ニューロパチーという病名に聞き覚えのある方は少ないと思います。しかし、ニューロパチー自体は本当に様々な要因から発症するためいろいろな立場の人に発症する可能性はあります。
手足がぴりぴりした痛みを感じるなどの症状はそんなニューロパチーの初期症状であるといわれています。今回は、ニューロパチーについてどのような病気なのかをご紹介します。
ニューロパチーってどんな病気なの?
ニューロパチーとは病気の総称のこと
末梢神経にかかわる病気を総称してニューロパチーと呼んでいます。以前はニューロパチーは神経炎と呼ばれていました。
しかし、現在では神経炎は神経組織に炎症細胞が侵入している場合のみ使われており、末梢神経が害されている場合はすべてニューロパチーと呼んでいます。その為、ほとんどの診断ではニューロパチーのほうが神経炎より多いといえます。また、ニューロパチーは末梢神経障害と呼ばれており、末梢神経の働きが悪いためにおこる障害のことを指しています。
末梢神経って何?
末梢神経は3種類あります。全身の筋肉を動かしている運動神経、痛覚や触覚などの感覚を感じる感覚神経、そして血圧の調整などといった体の内部を調整する自律神経です。細かく説明すると脊髄から出て筋肉の直前までは運動神経が、皮膚や関節などから脊髄までが感覚神経に統括されています。
その為、これらの神経の神経線維が害されてしまうと、筋力がなくなってしまったり、筋肉自体が委縮、感覚が鈍くなったりなくなったりしてしまうという症状が現れます。害されている神経によって運動、感覚、自律神経系の障害が起こり、場合によっては3つがランダムに組み合わされて症状となる場合もあります。
ニューロパチーの種類とはどのようなものがあるの?
捕捉性ニューロパチーとは?
捕捉性ニューロパチーの別名は、機械的神経障害といいます。
また、絞扼性神経障害ともいい、骨や腱などといったものに囲まれている狭い場所を通っている神経幹になんらかの原因で圧迫が加わり、圧迫によって神経が傷をついた場合に発症するといわれています。また、末梢神経がつながっている関節運動などといった機械的刺激によって傷ついたり、炎症が起こったら発症する場合もあるといいます。
症状としては、しびれを感じたり、感覚が鋭くなったり鈍くなったりするほか、何もしていないのにもかかわらずぴりぴりとした痛みを感じる、筋肉が緊張したり委縮したりするなどの症状があらわれます。
代謝性ニューロパチーとは?
代謝性ニューロパチーには様々な症状、病名があります。まず、糖尿や甲状腺や副腎などと言った内分泌系が害されて発症するもの。
肝臓や腎臓の障害などによって発症するものに加え、金属や薬剤などといった体に害を与えるものにより中毒がおこり発症するものもあります。
感染性ニューロパチーとは?
感染性ニューロパチーはジフテリアなどといった、細菌が生成した毒素による感染症が原因となっておこる末梢神経の症状のことをいいます。
慢性炎症性脱瑞性多発ニューロパチーとは?
慢性炎症性脱髄性多発(まんせいえんしょうせいだつずいせいたはつ)ニューロパチーは多発神経障害です。ほかにも慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性後天性脱髄性多発神経障害、慢性再発性多発神経障害などともよばれています。これは、ギラン・バレー症候群と同じように筋肉の筋力がだんだん落ちていき、2か月以上その状態が続く症状です。
ギラン・バレー症候群の発症者のうち、3~10%の人が慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーを発症します。先述した筋力低下に加え、しびれや痛みを感じますが筋力の低下自体はその間悪化する場合と消えたりする場合の2パターンに分かれます。
ギラン・バレー症候群から発症するものの、症状による反射が衰退していくので体内機能の障害や血圧の変動は少なくなっていきます。その為、不整脈はほとんど起こりませんが、筋力の低下は不規則のため、体内で均一に症状が起こるわけではないという弊害があります。
治療自体は数か月から数年といった長いスパンでの治療となっていきます。プレドニゾロンなどのコルチコステロイド薬で症状は改善していき、アザチオプリンなどの免疫抑制薬も場合によっては使用しますが、重症の場合や、進行が速い場合は、口からの投薬ではなく、血液内にある血しょうを直接治療したり、静脈内に投薬を行うこともあります。
感染後性ニューロパチーとは?
