社会人なら気を付けたいのが「公私混同」です。公私混同はしないのが当たり前、と思っているのについやってしまいそうなことありませんか?
でもビジネスシーンとプライベートをしっかりわけてこそ、きちんとした社会人ですよね。仕事の時間は会社からお給料をもらっているのですから、プライベートを持ち込まなくて当然です。
国会議員が、公用車で子どもを保育園に送ったことが一時公私混同と騒がれました。しかし子どもを保育園や保育所に送らないと国会議員としての仕事はできません。これは本当に公私混同になるのでしょうか。考え方はいろいろですが、子育てをする女性にとって大きな問題です。
今ここで公私混同とは何か再確認してみましょう。そして自分がうっかり公私混同していないか、ちょっと顧みて考えてみましょう。
公私混同とは
「公私混同」という言葉は辞書によると「公事」と「私事」を混同することを指します。
「公」は「おおやけ」とされているところで「職場」「学校」などが含まれます。また「私」は「わたくし」の場所である自宅、プライベートなところを指します。
公私混同はこの「公」と「私」をきちんと区別しないで混同してしまうことです。たとえば業務に私的なことを持ち込むことなどです。個人的な利害のためにこう「公」を利用することを指します。
公私混同はもちろん社会ではタブーとされていることです。国会議員などの公私混同があると国民に批判されています。
やりがちな公私混同
ついやってしまいそうな公私混同。ちょっとくらいいだろうという気持ちでやってしまうと、だんだん気が大きくなってしまい気付くと大変なことになる可能性もあります。
会社の備品を持ち帰ってプライベートで使う
ボールペンや修正ペン、クリップなど会社の備品を持ち帰って自分のプライベートな時間に使う、これは公私混同です。うっかり持って帰って返すのが面倒になってそのまま使うなどしがちですよね。
たとえボールペン1本でも会社のものを私的なことに使うのはやめましょう。会社の備品は会社のものです。
仕事中に私的な用事をする
仕事中にプライベートな用事をしてしまうのは、手が空いたときなどやっている人もいるかもしれません。でもそれは公私混同なのです。
コピー機を使用に使う
私的な自分の本などを会社のコピー機を使ってコピー。人が少ない残業しているときなどやってしまいそうですよね。
しかし自分のプライベートなことでコピー機を使うのはもちろんNGです。会社の紙やインクを使って、個人的なものに使う、そう考えると勝手に私物をコピーするのはダメだとわかります。コピーは手軽にできるのでついやってしまいがちなので気を付けましょう。
LINEやツイッターをする
仕事の合間に手が空いたからといって、ツイッターなどのSNSに書き込んだり、ネットサーフィンをするのも公私混同です。
そこでついうっかり会社のことをつぶやいたりしたら…大事な情報が漏れてしまう可能性もありますよね。それを取引先の人が偶然よんだり、お客さんが読んだりしたら信頼関係に関わります。
今日飲みに行く居酒屋の地図を印刷しちゃおう、というのももちろんだめですよ。勤務時間中にLINEやメールでプライベートな知り合いや友達と連絡を取り合うのもやめましょう。手元にスマートフォンがあるとつい手にとってやってしまいそうですよね。また、会社のパソコンで個人的なメールを送るのももってのほかです。
データを持ち出して家のパソコンに入れる
仕事のデータを持ち出して家のパソコンで作業、というのもやりがちですが不可です。家の方が落ちつく、などと言って許可なく勝手にデータをSDカードに落として持ち帰るのは会社の機密情報が漏洩する危険性もあります。
会社のスマートフォンをプライベートで使う
会社からスマートフォンを支給されることがありますよね。自分のスマートフォンが手元にない場合など、会社のスマートフォンで用を済ませたくなることありますよね。
しかしこれはやはり会社のスマートフォン。私用に使うことは避けましょう。逆に会社の社内メールを、自分のスマートフォンで読む、データを閲覧するなどする場合も気を付けましょう。公私混同してつかったばっかりに、自分の私物スマートフォンからデータが漏洩する危険性があります。
会社のお金を使ってしまう
ちょっと持ち合わせがなくて後で返せばいいや、などという気の緩みから、会社のお金をプライベートなことに使ってしまうのは絶対やってはいけないことです。
友達と飲んだのに領収書をもらって、接待費として経理に出すなども絶対にやってはいけないことです。これらは横領になってしまいます。
私的な郵便物を出すのに10円足りないから会社の切手を貼ってあとで返そう、というのも不可ですよね。金額は関係ないのです。
社内恋愛による公私混同
社内恋愛はもちろん自由ですが、2人の恋愛事情を職場に持ち込むのはよくありません。毎日のように会えるので、仕事が楽しくなってしまいますが周りに迷惑にならないようにする気遣いも大切です。
できれば周りには知られていないほうが
社内恋愛が始まったら、同僚にしゃべりたくなるかもしれません、しかし、恋愛にかまけてちゃんと仕事できていないんじゃないか、など今までより周りや上司の目も厳しくなりがちです。しばらくは周りに知られていないほうが、仕事はしやすいでしょう。
イチャイチャしてる?
