完全房室ブロックの原因とは?症状や治療法も紹介!ペースメーカーが必要になることも?

房室ブロックという病気を知っていますか。

この病気は、心臓の中にある房室という部屋から心室に電気刺激が伝わらない為に起こる不整脈の1種です。房室ブロックは3種類に分けることができ、中でも一番症状の重いものを完全房室ブロックと呼びます。この状態になると、突然死する可能性が非常に高くなります。

ここでは、心臓の拍動する仕組みや、不整脈について、房室ブロックの症状や原因、治療方法について詳しくご紹介します。

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房室ブロックについて

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ここでは、心臓が拍動する仕組み、不整脈、房室ブロックについてご紹介します。

心臓が拍動する仕組み

房室ブロック(ぼうしつぶろっく)とは、不整脈の中の徐脈のうちの1つです。房室ブロックの病気を知るには、心臓が拍動する仕組みについて理解することで、より理解が深まります。心臓は一般的な方で、毎分60回~75回は拍動しています。心臓は拍動することで、体中に酸素や栄養素を含んだ血液を届けるポンプのような役割をします。

心臓は筋肉で出来ている為、電気刺激を与えることで動きます。この心臓を拍動するのには、洞房結節(どうぼうけっせつ)別名、洞結節(どうけっせつ)と呼ばれている心臓の右心房付近にあるところから電気刺激が流れます。

この電気刺激が流れると、心房から心室の心筋に電気が伝わり、拍動する仕組みになっています。心房と心室が交互に収縮することで、血液の循環が止まることなく続きます。この心房から心室に刺激が伝わらずに途絶えてしまう状態、もしくは伝導が遅れる状態を房室ブロックと呼びます。

この房室ブロックが起きると、洞結節から発せられた電気信号は、心室に伝わることなく、心房に留まります。心室では、心室内が保有するペースメーカー細胞により、自動的に独自で鼓動のリズムを続けはじめます。しかし、拍動する能力が低下する為、正常の拍動ができずに脈の回数が正常値よりも遅くなります。

不整脈とは?

不整脈とは、心臓の拍動する回数が正常に行われていなかったり、リズムが一定でない状態を指します。不整脈は大きく分けて「徐脈」「頻脈」「期外収縮」と3つあり、今回の主題である房室ブロックは、徐脈の1種です。

■徐脈

一般の大人の方で、正常値の脈数は毎分60~75回だと言われています。しかし、徐脈の方の場合は、脈拍数に60を下回る為、正常値と比較して、とても遅いのが特徴として挙げられます。人間の血液には酸素や必要な栄養素が含まれおり、心臓の拍動は、血液を全身に届ける役割があります。

その為、拍動が遅いと、全身に十分な血液が送れなくなり様々な症状を引き起こします。特に、脳は精神状態や運動機能などの全ての機能をコントロールする役割がある為、脳に血液が行き届かなくなると、めまいや失神、ふらつきなどが生じたり、理解力や記憶力の低下、ボケといった症状が現れ始めます。毎分40~50回程度になる場合は、突然死する可能性もあります。徐脈の中にも種類は2つあります。1つ目は洞不全症候群、2つ目が今回の主題である房室ブロックです。

詳しくは、徐脈の原因とは?症状や治療法、予防法を知ろう!頻脈や期外収縮との違いは?運動との関係も紹介!を参考にしてください!

