睾丸の痛みは何かにぶつけてしまった事が原因の悶絶する痛みや、特に思い当たる事が無いのにジワジワとした鈍い痛みなど様々あります。痛みだけでは判断する事が難しいので、見た目や場所などで判断する事が大事になります。また、発見が遅れてしまうと避妊になってしまう可能性も・・・?
睾丸とは?
雄の動物が持っている生殖器の1つです。左右1対あり、金玉、玉などと言われています。人間の精巣は直径4~5cmほどの卵型をしています。下腹部にある陰嚢と呼ばれる皮膚が袋状になっており、その中に入っています。
精巣の役割
睾丸の中には精子を作る精細管と呼ばれる管があり、その精細管の中で精巣の元になる精粗細胞が作られ精子になります。精巣では男性ホルモンのテストステロンが分泌されていて、筋肉の増大やタンパク質の同化作用や性衝動の増進などの作用があり、男性にとってもとても大事な部分なのです。
睾丸が痛む原因
睾丸自体が何かしらの原因で痛みを発している場合と、睾丸の周辺器官に何かしらの原因がある場合が考えられます。
精巣炎
睾丸炎とも呼ばれていて、細菌やウイルスに感染する事により精巣(睾丸)に炎症が起きる病気です。急性のと慢性のものがあり、大体片側の精巣だけに起こります。しかしまれに両方の精巣に炎症が起きてしまう事があります。
・症状
主な症状は精巣部分と鼠経部の痛みです。その他にも「排尿時の痛み」「射精時の痛み」「陰嚢の肥大」「異常な分泌液」「精液に血が混ざる」「発熱」などがあります。急性の場合は精巣が急激に赤く腫れて激しい痛みが伴いますが、慢性の場合は精巣が少しずつ腫れていき、赤くなったり激しい痛みは起こらないのが特徴的です。
・原因
精巣炎になる多くの原因は、流行性耳下腺炎に伴い発症します。おたふく風邪とも言われており、ほとんどの人は幼少期にかかるウイルス性の疾患です。しかし幼少期にこれを発症していない場合や、予防接種を受けていない場合はこのムンプスウイルスに免疫が無い為、成人してから感染して流行性耳下腺炎と一緒に精巣炎も引き起こします。
その他の原因としては、淋病、クラミジア感染症、性感染症、大腸菌、真菌、インフルエンザウイルス、レンサ球菌などが挙げられます。
- コンドームを使用せず性交を行っている人
- 性感染症の病歴がある人
- パートナーが性感染症になった事がある人
が精巣炎になりやすいとされています。
・治療法
ウイルス性の精巣炎は治療法が無い為、自然に治るまで待つ事しかできません。激しい痛みがある場合は鎮痛剤などで痛みを和らげる方法を取ります。
性感染症が原因の場合は、自分だけ治療してもパートナーの人が治らない限り何度も繰り返し感染してしまうので、パートナーと一緒に治療をしましょう。そして完全に治るまでは性交は行わない事が大事です。
陰嚢水腫
精巣の血管や精管を覆っている鞘膜という袋に何らかの原因で液体が溜まってしまった状態の事を言います。どの年代でも発症するのですが、特に乳幼児や小児がかかりやすいと言われています。
・症状
陰嚢内に水が溜まるのでパンパンに腫れた状態になります。痛みはほとんどないですが腫れるのでその不快感が自覚症状となります。触ると水風船のような弾力があります。
・原因
大人の男性の場合非交通性と呼ばれていて、陰嚢の内側にある鞘膜という部分にリンパ液が溜まってしまう事が原因とされています。それとは逆に幼少期の場合は「交通性」と呼ばれており、閉じるはずの腹膜の先が閉じずに腹水ば鞘膜に溜まってしまう事が原因となっています。
・治療法
大人の男性の場合は、注射器などで吸引や鞘膜の切除で治療していきます。幼少期の場合は自然に治る場合が多いので、何もせずに経過を見ます。
しかし、まれに自然に治癒しない人もいるのでその場合は手術を行う事もあります。放置したままですと外鼠径ヘルニアを発症してしまう事があるので、腹膜の先を切り離して糸で縛る処置を行います。
精巣上体炎
精巣の後ろ側にある精巣上体という管に炎症が起こる事を言います。この精巣上体とは精子を溜めたり運んだりする重要な働きをしているので、ここに炎症が起きた場合不妊になってしまう可能性があります。
・症状
陰嚢内の精巣上体部分(精巣の裏側)に痛みが合わられます。最初は一部だけが痛みますが、徐々に陰嚢全体に広がっていきます。また陰嚢が硬くなり赤く腫れあがります。症状が軽い時は触ったり勃起をしたりすると痛みを感じますが、症状が重くなると歩いただけでも痛みを感じてしまうので普通の生活までもが苦痛になります。
・原因
前立腺感染、性的感染症などによって起こる場合がありますが、一番多いのが性感染症によるもので淋病とクラミジアが原因になっています。
- コンドームを使用せず性交を行う人
- 最近尿路の手術を受けた事がある人
- 生まれつき尿路の構造に問題がある人
- 尿道カテーテルを使用した事がある人
