会陰裂傷の痛みはいつまで続く?症状の段階を知ろう!発生した時の対処方法や予防方法も紹介!

出産後、やっとわが子に対面して、喜びいっぱいのはず。もちろん、嬉しいのは嬉しいのです。喜んでもいるのです。

けれども、会陰裂傷の傷の痛みは、出産後の嬉しいはずの生活に影を落とします。

出産後はただでさえ大変です。なぜなら、出産はゴールではなくてスタートだから。妊娠中も十分大変だったのに、目の前には24時間保護を必要とする赤ちゃん、そして、お手洗いに行くのもやっとの疲れ切った体。

そんな疲れ切った体に、会陰裂傷は追い打ちをかけるかのようです。

今からご出産予定の方、大切な人が辛い思いをされている方、会陰裂傷の症状や対応方法などについて、資料を集めましたので、参考にしていただければ幸いです。

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会陰裂傷とは?

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会陰裂傷とは、お産の時に会陰部が裂けてしまうこと、またはその傷のことです。

会陰部は、肛門と膣の間の部分のことです。赤ちゃんが外に出てくる時には、膣と会陰が十分に伸びて赤ちゃんが出られるくらいに開くことになっています。実際には、初産では特に、会陰部の伸びが十分でないことが多く、会陰部が裂けて傷ができてしまうことが少なくありません。このような会陰部の裂傷を、文字通り会陰裂傷といいます。

会陰裂傷の重症度別分類

会陰裂傷の分類について以下に示します。

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①第1度会陰裂傷:会陰皮膚のみ,腟壁粘膜表面のみに限局し,筋層には達しない裂傷
②第2度会陰裂傷:球海綿体筋や浅会陰横筋などの会陰筋層に及ぶが,外肛門括約筋には達しない裂傷
③第3度会陰裂傷:外肛門括約筋や直腸腟中隔に達する裂傷
④第4度会陰裂傷:第3度裂傷に加え,肛門粘膜や直腸粘膜の損傷を伴う裂傷

出典:NEW エッセンシャル産科学・婦人科学第3版 医歯薬出版 2004年 P460-464

第1度会陰裂傷

会陰の皮膚や粘膜に限定される傷で、筋層には達しない傷で、多くは縫合の必要ありません。傷も1週間前後で自然治癒します。

第2度会陰裂傷

球海綿体筋(膣の周りの筋肉)や浅会陰横筋肉に裂傷が及び、多くは縫合の必要があります。第2度までは、一般的に起こりうる裂傷ですので、医師の方も慣れており、縫合は10分程度で終わることが多いようです。ただ、第2度であっても、裂け方が複雑ですと、もう少し時間がかかります。傷の治癒には2〜3週間程度かかります。

また、排尿困難や腹圧性尿失禁(くしゃみなどによって尿漏れする)などの排尿トラブルのが出現することがあります。

第3度会陰裂傷

外肛門括約筋や直腸腟中隔に達する裂傷で、必ず縫合します。肛門括約筋は肛門の周囲を取り囲む輪ゴムのような筋肉で、この筋肉が断裂したまま治癒すると肛門のしまりが緩くなるので、これを防ぐために筋肉を引き寄せる必要があるからです。筋層縫合には時間がかかり、1時間程度要することもあります。

また、直腸からの細菌感染が起こりやすくなるため、適切に治療しても傷の治癒には2〜3ヶ月かかります。第3度裂傷の術後は創部離開を防ぐために便を軟らかくしたり、食事を軟らかい消化のよいものに変更したりと術後管理も重要です。

第3度裂傷では、骨盤底筋群全体が弱くなるため、将来的に尿失禁や便失禁の可能性があります。

第4度会陰裂傷

外肛門括約筋や直腸膣中隔に加え、肛門粘膜や直腸粘膜までに及ぶ裂傷です。第4度は直腸まで裂けているので、まず直腸の粘膜を縫合しなくてはなりません。次に肛門括約筋を引き寄せて縫合します。注意深い縫合となるので長時間となり、大きな病院へ搬送が必要になる場合もあります。

