ハンチントン病の症状って?原因や治療法、病気の予後を知ろう!関係のある病気はなに?

ハンチントン病という言葉を知っていますか?ハンチントン病は遺伝子に何かしらの異常が起こることで発症する遺伝性の病気で、難病に指定されています。

気付かない間に症状が進行していることもあります。ハンチントン病がどのような病気なのか、症状や原因について触れていきたいと思います。

ハンチントン病とは

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ハンチントン病は遺伝性の神経変性の病気であり、精神的な症状や行動に異常が現れたり、舞踏運動(不随意運動)といわれる異常な運動、認知障害などの症状が特徴として現れます。子供から大人まで発症する年齢は幅広いですが主に30代で発症する人が多いとされています。発症に男女差はほぼないと言われています。

ハンチントン病は常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝が関係しているため、発症した場合父親または母親のどちらかが同じ病気の可能性が非常に高いといえます。子供の頃に発症した場合、父親が病気であるという傾向が多いという情報もあります。

ハンチントン病の原因

ハンチントン病は遺伝子が異常を起こすことで起こります。第4染色体と言われるものの中にハンチンチンやIT15と呼ばれる遺伝子があります。その遺伝子の核酸配列が長期にわたって異常を繰り返すことで発症するようです。また遺伝子の配列の状態によって症状の強さなどが変わるとされています。配列が長ければ長いほど発症する時期も早くなり、現れる症状も強くなる傾向があります。

大人よりも子供が発症した場合病状は重くなりがちです。親がハンチントン病の遺伝子を持っていて例えまだ発症していなくても、先に子供が発症するということもあるのです。子供の発症がわかってから親が発症することも少なくありません。また親がハンチントン病の場合その子供は約50%の確率で発症する可能性があることがわかっています。

ハンチントン病の症状

ハンチントン病の症状は精神的な症状、異常な行動、舞踏運動(不随意運動)、運動障害、認知障害というような症状が現れますがこれらは知らない間に進行が始まっていきます。そしてゆっくりとしたスピードで進んでいきます。症状が悪化してしまうと一人では生活できなくなり介助が必要になることもあります。

・精神異常

精神的な面での症状としてイライラしやすくなったり、沈みやすくなる、神経質などの性格になったり、いつもとは違う行動や非常識とも取れる行動をする、おちつきがないなど行動に変化が現れることがほとんどです。沈みやすくなるといった性格の変化からうつ状態になってしまうことも少なくありません。精神的な異常から自殺をしてしまう人もいるようです。

・認知障害

認知障害は記憶や学習、理解するために必要な機能に障害がでてしまうもので精神疾患の一つとされています。記憶喪失、認知症、意識混濁などの疾患も認知障害とされています。物忘れが多くなったり、同じ話を繰り返したり、会話をしていても途中でわからなくなってしまうといった症状が現れます。家族の名前や自宅の場所もわからなくなってしまうこともあるようです。

・舞踏運動

舞踏運動(ぶとううんどう)とは自分の意志で動かしているわけではないのに勝手にカラダが動いてしまうことをいい不随意運動(ふずいいうんどう)の1つとされています。顔が歪んだりまばたきが多くなる、手足が無意識に動く、踊っているような動きをするといったことが現れます。手足、顔、首、舌などに様々な動きが生じ、全身に症状が現れることもあります。症状が強くなっていくと歩くことが困難になったり、カラダを思い通りに動かすことができなくなってしまったりします。発症してから10年以上これらの運動障害に悩まされることもあり、それにより精神面でも負担がかかります。

・運動障害

舞踏運動の他にも様々な運動障害が起こることがあります。眼球の運動に異常が起こったり、無意識のうちに筋肉が縮まってしまうことで変わった姿勢になってしまうジストニアなどの症状が現れる場合もあります。物を持つ・握るといった動作が困難になったり、同じ動作を繰り返したりすることが困難になることもあります。症状が進んでいくと転倒しやすくなる、会話がしにくいということも起こるようになります。

ハンチントン病の診断

診断は現れている症状、近親者にハンチントン病や精神疾患の人はいないかなど尋ねられます。同時にCT検査やMRI検査も行い脳を調べ、ハンチントン病の特徴が現れていないかを確認します。ハンチントン病の疑いがある場合、遺伝子検査を行い最終的に診断されるようです。

ハンチントン病の治療法

ハンチントン病は今のところ根本的な治療法は判明していないとされています。

ただ、舞踏運動やうつなどの精神的な症状への治療は行うことができます。それぞれの状況に応じて治療を行うことで症状の緩和が期待できます。

ハンチントン病の予後とは

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ハンチントン病は治療法がないとされていますが、発症した後はどうなるのかということが気になる点だと思います。ハンチントン病は人それぞれ現れる症状や進行状況が違いますが、日常生活に支障が出たり助けがないと1人では生活できない状態までに進行するのは、発症してから10年程経ってからのことが多いようです。

