レプトスピラ症とは?症状や感染経路、診断方法を知ろう!治療方法は?

レプトスピラ症という病気の名前を、聞いた事がありますか?

レプトスピラ症とは、別名をワイル病や秋疫とも言います。レプトスピラ病原体というものに感染する事によって引き起こされる、重症化すれば死にも至る感染症です。

海外渡航した際に感染する事が多いため、海外旅行が趣味であったり、出張で海外に行くことがある方は是非一度頭に入れておきましょう。

レプトスピラ症とはなんなのか

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感染症の1つである、レプトスピラ症とは一体なんなのでしょうか。一番最初に述べたように、別称ワイル病を持ちます。これは病原性レプトスピラという動物由来の細菌による感染症です。

このレプトスピラ症は、全世界的に流行しており、皮膚経由、或いは傾向的に感染します。そもそも、病原性レプトスピラとは、一体どんな細菌なのでしょうか。

レプトスピラという病原体とはなんなのか?

病原性レプトスピラは、保菌動物(ネズミ、野生動物、家畜、ペットの犬猫)に腎臓に保菌されています。この保菌動物の中は、不顕性感染(感染しても症状が現れない状態)として保菌しています。

保菌動物が尿を排泄する際に同時に排菌されます。人間への感染は、この汚染された尿の片づけ等による直接的接触、尿により汚染された水・土壌によって皮膚を経由して感染します。一例としては、汚染された水や食物の飲食による経口感染も報告されています。

レプトスピラ症には2種類あるって本当?

また、この細菌は「カニコーラ型(犬チフス型)」と「ワイル型(黄疸型)」に分類され、人間が感染する際には顕性感染します。どちらの最近に感染したかにより、症状も変わってくるため非常にわかりやすいのではないでしょうか。

尚、自分のペットにイヌ等がレプトスピラ症を発症した際には、家畜伝染病予防法に基づき、その診断を行った動物病院の医師は報告義務があります。しかし、報告したからといって処分されることはないため、安心して動物病院へ連れて行きましょう。

レプトスピラ症はどの地域で主に発症しているのか?

このレプトスピラ症は、全世界で流行していると先述しました、しかし、やはり局所的に流行している国も存在します。最近報告されたレプトスピラ症の流行事例では、流行地域はブラジル等の中南米、フィリピンやタイ等の東南アジア等の地域であると報告されています。

特にタイでの感染実態はとして、毎年数千人規模の大流行が報告されています。この事から、熱帯、亜熱帯での地域性の伝染病であるとされています。日本でも、九州や関東等で長雨の降る梅雨の後や、晩秋の季節には発生しやすいと言われています。日本ではこの事から季節性の感染症の「秋疫」と呼ばれています。

海外から日本へ輸入される場合も多いの?

また、近年日本では海外へ渡航する人数が年々増加しています。2015年では、日本からの海外渡航者は3600万人にも上ります。これに伴い、流行地域から日本へのレプトスピラ症の輸入感染例が近年では日本でも報告されています。

最近では、輸入されたモモンガが感染源となり、ヒトに感染した例もあります。海外からの家畜の肉、ないしはペット等の動物が輸入されている事から、家畜伝染病としても輸入感染症としても最近では注目されています。

レプトスピラ症はどんな症状を引き起こすのか

ウィルス

先程、病原性レプトスピラは「2種類」の最近があるとご説明しましたね。そして、どちらの細菌に感染したかによっても症状が変わってくるというお話もしました。

症状が感染してから、2-12日後に発症するという点は共通していますが、症状は異なります。では一体、どのように症状が変わるのか、ご説明します。

カニコーラ型(犬チフス型)に感染した場合の症状

カニコーラ型のレプトスピラ菌に感染した際は、腎障害が主な症状であると言われています。感染初期には、40度以上の発熱からはじまります。

発熱からはじまり、激しい嘔吐、血便、蛋白尿(尿の中にタンパクが排出されてしまう事)等が起こります。初期症状後には、出血性の下痢、免疫低下による口内炎、脱水症状等が起こります。

ワイル型(黄疸型)に感染した場合の症状

ワイル型に感染した際は、カニコーラ型と同様の腎障害、発熱、嘔吐に加えて黄疸、呼吸困難、肺からの出血、目の充血、口唇での出血性疱疹等の出血傾向や髄膜炎が主に確認されます。

ワイル型には、急性型、亜急性型が存在します。急性型では、感染してから数時間から数日単位で死亡してしまう事もあります。亜急性型であれば、解熱後に衰弱が確認されます。数日以内に死亡する場合もあれば、回復する場合もあります。

このような症状がレプトスピラ症には見受けられます。高熱を早急に対処しない場合では、生殖障害や、妊婦であれば流産、死産等をしてしまう事もあります。また、無菌性髄膜炎を発症する事もあります。

どのようにしてレプトスピラ症は診断されるのか?

