多動症の症状・原因・治療方法を詳しく紹介!

多動症とは、じっとしてられない、落ち着きがないという症状が見られる発達障害のことです。しかし、子供の時期には、落ち着きがない事やじっとしていられない事はよくあることなので、一概にこのような病気を疑うことは難しいと思います。

幼稚園や小学校に入学して、同年代の他の子と比べて発達の遅れの異変に気づく親御さんは多くいます。病気とは知らずに、しつけが十分出来ていないと思って、きつく叱ってしまう方もいると思いますが、この病気は周りの方の正しい対処法や温かいサポートがとても大切です。それがないと2次障害を引き起こしかねません。

今回、多動症の症状や原因、治療方法について詳しくご紹介します。

多動症について

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ここでは多動症の概要と具体的な症状についてご紹介します。

多動症とは?

多動症は、別名で注意欠陥多動性障害やADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder = AD/HD)とも呼ばれ不注意、多動性・衝動性の特徴をもつ発達障害の1つです。発達年齢に見合わないような行動、落ち着きがない事やじっとしていられないという症状が7歳までに現れます。この病気は、約3~7%の学齢期の子供に発症し、中でも比較的に男性の方が多く発症するといわれています。

発達障害という言葉は、既に多くの方が耳にしたことがあるかと思いますが、肉体的・精神的に欠陥がみられる慢性的な症状のことを指し、生活において様々な支障をきたします。特に言葉、移動、勉強、自立生活において支障をきたし、他の人のサポートが必要になります。

この発達障害は子供が成長する過程の中で発見され、一生継続していく慢性的な障害のことです。脳の問題でこのような行動を引き起こす為、出来ないことがあるからといって厳しく叱ったり、無理やり何度も強制したり、自分のしつけが悪いのかしらと自分を責めることはやめて下さい。周囲の人間が病気のことを理解し、温かいサポートをしていくことが、この病状を緩和する重要な手助けになります。

この多動症の症状は、子供になら誰にでも見られる症状ではあるため、気づきにくいことが多いです。子供が大きくなり、幼稚園や小学校に入り集団行動が始まると、他の子供との違いに気づくケースが多いといわれています。

主な症状とは?

じっとしていられない、落ち着きがないという症状が主な症状です。乳幼児の頃は、行動から病気を判断することは難しいですが、4歳未満で行動が目立ってきて、兆候に気づくようになり、7歳ごろまでには、疑いがほぼ確信に変わるほど、症状が現れ始めます。

幼稚園や小学校で集団活動での生活が始まると、他の子と比べて行動が目立ってくるようになり、下記のような具体的な症状が見られます。

具体的な症状は、

  • 急に教室を飛び出してしまう
  • 席について授業を受けられない
  • 授業中に座っていることができずに、他の事をする為に歩き回る
  • よく忘れ物をする
  • よく喧嘩をして先生に怒られる
  • 簡単なミスをよくする
  • 集中力がなく、すぐに飽きやすい
  • 同じ作業を継続してできない
  • 人の話を聞かない
  • 整理整頓が苦手
  • 貧乏ゆすりをよくする
  • 喋りだすと止まらない
  • 思いついたらすぐに行動する
  • 我慢することが難しい
  • 手を上げて答えを発表するような場で、待たずに答えを叫ぶ

上記のような症状がみられ、集団行動する上で少し困ってしまう行動が目に付きます。特に小学校ではルールや規則が多くなってきたり、長い時間席にじっとしていないといけないことや、先生の話を聞かなければいけない時間が多くなり、苦痛を感じるようになり同年代の子との発達の差が徐々に行動に現れだします。

このような事から、先生や親御さんが厳しく叱ってしまうと思いますが、脳の機能の問題なので叱って治るというようなことはありません。周りの理解や助けがとても重要になります。

これらの症状が見られるようになって、多動症かどうか検査してみたいという方は、まずは神神経科や精神発達外来、小児発達精神科などで相談してみてください。また、発達障害者の方の為の支援施設が各地にありますので、利用されることをおススメします。

多動症の原因とは?

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多動症の患者さんには通常の脳とは異なる脳の異変を見ることができます。これらが影響して、脳内伝達物のドーパミンやアドレナリンの分泌が偏ってしまうことで、症状が出るのではないかと言われています。

このような状態を作る原因になっているものは、遺伝、生育環境、妊娠中の喫煙などの様々な説があります。

遺伝によるもの

アメリカの研究調査では、親のどちらか一方に多動症がみられる場合は、遺伝する確率は50パーセントであると報告しています。

また、兄弟、妹姉にこの症状が見られる場合は、いない人に比べて5倍~7倍の発症する確率が上がると言われています。

生育環境

一般的には、生まれつき脳の機能問題による原因というのが有力説ですが、中には産まれた後の生育環境が影響する場合があるとも言われています。生育環境で原因として挙げられているのは、虐待、睡眠や食品の添加物などです。