血管炎性ニューロパチー
血管炎性ニューロパチーとは、末梢神経につながっている細い動脈が詰まってしまったことで大本である末梢神経に栄養などがいきわたらなくなることによって発症します。ほとんどの場合、心臓から遠い部分に運動感覚障害や感覚障害が起こり、かなり高い頻度で痛みを感じることがあるといわれています。
また、この感覚障害が体の左右で差がある場合には血管炎性ニューロパチーである確率がさらに高まるものの、左右対称で症状が出る場合もあるため、病院を受診し、きちんと検査を受けることが重要です。
中毒性ニューロパチー
代謝性ニューロパチーの一種であるともいわれている中毒性ニューロパチーは薬剤やアルコール、有機溶剤、重金属などが原因で発症します。
これはギラン・バレー症候群と混同される場合がよくあるため、病院にて精密検査を受け、治療法が一番適したものになるように気を付けることが大切です。
ニューロパチーの症状とはどんなものなの?
遺伝性の場合には、小さなころから運動が苦手な人が多くいるといわれています。大腿より下は細かったり、歩くときにつま先がたれて引っかかってしまうことがあると、さらに可能性は高くなります。
感覚障害自体は手袋や靴下をはいたように感覚が本来より鈍くなる形で出てきます。症状の進行につれて、手の筋肉も委縮してきますが、症状はとてもゆっくりと進行するため、体が適応してしまい日常生活においてはそこまで不便を感じることがないといわれています。
運動神経に障害が起こった場合の発症だと、運動神経のつかさどっている筋肉自体に障害が起こります。例を挙げると、筋力の低下をはじめとして筋肉が委縮したりするため、一番目に見えやすい症状であるといえます。
感覚神経に障害が起こると、体内の感覚に様々な症状が現れます。体の様々な部分にしびれや痛みが現れたり、反対に痛み、熱さ、冷たさなどの感覚が鈍くなってしまうといわれています。また発症した感覚神経によっては手足の位置関係が自分自身で認知できなくなってしまったり、まっすぐ立つことができないなどと体のバランスが崩れる症状が現れることもあります。
自律神経に障害がおこると、立ちくらみや排尿障害、発汗異常といった自律神経系に携わる体の働きが害されることによって起こる症状を発症します。
どの神経にも等しく障害が起こるわけではありません。感覚神経、もしくは運動神経のどちらかに障害が強いといった感覚優位、運動優位が起こるのが通常だといわれています。痛みやしびれは神経に障害が起こったと知らせる初期症状であるということができ、障害の分布によって全身に起こる場合、1つの神経だけに集中して障害が起こる場合、様々な場所におこる場合といった症状の現れ方は3種類に分けることができます。
ニューロパチーの治療方法とは?
ニューロパチーは神経の障害によって発症するものです。その中にも、症状自体が代謝性によるものか虚血性によるものかによって治療法はかなり変わってきます。
虚血性、すなわち血液の循環による発祥の場合、なにより末梢神経の循環をよくして、血行をよくしていくことが最優先となってきます。血液循環により発症したニューロパチーは痛みが強い有痛性感覚性ニューロパチーであったり手足の先が赤く染まり、感覚がおかしくなってしまう症状、肢端紅皮症が併発するといわれています。その為、治療はかなり困難であるといわれています。痛みに対してはメキシレチン、カルバマゼピン(抗けいれん薬)といったけいれんを抑える薬で制御していきます。
また、代謝性によっておこる発祥の場合、糖尿病による発祥の場合もあるため、糖尿病の改善を中心に治療していく場合が多いといえます。食事療法などといった生活改善に加え、医療的には血糖値のコントロールなどを通してよりはやい症状の改善を促進します。また、ほかにも代謝障害を解決するためにアルドース還元薬(キネダック)などを処方する場合もあります。
まとめ
ニューロパチーというと、様々な要因によって様々な症状があることが分かったのではないでしょうか?末梢神経に障害がでるのは様々な理由があるので具体的な防止策はありませんが、疲れをためないことはもちろん、規則正しい生活をすることで、ある程度は防止することができるそうですよ。
また、悪性腫瘍の前兆として現れる場合もあるようなので気のせいだと済ませることなく初期症状が現れた場合にはしっかりと病院で精密検査をおこない、早めに治療に取り掛かることができるように心がけてくださいね。