見つかっていませんが、薬を投与したり、リハビリテーションを行うことで症状を緩和させることが出来ます。また、日常生活を手助けする道具もたくさん存在します。自分の症状に合わせて道具を利用するなどの工夫をすることで、より日常生活を快適に過ごすことが出来ると思います。

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