検査 レントゲン X線

レプトスピラ症だけでなく、感染症は大きく分けて臨床診断と検査診断があります。臨床診断とは、症状だけで病気を判断する診断法の事です。

しかし、レプトスピラ症の症状は、他の感染症でも起こりうる症状であるため、この病気だと確定診断するためには検査による診断は必要になります。検査診断には、以下の3つがあります。

病原診断

病原体を患者と分離し、培養し観察する事で診断する方法です。これは、治療に使う抗菌薬投与前の発熱をしている際の血液を使用し、培養を行います。培養には数日から、長いと1か月はかかる為その間は抗菌薬や抗生剤を使用し、治療を行います。

清診断法

顕微鏡舌凝集試験法、という検査を行います。これにおいて、ペア血清(発症直後から発症後2週間程度の間の血清)を使用して、レプトスピラ抗体の存在を確認します。抗体値が4倍以上となった場合、レプトスピラ症であると診断します。

レプトスピラ遺伝子のPCR検出

PCRとは、正式名称をポリメラーゼ連鎖反応といいます。人間の遺伝子は、約30億ものDNAで構成されていると言われています。この中から、自分の欲しいDNAの組み合わせの配列のみを取り出したいとしましょう。

その際に必要な方法がPCR法と呼ばれる操作です。このPCR検出により、レプトスピラ症原菌に見られる遺伝子形態を把握する事が出来ます。この遺伝子形態を把握する事により、レプトスピラ症であると診断する事が可能となっています。

簡単に出来る検査、診断キットとは?

このような検査診断が行われ、レプトスピラ症か否かが診断されます。しかし、これらの検査は設備の整った検査室でしか可能ではありませんでした。外来やベッドサイド、外での検査も勿論不可能です。そんな中で開発されたのが、「診断キット」です。九州大学医学研究院教授の、吉田先生が開発した物です。

現状の環境を打破するため、様々な場所で検査が可能で、結果が迅速に出る簡易迅速診断キットを作成されました。これは抗体を検出するキットであり、大量生産も可能である事から将来的にはレプトスピラ症の診断をより容易に出来るようになっているのではないでしょうか。

そもそも感染症とは一体なんなの?

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そもそも感染症とは一体、なんなのでしょうか。まずはそこについてご説明しますね。

感染症とは、ウィルスや細菌などの病原体物質、或いは細菌が何らかの感染経路により発症する病気です。感染する事により、ウィルスや菌が体内に侵入し、身体の中で菌が増殖します。感染経路や感染した際の症状には、非常に様々な種類が存在します。では一体症状ではどのようなものが、感染症の症状として存在するのでしょうか。

感染症にかかるとどんな症状が起こるの?

感染症の症状は、そのウィルスや菌により症状は異なります。しかし、様々な感染症に共通している症状として、発熱や下痢、咳、黄疸、筋肉痛、尿の濁り、出血がしやすくなる事等が起こるという事がわかっています。インフルエンザも感染症の1つとして扱われています。

インフルエンザを例にしてみましょう。この場合は、インフルエンザのウィルスが体内に空気感染や人と人による感染等によって、インフルエンザウィルスが体内込に入りみます。この際には高熱の発症、下痢や咳、節々が痛む等の症状が出ます。このような経緯で症状は発生しています。

では一体、感染経路には空気感染等以外にどんなものが存在するのでしょうか。次は、ウィルスや細菌の感染経路についてご説明します。

感染経路にはどのようなものがあるの?

感染経路は、主に4つの経路が存在すると言われています。具体的にどんな病気が当てはまるのか?等も含めて、ご説明します。

①人から人への接触感染、空気感染

1つめとして、人から人への感染があります。これは、感染者がキス等をする事による接触感染、性的行為を行う事による性的接触感染等があります。また、菌を持っている人(保菌者)が咳、くしゃみをすることにより空気中に病原体が拡散します。それを呼吸とともに吸い込む事による空気感染等が、人間を経由した感染経路として存在します。感染例としては風邪やインフルエンザ等が当てはまります。

②他動物から人間への感染

2つめは、動物や昆虫により人に感染する感染経路があります。動物の種類でいえば、犬や蚊、ネズミや豚等の家畜が主な感染源となりうる動物です。犬であれば、狂犬病という病気を聞いた事があるでしょうか。あの病気は主に野生動物から犬に移ります。感染した犬に噛まれる事、或いは傷口を舐められる事により人間に感染します。ネズミでいえば、昔にイギリスで流行したペストが有名なのではないでしょうか。今回取り上げているレプトスピラ症は、犬から人に感染する病気の1つとして研究がすすめられています。

③土壌にいる細菌からの傷口感染

3つめは土の中にいる細菌に対して、傷口から感染する感染経路です。これは土のついた野菜を使用する際に傷のついた手で扱う事等によって感染します。別称では土壌病ともいわれています。具体的な病名でいえば、破傷風やピロリ菌等が当てはまります。

破傷風は19世紀松に流行した事で知られていますね。当時であれば、菌の抗体を含む血清を注射する事により治療されていました。ピロリ菌であれば、土の中にいる細菌が井戸水等に入り込むことにより感染します。

④口から細菌を取り込んでしまう、経口感染

最後の4つ目では、食べ物を口から摂取する事による経口感染があります。2003年に、E型肝炎という感染病が流行しましたね。あの病気は経口感染の感染例として挙げられています。

これは、臓器移植等により感染した部分を取り換える事以外の治療法が見つかっておらず、危険性が極めて高い感染病として有名です。

感染症を防ぐ事が出来るのか?

