尿道下裂は危ないの?その症状や原因を理解しよう!合併症に要注意!

先天性の病気には様々なものが存在します。中には治療できるものもあればそうでないものなど様々です。そう考えると、早期発見し、早期治療を行って今後の日常生活をより良いものにしておくのが適切な判断だと言えるのではないでしょうか?

今回は泌尿器の病気のひとつ、尿道下裂という病気について紹介させて頂きます。聞き慣れないという方も多いかもしれないですが、この病気は放っておくと怖い病気のひとつで早期発見と早期治療が必要な病気のひとつです。この記事を読んで、病期に対する認識と危機管理を高めて頂けたらなと思います。

泌尿器に起きる先天性の病気!?尿道下裂とは何なの?

先天性

尿道下裂は先天性の陰茎の形成異常により起きる病気です。陰茎が下に向くことが多い尿道の奇形で尿の出口の位置や陰茎のどこに生じるかなど様々な分類があります。

尿道の出口による分類

尿道の出口による分類として、様々なものがあります。

まず、近位型と遠位型があります。近位型は会陰・陰嚢に尿道の出口がある場合、遠位型は陰茎・冠状溝亀頭に出口がある場合を指します。

他にも上部型・中部型・下部型の3つに分けられることもあります。上部が亀頭部や冠状部、中部が陰茎、下部は陰嚢の所に当たります。

どのくらいの割合で起きるのか

尿道下裂は約1000に対し、3人くらいの割合で見つかる極めて珍しい病気とも言えます。

尿道下裂の原因について

遺伝

尿道下裂の原因ははっきりしていないのです。その中でもいくつかの理由が考えられています。

ホルモンによるもの

胎児が精巣で作り出すテストステロンというホルモンの異常、母親が妊娠中に受けたホルモンの影響が強いとも言われています。

陰茎や亀頭の発達する際にホルモンの異常が起きて生じるいう理由もあります。他にも環境ホルモンの影響によるものがありますが、はっきりしていないのが現状です。

遺伝によるもの

明らかな遺伝性ははっきりしていないのですが、親兄弟の間で発症したという報告もあり、遺伝によるものではないかとも言われているのです。

尿道下裂の症状にはどのようなものがあるのか

排尿

尿道下裂の症状について説明させて頂きます。

排尿が難しくなる

尿道下裂があると尿が飛び散ってしまい、排尿しにくくなるということがあります。理由として、尿道の出口が正常の位置と違うために上手く排尿することができなくなるのです。特に立って排尿を行うことができないと言われています。

性行為に支障が出る

陰茎が下を向いているため、膣内に射精することができなくなる場合があります。これは成人期まで放置した結果、起きるとも言われています。

生殖器の形態異常が起きる

尿道下裂の症状は機能的なものだけでなく、外見的な問題もあります。尿道口が陰茎の根元にある、亀頭が左右に分かれた形をしている、陰茎を包む包皮が亀頭全体を包んでいない、陰茎の大きさが小さく見える、陰嚢が左右に分かれる、陰茎が陰嚢に埋もれているといった場合があります。成長とともに本人の性的コンプレックスを感じることも往々にしてあります。

精神的な影響が出てくる

男性としての自覚、精神発達にも影響が出てきます。

尿道下裂の合併症として

尿道下裂の合併症として、停留精巣、矮小陰茎、前立腺小室、二分陰嚢というものがあります。特に停留精巣が厄介な合併症として挙げられます。

停留精巣は近位の尿道下裂に発症することが多く、精巣の下降が途中で止まった状態のことを指します。男児の先天性の異常の中でも頻度の高い病気です。場合によっては精巣癌になる可能性もある厄介な病気とも言えます。

つまり

尿道下裂の症状として、排尿や性行為など機能的な問題、生殖器の形態的な美容上の問題、男性としての自覚などの精神的問題の3つが見られるということです。これらのことがコンプレックスに繋がったりするので、早期発見と早期治療に努める必要があるということです。

また、停留精巣など命に関わってくる場合もあるので、合併症の有無を知る必要性もあるということを理解しておかなければなりません。

尿道下裂の検査・診断には何があるのか

検査

尿道下裂の検査・診断の際、以下の事を行います。

問診

問診の中で家族歴や投薬歴を知る必要があります。遺伝により起きるというケースやホルモン剤によりホルモンバランスの異常により生じた可能性もあるからです。中にはアスピリンやインドメタシンなどの解熱剤が関係しているということも十分あるのです。

内視鏡検査

内性器や性腺の確認のために内視鏡検査を行っていきます。

染色体検査・ホルモン検査

家族内での発生があった場合、半陰陽と区別するために染色体検査・ホルモン検査を行うことになります。

合併症の有無を確認

尿道下裂には様々な合併症を発症する場合があり、合併症の有無を診ていく必要があります。停留精巣などの陰嚢の異常、鼠径ヘルニアや心奇形、脊髄髄膜瘤、低体重出生児といった合併症を見ることが多いです。

