社会人になって特に会社勤めをしていると、1年の間に意外と多くの飲み会・宴会が開催され出席しなければなりませんよね。例えば、年度初めの歓迎会や懇親会、年末の忘年会、年始の新年会、年度終わりの送別会といった年中行事のような飲み会・宴会が存在します。
そんな中で、ある程度社歴を積み重ねていると、それらの飲み会・宴会の幹事から「中締め」の挨拶を頼まれることが多くなるのではないでしょうか?とはいえ、何事も初めてのことに対しては、勝手がわからず戸惑ってしまいますし、緊張もしてしまうものです。
そこで今回は、改めて飲み会の流れと中締めの意味を確認した上で、中締めの挨拶のポイントや例文などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
飲み会の流れと中締めの意味
会社の歓送迎会や忘年会などの幹事は、社内の仕切りたがりな若手が長く担当しているものです。
すると、そのような飲み会・宴会に受け身な態度で出席している人たちは、飲み会の流れや基本的なルールを知っているようで知らないものです。そんな人が社歴が長いという理由で、中締めの挨拶を頼まれると途端に困ってしまうものです。
そこで、まずは基本的な飲み会の流れと中締めの位置付けについて、ご紹介したいと思います。
基本的な飲み会の流れ
会社の歓送迎会や忘年会などの飲み会は、あくまでも「会社の飲み会」であってオフィシャルかつビジネスシーンとして位置付けなければなりません。
もちろん会社によっては、最初の乾杯以降は無礼講というケースもあるかもしれませんが、基本的にはビジネスマナーに準じる配慮や気遣いが必要になります。それゆえ、会社の飲み会には、ある程度の形式があるのです。そして、一般的な会社での飲み会の形式・手順は、以下のような形をとります。
- 幹事・司会者による開会宣言
- はじめの挨拶・スピーチ(基本的に参加者全員の中で最も役職が上位の人)
- 来賓の挨拶・スピーチ(取引先など社外からの来賓がいる場合)
- ご厚志の紹介(会社や上司からの支援金がある場合)
- 乾杯の音頭(基本的に参加者全員の中で役職が3番目に上位となる人)
- 歓談・飲食・ゲームなど
- 主賓に向けた参加者からの言葉(歓迎会や送別会など主賓がいる場合)
- 主賓の挨拶・スピーチ(歓迎会や送別会など主賓がいる場合)
- 中締めの挨拶・スピーチ(基本的に参加者全員の中で役職が2番目に上位となる人)
- 幹事・司会者による閉会挨拶
- 締めの挨拶(手締め)
- 二次会へ
中締めの意味・位置付け
このように会社での飲み会には、ある程度の形式・手順が存在します。そして、「中締め」は飲み会・宴会の終了前に一区切りする意味があり、主に退席したい人たちへの配慮として行われます。飲み会・宴会の全体の締めではなく、引き続き飲みたい人は飲み続け、あくまでも帰りたい人が退出しやすくするための一区切りが「中締め」です。
しっかりとした形式・手順では、中締めの後も散会・お開きとはならず同じ会場で歓談・飲食の時間がしばらくあり、最終的に幹事の閉会挨拶と締めの挨拶として三本締めなどの手締めを行うものとされます。
ただし、居酒屋などで実施される会社の飲み会では、飲み会を行うお店のコース時間が概ね2時間に設定されていて、その時間の終了前のタイミングで「中締め」の挨拶・スピーチが行われます。ですから、一般的な居酒屋を会場とする会社の飲み会での「中締め」の位置付けとしては、一次会の締めとほぼ同じ位置付けと考えれば良いでしょう。
中締めの挨拶と幹事の閉会挨拶で、参加者がお店を出て路上で歓談・挨拶している中で、帰りたい人は帰宅の途につき、二次会参加者は二次会への移動待ちをします。この場合、路上であることなどを考慮して、一丁締めなどの手締めで簡単な締めの挨拶とします。
また、状況によっては、中締めの挨拶と締めの挨拶を兼ねるケースもありますので、事前に幹事と打ち合わせをしておくと良いでしょう。
手締めの種類
締めの挨拶として行われる手締めには、主に三本締め・一本締め・一丁締めという3種類のタイプがあります。締めの挨拶は、いずれも「お手を拝借」という言葉と「いよおー!」という掛け声が合図となって始まります。
三本締め
三本締めは、「パパパン・パパパン・パパパン・パン」というようなリズムの手拍子を3回繰り返します。繰り返しの合間に「よっ!」という合いの手が入ります。基本的に三本締めは、特別な祝いの席にふさわしい手締めとされています。
一本締め
一本締めは、「パパパン・パパパン・パパパン・パン」というようなリズムの手拍子を1回で終わらせます。一本締めは、三本締めの省略タイプであり、三本締めをするまでもない、あるいは三本締めがふさわしくない席での手締めとされます。ですから、一般的な会社の飲み会・宴会では一本締めが無難でしょう。
一丁締め
一丁締めは、「いよおー」という掛け声に続いて「パン」と手拍子1回で終わる手締めです。一丁締めは、一本締めを更に簡略化した手締めであり、仲間内のプライベートな飲み会に適した手締めです。ですから、会社の飲み会などオフィシャルな場面には、あまりふさわしくありません。
中締めの挨拶のポイントや例文
それでは、このような飲み会・宴会の基本的な流れや中締めの意味・位置付けを踏まえた上で、どのようなポイントに注意して中締めの挨拶をすれば良いのでしょうか?
