百日咳の症状について!大人の患者が増えている原因とは?

百日咳は、もう滅多にない病気だと思ってらっしゃる方が多いと思います。幼いころ、混合ワクチン接種をしたので、一生かからないと思ってらっしゃる方も多いことでしょう。

ところが驚くべきことに近年、成人の百日咳患者が年々増えているのです。また、成人と乳幼児では症状が違うため、成人の患者さんがそれと気づかずに、ワクチン接種前の乳幼児にうつしてしまうという事実が、日本だけでなく、アメリカでも大きな社会問題となっています。

東京都で「百日咳にご注意!」というリーフレット(ちらし)が配布されたのは、つい先日、2016年6月24日のことです。ワクチン接種前の乳幼児、特に乳児が百日咳にかかり、死亡率があがるという危険がすぐそこにせまっているのです。

どうやら、もう一度百日咳について調べてみる必要がありそうですね。なぜ、今頃になって成人に流行りだしたのでしょうか。また、乳幼児はワクチンを打てば本当に安全なのでしょうか。小さなお子様を持つママやパパたちにも、そして成人罹患率の高い世代、10代後半~30代の人にも、知っていただきたい、おどろきの事実です。

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百日咳(ひゃくにちせき)とは

赤ちゃん

百日咳とは独特なけいれん性の咳発作(痙咳発作という)を伴う、百日咳菌と呼ばれる細菌に感染して起こる急性気道感染症です。百日間、咳が続くから百日咳と言われることもあるように、発病から完治まで100日、およそ3か月かかる病気です。完治までと書きましたが、ワクチン接種を受けている人で、そのワクチンの効果が薄れていない人にはかかりません。

ただ、ワクチン接種前の乳幼児、特に1か月未満の乳児がこの病気にかかった場合は死亡率がとても高い危険な病気なのです。乳幼児がかかった場合、肺炎や脳症を併発して重篤になってしまうこともあるのです。

百日咳は年齢に関係なくまた季節にも関係なく、誰でもかかる可能性のある病気で、昔は乳幼児がかかることが多かったのですが、ワクチン接種の義務化により乳幼児の罹患数は減りました。しかし、最近では年長児や大人がかかることが多くなって、年々その数は増えています。

日本ではワクチン接種が義務付けられているため、発病する人は少ないのですが、その発病率の低下も別の問題を生みだしているようなのです。

百日咳の症状

主な感染経路は飛沫感染や接触感染です。百日咳の大きな特徴として、独特の咳、けいれん性の咳発作(痙咳発作:けいがいほっさ)がありますが、初期症状からこの症状が出るわけではないため、特徴ではありますが、風邪や他の気道や喉の疾患との区別が難しいという問題もあります。百日咳の症状は次の3期に分けられています。

  1. カタル期(罹患してからおよそ2週間まで)
  2. 痙咳(けいがい)期(およそ2週間から3週間続く)
  3. 回復期(2週刊から3週間ほど続く)

この3期を経た後、忘れたころに発作性の咳など予後を超えて、完治するまでに全経過するのにおよそ2~3か月かかる(百日かかる)ものです。それぞれ期別の症状を詳しく見てゆきましょう。

カタル期の主な症状

百日咳は罹患しても1週間から10日間の潜伏期間があります。その後、風邪と同じ初期症状が出始めます。鼻水やくしゃみです。そして、咳が出るようになり、徐々に咳の回数が増え、咳の強さも強くなってきます。

この段階では普通の風邪との区別がつきにくいため、大人は見逃してしまいがちです。

痙咳期(けいがいき)の主な症状

次第に、百日咳の特徴であるけいれんを伴う咳が出始めます。この咳を痙咳(けいがい)と呼びます。

この時期は他に菌をばらまくのが活発になる時期でもあり、夜間の発作が多いのも特徴ですが、乳幼児ではこの特徴的な痙咳発作が現れないことも多いので注意が必要です。痙咳発作の特徴は以下のように名づけられ、分けられています。

スタッカート

短い間隔で、コン、コンと乾いた咳が連続で出ます。

フーピング

スタッカートに続けて、息を吸うときにヒュゥゥゥと笛の音のような音が出ます。喘息の場合は息を吐くときに似たような音がしますが、百日咳の場合は息を吸うときに出るのが特徴です。