もちろん職場でやたらといちゃいちゃするなども、公私混同しているといわれても反論できません。お互いについ見つめあったり、親しげに妙にくっついたりしがちです。自分たちは気づかれていないと思っていても、周りの人たちはとっくに気づいていることもあります。
前の日喧嘩した?
前日に喧嘩をしたからといって、会議で目も合わさず口もきかないなどをしていると他の社員に変に気を遣わせることになったり、迷惑がかかります。何より業務に支障がでてしまいますよね。たとえ気まずい状況にあっても、仕事はきちんとする必要があります。
けじめが大切
社内恋愛が自由な職場でも、きちんとけじめをつける必要があります。また別れてしまう可能性もあるので、そういったときはもあとあと気まずくなることも考えられます。それが仕事のやり取りにまで影響があると困りますよね。周りの目も厳しくなりがちなので、社内恋愛は注意が必要です。
社用車をプライベートなことに使う
社用車のプライベートな時間で使用することを許可されている場合は別ですが、本来はプライベートの時に社用車を使うのはNG行為です。
たとえば社用車で営業にでかけ、遅くなるのでそのまま直帰。翌日は休日だったので、家族の買い物に社用車を使った、というのは公私混同です。レンタカーはお金がかかるからと、社用車でドライブなどという大胆な人もいます。
仕事で外出、私用も済ませる
営業で外出、そのついでに自分の用事をすませてしまおう、なんていうことはありませんか?これも公私混同なのです。銀行に会社の用事でいったけれど、ついでに自分の貯金口座にお金入れてこよう!というのも公私混同です。
ついでだからいいじゃないかと思いがちですが、時間がかかればその分仕事に費やす時間が減ってしまいますよね。
営業でお昼を外で食べたり喉が渇いたらお茶を飲んだりすることはありますが、必要以上に長く喫茶店でくつろぐのも控えたいものです。大胆な人は、営業中にサウナに入る、映画を観るということもあるようです。成績を出していればいい、という人もいますがやはり仕事をする姿勢はきちんとしたいものですよね。
オーナー社長がやりがちな公私混同
会社のトップ、経営者にとって経営資源を最適配分することが重要な仕事といわれています。これは公私混同をしないことにつながります。
会社経営がうまく立ち行かなくなるのは「私利私欲」「公私混同」と言われています。成功する社長、リーダーは公私混同せずきっちり公私の区別を付けているとも言われています。
しかし、オーナー社長だったり社長の家族が社員や役員だったり、自社株を社長が持っている同族会社では公私混同されることがあります。
社員や従業員は見ていないようで見ているもの。何かのきっかけで業績が下がったりするとモチベーションを下げる原因にもなります。
経費でなんでも落としてしまう
家族や友人との食事、旅行などを接待費や出張などで落とすなどして公私混同することがあります。趣味でやっているゴルフの費用も交際費で落とす、自分の親族の結婚式の費用を交際費で落とすなどもあります。
社長の個人宅を社宅としてしまったり、自分の車を会社の資産として購入したりするのは公私混同です。これらの支出が、その会社にとって本当に必要な支出なのか考えると、一概に判断できないこともありますが「個人的に楽しむもの」は大体公私混同といえます。
プライベートな用事を社員にさせる
引越しや、模様替えなど本当にプライベートな用事なのにもかかわらず、従業員を呼んで手伝わせるのは公私混同です。こういった頼みはなかなか断りづらいもの。なにかとプライベートなことを手伝わされると社員も不満が溜まりがちです。
かつては引越しの手伝いが当たり前という時代もあったようですが、やはりきちんとけじめをつけたいものです。
酷いところになると、小さな子供を連れてきて社員に面倒をみさせることもあるそうです。
なあなあになって、サービス残業が続くこともあります。会社は自分のものという意識が社長に強い会社にありがちです。
役職のある人もやりがち
社会経験も長い、キャリアのある役職のある人もちょっとした公私混同やってしまいがちです。会社の電話を使って家にかけてしまったり、プライベートの食事代を接待費で落としたりなど、うっかり罪悪感なくやってしまいそうです。
今までここではこうやってきたから、などと公私混同をしていると部下にも示しがつかなくなりますよね。部下も上司がやっているからいいんだと思い、会社全体がなんとなくだらけてしまうことになります。
他の人の公私混同を見つけたら
会社の同僚、部下、上司の公私混同を見つけたらどうしたらいいでしょう?
