今日の題材はみなさんが普段何気なく使用している「ちなみに」という言葉。この言葉の敬語表現について紹介していきたいと思います。
会話の中では特に問題ありませんが、特にメールなどで文章にする場合どうなるのかが気になるところです。
目上の人や取引先とのやり取りの中ではどのように使用すれば良いのか、ベストな例文などを交えながら紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
「ちなみに」の意味
補足型の接続詞として使用される「ちなみに」。口頭・文章関係なく使用している人は多いのではないでしょうか?ビジネス敬語で使用される「ちなみに」という接続詞の正しい意味について解説します。
「ちなみに」の意味
「ちなみに」を他の言葉で言い換えるなら「あと」「その他に」などと表現することができます。話に補足して蛇足情報などを言いたいときに使用する言葉で、蛇足的な情報をくっつける枕詞です。もしくは会話の主軸とは異なる部分で、自信なく進言する場合の前置きなどでも使用されることのある言葉です。
ですので「ちなみに値段についてですが」と主題に関係の深い内容に対して話を繋げるときは「ちなみに」は使用しません。関係のある内容の会話を振る場合は「話は切り替わって、値段の話になりますが」と「ちなみに」を使用しない表現の方が自然な使用方法と言えるでしょう。「ちなみに」を使用する場合は「ちなみにトイレってどちらにありますか?」と完全に異なる話題を振るときに使用するものです。
「ちなみに」はビジネス敬語としてセーフ?
結論からいうと「ちなみに」はビジネス敬語として使用することは問題ありません。
しかし他にも言い回しや言葉選びとして適している言葉がありますので、そちらの言葉を優先して使用した方が良いというのが私の見解です。
ビジネス敬語として優れている「ちなみに」の代わりになる言い回しを下記でまとめて紹介します。
「ちなみに」は話し言葉として特に有効で、文章として使用する場合にはあまり適していないように感じます。なぜなら、文章に使用する場合に適している表現方法が他にあるからです。
「ちなみに」の敬語表現
「ちなみに」は接続詞です。接続詞として挙げられる言葉としては「だから」「しかし」「そして」「いっぽう」「たとえば」「つまり」「なぜなら」などなどがあります。これら接続詞には敬語表現はありません。またこれと同様に副詞である「たまに」「時々」などの言葉にも敬語はありません。そのほかの文章中の言葉で敬語表現に変えて使用したりして、丁寧な言い方に変換することが望ましい使用方法です。
「ちなみに」を敬語の中に自然に使用するときの形について紹介していきます。
「ちなみに申し上げますと」
「ちなみに」の後に謙譲語表現の「申し上げる」をつけることでよりかしこまった言い方にする方法です。
謙譲語は自分がへりくだることで相手の立場をあげて、相手に敬意を示す敬語表現です。かなり相手を持ち上げたいときに使用する表現方法としてもっともかしこまった表現でしょう。
お客様から、位のかなり上の方にまで幅広く使用していただけます。
「ちなみに申しますと」
上記と同じ謙譲語表現ですが、上記の「申し上げる」よりも少し砕けた表現となります。
より速やかに会話を移行していきたい場合は、接続詞の文字数を短くタイトにするとテンポがよくなるでしょう。
「付け加えますと」
「ちなみに」という表現は完全に無くなっていますが、意味としては全く同じ役割を果たしている言葉です。メールや手紙などの文章で使用するよりも会話の中で使用するのが好ましく、「ちなみに」よりも明確に内容の付け足しであることが理解できます。
「ちなみにですが」
「ちなみにですが」は「ちなみに」を丁寧にしている丁寧語に分類される敬語です。ビジネス敬語として優れているわけではありませんが、そこまで目立つNGワードというわけではありません。
上司や先輩に「ちなみに」を使用するときは、「ちなみにですが」を使用してみると良いでしょう。
「補足いたしますと」
「ちなみに」というのは話の主軸に関係のない話題に突然切り替えたい場合などに使用される接続詞です。ですので、完全に主軸の話と関係のある会話を続ける場合は「ちなみに」ではなく、「補足いたしますと」と話を続けるのが好ましいでしょう。
あまり会話の中で「ちなみに」を多用すると、なんだか違和感のある内容になってしまうので注意が必要です。
「補足いたしますと」は文章中でも十分使えますのでぜひ使用してみてください。
「ついでながら」
「ちなみに」と同じ意味でありながら、わずかにかしこまった表現なのが「ついでながら」です。使用例としては「ついでながら5店の中で私のおすすめは〇〇です」と自らの感想などを伝えるときに使用すると良いでしょう。
「ちなみに私のオススメは」というよりも「ついでながら私のおすすめは」といった方が印象が良いでしょう。また、「ついでながら」も「ついでに申しますと」「ついでに申し上げますと」と言うとさらに丁寧な言い回しになりますので、「ちなみに」よりも「ついでながら」をメインに使用することをオススメします。
「ところで」
「ちなみにお店の場所ってどこになるんでしょうか?」と相手に補足的に情報を伺うときに「ところで」を使用すると違和感なく会話の流れを変えることができます。
「ちなみに」は接続詞ですから、他にも接続詞として存在する「また」「その他に」「それから」なども同じように言い換えの言葉として、そのシーンに適しているものの中から選択することができます。
「ちなみに」以外にも接続詞はたくさんありますので、会話の流れに適しているものを選択すると良いでしょう。
接続詞は多用しない
基本的に「ちなみに」などの接続詞は文章中に使用する場合、一つの文章中1回が限度です。あまり連続で「ちなみに」「あと」「その他に」と接続詞を繰り返し文章を構築するとかなりくどくなり過ぎます。
これらの接続詞は、要件が一つ終わった段階で別の切り口として再び会話を続ける場合に使用します。文章中には最低1回の使用が、話もくどくならず違和感もないでしょう。
まとめ
これら接続詞をうまく使って失礼のない会話を志しましょう。
会話の中で使用する接続詞として好ましくないものはたくさん存在します。「だから」「なぜなら」という表現がまさにそれです。この場合「だから」は「ですから」、「なぜなら」は「というのも」と置き換えるのがベストです。プレゼンや講義などの場であえて使用する場合は「だから」「なぜなら」という接続詞は有効かもしれませんが、かしこまった場では受け手にとって不快に感じる可能性のある接続詞はなるべく使わないようにした方がビジネスシーンの中では無難でしょう。
微妙なニュアンスの違いになりますが、きめ細やかな言葉選びで相手に信用してもらえるよう、耳にすっと入ってくるビジネス敬語を身につけましょう!
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