レプリーゼ

上記のスタッカートとフーチング、つまり短い連続した咳に続いて息を吸うときにヒュゥゥーという音がする痙咳発作が繰り返されることをレプリーゼと呼びます。まれに、嘔吐を伴うこともあるので、注意が必要です。

これらの症状は特徴的ですが、乳幼児の場合はスタッカートだけでも体力を大幅に消耗してしまいますし、またフーチングは現れないことも多いため、親が普通の風邪と見分けることはかなり難しいのが実情です。

痙咳期のその他の症状

  • 発熱はないか、あっても微熱である
  • 咳をするときに息を詰めるため、顔面浮腫や点状出血、眼球結膜出血、鼻血が出ることがある
  • 発作がないときは無症状なのに、何らかの刺激(煙、温度差など)が加わって発作が起きる
  • 年齢が低いほど症状は定型にあてはまらない
  • 乳幼児では咳とは違い無呼吸発作があらわれることがあり、そこからチアノーゼやけいれん、呼吸停止へと進展してしまうおそれがある

回復期の主な症状

激しい痙咳発作は少しずつ減ってゆきます。およそ2~3週間で治ったかのように見えますが、その後も忘れたころに発作性の咳が出るなどの時期が続きます。

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百日咳の恐ろしさ

恐ろしい

百日咳は乳児がかかると重篤な状態になり死亡することもまれではなく、非常に危険な病気です。ですから、一番危険な乳幼児期を無事に過ごせるように、混合ワクチン接種をうけることが推奨されています。

百日咳は家族感染が多い病気としても有名です。感染経路はくしゃみや鼻水からの飛沫感染、そして接触感染です。成人の場合、百日咳にかかっても気づかない人もおり、ただの咳だと口を押さえたその手で赤ちゃんに接触したらと考えただけでも怖いことです。まずは百日咳がいかに恐ろしい病気かを見てみましょう。

乳幼児がかかる百日咳のおそろしさ

乳幼児には、あまり特徴的な症状が出ないのが特徴といえます。ですから、親は気付かなかったり、あるいは風邪だと思い病院へ連れてゆきます。小児科には他の赤ちゃんや幼児も年長さんもいるでしょう。感染の機会を広めてしまいかねません。乳幼児がかかる百日咳のおそろしい点は以下のとおりです。

  • 風邪と間違い、治療開始が遅れ重篤な状態になる
  • 細かい咳が続くかわりに息を止めた状態がつづきチアノーゼやけいれん、呼吸停止の可能性がある
  • ほとんどの場合、特徴的症状にあてはまらないため、誤診しやすい
  • 咳が続くため体力を消耗し、持っている免疫力も低下し他の病気にかかりやすくなる
  • 合併症にかかる危険性が増す(肺炎、百日咳脳症)

こわい!百日咳脳症

原因がはっきりしない病気で、百日咳の合併症として起きる病気です。脳内のうっ血や浮腫などから脳内出血が起こり、てんかん、知能障害、視力障害などの後遺症が残る場合もあり、酷い場合には命を落とすこともあります。

成人がかかる百日咳のリスク

成人は、百日咳にかかってもはじめはそれと気付かない人も多いようです。カタル期をすぎて痙咳期にはいると特徴的な咳が増えるため気づく人も多いようですが、発熱がない場合も多いため、「こんどの風邪は喉にきて、いつまでも咳がなおらないな~」などと言っている人はもしかしたら百日咳なのかもしれません。

成人がかかる百日咳のリスクの一番は、乳幼児や年長児への感染です。行動範囲も広く、また学校や社会など団体活動の場があるわけですから、他人へ感染する機会が多くなります。感染したのが大人なら、体力的にもさほど大事には至らないかもしれませんが、その人の家族に幼い兄弟や赤ちゃんがいたらどうでしょうか。

大人の百日咳のリスクとは、「気付かずに病原菌をばらまいてしまう」リスクなのです。これは大げさに聞こえるかも知れませんが、生後6カ月未満の乳児を死の危険にさらす細菌兵器をばらまいているのと同じとも言えませんか。

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大人の百日咳患者が増えている

咳

近年、大人の百日咳患者が増加傾向にあると言いました。それには、はっきりとした理由があります。ワクチンの効果の問題です。百日咳のワクチンには永久の効果はないため、年月経過とともに効果が薄れます。効果が薄れると言うことは、免疫がなくなるということです。