- 亀頭包皮を切除していない人
などが感染しやすいと言われています。
・治療法
性感染症が原因の場合は、その菌に対する抗生物質の投与を行います。また、発熱や痛みに対しては鎮痛剤や湿布などで対応します。精巣に刺激を与えないような生活を心がけ、安心にしていれば2、3週間ほどで完治します。
この病気は発見が遅れたり酷くなると不妊にも繋がる原因にもなります。不妊と言えば女性側の原因がほとんどだと思われるかもしれませんが、男性にも不妊になる可能性はあるのです。自分が原因でパートナーとの赤やんが授かれないとなると、とても辛い事でしょう。少しでも異変を感じたら早めに泌尿科を受診するようにして下さい。
精巣損傷
精巣は何増かの膜に包まれていて厚い皮膚の陰嚢の中に入っています。しかし体内に入っているわけではなくいくら厚い皮膚に覆われているからと言っても、外傷を受けやすい部分になっています。
男性の方ならわかると思いますが、ほんの少しの刺激でも激しい痛みを感じる部分です。打撲や内出血といった比較的軽い症状から、精巣が潰れてしまったり皮膚が破れて外に飛び出してしまうという重症なものまであります。
・症状
損傷の仕方によって症状が変わってきますが、軽い打撲でも激しい痛みと下腹部の痛みや吐き気が起こります。この痛みは暫くすると収まりますが、血管まで損傷している場合は内出血などを起こし赤黒く色が変わります。
また、とても強い刺激が加わった損傷を受けると精巣が潰れてしまったり、お腹の方に睾丸が引っ込んでしまい元の形に戻らなくなったり、陰嚢の皮膚が破れて精巣が外に出てしまう可能性があります。
・原因
事故、スポーツなどによって外部からの強い刺激が原因になります。
・治療法
打撲や内出血の場合は自然に治ってくので、しばらく性交などを行わずに安静にして治療します。損傷が激しい場合、卵巣が潰れている場合はもう1つの睾丸へ伝染したり悪い影響を与える可能性があるので摘出をしなければいけません。
右側より左側の睾丸が痛む
右側ではなく、左側が痛む場合の原因を紹介します。
精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)
睾丸上部を流れている静脈が肥大した事を言います。
・症状
精索静脈瘤の一番の特徴は、この病気になる人の98%が左側の睾丸に異常が起きるという事です。ほとんどの場合症状が出ませんがまれに睾丸の重圧感や不快感を感じ、徐々に鈍い痛みが出てきます。
また、精子を作る上で障害を引き起こしてしまう為精子の質が低下してしまい、男性の不妊の原因になります。
・原因
- 通常の血管には血液が逆流しないように弁がついているのですが、精索静脈無いでこの弁の機能が弱まってしまうと逆流してしまい静脈瘤が出来てしまう。
- 腹部から睾丸へ血液が運ばれる時に鼠経を通ります。鼠径は穴になっていてその部分が緩くなってしまうと、座った時に内臓が下がってしまい脂肪の欠片が穴に詰まり血流障害を起こして静脈瘤が出来てしまいます。
・治療
この病気は必ず治療しなければいけないというわけではありません。不妊が嫌だという人や痛みが激しい場合に自分から希望して治療を行います。一般的に手術を行うのが一般的ですが経度の症状であればサプリメントや薬物療法によって改善する可能性があります。
手術の方法としては
●高位結紮術
全身麻酔が必要になり、腹部に大きな傷口が出来てしまう。
●顕微鏡低位結紮術
局所麻酔で行う事が出来て傷口は小さくて済みます。しかし高度な技術が必要になるので医師が限られてしまう可能性があります。
●腹腔下結紮術
全身麻酔が必要になり1cmほどの傷口を3カ所開けて切開します。
●経皮的塞栓術
局所麻酔で行う事が出来て皮膚からカテーテルの管を入れます。
これらの手術法があります。以前までは高位結紮術が主な手術方法でしたが、医療技術が向上したので患者さんの傷を出来るだけ残さないような手術が出てきています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。睾丸が痛む原因は
- 精巣炎
- 陰嚢水腫
- 精巣上体炎
- 精巣損傷
- 精索静脈瘤
が考えられる事がわかりましたね。特に精巣損傷は誰にでも起きる事で、普段気を付けていても自分の意思とは関係なしに損傷してしまう事があると思います。すぐ痛みが回復する場合は気にする事ありませんが、暫く痛みが取れない場合は無理せずに病院を受診するようにして下さい。
また、ぶつけた記憶が無いのに痛みがあるという場合は内部から浸食されている可能性が高いので、すぐ病院を受診する事をオススメします。手遅れになってしまうと避妊になってしまう人もいるので、早めに気付く事が大切になりますね。
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