病状が進行するにつれて認知症を発症したり1人では生活できなくなってしまうハンチントン病ですが、発症から15年後には多くの人が肺炎や冠動脈疾患を患い亡くなっているという情報もあります。しかしハンチントン病の予後については様々な情報があり必ずこうなるということは言い切れないようです。

ハンチントン病と診断された時

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ハンチントン病になると認知障害など様々な症状の影響で段々と自分で行動したりすることが難しくなってきてしまいます。そのため今後協力してくれる人を探したりすることも必要であるといえます。またこれからどのように生活をしていくか、治療についてなどの意思を明確にしておくことも大切です。医療についての手続きもいくつかあるためそれらを書いていきたいと思います。

難病医療費助成制度の利用

難病医療費助成制度とは国の指定難病の診断を受け、高額な医療費がかかる治療の継続が必要であると認められた場合に申請することができ、医療費の助成を受けられる制度です。申請をすることで医療費を自己負担している人は負担が3割だったものは2割になります。ただし、他に制度を利用していて、もともとの負担割合が2割または1割の人は変わらずそのままです。ハンチントン病は国が指定している難病になるため診断された場合には難病医療費助成制度を利用しましょう。申請を出す際には条件などもあるようなので一度制度について確認をしてから出した方がよさそうです。

事前指示書を作成する

事前指示書とは今後の治療や生活、万が一の時の対応などどのようにするかということについて、自分の意思を表示し書面に記すものです。事前指示書を作成しておくことで、自分で判断することが出来なくなってしまった時に、その書面を通じて自分の意思を尊重してもらうことができるのです。事前指示書には2つの種類があります。

「リビングウィル」

リビングウィルとは医療に関しての本人の望みや意見を表明したものです。リビングウィルは患者本人が医療に関しての決断ができないと判断された場合や意識不明などの状態に陥った場合に用いられます。

「医療判断代理委任状」

医療判断代理委任状とは患者本人に代わり治療などに関しての判断や決断をする代理人を指名するための書面です。医療判断代理委任状があれば患者に代わり治療方針や先の事についてなどを医師とその都度話し合い決めていくことができます。

これらは2つとも作成することはできますが、2つの書面の内容に相違があった場合にどちらを優先するのかなど細かく決めておく必要があります。

ハンチントン病の対策

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ハンチントン病は親からの遺伝で起こるものであり治療法がないことから、ハンチントン病にならないようにするための対策というものは残念ながらありません。しかし、ハンチントン病と診断されてから他の症状を引き起こさないようにするための対策はあります。運動障害が現れた時に二次被害を出さないための対策や感染症などを引き起こす可能性を低くするための対策も必要です。対策法をいくつかあげたいと思います。

運動障害による怪我を防ぐ

症状の一つとして舞踏運動、運動障害が現れます。これらはカラダが思うように動かなくなってしまったり、カラダが勝手に動いてしまったりするため、転倒などによる怪我に十分に注意しなければなりません。1人で行動することができ、介助が必要とまではいかない場合でも外出する際には必ず誰かに付き添ってもらう、自宅に階段がある場合には階段を使用しないようにするなどの対策が必要です。怪我をしてしまうことで、できた傷からばい菌が入り感染症を引き起こしてしまう可能性もあるため注意しましょう。

清潔にして感染症を防ぐ

感染症はハンチントン病の死因にも繋がるものです。感染症を引き起こさないためにもできることはたくさんあります。まずは上記にもあげた通り、怪我をしないことです。傷が原因で感染症になってしまうケースは決して少なくありません。また不清潔にすることで様々な場所からばい菌が入り込んでしまうこともあります。

症状の1つとして認知障害がありますが、認知障害を発症すると今までできていた行動ができなくなってしまうこともあります。例えばお風呂に入ること、トイレをすることなどです。カラダを清潔に保つことも感染症を防ぐ一つの方法です。カラダだけではなく家の中や口にするものも清潔にしておくといいでしょう。

誤嚥を防ぐ

誤嚥(ごえん)とは食べ物がのどに詰まったり気管に入ってしまうことをいいます。誤嚥はハンチントン病の死因に多いとされている肺炎を引き起こす原因でもあります。舞踏運動の症状によってカラダをうまく動かせなくなってしまうことで誤嚥が起きてしまいます。のどに詰まらせると窒息してしまう可能性もあるため食事をする際には、注意しながら食べる必要があります。