通常の病気なら、後から罹患し、再度抗体を作るということも出来ますし、さほど重症でない病気の抗体は、わたしたちはそうして体の中で作っていっているのです。

しかし、予防接種の効果があり、現代では百日咳の患者の総数が減ったことで、後から感染するケースが少なくなったため、後から獲得する獲得免疫をつくる機会がほとんどなくなってしまったこともあります。ワクチン接種とは、外部から弱い病気の病原体を体内に入れ、体の中でその病原体に免疫をつくらせることが目的です。では、このワクチンの期限はどのくらいもつものなのでしょうか。

ワクチンの効果は永久ではない

百日咳は、ワクチン予防可能疾患(VPD)のひとつとされていますが、近年ではワクチンの効果が弱くなった青年や成人層の感染が大きな問題となっています。乳児のワクチン接種は3か月から出来ますが、それ以前のワクチン接種を受けていない時期に、近くに百日咳にかかった兄弟や親がいたら赤ちゃんはひとたまりもありません。

ワクチンも免疫も有効期限は短い!

現代の、百日咳ワクチンの効果は、5年から10年なのです。6カ月から1歳までに予防接種を受けたとします。その子が成長し、年長さんから小学校低学年になるころには、もう、ワクチンの効果は薄れ、百日咳にかかる危険性があるのです。

ワクチン(予防接種)について

日本では、2012年8月以降に生まれた赤ちゃんや、これまでに3種混合ワクチン(DPT)の接種を受けていない人には4種混合ワクチン(DPT-IPV)の接種が原則となっています。

この4種混合ワクチンが日本に導入されたのは2012年11月です。それ以前にすでに3種混合ワクチン(DPT)の接種を受けている場合は、2回目3回目の接種や1年後の追加接種の際に4種混合を接種することは出来ませんので、3種混合の接種を受けることになります。ワクチンの効果とともに、予防接種の必要性も見てみましょう。

なぜ予防接種が必要か

通常、赤ちゃんは生まれて来るときに、お母さんから栄養とともに免疫グロブリンG(経胎盤移行抗体:IgG)を受け取ります。胎盤を通じて移行する抗体IgGには免疫のほとんどが含まれています。さらに初乳(分娩後0日~3日に分泌される母乳のこと)には沢山の分泌型免疫グロブリンA(IgA)が含まれており、初乳を飲んで育った赤ちゃんは、お母さんからもらったIgGとIgAという免疫抗体のお陰で、簡単には感染症にはかからないようになっているのです。

お母さんのお陰で赤ちゃんは病気になりにくいのですが、成長とともに保育園に行くころにはもらった抗体の力は減ってゆき、それからはひとつひとつ、病気にかかることで、自分で抗体を作ってゆくことになるのです。

ワクチンは病気をやっつける薬ではありません。

けれども、お母さんから受け取れない(移行されない)免疫抗体が防いでくれる病気の中には、症状が重く、かかってから免疫をつくるより、死亡率のほうが高いものがあります。百日咳、ジフテリア、破傷風、風疹、日本脳炎、はしか、水疱瘡やBCG、ポリオなどです。

本当の病気にかかってしまっては危険ですので、乳児のうちに、こわい病気の病原体の毒性を弱めたワクチンを接種することで、症状の軽いその病気にわざとかかり、体の中で免疫を作りださせるのが、ワクチンの目的なのです。ワクチンは病気をやっつける薬ではなく、かからないようにする予防薬でもなく、毒性を弱めた病気なのです。毒性の弱くなった”敵”と闘うことで、赤ちゃん自身に”免疫”という武器が身につくのです。

百日咳ワクチンの現在までの変化

2012年11月から4種混合ワクチン接種が施行されましたが、その前は3種混合しかありませんでした。そのずっと前は、この3種混合の中身が少し違いました。中身が違うということは、効果もまた違うということです。昔は3種混合ワクチンでも、百日咳の抗体が強力なものが使われていました。

しかし、その抗体のせいで脳炎などになる危険性が増えたため、現在の3種混合ワクチンの百日咳の抗体は弱めになりました。そして、現代の成人での罹患率の増加の問題を踏まえ、さらに改良された4種混合ワクチンが出来たのです。

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百日咳の予防策

病気の赤ちゃん

百日咳の予防策

百日咳の抗体は母親から引き継がれません。ですから、ワクチン接種するしかないのです。しかし、年齢の0歳児~乳児(早期)までは、危険なためワクチン接種も出来ません。月齢6カ月以内で罹患した乳児の死亡率は0.6%もあるのです。では、どうしたらいいのでしょうか。

成人ができること

百日咳と風邪の初期症状はとても見分けがつきにくいものです。また、検査しても、百日咳の場合、カタル期や痙咳期には、ほとんど分からないのです。けれども、子供にうつさないためにできることは、あります。

風邪でなくとも咳がでる時はマスクをする!