直接注意ってしづらいですよね。また、注意するなら自分は絶対公私混同していないという事実も大事です。
同僚なら
同僚ならば、「公私混同してるみたいだけど大丈夫?心配だけど」というスタンスで話してみてもいいでしょう。下手に注意をすると「人格を否定された」と思ってしまう人もいます。
また、うまく話せない時は「自分自身は公私混同はしたくない、している人をみるとハラハラする」という感じでまずは伝えてみましょう。勘のいい人なら悟ってくれるでしょう。
部下や後輩なら
ずばり、公私混同はよくないとはっきり伝えます。そのうえで、いじわるで言っているのではないことをしっかり伝えましょう。公私混同が過ぎると、いろいろと自分も不都合になるし会社も困るということをしっかり伝えましょう。
先輩や上司ならば
先輩ならまだしも、自分の上司だとかなりいいにくくなります。また直接言うことでプライドが傷つく可能性もあります。逆恨みされてもこまりますよね。
目に余る公私混同で自分の仕事にも影響がある、滞ってしまうというときは信頼できる人に相談した方がよいでしょう。同じように迷惑をしている人がいたら情報を共有しあい対応を話し合うのも手です。
言いづらい、立場が弱い
なんとなく意見しづらい、転職して入ったばかりで立場が弱いなどというときは、しばらく様子をみるしかありません。とにかく「自分は公私混同しない」という姿勢できちんと仕事をしましょう。
公私混同、目に余るとどうなる
ちょっとくらい平気だと思って公私混同を続けていたら、とんでもないことに発展してしまうこともあるようです。気を付けたいものですよね。
会社のお金を使いこんでしまった
経費の私的流用は、懲戒解雇になる可能性が高くなります。私的な飲み会なのに、カードで支払っては領収書を接待と称して出していたら不審に思われてバレてしまい解雇される人もいます。
金額の大きさに関わらず、お金に関することは要注意です。目先の欲にとらわれてあとで返せばいい、ちょっとだけだからなどと思わないようにしましょう。
社内不倫で大騒動になってしまった
同じ会社の既婚者である同僚や上司と不倫関係になってしまったら、それはプライベートな問題ではあります。しかし社内で痴話げんかしてしまった、またはどちらかの配偶者が会社に怒鳴り込んできた、などの大きなトラブルになると大変です。
一概に懲戒処分はできないかもしれませんが、何らかのペナルティが与えられる可能性はあります。口頭で注意されたり配置転換されたりということは十分考えられます。そうなると仕事も続けづらくなります。
公私混同がなぜだめなのか
深く考えずにやってしまいそうな公私混同、なぜだめなのか改めて考えてみましょう。
勤務時間中はお給料が支払われているのです
会社は仕事をするところです。その仕事をしている勤務時間中は給与がでています。労働を提供して給与をもらっているとう基本を忘れないようにしましょう。大学生のサークルのような雰囲気の会社などでは、気が緩んでしまいがち。時々自分の行動を思いかえすことが大切です。
会社には仕事をしに来ている、そして給与をもらっていることを忘れないようにしましょう。
公私のけじめがないと会社がうまくいかない
公私の区別をきっちりつけないでいると、どうも会社の経営はうまくいかなくなることが多いようです。
先輩もやっているし自分がちょっとやるくらいいいだろう、と勝手に私物をコピーしたり、ボールペンを持って帰ったりしていると、だんだん感覚がマヒしてきます。次に後輩が入って、同じように公私混同をするとなりだんだん会社全体がだらしなくなってきます。
ずばり注意できる上司がいない、または上司も公私混同しがちだと特にだらけてしまい、会社の成長が滞って業績不振になることもあります。社長が公私混同しがちだと、金融機関の信用も低下することが多いようです。
適度な距離感を
職場での人間関係も要注意です。和気あいあいとした社内は誰にでも心地よいもの。しかしそれがなれ合いになってしまう危険性もあります。
帰りはしょっちゅう食事したり飲んだり、休日も出かけるなどプライベートもひんぱんに一緒にいると、公私の区別がつきにくくなることもあります。
職場の人と仲良くするのは大事ですが、しっかり公私の区別を付けられるようになっておくことが大切です。例えば個人的なことを根掘り葉掘り聞きだしたり、やたらと自分のプライベートを相談したりというのは控えたほうがいいでしょう。
職場ではある程度の距離感をもって、バランスをとって接したほうがうまくいきます。社内恋愛をしている人は周りが見えなくなることもあります。特に気を付けましょう。
まとめ
自分の会社は結構和気あいあいとしていて、仕事中のメールもネットサーフィンも大丈夫!とビジネスとプライベートの区別を付けずにいることは、実は会社のためにも自分のためにもよいことではありません。
また、ペンや消しゴムなどをついつい拝借ということもやりがちです。しかし、これらは全部会社のお金で買ったものです。黙って持って帰るのはだめだとわかりますよね。
たとえ他の人がやっていても、社会人ならばマナーを守りきちんとけじめをつけることが大切です。どんな会社に行っても、自分ひとりで仕事をするようになっても「公私混同しない」という人間は、信頼されるのです。