■頻脈

頻脈は文字からも想像できるように、頻繁に拍動が行われることを指します。その為、正常値の脈数と比べて、心拍数がとても早いのが特徴です。

頻脈の場合は、心拍数が毎分100を上回ります。運動した後などに心臓がドキドキと早くなりますが、この状態と同じ状態です。頻脈の原因は、主に精神面や運動状態が大きく関わっていますが、その他の原因として薬物や心臓の病気によって頻脈を引き起こす場合があります。

詳しくは、頻脈の原因を紹介!高齢者が注意しなければならない症状は?を読んでおきましょう。

■期外収縮

期外収縮は、不整脈の中でも発症する確率が高く、30過ぎたくらいから、誰でも感じるようになります。心臓がドキンと鳴るような、ウッと胸が騒ぐような感じがするのが、主な症状として挙げられます。

このような症状が現れると、心臓の病気なのではないかと疑う方もいますが、多くの場合は、年齢やストレスが原因となって発症する為、気にする必要がない場合がほとんどです。しかし、心臓の病気が原因となって引き起こされる場合もあるので、頻繁にドキンとする感じを受ける方は、検査をすることをおススメします。

詳しくは、期外収縮の原因とは?原因となる病気や症状を知ろう!診断方法と治療方法も紹介!を参考にしてください!

房室ブロックとは?

房室ブロックとは、不整脈の中の徐脈のうちの1つです。通常、心臓が拍動する際には、心臓の洞房結節から発する刺激伝導が、心臓の部屋である心房から心室の心筋に伝わり、拍動する仕組みになっています。しかし、房室ブロックになると、心房から心室に刺激が伝わらずに途絶えてしまう状態、もしくは伝導が遅れる状態になります。

房室ブロックは、英語のAtrioVentricular Blockを略して別名でAV blockや、AVブロック、AVBとも呼ばれています。

房室ブロックの中でも、軽症から重症の状態まで3つの種類に分類されます。軽症から順に、第1度房室ブロック、第2度房室ブロック、第3度房室ブロックと分類されます。一番重度な第3度のことを、完全房室ブロックと呼びます。この完全房室ブロックの状態になると、洞房結節が発する電気刺激が心室側に全く伝わらず、心房側で途切れます。

房室ブロックになると、心室側が収縮する為に、別の電気刺激を独自に作り出します。これを補充調律と呼びます。しかし、心室が独自で収縮を始めたとしても、回数は毎分30~40回と少ない為、拍動が正常の人に比べて遅くなります。脳に血液が十分に行き届かない為、ふらつき、めまい、失神、疲れやすいなどの症状が見られます。

完全房室ブロックと診断された場合は、急性心筋梗塞が起こると心停止する可能性が非常に高く死の危険を伴います。また、ある時から急に何秒間か電気刺激が途切れてしまうような、高度房室ブロックや電気刺激が心室に完全に伝わらない完全房室ブロック、発作的に房室ブロックが起こる、発作性房室ブロックといった症状のタイプは急性死する確率が高いです。このように、急性死するのを防ぐには、ペースメーカーの着用が必要になります。

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完全房室ブロックの原因と症状について

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ここでは、房室ブロックの原因と症状についてご紹介します。

完全房室ブロックの原因について

房室ブロックは、心房から心室に伝わる電気刺激が途絶える為に起こる不整脈の1種です。急性の房室ブロックが起きる原因としては、心筋梗塞(しんきんこうそく)、異型狭心症(いけいきょうしんしょう)、心筋炎(しんきんえん)などの心臓疾患や、β(ベータ)遮断薬、カルシウムチャネル拮抗薬、ジゴキシン、アミオダロンなどの薬剤、高カリウム血症、過度の迷走神経亢進状態なども原因として挙げられています。

また、慢性化した房室ブロックの原因としては、冠動脈疾患、心筋症、心サルコイドーシス、膠原病(こうげんびょう)、先天性ブロックが原因となります。

また、上記で挙げた病気や薬剤などをきっかけとして、心臓の刺激伝導系の組織が障害を受けた場所を、修復しようとコラーゲンなどを生成し、線維芽細胞が増殖して硬くなることが原因で起こるのではと考えられています。この線維化や硬化の症状は、房室ブロックの半数以上の患者に見られます。心臓疾患などの病気がきっかけとなり、臓器が何らかの損傷をうけることで、房室ブロックが起こると考えられます。

完全房室ブロックの症状とは?