そこで、中締めの挨拶として注意すべきポイントや具体的な例文について、ご紹介したいと思います。
注意すべきポイント
中締めの挨拶・スピーチとして注意すべきポイントは、次に示すようにいくつか存在します。
- 飲み会の趣旨を理解する
- 長すぎる挨拶とならないように短くコンパクトにまとめる
- 明るい雰囲気を壊さないように明るく大きく声をはる
- 幹事と相談して段取りを把握しておく
飲み会・宴会の趣旨を理解する
そもそも会社で飲み会を開く場合、人事異動する社員の歓迎会や送別会、忘年会や新年会、あるいは親睦会など、何らかの目的や趣旨があるはずです。
にもかかわらず、その目的や趣旨とかけ離れた挨拶・スピーチをしてしまうと、締まるものも締まらず飲み会・宴会そのものが台無しとなりかねません。
短くコンパクトにまとめる
飲み会・宴会に限りませんが、ダラダラと長い挨拶やスピーチが好まれることはありません。飲み会・宴会の目的や趣旨を踏まえて、要点を絞って短くコンパクトな挨拶・スピーチを心掛けると良いでしょう。
明るく大きな声で
中締めの挨拶や締めの挨拶は、文字通り飲み会・宴会を締めて一区切りつけるものです。それゆえ、それまでの明るく和やかな飲み会・宴会の雰囲気を壊さないように、努めて明るく大きな声で挨拶・スピーチする必要があるでしょう。
段取りを把握しておく
前述のように場合によっては、中締めの挨拶と締めの挨拶を兼ねるケースもあります。その場合、中締めの挨拶・スピーチとともに手締めの音頭もとらなければなりません。
ですから、特に挨拶やスピーチについて場慣れをしていない人は、事前に幹事と打ち合わせをしておくと良いでしょう。
具体的な例文
このような注意すべきポイントを踏まえて、中締めの挨拶・スピーチの具体的な例文を挙げてみたいと思います。
基本的な中締めの挨拶
「宴もたけなわではございますが、ご指名により、僭越ながら中締めの挨拶をさせていただきます。皆さん、本日はお忙しい中、このようにお集まりいただき、ありがとうございました。また、今回の幹事を引き受けてくれた〇〇さん、ありがとうございました。
まだまだ飲み足りない方は引き続きご歓談いただき、お帰りになる方は気を付けてお帰りください。ありがとうございました。」
忘年会で中締めと締めを兼ねる挨拶
「宴もたけなわではございますが、会場の終了時間が迫ってきましたので、ここで一旦締めとさせていただきます。ご指名により、僭越ながら締めの挨拶ならびに音頭をとらせていただきます。
本日は年末で仕事の忙しい中、このようにお集まりいただき、ありがとうございました。また、幹事として今回の忘年会を企画していただいた△△さん、ありがとうございました。
今年も私達の部署は大過なく無事に過ごすことができました。これもひとえに皆様の頑張りと活躍のおかげであると、非常に感謝しております。最後に、来年も皆様が健康であり、当社が更なる発展をすることを願って、一本締めにて締めさせていただきます。
それでは、私が『いよおー』と掛け声をしますので、その後に『パパパン・パパパン・パパパン・パン』というリズムで手拍子をお願い致します。皆様、お手を拝借。」
~手締め~
「ありがとうございました。」
まとめ
いかがでしたか?飲み会の流れと中締めの意味を確認した上で、中締めの挨拶のポイントや例文などについて説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
何事も1度経験してしまえば、物事の勝手がわかるので、その後は不安や緊張もすくなくなります。しかし、何事も初めてのことに対しては、勝手がわからず戸惑ってしまいますし、緊張もしてしまうものです。そして、飲み会・宴会の中締めの挨拶は、基本的に役職が上位の人がするものです。そのため、いざ頼まれるとなると、意外と困ってしまう人が少なくないのですね。
本記事では、参考までに忘年会における中締め挨拶の例文を記載しましたが、歓送迎会でも新年会でも、例文の中盤あたりをアレンジするだけで対応が可能です。会社の飲み会・宴会だけでなく、子供の通う学校の保護者や先生方が集まるPTA懇親会や同窓会などでも、アレンジによる対応は可能です。本記事が、中締めの挨拶を卒なくこなす助けになれば幸いです。