風邪をひいていても咳をするときに手で防げばいいやと思っていては、思わぬところで菌をまきちらしているかも知れません。そうしないためにも、また風邪だとしても自分の喉のためにも、マスクをすることを心がけましょう。

最近ではマスクもいろいろ出ており、息苦しくないものも発売されていますがやや高値でもあります。インフルエンザなど菌が感染する病気の場合には、安いマスクを使い捨てにするのもいいかも知れません。捨てるときには、密閉性のあるごみ箱に捨てましょう。

痰を外で吐かない

百日咳は空気感染はしませんから、道路に吐いた痰から菌が空気中に漂うことはありません。しかし、痰をはくときに一緒につばが飛びます。まさか人の側で痰を吐く人も現代ではそういないと思いますが、飛んだ唾からの飛沫感染や接触感染が考えられる以上、こういうことにも気をつけたいものです。

親が乳児にすべきこと

赤ちゃんの危険を救えるのは、親の観察力です。いつもよりおっぱいを飲む量が少ない、咳がいつもと違う、顔色がちがう、咳が続いている そんなときには、まず小児科やかかりつけの病院へ電話をいれ、症状を話してから連れてゆくと良いでしょう。

予防接種は早めに

予防接種できる月齢になったら、なるべく早く接種することが望ましいです。予防接種をすることで、百日咳にかかるリスクを80~85%減らすことができるという報告があります。

また、乳児が受けるワクチンは数多く、決められた時期をすぎると初回接種が受けられなくなります。他のワクチンとの同時接種が効果的な場合もありますので、スケジュールをたてて、きちんと効率よく接種してあげることが大事です。4種混合ワクチンは、生後3カ月になったらすぐに接種するのがお勧めです。1回目接種ののち、3~8週間の間隔で3回受けることで初回接種がおわります。その後、1年後に追加ワクチン(4回目)を接種します。また、第二期(11歳以降)に、2種混合ワクチンを1回接種します。

接種は他のB型肝炎、ロタワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌の予防接種との同時接種がおすすめです。同時接種の場合は4週間ごとに同時接種で受けると通院回数が少なくて済みます。

すでに3種混合ワクチンの接種を受けている場合は、初回接種の2回目3回目と、追加接種の1回を忘れずに受けましょう。

*詳しくはお医者様や、市町村の保健課に問い合わせてください。

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こんな症状が出たら注意しましょう(チェックポイント)

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百日咳の検査方法

百日咳は検査ではなかなかわからないのが辛いところです。血液内の菌が百日咳のものであるかどうか、早い時期では判明しないのです。ですから、病院へいって検査の相談をするのが一番ではありますが、まずは自分でできるチェックポイントを知っておきましょう。

自分でできるチェックポイント(大人)

  1. 咳がとまらない、2週間以上つづく
  2. 夜になると咳が出る
  3. まわりに同じような症状の人がいる
  4. 強い咳がでたり、咳で吐きそうになったりする
  5. 市販の咳止めが咳にまったく効かない

こんなときは、百日咳を疑ってみてください。病院へいって検査して分かることもありますが、百日咳と診断がつかなくとも、医師に相談して炎症を押さえ咳を静めることで、飛沫感染量の減少にもなりますし、咳で体力を奪われ、他の病気にかかる危険も少なく出来ます。

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まとめ

乳幼児

百日咳で乳幼児が死亡することを防ぐためには、大人が気をつけなければならないことが分かっていただけましたでしょうか。たかが風邪と言わず、風邪は万病のもとですから、マスクをし、日頃から手洗い、うがいを心がけることも、百日咳だけでなく他の感染症を防ぐ効果的な方法なのです。

咳ぐらいと病院へいかないでいると、抗生物質も効きにくくなってしまいます。早め早めの処置が大事ですね。

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