感染症を予防する事は可能なのでしょうか。実際、今の医療技術では、感染しない可能性を高くする、予防接種を打つ事しかできません。つまり、予防対策としてワクチン接種を行った所で、感染しない可能性は0ではないと言われています。

しかし、病気にならないように予防をする「予防医学」の分類では、感染症対策としてワクチン接種が最上級に挙げられています。ワクチン接種や予防接種を行う事により、圧倒的に感染する可能性を下げる事が可能になるため、感染予防としてしっかりと行いましょう。感染してしまった際には、しっかりと検査を受け、処方された抗生物質を飲み細菌を殺す事に専念しましょう。

レプトスピラ症、治療法は存在するのか?

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レプトスピラ症には、治療法は存在します。主には、薬物投与や輸血、血液透析が行われています。

軽症から中くらいまでのレプトスピラ症症状が出ている際には、ドキシサイクリンという薬の服用が推奨されています。ドキシサイクリンとは、抗生物質の1つとして知られている抗菌薬の事です。感染者と一緒に行動したりと、細菌にさらされた可能性がある人にもこの薬が投与されます。

また、重症化してしまった際にはこのドキシサイクリンや、ペニシリンを点滴によって静脈内に投与し、同時に塩分を含む輸液も投与し、脱水症状を防ぎます。このドキシサイクリンは予防薬として用いられる事もありますが、基本的に長期間の服用は人間に対して副作用を起こしかねないため、長期的服用は推奨されません。

ワイル型に感染した際には、輸血や血液透析が必要となる場合もあります。

レプトスピラ症、予防法は存在するの?

感染症、レプトスピラ症にならないために一番なのは予防できる事ですよね。予防策として、一番最初に思いつくのはワクチン接種の存在なのではないでしょうか。幼少期に日本脳炎のワクチン接種を行った事を覚えているでしょうか。あれも、日本脳炎という感染症を防ぐ為に注射でワクチンを接種していましたね。

レプトスピラ症に対する予防接種とは

レプトスピラ症は現在、ヒトに対して有効なワクチンが開発されています。

対象として、日本でも農作業を行い、土や水に触れる機会が多く、リスクの高いヒトには既に接種が行われ始めています。この事により、日本のレプトスピラ症の感染を抑圧、患者数は激減しました。 今後では、病原体としてなりやすい家畜へとワクチンを打ち、効果を確認してから、一般の方への接種がはじまると推測されています。

しかし、まだ一般の方へのワクチン接種が開始していない為、個人で可能な予防法としては下記の2つがあります。

薬物摂取

治療法の欄にて、ドキシサイクリンという抗菌薬についてご説明しました。万が一体内に、レプトスピラ症原菌が侵入したとしても、ドキシサイクリンを服用していた際には軽症で済んだり、そもそも発症しなかったという報告があります。

しかし、先ほども記載したようにドキシサイクリンは長期の服用が出来ません。

降雨後の川や海を避ける

レプトスピラ症は激しい降雨があった後や、気温が高いのに湿度が高い状態の場合に発症しやすい事が分かっています。東南アジアでは、レプトスピラ症の流行が多雨期から収穫期に集中する事が疫学的に判明しています。

この事から、レプトスピラ症が流行する地域、とくに熱帯や亜熱帯地域では不用意に水に近づかない事が求められます。

まとめ

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今回レプトスピラ症について、様々な情報をご説明しました。情報量が多く、少し困惑してしまうかもしれませんね。そんな方のためにも、今回の記事をまとめてみましょう。

レプトスピラ症とは、レプトスピラ病原体に、動物を通した感染をする事により発症する感染症の1つです。レプトスピラ病原体にはカニコーラ型、ワイル型の2種類があり、共通した症状として、発熱・嘔吐・蛋白尿等が挙げられます。ワイル型に感染した際には、加えて出血傾向や髄膜炎等が二次症状として発症しやすいです。

診断方法として、症状だけを見て判断する臨床診断と、検査による検査診断が挙げられます。検査診断は環境的に、どの病院で行う事が難しいことから、簡易検査キットの普及が求められています。治療法としては、抗菌薬の投薬、輸血、血液透析等が行われています。予防策としては、抗菌薬の投薬、レプトスピラ病流行地域で降雨後の川や海には近づかない事等が挙げられます。

さて、いかがでしたでしょうか。レプトスピラ症について、ある程度知る事が出来たのではないでしょうか。熱帯地域や亜熱帯地域は、レプトスピラ症以外にも感染症が存在します。是非、海外渡航する際には感染症対策をしてから渡航をする事を心掛けてください。

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これらを読んでおきましょう。

  
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