第4度裂傷の場合には縫合技術の難易度もぐっとあがり、術後のケアも第3度裂傷とは異なるようです。ただ、症例があまり多くないためか、標準的な治療が確立しておらず、排便や感染症の問題は重要なのに、施設によってケアが異なります。例えば、第3度では緩下剤を使用して、便が硬くならないようにする施設がほとんどですが、第4度では排便を3〜5日止める施設、低残渣食にして緩下剤を使用する施設、第3度と同じような方法で便秘にならないようにする施設など様々です。感染症に対しても施設によって対応が異なり、抗生物質点滴する施設、抗生物質を点滴した上で排便後に消毒をする施設などがあります。

治癒までにかかる期間は、表面上治癒するだけでも2〜3ヶ月程度です。しかし、会陰が薄い状態のまま傷が治ってしまったり、肛門括約筋が断裂したまま傷が治ってしまうと、便やガスが漏れたり、性行為にも支障があるため、肛門科などで「会陰形成術」を日を改めて行うことも少なくありません。

いずれにしても第4度会陰裂傷では、裂傷が発生した時点で、肛門外科医との連携が望ましいです。

会陰裂傷が起こる頻度は?

第3度と第4度を合わせて約1.4~6.5%という資料がオンライン上で出回っており、根拠となる文献を検索しましたが、探し方が良くなかったのか、2009年の関東連合産科婦人科学会の「人工肛門造設に至った会陰裂傷の1例」の抄録で、「分娩後の第3度,4度の会陰裂傷は経膣分娩の例の約1.4~6.5%に発症するといわれている」という記載を見つけただけでした。

ただ、2007年に日本医科大学多摩永山病院の「高度会陰裂傷発生に対するリスク因子の検討」には、「当病院の過去8年間(2006-2007年当時)の2,542分娩が抽出され、36例(1.4%)に第3度と第4度の高度会陰裂傷が認められた」という記載があります。先の関東連合産科婦人科学会の抄録にある、約1.4〜6.5%の少ない方の数字の1.4%は、この論文を参考にしたものかもしれません。

また、2012年に大阪府立急性期・総合医療センターから発表された「第4度会陰裂傷発症に関するリスク因子の検討」には、「第4度会陰裂傷を発症したものは,984例中14例(1.4%)」という記載があります。つまり、この報告によれば、第4度会陰裂傷だけで1.4%ということになります。

東京大学の国際保健政策学研究室では、2012年に、重症(第3度と第4度)会陰裂傷の有病率とそのリスク因子について24カ国間373施設における214,599人について調査し、 国際比較を行っており、この中での日本の第3度と第4度の会陰裂傷の頻度は1.4%と報告しています。

第1度と第2度の会陰裂傷については、個人病院の統計資料のみで、ほとんど報告がありません。おそらく、合併症や後遺症を残さず治癒してしまうため、記録に残らないのではないかと考えます。逆にいえば、会陰裂傷で問題になるのは、第3度と第4度であり、第1度と第2度の裂傷は他の課題に比べると優先順位がかなり低いということもできます。

つまり、「会陰裂傷の頻度はわからない。しかし、私たちにとって深刻な問題となるのは第3度と第4度の重症の会陰裂傷であり、その頻度は約1.4~6.5%である。」というのが、「会陰裂傷が起こってしまう頻度は?」という質問への回答になるかと思います。

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第3度や第4度の会陰裂傷を防ぐ方法はあるの?

妊婦

第1度や第2度の会陰裂傷はどうやら問題なくく治癒しそうですが、できれば第3度や第4度の会陰裂傷は起こしたくないと願うのは、出産を控えた女性にとって当然のことと思います。

高度の会陰裂傷は防げるのでしょうか?

どういうケースが高度会陰裂傷を起こしやすいの?

現在、高度会陰裂傷のリスク因子としてエビデンス(証拠)があると認識されているのは、初産、吸引分娩、正中切開による会陰切開です。一般に、会陰部が伸びきらないうちに、急速に分娩が進行してしまったり、胎児の頭や肩が大きかったりすることが原因とされていますし、それが事実だと思いますが、急速な分娩の進行や、胎児の頭や肩が大きいことは、リスク因子としては証拠がない状態です。

ただ、急速な分娩の進行ではリスク因子にはなりませんが、初産はリスク因子です。会陰部が伸びるのに時間がかかる初産では、通常通りに進む分娩でも相対的に急速な進行になるのかもしれません。

また、男の子の出産では、4.8倍ものリスクがあるとの報告もあり、頭だけ・肩だけではリスク因子にはならないけれども、「全体的に大きい傾向がある」男の子の出産リスク因子にはなるのかもしれません。