房室ブロックは、発症の仕方によって、持続して現れる場合と時々しか見られない場合があります。房室ブロックが起こっている間は、脳に血液が十分に行き届かない為、ふらつき、めまい、失神、疲れやすい、むくみ、息切れなどの症状が見られることになります。持続して起こる場合は、出現回数の度合いによって、症状も異なりますが、最悪の場合は、心不全となり突然死する場合があります。

正常の方の場合は、洞結節から発せられた電気刺激は心房を通じて、心室に伝わります。しかし、心室に伝わらないことで急に心臓が止まることもあります。また、脈が遅くなることで、心室細動と呼ばれる最も危険な不整脈を引き起こす可能性があります。

この心室細動とは、心室が毎分300回以上不規則に痙攣するように起こり、全身に血液を送ることができない状態になり、死に至ります。ペースメーカーをつけることで、このような突然死を避けることが可能になります。

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完全房室ブロックの検査方法について

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ここでは、慢性化した房室ブロックの検査方法と、一時的に現れる房室ブロックの検査方法についてご紹介します。

慢性化した房室ブロックの検査方法

慢性化している場合の房室ブロックの検査方法は、心電図により行われます。心臓は筋肉から出来ており、電気刺激を受けて働きます。この電気刺激がどのように行われているかを確認し、グラフ化して記録することが出来る機器を心電図と呼びます。この心電図は心疾患の診断の際や治療によく用いられています。

この心電図を利用して、電気刺激がどこから発生するのか、また、心房や心室に正しく電気刺激が伝わっているのか、心房や心室から別の電気刺激が発生していないか、どれくらいの頻度で発生するのかを調べることが出来ます。

また、心電図上に現れる波の形を確認することで、房室ブロックの症状の度合いや状態を確認することが出来ます。心電図の検査を通して、心房ブロックの症状の度合いを3つの種類にわけることができます。

心房から心室への伝導する時間が異常に長い場合は、第1度房室ブロック、心房から心室へ電気刺激の一部が伝わっていない状態を第2度房室ブロック、心房から心室への電気の伝導が完全に見られない場合は第3度房室ブロック(完全房室ブロック)に分けられます。

一時的な房室ブロックの検査方法

時々しかみることが出来ない一時的な房室ブロックの検査方法の場合は、長時間の心電図記録が出来る、ホルター心電図検査や植込み型ループ式心電計を用いて検査が行われます。

■ホルター心電図検査

ホルター心電図とは、携帯できる小さい心電図のことです。100g~200g程度の心電図をホルダーに入れて簡単に持ち運べ、防水加工されているものもあるので、入浴中でもどこでも24時間心電図を記録できます。その為、一時的に発生するような不整脈に有効です。

不整脈の診断のほかにも、ペースメーカーの機能の評価や薬物治療効果などの確認にも有効的な方法です。測定の方法は、胸に電極を取り付け、軽量の測定器を持ち運ぶだけです。心電図を記録でき、コンピューターで解析や診断を行うことが可能です。

■植込み型ループ式心電計

皮膚を2cmほど切開し、体に小さな心電図を埋め込む方法です。24時間また長期間にわたり心臓の拍動を確認でき、不整脈が起きたり、心臓の異常が起こった際に心電図に記録される器械です。この植込み型ループ式心電計は近年になって、取り入れ始めた機器で、2cmほど胸の皮膚を切開して、心電図計を直接皮膚に埋め込みます。このような簡単な手術で、すぐに使用を開始することができます。手術後に、感染を起こした場合でも、簡単に取り出すことができるので、デメリットが少ないです。

手術の傷が回復出来次第、すぐに元の日常生活に戻ることが出来ます。また、ホルダー心電図検査では入浴対応されているのもありますが、電極を胸に貼る必要があるので、入浴や体を洗う際に多少邪魔になります。しかし、植込み型ループ式心電計の場合は電極を必要としない為、快適に入浴を楽しむことも出来ます。不整脈が確認でき、検査が終わった後にも簡単な手術で摘出する事ができます。

