呂律が回らないのは病気?症状や治療方法を知っておこう!

何か言葉を発しようとしたとき、舌が絡まったり、ろれつが回らなくなったという経験はありませんか?お酒を飲んで酔っ払ったときに、上手く舌を動かせなくなった経験がある人はいるかもしれません。あるいは、もともと滑舌が良くない人もいることでしょう。

しかし、それらとは別で、ろれつが回らないといった症状が突然出た場合、大きな病気が原因となっている可能性もあるのです。

そこで、ここでは、ろれつが回らなくなったときに考えられる様々な病気と、対処法についてご紹介いたします。

呂律が回らないときに考えられる病気

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言語を発するとき、私たちは、脳・神経・筋肉の3つを働かせています。発信源となる脳の指令にも、いろいろな種類があり、「何を話すか」「どの言葉を選ぶか」といった言語そのものを選択する指令や、「話すときに使う筋肉を動かすため」の指令など、シンプルなようで、非常に複雑な仕組みになっています。

このことから、ろれつが回らなくなった場合、この3つのうちのどこかに異常が見られる病気の可能性が高いと言えます。場合によっては、早急な対応を必要とする、命に関わる病気の場合もあるので、甘くは見ることのできない症状です。

では、早速、ろれつが回らないときに考えられる病気には、どのようなものがあるのか、早速見ていきましょう。

脳血管疾患

突然ろれつが回らなくなったとき、一番に疑うべきは、脳血管疾患です。命に関わる重症の病気でもあります。

脳血管に異常が起きる病気には、何らかの原因によって脳内の血管が破れ、出血する「脳出血」や、脳の血管に血栓が詰まったり、血管そのものが細くなる「脳梗塞」、そして、脳動脈瘤破裂などによって、脳を覆う「くも膜」と呼ばれる膜の下に出血を起こす「くも膜下出血」があります。

これらの病気によって、言語を話すときに使う、脳の左側頭葉にある「ウェルニッケ野」と呼ばれる部分や、前頭葉の「ブローカ野」と呼ばれる箇所に損傷を起こすと、言語障害が見られます。

ろれつが回らない症状のほかに、手先を上手く使えない、片目が見えない、視野が半分になる、吐き気を伴う頭痛、めまいといった症状がある場合、脳血管疾患の初期症状である可能性が非常に高いので、直ちに病院で検査を受けてください。

をそれぞれ参考にして下さい!

小脳疾患

小脳は、筋力を調整し、運動神経を制御する機能があるため、小脳の病気になると、唇や、舌、顔の筋肉を上手く使えなくなり、ろれつが回らなくなる症状が現れます。

具体的な病名をあげると、「脊髄小脳変性症」「小脳炎」などがあげられます。ろれつが回らなくなる症状のほかに、歩行時に足がもつれやすい、躓きやすくなった、後頭部の痛み、嘔吐、耳鳴りなどがあります。また、小脳は、記憶を保管する機能も持っているので、忘れっぽくなるといった症状も見られるようです。

このような症状を併発している場合には、すぐに病院へ向かいましょう。小脳炎の場合、ウイルスによるものでしたら、数が月ほどで治まります。まずは検査をして、原因を探ることが大切です。

筋肉疾患・神経疾患

実際に言葉を口から発するとき、私たちが使っているのは、唇だけではありません。唇や舌、喉の筋肉などを同時に動かし、「言葉」を発しているのです。

そのため、「パーキンソン病」「多発性筋炎」といった、筋力が低下する病気になると、筋肉を上手く動かせなくなり、ろれつも回りにくくなります。パーキンソン病については、パーキンソン病の初期症状とは?治療方法も紹介!を読んでおきましょう。

また、唇や舌、喉の筋肉を動かすためには、それぞれを通る神経が、正常に機能していることが前提です。しかし、これらの神経に異常をきたす、「進行性筋ジストロフィー」「重症筋無力症」などの病気になると、筋肉の萎縮などが起こり、ろれつが回らなくなってしまいます。

まぶたが下がる、複視、手指の変形、歩行障害、四肢脱力、筋肉の痛み、皮膚疾患などの症状も合わせて見られる場合には、これらの病気である疑いがあります。病院で検査をし、適切な処置を行ってください。

球麻痺

「球麻痺」の「球」とは、私たちが生きるうえで、非常に重要な役割を持つ、中枢神経をいくつも司る「延髄」と呼ばれる部分を示し、この延髄が損傷した状態を「球麻痺」と言います。

延髄には舌や喉、口などの筋肉を動かすための脳神経核があるため、延髄が損傷すると、ろれつが回らなくなる場合があります。「多発性硬化症」「筋萎縮性即索硬化症」といった病気になると、球麻痺を起こす確率が高いようです。

食べ物を咀嚼しにくい・飲み込みにくい、視野・視力の異常、手足の痙攣、熱さや痛みを感じにくいなどの症状もある場合は、直ちに病院で受診してください。

口腔および咽頭疾患

言葉を発するために必要な身体の部位そのものに異常が見られる場合も、ろれつが回らなくなる症状が見られます。例えば、滑舌機能に欠かすことのできない舌に、悪性腫瘍ができる「舌がん」や、舌の付け根部分でもある咽頭に腫瘍ができる「咽頭がん」などがあげられます。