もっと詳しくリスク因子について挙げますと、

先に紹介した2007年に発表された日本医科大学多摩永山病院の「高度会陰裂傷発生に対するリスク因子の検討」によれば、第3度・第4度の会陰裂傷を起こしやすいリスク因子は、初産、吸引分娩、正中切開による会陰切開でした(いずれも有意差あり)。初産ではそうでない人と比べ6.3倍、吸引分娩ではそうでない人と比べ6.1倍、正中切開による会陰切開ではそうでない人と比べ3.8倍の高度会陰裂傷が起こったとしています。

同じく、2012年の大阪府立急性期・総合医療センターによる「第4度会陰裂傷発症に関するリスク因子の検討」では、初産は11.1倍、吸引・鉗子分娩では5.0倍、男児分娩では4.8倍、正中切開による会陰切開では4.1倍の第4度会陰裂傷が起こったとのことです(いずれも有意差あり)。

先に紹介した2012年の東京大学の国際保健政策学研究室による「重度会陰裂傷の有病率とそのリスク因子についての国際比較」では、24ヵ国をアフリカ、アジア、ラテンアメリカの3グループに分け、さらに年齢やBMI、分娩回数などをグループ分けして、リスク因子を比較しています。例えば、年齢は20歳未満、20-34歳、35歳以上に分けて比較しています。

以下、上述の研究について、結果の一部を列記します。

  • 年齢は若い方が重度会陰裂傷は起こしにくい傾向がある(有意差なし)
  • BMI30以上の方がBMI30未満より重度会陰裂傷を起こしにくい傾向がある(有意差なし)
  • 初産では重度会陰裂傷を2倍起こしやすい(有意差あり)
  • 子どもの体重が2500未満だと重度会陰裂傷は半分になる(アジアで有意差あり)
  • 子どもの体重が4000以上だと重度会陰裂傷は2倍になる(有意差あり)
  • 鉗子・吸引分娩だと重度会陰裂傷は4倍になる(有意差あり)
  • 誘発分娩だと重度会陰裂傷を起こしやすい傾向がある(有意差なし)

では、どうすれば予防できるの?

高度会陰裂傷のリスク因子は初産、吸引分娩、正中切開による会陰切開ですから、これらを回避できればいいのですが、初産を避けることはできません。吸引分娩も必要なら選択肢はありません。会陰切開の正中切開を避けてもらうことくらいはできそうですが、それも自分では決められません。

会陰裂傷を避けるために、何かできることはあるのでしょうか?

栄養状態を良くしておく

バランスの取れた栄養をきちんととり、栄養状態の良い妊婦の方が高度の会陰裂傷を起こさずにすむ傾向があるようです。上述の24カ国間の国際比較でも、発展途上国では特にBMI30以上の妊婦は15%ほど、高度会陰裂傷を起こさずにすむ傾向がある(有意差はなし)としています。

会陰マッサージ

初産がリスク因子になるのは、初産では会陰部が硬くて伸びが良くないからだと仮定すると、会陰部のマッサージは効果がありそうです。実際、2013年のオーストラリアで行われた研究では会陰マッサージは会陰裂傷を0.9倍に、会陰切開を0.85倍にした(いずれも有意差あり)と報告されています。

ケーゲル体操

ケーゲル体操は骨盤底筋群を鍛える体操で、もともと尿失禁や子宮脱、直腸脱、膣脱などの治療のためのエクササイズとして考案されたものです。この体操を続けることで、産道=膣の力の調節が可能になり、うまく力を抜けるようになって、急激な分娩の進行を防ぎ、会陰裂傷を予防できると言われています。

筆者は北米で出産しましたが、普通の病院の普通の産科の父母教室で、ケーゲル体操をきちんと行うように指導されました。それまで、ケーゲル体操は、性生活を快適にするための胡散臭い体操だと思っていたのですが、それなりに根拠のある体操のようです。