虐待を受けて脳に障害ができてしまい、多動症を引き起こす例があったり、いびきをかく子供や睡眠障害をもつ子供に多動症が見られるなどのデータが報告されてる為、これらの成育環境説に関しては関連性が高いかもしれません。

また、食品の添加物に関しても、幼児や小学生数百人に、添加物入りのジュースを飲ませたところ飲ませたところ多動の傾向が見られたと報告されていますが、対象人数が少ないことやどの添加物が影響するかが分かっていない為、食品が影響しているという説に関してはまだ信憑性は低いようです。

妊娠中の喫煙

オランダでの研究結果では、妊娠中に喫煙していることが、多動症になる確率が高いと言われています。母親の喫煙で多動症の確率になる調べたところ、非喫煙者に比べて26%高くなるとう報告があります。

妊娠中のタバコが与える胎児への影響は多動症以外にも、様々な報告があるので、妊娠中に禁煙できる方はなるべく禁煙を心がけてください。しかし、禁煙しなければいけないと過度に神経質になりすぎて、逆にストレスになるほどであれば、ほどほどにするなどの対応が好ましいと思います。

多動症の治療方法

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治療方法には、内服薬による治療と教育・療育的支援、また子供への接し方改善の3つの方法があります。

これらの治療の目的は、本人が自分の行動を抑制できるようになり、友達や家族、周りの方との社会関係をうまく築き上げ、充実した生活を送れるようにすることです。

教育・療育的支援

教育・療育的支援制度には主に3つの内容があります。まずは、子供の環境を整える事、次に本人が適切な行動を学ぶ事、3つ目には親御さんを対象として子供の対処方法や接し方を学ぶといった内容です。

これらを通して、本人の持っている力を引き出し、充実した生活を送ったり、社会的に自立が出来るように手助けする為のものです。何かを出来るようさせる為に無理やり強制したり、訓練したりするのは逆効果になります。生活しやすくなる為にはどんな力を引き出すべきか考え、人それぞれの症状や環境にあわせて総合的に判断して、支援を行っていきます。

内服薬による治療方法

多動症の治療では、アトモキセチンとメチルフェニデートと呼ばれる薬を使って治療を行います。多動症の原因として、脳内伝達物のドーパミンやアドレナリンの分泌が偏ってしまうことで症状が出るのではないかと考えられています。

これらの内服薬には脳内の神経伝達物質であるアドレナリンやドーパミンなどの不足している物質を改善させる効果が期待できます。

子供への接し方改善

まずは、疑いがあるよう時に医師に相談しましょう。診断のない状態では、本人が悪い、親のしつけが足りないなど様々な誤解を招きやすく、周りからの否定的な評価に本人も親御さん自身も心を痛めると思います。

集団行動で迷惑をかけてしまうことが多いことから、先生や親御さんなど周囲からの叱る回数が増えたり、周りからいじめの対象に合うなどして、孤立してしまうこともあります。そのような環境の中で育ってしまうと大人になっても自尊心が低く、いつも劣等感を持ってしまいます。

そのため、子供が置かれている社会環境を注意しながら見守り、自信がもてるように褒める回数を増やしましょう。また、ミスをおかしたとしても、まずは一呼吸おいて、人格を傷つけるような言葉で叱ったりせずに、「今は出来なくても、一緒に少しずつ頑張ろうね」というメッセージや「あなたは私にとって大切な子供だよ」といった愛情を忘れずに伝えましょう。

また、多動症に関しては、大人になるにつれて、落ち着いていく傾向が見られます。成長していく上で、環境に徐々に適応できるようになりますが、大人になっても興味を持てないものには集中できなかったりします。幼少期には、どうしても同年代の子供と比べてしまいますが、大人になれば多動症も落ち着いてくるので、長い期間暖かい目で見守っていきましょう。

多動症をもつ方、親御さんには上記でご紹介したような、これらの適切な支援がとても重要になります。適切に対処されないと、2次障害を引き起こす可能性があります。2次障害とは、周りから誤解されていじめを受けたり、いつも回りから怒られたりして自信をなくしたりして、劣等感、不登校、引きこもり、うつなどの障害が現れることです。これらは、適切な治療方法によって防ぐことが出来ます。

まとめ

多動症とは落ち着きがない、じっとしていることが出来ないという症状のある発達障害の1つです。幼稚園や小学校にあがるようになると、集団行動で様々な支障がでてきて問題になります。しかし、この病気は脳による障害によるものなので、厳しく叱ったり、罰を与えたり、無理に治させようとするものではありません。

この症状を疑う出来事があれば、まずは医師に相談しましょう。適切な対処方法でないと、2次障害とよばれる劣等感、うつ、不登校などの障害につながります。周りがこの病気に対して正しい認識と適切なサポートを行うことが、多動症の方が充実した生活を送る為の手助けに繋がります。

  
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