フェニルケトン尿症とは?遺伝は関係ある?症状や原因を詳しく知ろう!

新生児マス・クリーニング検査、すなわちほとんどの新生児が生まれてすぐにうける検査により、その子に発達障害がないかどうかを検査します。

そこで判明する疾患の一つに、フェニルケトン尿症があります。この記事ではどのような原因で起こるのか、そしてその症状はどのようなものかをご紹介します。

フェニルケトン尿症の原因とは?その治療方法とは?

メトヘモグロビン血症 赤ちゃん

フェニルケトン症は別名、先天性代謝異常症、先天性甲状腺機能低下症ともいわれています。このことから、フェニルケトン尿症は先天的であり、生まれながらにして持つ疾病であることが分かるかと思います。

先天的に発症する病気の原因の1つとして、遺伝的な原因があります。フェニルケトン尿症の原因も、遺伝子によるものだといわれています。人間の体は多くの細胞からできています。この、細胞の中には染色体が入っており、染色体の中に遺伝子がさらに入っているといわれています。この、遺伝子に異常があった場合、発症するのです。

染色体には2種類あり、性染色体といった性別をつかさどる部分と、常染色体といった共通の部分をつかさどるものがあります。この常染色体は人それぞれ差異があるのですが、両親のどちらかの遺伝子に変異があった場合は発症することがありません。しかし、両親のどちらも遺伝子に変異を持っていた場合、フェニルケトン尿症などの様々な症状を発症する危険性がかなり高まります。

正確に言うと子供が両親の変異している遺伝子を受け継ぐ可能性はそれぞれ50%なので、フェニルケトン尿症などの遺伝子が原因で起こる疾患を発症する可能性は25%の確率であるといわれています。

特に、フェニルケトン尿症の場合は血液中に存在しているフェニルアラニンが原因で発症するといわれています。このフェニルアラニンは血液中に増えすぎると発達障害であったり、運動能力に支障をきたす神経症状を起こします。しかし、それは幼児期以上になってから徐々に発症しだすため、新生児期にはその兆候に気づかない場合も多いです。

血中にフェニルアラニンが増えすぎる病気なので、治療法としてはフェニルアラニンの摂取を制限することが重視されています。このフェニルアラニンはたんぱく質に多く含まれているため、母乳やミルクなどではなく、治療用の粉乳をあげることでほかに必要な栄養分のみを吸収する食事療法が推奨されています。

新生児に行うフェニルケトン尿症の検査とは?

手術

フェニルケトン尿症は様々な障害を引き起こすため、その検査は新生児のうちに公費で行われています。この新生児とは、一般的に生後4週間までの乳児があたるといわれています。これはWHOの定義なので信頼できるといえるでしょう。

検査の内容としては、3回に分けて行われます。分娩直後、新生児室内、そして、退院するときです。代謝や甲状腺などの検査から、血清、聴覚など様々な検査を通して新生児に障害がないかどうか、またある場合には併発していないかどうかなどを細かく検査していきます。

新生児マス・スクリーニング検査とは何か?

見た目が元気であっても、生まれつき何かしらの疾病を抱えている場合があります。

そのため、生後4~6日の赤ちゃんがみんな、新生児マス・スクリーニング検査を受けて障害を防ぐことができるようにされています。この新生児マス・スクリーニング検査は主に遺伝子により発症する疾病を調べます。フェニルケトン尿症はもちろん、多くの疾病は遺伝的要因により発症すると考えられているため、この検査はかなり有効であるといわれています。

別名ガスリー法と呼ばれており、現在代謝異常症では24種類もの疾病の検査まで可能になりました。

新生児マス・スクリーニング検査:アミノ酸代謝異常症

検査によって現在は6種類の疾病が発見できるといわれています。人間は食事により多くのたんぱく質を摂取しますが、このたんぱく質を分解するとアミノ酸に変わります。人間にとって大切な栄養素であるアミノ酸ですが、これの利用や分解がうまくいかないのがこのアミノ酸代謝異常症です。

アミノ酸が体内でうまく排出されず蓄積することで、精神の発達障害や体調不良が起こるといわれています。

新生児マス・スクリーニング検査:有機酸代謝異常症

この疾病は9種類発見できるといわれています。たんぱく質が分解されたアミノ酸がさらに体内で変化すると、有機酸が生じます。

しかし、何らかの異常により、この有機酸の代謝がうまくいかずに体内に蓄積する場合があります。有機酸が蓄積することで、乳児の場合は母乳をうまく吸えなかったり、おう吐やけいれんなど突然の発作を起こすことがあります。しかし、この疾病は精神障害を起こすことはなく、あくまで外的な症状しか起こしません。

有機酸代謝異常症の中には皮膚が黒く変色する疾病や、20代以降になると関節炎、色素沈着など徐々に発症していく疾病など様々な症状がみられるので、乳児のうちに発見し、適切な治療を早めに行うことが重要です。