ただ、実際にどの程度会陰裂傷を予防できるか、具体的に数字を示した文献は見つけられませんでした。

分娩第1期(分娩開始から子宮頚部が全開大するまで)の入浴

これも出産のために北米の普通の病院の産婦人科に入院中、会陰裂傷を防ぐのと、陣痛の痛みを和らげるのに良いと指導をうけ、とにかくずっと暖かいお風呂に入ったり出たりしていました。筆者は13時間の陣痛後、子宮口開大7cmの時に、胎児心拍数の低下のため、帝王切開になってしまったので、会陰裂傷に効果があったかどうかは分からず仕舞いですが、個人的には陣痛には驚くほど良く効いたと感じました。コクラン共同計画(The Cochrane Collaboration)では、分娩第1期の入浴では第3度と第4度の会陰裂傷の頻度は減らすとは言えないが、妊婦の陣痛の痛みを有意に緩和し、硬膜外麻酔や脊椎麻酔の使用頻度を有意に下げるとしています。

分娩第2期(子宮頚部が全開大してから胎児娩出まで)の会陰部温罨法

会陰部温罨法(会陰部を温める方法)が会陰裂傷の予防に効果的であるという報告があります。実際、コクラン共同計画によれば、、分娩第2期の会陰部温罨法が、第3度と第4度の会陰裂傷の頻度を0.48倍まで(約半分に)減らすことが示されています(有意差あり)。

会陰切開は会陰断裂の予防手段になるの?

正直、わかりません。

会陰切開は「会陰裂傷よりはいい」「会陰裂傷より治りが早い」「赤ちゃんが苦しいので早く出さなければならない」などの理由で行われています。しかし、施設によってほとんど行わないところもあり、初産では必ず行うところもあり、施設間で大きく差のある処置です。

産科医の間でも、会陰切開自体が会陰裂傷の予防になるという意見と、会陰切開が会陰裂傷のリスク因子になるという意見と両方あり、冷静な議論が待たれます。

会陰切開には側切開、正中側切開、正中切開があり、痛くない・きれいに縫合できるとされているのは、正中切開ですが、これは明らかな会陰裂傷のリスク因子とされているため、よほどの理由がなければ行われなくなりました。

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会陰裂傷になってしまったら

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抗生物質の点滴や、緩下剤の使用などは、病院から指示があると思いますので、ここでは自分でできることを中心にご紹介します。

痛み止めはしっかりもらう

病院によっては、自分でフラッシュして入れる点滴タイプの痛み止めを使うところもあるようですが、そうでなければ、痛み止めはしっかりもらってください。母乳育児していても使える痛み止めは数種類あります。

あまり痛いとそれだけで気が滅入りますし、母乳も止まってしまいます。

脚を閉じて寝る

第3度・第4度の会陰裂傷があれば、痛みのために普通はそもそも歩けませんが、歩けてしまう我慢強い人も歩くのはやめておきましょう。脚を開くと傷口が開きます。お手洗い以外は脚を閉じて寝ることが最良の治療です。

患部を清潔に

会陰裂傷は会陰にある都合上、尿道や肛門の近くにあります。排尿排便で不潔になりやすい上に、第4度の裂傷では便失禁まで起こりますから、さらに状況は悪化します。

排尿排便の後は、500mlリットルのペットボトル2本分以上の水で洗い流しましょう。消毒薬の指導をする施設もあるようですが、一般には排便後の消毒は必要ないと思われます(医師の指示に従ってください)。ウォシュレットは後ろから前に水が当たることになるため、ペットボトルで前から後ろに洗い流すのが良いようです。

石鹸は、使うことで痛みが減るようなら使ってください。石鹸を使うことで却ってしみて痛いようなら使わない方が良いでしょう。

清潔にした後には、白色ワセリンで傷口を保護しておきます。

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まとめ

会陰裂傷は、産後で疲れているお母さんの心と体に追い打ちをかけます。しかも、便失禁や性生活の不具合などの後遺症が残ることもあります。これらの後遺症は、その後の適切な治療で治せることが多いのにもかかわらず、相談するのが恥ずかしく、相談すらもできず気力と体力を消耗していくお若いお母さんもいらっしゃることでしょう。

会陰裂傷の予防に役に立ちそうなものは、医師に一言相談の上(中には本当に怪しいものがありますので)、害にはならないのであれば、証拠がなくてもどんどん取り入れると良いかと思います。

また、重度の会陰裂傷であっても「傷」ですから、いつか必ず治ります。便失禁や性交時の疼痛などの後遺症も治療法はあります。ですが、相談できなければ治療は始められませんし、苦痛があることもわかってもらえません。どうか恥ずかしがらず、まずは専門医や助産師に相談してください。

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