あなたは今禁煙を始めたところで、激しい眠気に襲われているのではありませんか?「今年こそ!」と決心をして禁煙を開始しました。でも眠い。やっぱり眠い。こんなに眠いのなら1本くらい吸った方がいいんじゃないだろうか・・。
もしそう思っているなら、ちょっとだけ待ってください!禁煙すると眠くなる理由を知っていますか?禁煙と眠気の原因や対策をまとめてみました。つらい禁煙生活を早く終えるための第一歩となるように、参考にしてみてください。
この記事の目次
ニコチンとは
主に、タバコの葉に含まれる天然由来の有毒物質です。青酸カリの倍以上ともいわれる非常に強い神経毒性があります。同じ種類の物質には、ケシから抽出されるモルフィン(モルヒネ)があります。
ニコチン依存症とは
常習的に喫煙を続けることで、自らの意思で禁煙ができなくなってしまう精神疾患です。身体的依存と心理的依存の面を持つ薬物依存症の一つです。
身体的依存
ニコチンは体の外側(皮膚)からも内側(口腔内粘膜)からも吸収され,煙を吸ってから数秒以内に脳細胞に達します。そうすると脳は大量のドーパミンを放出します。ドーパミンは脳内にある神経伝達物質で、脳内報酬回路に刺激を与えて快感や満足感、達成感などを感じさせます。
ニコチン摂取を繰り返していると、脳は活動レベルを下げて、ニコチンがないとドーパミンを放出しなくなってしまいます。そうすると倦怠感や眠気、だるさを覚え、タバコを吸う、というサイクルが生まれてしまいます。
依存度はヘロイン・コカインよりも高く、喫煙を開始する年齢が低いほどニコチン依存症になりやすいと言われています。
心理的依存
喫煙していたときのよかったことを思い出したり、仕事の休憩時間などそれまで習慣的に喫煙していた状況になると、喫煙したいと強く思ってしまうことがあります。
ニコチン依存症の症状
ニコチンの摂取をやめると、離脱症状(禁断症状)と呼ばれる症状が体にあらわれます。
イライラ、動悸、喫煙欲求、落ち着かない、眠気、集中力低下、食欲増加、抑うつなどです。ニコチン依存症を抱えている人の多くが禁煙を希望し、禁煙を試みるものの、やめられずに喫煙を続けています。
3日がピーク
ニコチンは48~72時間で身体から排出されます。ですから、離脱症状は禁煙開始から3日ほどがピークといわれ、それ以降だんだんと治まっていきます。ニコチン依存症になってしまった場合は、脳の機能が完全に回復するまで3ヶ月ほどかかるといわれています。病院での治療プログラムも12週間が目安となっています。
それでもなかなか禁煙ができない理由には、ふとしたときに思い出してしまう心理的依存の影響によるところが大きいといわれています。
禁煙すると眠気におそわれる理由
禁煙を始めるとすぐに眠気を感じます。
ニコチンが体内に入った時はすぐに覚醒作用が働きます。しかし30分程でニコチンが代謝されはじめると、覚醒や興奮といった刺激も急速に減ってしまいます。脳はその急速な変化に対応できず、覚醒していられない、つまり眠気が勝ってしまうのです。
また、ニコチンの強烈な覚醒作用のために、寝つきが悪く、日頃から慢性的な睡眠不足になっている可能性もあります。タバコを吸わないと頭が冴えない、いつも寝不足気味といった自覚があればニコチンへの依存度が高くなっているかもしれません。
禁煙による眠気の対策方法
禁煙したことにより、眠気が発生した場合の対処方法を紹介します。
寝る、仮眠をとる
眠いときは寝てしまいましょう。無理にガマンしている必要はありません。仕事中に眠くなってしまうようなら、休憩時間などに仮眠をとるといいでしょう。
深呼吸をする
あくびが出るのは脳に酸素が足りていないからだと言われています。息をたくさん吸って酸素を送り込もうとしているわけです。仕事や緊張で呼吸が浅くなっているかもしれません。
一旦手を休めて深呼吸をしましょう。ゆっくり大きく何度か繰り返してみてください。呼吸に意識を集中していると、気持ちが落ち着いてきてストレスが和らぎます。
立ち上がる、身体を動かす
足を伸ばしたり、軽くストレッチをしたり、身体を動かしてみましょう。肩を回してコリをほぐすと身体が楽になります。血液を循環させて脳に栄養を届けてあげることが大切です。
トイレに行く、歯みがきをする
お手洗いに行ったり、歯みがきをするといい気分転換になります。歯みがきは間食防止にも効果的です。禁煙するとつい間食が増えて太ってしまうといったデメリットも解消できます。健康のために禁煙するのですから、体重は増やしたくないですよね。
飲み物を飲む
お茶やコーヒーなどのカフェインが入った飲み物も、眠気を解消するには効果的です。飲み過ぎてもいけないのでほどほどにして下さい。
ツボを刺激する
眠気があるときに押すといいといわれているツボです。会議中などにどうぞ。
・中衝(ちゅうしょう)
中指の爪の付け根にあります。左手なら爪の右下、右手なら爪の左下です。指先を両側から挟むように強めに刺激します。
・合谷(ごうこく)
親指と人差し指の骨が分かれているところから、指一本分くらい上にあります。少し凹んでいるところです。
「1本だけ」はダメ!
「眠すぎるからちょっとだけ吸ったほうがいいかな」「本数を減らしてだんだん禁煙すればいいかな」というのはやめましょう。
1本でも10本でも、体にニコチンが吸収されることに変わりありません。ダイエットのリバウンドと同じように、長く我慢した後に「もうこれ以上ガマンできない!」という状態で吸ってしまうとかえって量が増えたり、結局は喫煙を繰り返していることになるのです。これが辞めたいのに辞められない人が多い理由なのです。
0円でできる禁煙方法
オススメの禁煙方法を紹介します。
タモリ式禁煙方法
タバコを吸いたいという欲求は15秒経つと消えるそうです。吸いたいと思ったら、ゆっくり15秒数えてみてください。お金がかからず、体に悪いこともないので試してみる価値はあるのではないでしょうか。
タモリさん自身は1日60本も吸うヘビースモーカーでしたが、この方法で禁煙に成功し、もう喫煙していないそうです。
お酒の席や灰皿がある場所に行かない
いつもお酒を飲みながら喫煙していたのだとすれば、そのような状況の場所に行かないことが大切です。喫煙所にも近づかないようにしましょう。
ストレスをコントロールする
時間を忘れて熱中できることがあると、禁煙している辛さも忘れられます。新しく趣味を始めてみるのもいいかもしれません。気負いすぎず、リラックスした時間を過ごすように心がけてください。
まとめ
禁煙と眠気についてポイントをまとめました。
・ニコチンは依存度が高く、タバコをやめられないのは脳に異常をきたしているから。
・禁煙をすると眠くなるのはニコチンのせいで脳の働きが弱くなっているから。
・離脱症状は禁煙開始から3日程度がピークです。
・眠い時は寝ましょう。
まずは3日です。3日間続けてみてください。
しかし、最近は禁煙外来もかなり身近な存在になり、病院に通って卒煙できた人が増えてきました。禁煙外来のある医療機関も多くなり、条件によっては保険が適用されるようになりましたので、一度はきちんと医師に相談し、禁煙プログラムを受けることも考えてみてください。