脳出血の後遺症について!リハビリで回復できる?

脳出血は非常に恐ろしい病気ですが、医療の発達した現代では死亡率が昔と比べてだいぶ低くなっています。

死亡率が低い事は非常に良い事ですが、その分後遺症と向き合って行かなくてはならないのも事実です。脳出血でどのような後遺症が起こりうるのか、どのような対応ができるかについてまとめました。

脳出血とは

脳

脳出血は古くから非常に死亡率の高い病気として知られています。いまでもその死亡率の高さは変わりませんが、高血圧の治療の発達や食生活の改善、健康への意識の高まりなどから昔と比べると死亡率は低下していると言われています。

脳出血は頭蓋骨の中で起きた出血全てをさすのではなく、脳の中を貫いている血管が破れて起きた出血の事を指しています。対してくも膜下出血は脳の表面の血管が破れて起きるもので、脳出血とは異なる病気です。

脳出血による後遺症

杖

脳出血は、起こる部位や程度によって予後や症状が大きく異なります。以下に出血部位による後遺症の違いをまとめました。

被殻出血

被殻は右と左の脳それぞれの中央部分にある部位で、眼と同じくらいの高さにある小さな部分です。被殻からの出血は脳出血の4割を占め、かなり症例の多い出血部位といえます。手術が可能な部位なので、他の出血と比べれば死亡率は低いといえます。隣り合う位置に運動を司る神経である内包後脚という部位があるため、ここに血腫などで影響が及ぶと運動に影響が出ます。

この部位の出血による後遺症は、

頭痛・意識障害・出血側を向く・出血していない側の視野の異常、麻痺、感覚障害

で、右利きの人が左で出血した場合は失語症が、右で出血した場合には「失行(運動可能であるにもかかわらず動作が的確にできない)」「失認(周りの状況の把握ができない)」といった症状が出ます。

視床出血

上記に次いで、脳出血の3割を占めている出血部位です。視床は脳全体の中心部にあり、被殻とは近い位置にあります。そのため同様に運動を司る神経への影響が出やすい部位といえます。被殻と違い、視床を対象とする手術をしようとすると内包後脚を傷つけてしまう事や、視床のすぐ下に脳幹があるため手術が難しく、予後が悪い傾向があります。

後遺症として現れるのは、

顔面等を含む出血していない側の運動麻痺と感覚障害、しびれ

が主なもので、運動麻痺よりも感覚麻痺が重く現れる事があります。また、稀ではありますが左の視床出血により「視床性失語」が、右の視床出血により「左半側空間無視」という後遺症が出る場合があります。

大脳皮質下出血

皮質下、という名前の通り大脳の表面近くで出血するものです。局所的な症状が現れ、他の脳出血と比べると症状が軽い傾向があります。

前頭葉側の出血の場合は「認知症」「尿失禁」が現れる事があり、頭頂、側頭あたりで出血が起こった場合は「失語症」「空間失認」が起こります。また、血が出た方と逆側の視野が狭くなり、見えにくくなります。

小脳出血

小脳は大脳の尾側にあり、こぶのようにぶら下がっています。大脳の10分の1の小さな部位ですが、大脳よりも神経細胞が多く存在しています。運動全体をコントロールする部位なので、そのため、後遺症として見られるものも運動に関わるものが多くなり、

運動失調・酩酊様歩行・構音障害(発音がうまくいかない)・平衡障害・眼振(眼球の運動の障害)

などが現れます。予測して動く事や周りに適応して動く事が難しくなります。対して、麻痺はありません。

脳幹出血

脳幹は脳の中心から首の方に伸びている部分の事です。脳の最下層に位置しており、脳の神経の中枢部です。呼吸や発汗など生命維持に関わる機能を多く担っている部分のため、出血が多い場合、他と比べて大変重い症状が出る傾向があります。手術も出来ない部位なので、血圧のコントロールをして保存的な治療をするしかありません。