誤嚥を防ぐために食べ物は小さく切ったり、少しずつ口に入れるようにします。さらさらとしている汁物や飲み物などでむせてしまうことがあれば、とろみをつけて飲みやすくする方法もあります。食事をする時にもサポートしてくれる人がいると安心です。

カラダを休める

舞踏運動が起こることでカラダは必要以上に動いてしまうため疲れが溜まってしまいます。十分に休むことができないと思わぬ怪我をしてしまったりすることも考えられます。そのためきちんとカラダを休めることは大切です。

ハンチントン病に関係する病気

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ハンチントン病から発症する可能性のある病気、また、関係する病気についていくつか書いていきたいと思います。

肺炎

肺炎はハンチントン病の死因の中で特に多い病気です。肺炎は名前の通り肺に炎症が起こる病気で、細菌などが口や鼻から肺に入り込み悪さをすることで炎症を起こしてしまいます。

症状は倦怠感、発熱、咳、食欲不振、呼吸が苦しいなどがあげられます。症状はただの風邪の症状と似ていますが、咳が止まらなかったり息苦しいというような症状が現れている場合には、すぐに病院を受診してください。風邪が悪化して肺炎になってしまうこともあります。

肺炎が原因で死亡している人のほとんどが65歳以上の高齢者であるといわれており、死亡率が高い病気でもあります。肺炎の治療法は主に化学療法が用いられます。高齢者の場合は血管に抗生物質を注射する方法を行うことが多いようです。

パーキンソン病

パーキンソン病とは原因不明の神経変性疾患で、手足が震えたり、転倒しやすくなったり、ニオイがわからなくなるといった症状が現れます。パーキンソン病は40歳以降に発症し始め50代~60代に多くみられます。発症に遺伝は関係ないとされていますが、若い年齢でパーキンソン病を発症した場合は遺伝子に異変が生じることで起こることもあるともいわれています。日本では1000人に1人が発症するといわれており、パーキンソン病患者は10万人以上いるとされています。

パーキンソン病は脳の細胞が何かしらの原因で減ってしまい、ドーパミンがつくられなくなることで神経に異常が生じ様々な症状が起こるとされています。細胞が減ってしまう原因についてはハッキリとはわかっていないようです。治療法はドーパミンの働きを補う薬物療法や症状に合わせた運動療法、薬物療法や運動療法で効果がみられない場合には手術治療を行うこともあります。

パーキンソン病については、パーキンソン病の初期症状とは?治療方法も紹介!を参考にしてください!

認知症

ハンチントン病を発症した場合、認知症の症状が現れます。認知症は記憶障害が起こることで物事を思い出せなくなったり、記憶がなくなってしまったり、数分前に起きたことでさえも思い出すことが出来なくなってしまう病気です。家族の名前もわからなくなってしまったりもします。認知症は高齢者に多くみられますが高齢化が進んでいるため患者数は年々増えているとされています。

認知症には4つの種類があります。アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症です。認知症の約60%がアルツハイマー型認知症と大半を占めていますがきちんと診断を受け治療を行うことが必要です。認知症になる原因は不明とされており根治させる治療法も発見されていないようです。薬物療法によって症状の進行を遅らせることはできますが一時的なものにすぎません。

認知症については、認知症を予防する方法は?食事や運動、トレーニングを紹介!を参考にしてください!

うつ病

ハンチントン病の症状の一つである精神的異常からうつ病になってしまうこともあります。うつ病患者は100~300万人程いるといわれとても発症率の高い病気であるといえます。何もやる気になれない、気分が沈む、正確な判断ができないといった心に現れる症状や眠れない、食欲不振、倦怠感、頭痛などカラダに現れる症状があります。うつ病は精神的に異常が生じてしまうことから自殺を企んだりしてしまうこともあります。

うつ病は自然に治ることはなく適切な治療を行うことが大切です。治療には薬物療法、精神療法があります。治療以外にもきちんと睡眠をとることも重要です。治すためには時間がかかりますが適切な治療を行うことで次第に良くなっていくため、うつ病かなと思うことがあれば放置せずに病院を受診しましょう。

まとめ

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ハンチントン病は親からの遺伝で発症する病気であり治療法は見つかっていません。しかし症状を軽くする治療や二次被害を減らすための対策を行うことはできます。

またハンチントン病の患者が生活を送っていくには介助が必要不可欠です。周囲にいる人の協力、理解を高めることも必要であるといえるでしょう。

いつもと様子が違う、何かおかしいと感じることがあれば医療機関を受診し検査を受けることをオススメします。

  
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