新生児マス・スクリーニング検査:脂肪酸代謝異常症

現在検査でわかるのは8種類です。人間は体外からエネルギーを摂取し、それを生活のためのエネルギーに変えています。

しかし、空腹時や運動時に摂取したエネルギーが不足した時には体内の脂肪から必要なエネルギーを得ます。脂肪酸代謝異常症になるとこの脂肪の分解がうまくいかないため体調不良になってしまいます。

新生児マス・スクリーニング検査:糖代謝異常症

糖代謝異常症はほかの代謝異常症に比べるとかなり深刻な症状を発症する場合があります。早く治療しなければならないほどの重症患者は少ないものの、3万人に1人の割合で発症し、その場合は乳幼児の段階からの特殊なミルクでの食事療法が必要とされています。

この糖代謝異常症は酵素の障害によるもので、白内障を起こし目に障害を受けてしまったり、精神や運動の発達障害、肝硬変などのさまざまな器官での症状がおこります。

新生児マス・スクリーニング検査:血友病

現在わかる血友病は2種類あります。原因としては血液中にあるたんぱく質の一部がなかったり、本来の働きをしないからです。その為、けがをした際にうまく止血ができず、血液不足になってしまいます。

遺伝による要因がもちろん多いのですが、突然変異により突然発症する人も3割はいます。また、X染色体による疾病のため、発症者は主に男性だといわれています。

フェニルケトン尿症の症状とは?

病気の赤ちゃん

精神発達遅滞・知的障害が起こる

ほかの子供に比べて知的機能の面で平均よりもかなり劣っている場合のことを言います。多くの患者の場合は環境適応が難しく、対人関係や身の回りの活動、健康や安全への注意などがうまくできずに周囲による援助や介助が必要な場合が多くあります。

生後半年前後に運動発達遅滞が目立つ

フェニルアラニンが多すぎることで、生後半年ごろになってくると運動発達がほかの子供たちより劣ってきます。しかし、この運動発達障害は食事療法により改善や成長がみられるので焦ることなく早期発見から着実に治療を行っていくことが重要だといわれています。

けいれん・ひきつけ発作が起こる

フェニルケトン尿症患者の中でも特に重い病状の場合、上記に記した精神や運動の発達障害のほかにも突然のけいれんやひきつけ、震えなどを起こす場合があります。これは、常に起こる症状ではなく突発的に起こるものであり、明確に止める方法はありません。

しかし、これはあくまで早期治療が受けられなかった場合におこるものであり、たとえ重い症状であっても早期治療によって改善の余地はあるといわれています。

ネズミ尿のような臭いがする

フェニルケトン尿症は血中にフェニルアラニンが増加することで発症します。この、フェニルアラニンの分泌を促進するのがフェニル酢酸です。このフェニル酢酸が体内で増加すると、ネズミの尿のようなにおいを体内から発することがあります。これも、治療により改善していくので気長に病気を向き合っていくことが重要です。

色白であったり赤毛になる

フェニルアラニンが体内に蓄積されると、フェニルアラニン自体は分解されません。

その為、本来代謝されたときにできるメラニン色素が作られないことになります。これにより本来皮膚や髪の毛に含まれるメラニン色素が分泌されないため、皮膚は色白になり、髪の毛も赤毛っぽい色になる症状が見られます。

湿疹や多汗が起こる

フェニルケトン尿症の症状は皮膚系にも影響を与えます。皮膚の様々な部分に湿疹が起こったり、汗を多くかくようになります。ほかの発達障害と比べてわかりやすく発見しやすい症状なので、発見した場合は医師の処方にあわせて正しい治療を行ってくださいね。

フェニルケトン尿症とはどんな障害なの?

赤ちゃん

フェニルケトン尿症は精神遅滞症候群だといわれています。本来体内ではフェニルアラニンがチロシンに変化しています。

これは、フェニルアラニン水酸化酵素の働きによる変化です。しかし、遺伝子が変異することによって、体内にフェニルアラニン水酸化酵素自体が欠乏する場合があります。これによって変化することができないフェニルアラニンは脳に障害をおこすようになってしまいます。

病名の理由は、このフェニルアラニンの一部は脳に障害を与えたのんち、フェニルケトンという物質によって代謝され、尿中に排出されることからです。

フェニルケトン尿症は遺伝するのか?

乳幼児

フェニルケトン尿症は父親、母親の両親がともに異常のある遺伝子を持っている場合にのみ起こる可能性があります。この場合の発症率は25%です。

疾病自体は発症する可能性は高くはないものの、原因が遺伝子であるがゆえに根治はむずかしく、根気強い治療が必要とされています。

まとめ

入院の子供01

遺伝的要因により起こるフェニルケトン尿症ですが、食事や投薬により改善の余地はあります。また、制限食を食べなければいけないものの、根気強く続けていくことで正常に発達することもできるようです。

検査によって発症が確認された場合にもあきらめることなく親子ともに闘病していくことが大切ですね。

  
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