不整脈が生じた場合、その前後を自動で心電図に記録します。また、失神や動悸などの症状を感じた場合は、携帯リモコンのボタンを押し、胸にあてると、その前後の様子が記録される仕組みになっています。これにより、失神や動悸が心疾患からきているものか確認する事ができます。最長3年間分連続的に心臓の活動を記録できるので、異常が起こる頻度が少なかったとしても、確実に記録することができます。

無線通信を使って、心電図を医師が読み取り診断を行う為、わざわざ植込み型ループ式心電計を外に出す手間はありません。

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完全房室ブロックの治療方法について

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房室ブロックの場合の治療内容は3つあります。ここでは、房室ブロックの治療方法についてご紹介します。

薬物投与

完全房室ブロックの治療薬としては、副交感神経遮断剤であるアトロピンが、主な薬剤として使用されています。この薬物を投与することで、、副交感神経の作用を抑制し、心拍数を増大させる効果があります。その為、遅い脈拍である状態が改善され、房室ブロックによって起きていた症状も改善します。アトロピンは、房室ブロックのタイプの徐脈だけでなく、他の徐脈にも有効的です。

アトロピンを使用する場合は、心拍数の増加により心筋梗塞や虚血状態の悪化を招く恐れがあり、心筋梗塞の範囲を増加することに繋がる為、注意して投与を行う必要があります。

アトロピンの薬物投与により、症状を緩和することが出来ますが、第2度房室ブロックや第3度の完全房室ブロックの患者の場合は、急に心停止する可能性が高いので、経皮ペーシングを準備する必要があります。

経皮ペーシング

房室ブロックの中でも、第2度房室ブロックや第3度の完全房室ブロックに対しては、急な様態の変化に備えて、経皮ペーシングを準備する必要があります。経皮ペーシングとは、胸の上に電極を貼り付け電気刺激を心臓に送り、脈を作り出します。急に起こった房室ブロックや心停止した場合に、薬物投与が有効になるまでの間に、一時的なものとしてこの治療が用いられることが多いです。

ペースメーカー

上記のように薬物投与や経皮ペーシングを準備しておいても、急に脈拍が下がる場合があります。動いている時に息切れしたり、倦怠感やむくみが現れた場合、このような状態を放置すると、肺に水が溜まったり、失神したり、心停止する危険性があります。このような状態を回避できるのがペースメーカーです。

ペースメーカーとは、患者の心臓の鼓動が途切れたり、一定の間隔を超えて鼓動が現れなかった場合に、自動的に電気刺激を心臓に送り、心臓が正常なリズムで鼓動するのを助ける機器です。植え込み方は、まずは鎖骨周辺を消毒し、局所麻酔を行います。鎖骨に約5cmほど切り込みを入れて、皮膚の下にペースメーカー本体を埋め込む場所を確保します。

切開した付近にある静脈を通じて、リードと呼ばれるペースメーカーからの電気刺激を心臓に伝える導線を挿入します。静脈からリードを入れて心臓まで届け、適切な位置にリードを留め置きします。リードとペースメーカーの本体を接続して、皮膚を縫合すれば手術は終了します。

植え込みが完了すると、7年~8年ほどは電池が持ち、発作的に完全房室ブロックが起こった場合でも、不安になることなく、日常生活を快適に過ごすことが出来ます。

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おわりに

房室ブロックは、不整脈の1種で正常の脈拍よりも遅いのが特徴的です。症状の度合いにより3つに分類することが出来、重症な症状を完全房室ブロックと呼びます。この状態になると、突然死する確率も非常に高くなります。しかし、ペースメーカーを使用することで、急な発作でも不安になることがなく、快適に日常生活を過ごすことが出来ます。

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