舌にしこりがあって動かしにくい、食事が染みる、味覚がいつもと異なる、食べ物が飲み込みにくい、血痰、声のかすれ、のどの痛みなどの症状も合わせて見られる場合には、病院へ行き、詳しい検査をしましょう。

自律神経疾患

過剰なストレスや、極度の緊張、食生活の乱れなどが原因となって自律神経が乱れる「自律神経失調症」の場合にも、上手く舌が回らなくなることがあります。

自律神経は私たちの身体全体をコントロールする機能を持っているため、自律神経のバランスが崩れると、ろれつが回らないといった症状以外にも様々な症状を引き起こします。

不眠、めまい、立ちくらみ、情緒不安定、便秘や下痢、眩しく感じる、胸がざわつくなど、明確な原因が思い当たらないのにも関わらず、このような症状を引き起こしている場合には、自律神経失調症の可能性があります。

薬での対処療法といった治療法もありますが、まず、何よりも、生活リズムを整え、心身をリラックスさせ、健康的な食生活に改善していくことが大切です。

低位舌

これは病気ではありませんが、慢性的にろれつが回らないといった症状がある場合、その人の“舌の癖”が原因である場合があります。

通常、口を閉じた状態では、舌が上前歯に軽くあたり、上顎に舌全体がついていますが、舌の筋力が弱いと、だらんと舌が下がった状態になり、これを「低位舌」と呼びます。

低位舌になると、無呼吸症候群になったり、歯並びが悪くなる、二重あごになるといった症状が見られるようになります。気がついたら口呼吸をしている人で、慢性的に滑舌が悪い場合は、このケースが考えられます。

対処法は?

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突然ろれつが回らなくなった場合は、すぐに病院へ行きましょう。何らかの病気が原因の場合、重度の病気である可能性があります。とくに、脳の病気の場合は命に関わりますので、早めの精密検査が必要です。

そこで、ここでは、受診するときには何科に行けば良いのか、そして、異常がなかったときにできる、舌のトレーニングについて、ご紹介いたします。

何科に行くの?

それぞれ原因となる病気によって、受診する科も異なってきますが、自分で判断が難しい場合には、かかりつけの内科に行っても構いません。もし、診察後、専門医が必要な場合は、紹介状を書いてもらえます。また、始めから大学病院などの、いろいろな専門医が集まる病院で診察するというのも、円滑な手段の一つでしょう。

ろれつが回らなくなる症状と併発する、そのほかの症状も確認し、疑うべき病気がはっきりとしているときには、以下を参考にしてください。

【脳疾患の場合】

脳血管疾患や、小脳疾患が原因と考えられる場合には、脳神経外科、神経内科、あるいは内科を受診しましょう。また、球麻痺が原因の場合も、脳や脊髄に異常が見られる病気が原因となって起こるので、脳神経外科や神経内科を受診すれば、原因となる病気を発見することができます。

【筋肉・神経疾患の場合】

パーキンソン病や多発性筋炎、重症筋無力症などの場合には、神経内科を受診しましょう。多発性筋炎などで、皮膚疾患が見られる場合には、皮膚科を受診しても良いでしょう。

【口腔および咽頭疾患の場合】

舌がんの疑いがある場合には、歯科口腔外科を受診しますが、専門医が多くいるわけではないので、なかなか見つからない場合には、耳鼻咽頭科を受診しても構いません。咽頭がんの疑いがある場合も、耳鼻咽頭科を受診すれば問題ありません。

【自律神経失調症の場合】

自律神経失調症の場合、出てくる症状も様々なので、何科を受けるかも、症状によって異なってきます。しかし、万が一のことを考えて、最初に脳神経外科や神経内科を受診し、命に関わる病気でないことを確認すると安心でしょう。

過剰なストレスが原因となって、感情が安定しない場合には、心療内科や精神科を受診することをおすすめします。精神安定剤などをできるだけ服用したくない場合には、専門のカウンセラーを訪ねるのも良いでしょう。

また、自律神経失調症によって、胃腸疾患を起こした場合には内科、消化器科、三半規管が異常を起こし、めまいを起こしている場合には耳鼻科など、専門となる分野が異なります。しかし、自己判断が難しくても、専門医の治療が必要な場合には、受診した病院で紹介状を書いてもらえるので、心配する必要はありません。

異常がなかった場合は?

とくに原因となる病気がなく、低位舌などが原因で、ろれつを回らなくさせている場合には、舌の筋肉を鍛えることで改善できます。

ガムを噛んでいるときに、ガムを舌の上に乗せ、それを「舌の力」で上顎全体に、均等に伸ばすように貼り付けていくトレーニングや、

頬の内側と歯の間に舌を差し込み、そのまま右奥、中心、左奥へと歯を押さえるようにしながら舌を動かす運動(上の歯、下の歯ともに右まわり左まわりを繰り返す)などをすると、舌の筋力があがり、滑舌が良くなります。

慢性的にろれつが回らない場合には、これらのトレーニングを行ってみましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。酔っ払ってろれつが回りにくくなるだけならばまだ良いですが、お酒も、飲み過ぎると、急性中毒を起こし、命に関わることがあるので、気をつけましょう。

また、突然ろれつが回らないといった症状が出た場合には、とにかく一度、病院で精密検査をすることをおすすめします。脳の病気の場合、発見が遅れることで、後遺症を招く場合もあります。早期発見のためにも、おかしいと感じたら、すぐに受診しましょう。

  
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