つまり

尿道下裂の検査・診断を行っていく上では、生殖器の状態はどうなっているのか、家族で発症している人がいるかを確認して遺伝的な問題はないか、投薬歴でホルモン分泌に悪影響を与えている可能性はないかを知っておくことが重要ということです。これらを確認して、治療に活かしていくことになります。

また、合併症の有無を確認して、治療にどのようなリスクがあるのかなどを把握することも大事になるではないでしょうか?検査・診断から患者の全体像を捉え、治療に活かすことができるのです。

尿道下裂の治療について

手術

尿道下裂の治療について説明していきます。

尿道下裂を発症した際はどこに受診すればいいのか

合併症の兼ね合いもあるので、早期に小児泌尿器科もしくは小児外科医に受診し、早期治療を行っていく必要があります。

尿道下裂の治療の目的について

尿道下裂における治療の目的として以下のことがあります。まず、排尿や性生活に支障がない日常生活を送れるようにするためです。次に陰茎の形を整え美容上の問題を解消すること、最後に男性としての精神的な発達を促すために行っていくことになります。

外科的治療

尿道下裂の治療は手術が基本になります。

手術は尿道狭窄を起こさせないために1~2歳の時点で手術することになります。このことから早期発見と早期治療が大切ということが分かると思います。

手術の順序として、陰茎の屈曲の矯正、尿道の延長、尿道口の形成、亀頭の形成、陰茎包皮の形成の順に行うのが基本となります。多くの手術法があり、患者に応じて行われていきます。1度の手術で全て行っていくか、屈曲を強制した後に残りの手術を行うかに分かれていきます。しかし、尿道下裂の手術は非常に難しく、熟練した小児外科医が手術を行っていくことが必要となります。昨今では、縫合糸、マイクロ機器の発達で1度の手術で全ての過程を行っていくというケースが多いのが実情です。

術後の合併症として、形成した尿道の途中に穴が空く、尿道が狭くなる、陰茎が屈曲する、亀頭の形が分かれたようになるといったものがあります。再手術を行う場合は半年かかるとも言われ、非常に厄介です。また、細菌感染を起こしやすいため、感染予防の対策も行っていく必要があります。

手術で難しいところとして、包皮の発達が不十分なため、包茎の形にしていく所にあります。こういった部分があるので、尿道下裂の手術は困難とも言われる所以です。

術後は尿道にカテーテルが1~2週間挿入されるので、カテーテルの抜去や屈曲に注意し、カテーテルや排尿・排便の管理を行っていくことが重要となります。二重にオムツをするといったことも行われています。カテーテルを抜去した後、1~2か月後に外来で経過観察を行ったりします。その後も半年や1年後など定期的に様子を見て、排尿状態を確認していくことになります。思春期まで確認していくのが一般的です。

また、入院期間は2~3週間ほどと少々長い期間の入院が必要となります。

ホルモン療法

尿道下裂を発症していると、元々の男性ホルモンの分泌が少なく、手術後の思春期の際に陰茎が短いという場合もあります。そういった場合はホルモン療法が行われたりします。これにより、勃起回数が増えるとも言われています。1か月に1~3回注射で投与することになります。幼少時に少量のホルモン投与を行っても副作用は起きないとの報告もあります。

矮小陰茎の際はテストステロン軟膏などで陰茎の発達を促したりします。

また、日本では保険適応になっていないことを知っておく必要があります。主にヨーロッパで行われている治療法として知られています。

つまり

尿道下裂の治療を行っていく上では、合併症に留意していくことが重要となります。手術による治療が基本となるため、高い技術を持った小児外科医のいる病院に受診することが必要となります。

なので、普段から病院の評判などの情報収集を行っていくことが大事になり、入院や退院後の外来を含めて長期的な治療になるということも理解しておく必要があると思っておくのがいいです。手術が終わったからといって安心するのではなく、合併症などを発症するリスクがあることを頭に入れて外来なども怠らないようにすることは何より必要です。そうなった際、手術を受けるのに相当時間を要するからです。

まとめ

今回、尿道下裂に関する紹介をさせて頂きました。病気の単語ひとつ聞いただけでは、最初ピンと来なかった人も多かったと思われます。ですが、先天性の病気の中には今後の日常生活に支障をきたすものがあるということが理解できたのではないでしょうか?泌尿器や生殖器の病気は中々人には明かせないという方も少なくないと思われます。

しかし、放っておくと取り返しのつかない事態になるということもおかしくはありません。なので、早期発見と早期治療を心掛けていくことが必要ではないかと思われます。

  
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