後遺症としては

運動麻痺(片方又は四肢の麻痺)・感覚障害・視覚の障害(斜視やめまい、眼振など)・嚥下障害・顔面の麻痺・感覚障害

など重度なものがありますが、そもそも脳幹出血で重度な場合は生命に関わり、リハビリどころではありません。リハビリが出来る状況である場合は軽度であるという事で、後遺症もそれほど重くないと考えられます。

後遺症の改善

リハビリ

脳出血が起きてしまった場合、まずは血腫を取り除く治療が多く行われます。血腫がある状態だと周りの脳は圧迫されてむくんでいますが、これを取り除く事でむくみはだんだん改善します。

完全に消失するには数ヶ月掛かりますが、意識が回復して全身の状態が安定し次第リハビリを行います。ずっと横になっていると筋肉が弱ってしまい、関節も硬くなってしまうのでできるだけ早めにリハビリを開始した方がよいとされています。

運動に関しては、リハビリは非常に大きな効果を発揮します。特に発症後2~4週間の間は神経が再組織化する時期と言われており、残っている神経を使う事で運動機能を回復する事ができます。出来るだけ早くリハビリに取り組む事がまず重要ですが、そこからは時間を掛けて日常生活の中でできるだけ麻痺した部位を動かすようにします。状態が安定しない場合など、早いうちのリハビリができなくてもその後のリハビリの意味がなくなる訳ではありません。気長に取り組む事も大切です。

言語の障害がある場合、病院で急性期(発症後3週くらいまで)の間にコミュニケーション手段の確立や基本的なリハビリなどを行いますが、その後は家庭での生活の中でリハビリを行う事ができます。あいさつやゆっくりとした会話をするように心がけ、ジェスチャーや表情によるコミュニケーションも活用しましょう。口の運動や首、肩の運動が効果的な場合もあります。

めまいがある場合、経過を観察し、慣れる事がリハビリとなります。めまいを完全になくす事は難しいですが、起き上がっている時間をできるだけ伸ばして慣れて行く事でだんだん歩けるようになります。

脳出血を予防するには

にんじん

脳出血の理由として最も大きな物は高血圧です。高血圧により動脈硬化が起こり、硬化した血管は詰まったり破れたりしやすくなります。血圧のコントロールは脳出血に関して最も重要な点といえます。

塩分を控える

塩分は高血圧に直結するので、とにかく塩分を控える事が一番かんたんな脳出血の予防になります。かつおぶしや昆布だしを活用して薄味に慣れる事や、香辛料やハーブをうまく使って味付けすると薄味でもはっきりした味になります。

また、練り物やさつま揚げなど、魚の練りで出来ている食材は分かりづらいですが塩分が高めな食材です。量に気をつけて食べるようにしましょう。

抗酸化食品を採る

動脈硬化の原因となる活性酸素を除去する為には、ビタミンC、E、カロテンなどの抗酸化食品が有効です。ブロッコリー、カボチャ、シソや、トマト、抹茶などを採るようにしましょう。

コレステロール値に注意

コレステロールは高い事が問題と成りがちですが、脳出血の対策として考えた場合、低過ぎる事もまた問題となります。

コレステロールは血管の材料になりますが、血圧が高い状態でコレステロールを下げ過ぎてしまうと、材料不足でもろくなった血管に圧力の高い血液が流れ込む事になります。極端にコレステロールを避けるのもよいとは言えないのです。

まとめ

脳出血は、起こった部位や出血の量によって予後が大分違ってきます。普段から対策を練る事も大切ですが、定期的に脳ドックなどを受けて少しでも早期発見ができるようにするとよいでしょう。

また、発症してしまった場合も適切なリハビリによって大きな回復が見込めます。リハビリは開始が早ければ早い程効果を挙げる事ができ、発症から3週間までの急性期は特に重要な期間です。病気になってしまうと落ち込んでしまいそうですが、早いリハビリに取り組む事が大切という点を心に留めておきたいものです。

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